人工授精(AIH)

タイミング法を続けても妊娠に至っていない方に、ご案内することの多い治療です。排卵の時期に合わせて、洗浄・濃縮した精子を細い管で子宮内に注入します。どの周期でするかは、診察のときに一緒に決めます。
不妊治療全体の
どこにあたりますか?
人工授精は「一般不妊治療」の一つで、タイミング法の次に考えることが多い治療です。下は一般的な進み方の目安で、この順番どおりに進むとは限りません。検査の結果や経過によっては、途中の段階を経ずにご相談することもあります。
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STEP 01
検査
妊娠しにくい原因がどこにありそうかを調べます。
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STEP 02
タイミング法
超音波検査などで排卵がいつごろになりそうかを見て、性交のタイミングをご案内します。
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STEP 03
人工授精
調整した精子を子宮内に注入します。
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STEP 04
体外受精・顕微授精
体の外で受精させ、胚を子宮に戻します。
どの段階から始めるか、いつ次に進むかは、検査の結果と経過を見ながらご相談します。
人工授精(AIH)とは
どのような治療ですか?
排卵の時期に合わせて、細い管で精子を子宮内に注入する治療です。精子は前もって洗浄・濃縮しておきます。海外では子宮内授精(IUI)とも呼ばれます。
ふだんは精子が子宮の入口から自然に上がっていきます。人工授精では、この過程の一部を助けて、より多くの運動精子を子宮内に届けます。AIH(Artificial Insemination with Husband's semen)とも呼ばれます。
腟内に射精された精子は、子宮の入口(頸管)の粘液を泳いで子宮の中に入り、卵管を通って卵管膨大部まで進みます。健康な男性の精液には1mlあたり1億以上の精子がいますが、卵管膨大部まで届くのは50〜100個ほどです。正常な精液量(2ml以上)のうち、卵管に届く精子は100万分の1程度とされています。人工授精では、2〜3mlの精液から精子を洗浄して集め、0.5ml程度まで濃縮します。精漿や不純物(ゴミ、細菌、白血球など)をできるだけ取り除くので、子宮内に届く運動精子の数が増えます。
タイミング法の次の段階として考えることが多い治療です。検査と治療をどの順番で進めるかは、診療内容の一覧とタイミング法のページにまとめています。
実施前に必要な
検査はありますか?
処置による感染を防ぐため、B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV、クラミジアをご夫婦ともに検査します。
1年以内に受けた検査の結果があれば、あらためて受けていただかなくて大丈夫です。HIVなどは原則として自費の検査で、5,000円程度かかります。
どのような方が
対象になりますか?
タイミング法を続けても妊娠に至っていない方や、精子の状態から人工授精が選択肢になる方が対象です。
対象になりうる方タイミング法を一定期間続けても妊娠に至っていない方。精子の数や運動率などの検査結果により、人工授精が選択肢になる方。性交のタイミングを取ることが難しい事情がある方。頸管粘液の状態などにより、精子が子宮に届きにくいと考えられる方。
他の治療を先にご案内する場合卵管が両側とも閉塞している場合など。精子の状態が人工授精に適さない場合。骨盤内に感染がある場合、またはその疑いがある場合。
当てはまるかどうかは、診察と検査の結果を見て決めます。迷っているときも、一度お問い合わせください。
この治療でできること
できないこと
人工授精でできるのは、調整した精子を子宮内に届けるところまでです。ほかの要因を治す治療ではありません。
できること洗浄・濃縮した精子を、排卵の時期に合わせて子宮内に届けられます。性交のタイミングを取りにくい事情があるときの選択肢にもなります。
頸管粘液の状態などで精子が子宮に届きにくいと考えられるときも、その過程の一部を助けられます。
タイミング法を続けている方が、次に考える治療です。
できないこと・限界卵管が両側とも閉塞している場合や、精子の状態が人工授精に適さない場合など、注入だけでは変わらない要因があります。これらは検査で調べます。
当院からその効果をお約束することはできません。効果には個人差があります。
排卵の時期に合わせて通院いただくので、通院日はご都合だけでは決められません。
一定の回数を重ねても妊娠に至らないときは、体外受精を含めた次の選択肢をご相談します。目安は3〜5回です。
当日までどのように
進みますか?
卵胞の育ち方を見ながら準備を進め、排卵の時期に合わせて人工授精をします。
これまでの検査結果と経過を拝見し、人工授精の内容とリスクをお話しします。どの周期でするかも、このときに一緒に決めます。
超音波検査などで卵胞の育ち方を見て、人工授精をする日を決めます。排卵誘発剤を使うかどうかや使い方も、このときに決めます。
洗浄・濃縮した精子を、細い管で子宮内に注入します。注入したあとは、内診台の上で5分ほど安静にしていただきます。
そのあとの経過は、次の診察で見ます。発熱や強い腹痛など気になる症状があれば、お電話でご連絡ください(受付は診療時間内です)。

処置室
通院の回数と
期間はどのくらいですか?
診察、排卵時期の確認、人工授精の当日、そのあとの確認と、区切りごとに通院いただきます。
人工授精の当日までに通院いただく時期です。卵胞の育ち方は人によって違うので、次に来ていただく日は診察のたびに決めます。
検査結果と経過を見て、どの周期でするかを決めます。
超音波検査などで卵胞の育ち方を見て、当日の予定を決めます。
洗浄・濃縮した精子を、細い管で子宮内に注入します。
そのあとの経過を見ます。
図:当日までの通院の区切り。日数には個人差があるので書いていません。
| 次の選択肢を相談する目安の回数 | 3〜5回 |
|---|---|
| 診療時間 | 月・水・金 9:00-13:00/15:00-19:00 火 9:00-13:00/15:00-18:00 木・土 9:00-13:00 |
通院が負担になりそうなときは、診察のときにお話しください。診療時間と行き方は院内・アクセスのページに載せています。
費用はいくらですか?
保険が使える場合と、自費になる場合があります。
- 保険適用時(3割)
- 5,460円〜
- 自費
- 21,600円(税込 23,760円)
このほかに、診察・検査・お薬の費用がかかります。
診察・検査・お薬の内容によって変わります。保険が使えるかどうかも、検査の結果や状態によります。自費の金額は税抜です(別途消費税がかかります)。
ほかの検査や治療の費用は費用のページにあります。
痛み・体への負担はありますか?
痛みの程度と、使うカテーテルのこと
痛みの感じ方には個人差があります。管を入れるときに軽い痛みを感じる方もいます。
人工授精は、ふだんの内診と同じ内診台で行います。管を子宮の入口から入れるときに違和感が出ることもありますが、体への負担は卵管造影検査などと比べると軽いほうです。
ふだんは軟らかいカテーテルを使うので、痛みはほとんどありません。入りにくいときは、やや硬めのカテーテルを使ったり、子宮頸管の向きを確かめるためにゾンデ(消息子)診をしたりします。そのときは、少し痛みを伴うことがあります。
排卵誘発剤を使うときは、その影響で体調の変化を感じることがあります。使うかどうかや、どのお薬を使うかは、状態を見て決めます。
リスク・副作用
- 感染:管を子宮内に入れるので、感染を起こすことがあります。そのあとに発熱や強い腹痛があれば、ご連絡ください。
- 出血:実施後に少量の出血が見られることがあります。
- 痛み・違和感:処置の最中や、そのあとに痛みや違和感が出ることがあります。感じ方には個人差があります。
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS):排卵誘発剤を使うときに起こることがあり、お腹の張りや体重の増加などの症状が出ることがあります。
- 多胎の可能性:排卵誘発剤を使う場合、複数の卵子が育って多胎につながる可能性があります。
- アレルギー反応:精子の洗浄・培養に使う培養液や、処置のときに使う抗生剤で、アレルギー反応が出ることがあります。感染を防ぐため、処置のときに抗生物質の1日内服も行っていますが、避け得ない場合もあります。
- 濃縮による限界:精液の量や精子の状態によっては十分に濃縮できず、数値が下がることがあります。それでも、ふだんの性交より多くの精子が卵管膨大部に届くと考えられています。
自費で受けるときも、同じ内容を同意説明文書に書いています。分からないところは、診察でそのままお尋ねください。
仕事と両立できますか?
通院の時間帯・仕事を抜けられるか
月・水・金は19:00まで、火は18:00まで診療しています。品川駅高輪口から徒歩5分です。
通院日は排卵の時期で決まるので、周期ごとに前後します。当日どのくらい時間がかかるか、終わってすぐお仕事に戻れるかは、人によって違います。気になることは診察でお聞きください。
待合にはWiFiと電源があり、お待ちの間に仕事を進めていただけます。
このページに出てくる用語
ほかに分からない言葉があれば、受付や診察のときに聞いてください。
- 人工授精(AIH)
- 洗浄・濃縮した精子を、細い管で子宮内に注入する治療です。AIH(Artificial Insemination with Husband's semen)とも呼ばれます。
- 洗浄・濃縮
- 採取した精液から、運動性のよい精子を選んで集める処理のことです。人工授精の前に行います。
- 排卵(はいらん)
- 卵胞から卵子が出ることをいいます。人工授精は、この時期に合わせて実施します。
- 頸管粘液(けいかんねんえき)
- 子宮の入口(頸管)から分泌される粘液です。状態によっては、精子が子宮に届きにくくなることがあります。
- 排卵誘発剤
- 卵胞が育つのを助けるお薬の総称です。飲み薬と注射があります。どのお薬をどう使うかは、状態を見てからご説明します。
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
- 排卵誘発剤を使ったときに、卵巣が腫れる・お腹が張るなどの症状が出ることがある状態をいいます。気になる症状があればご連絡ください。
- 多胎
- 一度に複数の子どもを妊娠することをいいます。排卵誘発剤を使って複数の卵子が育つと、その可能性が出てきます。
よくある質問
人工授精を受けるのにパートナーの同伴は必要ですか?
人工授精の日には、精子をご用意いただきます。採取の方法や当日の流れは、前もって診察でご案内します。
タイミング法との違いは何ですか?
タイミング法は性交のタイミングをご案内する治療で、人工授精は調整した精子を子宮内に注入する治療です。タイミング法のページもご覧ください。
受けたら必ず妊娠しますか?
必ず妊娠するとは限りません。この治療は、妊娠の可能性を高める方法のひとつです。結果には個人差があります。
排卵誘発剤は必ず使うのですか?
使わずに行うこともあります。使うかどうかや使い方は、状態を見て決めます。
結果はいつ分かりますか?
いつ、どうやって結果を確かめるかは、その周期の経過によって変わります。人工授精をした日に、次に来ていただく日を決めます。
費用は保険と自費のどちらになりますか?
状態やご希望によって変わります。詳しくは費用のページをご覧ください。
何回か受けても妊娠に至らない場合はどうなりますか?
これまでの経過や検査結果を見ながら、体外受精を含めた次の選択肢をご相談します。体外受精のページもご覧ください。
保険適用の条件を教えてください
検査の結果や状態によって変わります。条件は費用のページに載せていますし、診察でもお答えします。
タイミング法を経ずに人工授精から始めることはできますか?
検査結果や状態によっては、タイミング法を経ずに人工授精からご案内することもあります。まずは診察でご相談ください。
実施当日は何を持っていけばよいですか?
当日の持ち物は、人工授精の日を決めるときにご案内します。
このほかの質問はよくある質問のページにまとめています。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)