なぜ男性も検査を
受けたほうがよいのですか?
男性側に原因があることも多いからです。不妊原因の男女比は女性41%、男性24%、男女両方24%です。男性側に原因がある割合は、あわせて48%になります。
日本泌尿器科学会は、妊娠・出産はカップルで考える問題だとして、男性もまず精液検査を受けるよう勧めています。精液検査は、男性不妊症かどうかを調べるときのいちばん基本の検査です。
男性側の原因には
どのようなものがありますか?
主な原因は、造精機能障害、精路通過障害、性機能障害・射精障害です。
精巣の中で精子が正常につくられない状態です。男性不妊の約8割が、この造精機能障害です。精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は男性不妊症でいちばん多い原因で、男性不妊症の40%前後に見つかります。
精巣でつくられた精子が、精管を通過できない状態です。精巣上体炎の後遺症や、鼠径ヘルニアの手術のあとなどに、精子の通り道が詰まっていることがあります。
性機能障害の多くは心因性ですが、身体的な要因で起こることもあります。射精のときに精液が膀胱の中へ出てしまう逆行性射精は、薬物療法で良くなることもあります。
女性側の原因もあわせて、不妊症の原因のページにまとめています。
どのような検査をしますか?
まず精液検査を受けていただき、必要に応じてホルモン検査や精巣の超音波検査を行います。
| 検査 | 調べること |
|---|---|
| 精液検査 | 精液量、精子濃度、総精子数、運動精子濃度、運動率を調べます |
| 精巣超音波検査 | 精巣に超音波を当てて、内部の状態や、精巣周囲の血管に異常がないかを調べます |
| 各種ホルモン検査 | LH、FSH、プロラクチン、テストステロンの値を調べます |
| 甲状腺ホルモン検査 | 甲状腺の働きを調べます(TSH、FT3、FT4) |
| 麻疹・風しんの抗体検査 | 血液検査で、麻疹と風しんに対する抗体があるかを調べます |
精液検査の受け方
日本生殖医学会は、検査の前に2〜7日の禁欲期間を保つよう勧めています。
採ってから検査までは60分以内が目安です。ご自宅で採ったときは、運ぶあいだの温度(20〜37℃が目安)にも気をつけてください。当院での採り方と容器の受け取り方は、受診のときにご案内します。
精液の状態は、同じ人でも体調や時期によって大きく変わります。1回の結果だけでは決めず、WHOのマニュアル(第6版・2021年)の下限値を目安に、2回以上の結果で判断します。
通院の回数の目安:精液検査は2回以上受けていただくので、少なくとも2回のご来院が必要です。
基準の数値と結果の見方は、精液検査の受け方と結果の見方にまとめています。女性側の検査は不妊検査のページです。
当院でできる治療と、
ご紹介する治療
検査で男性側に原因が見つかったときは、お薬による治療や、精子の状態に合わせた不妊治療をご案内します。男性不妊の手術は、当院では行っていません。
漢方療法やクロミフェン療法などをご案内することがあります。
日本産科婦人科学会は、乏精子症や精子無力症では、精子の状態に合わせて人工授精や体外受精・顕微授精をすると説明しています。当院では人工授精・体外受精・顕微授精を行っています。
精索静脈瘤の手術や、精巣の中から精子を探す手術(精巣内精子採取術)が必要と分かったときは、泌尿器科などの医療機関をご紹介します。手術で採った精子は、当院の顕微授精に使えます。できるかどうかは、精子の状態を見てから決めます。
決まった紹介先はありません。検査の結果やお住まいに合わせて、そのつど泌尿器科などの医療機関をご紹介します。
精子凍結
精子を凍らせて保存し、あとの体外受精・顕微授精で使えるようにしておく方法です。
手術で採った精巣内精子や、高度乏精子症の方の射出精子を、体外受精・顕微授精に使う目的で凍結する場合は、保険の対象です。医療上の必要がなく、ご本人の都合で凍結するときは選定療養となり、自己負担です。凍結の前には、文書と口頭でご説明し、同意書をいただきます。
凍結した精子を使っても、妊娠できるとは限りません。凍結は、治療に使える精子を残しておく方法です。
保険の扱いや保管期間は、精子凍結は、どのようなときに使いますかにまとめています。
ご夫婦での受け方
男性の検査は、診察のときにお声がけください。男性ブライダルチェックとして、男性おひとりでも受けていただけます。
人工授精・体外受精の日に来院が難しいときは、早めにご相談ください。当院では、ご自宅で採った精液での人工授精・体外受精にも対応しています。ご自宅が遠いと難しいこともあるので、診察でご相談ください。
院内に採精室があります。精液検査や人工授精・体外受精の日は、院内で採っていただくこともできます。
診療時間と行き方、待合の様子は院内・アクセスに載せています。
費用
主な費用は次のとおりです(税抜、かっこ内は税込)。
| 項目 | 保険適用時(3割) | 自費 |
|---|---|---|
| 男性ブライダルチェック(精液検査・感染症・抗体価) | — | 29,000円(税込 31,900円) |
| うち精液検査 | — | 5,000円(税込 5,500円) |
| 精子凍結(精巣内精子) | 4,500円(IVF・ICSIに限る) | 36,000円(税込 39,600円) |
| 精子凍結(射出精子) | 3,000円(IVF・ICSIに限る) | 36,000円(税込 39,600円) |
| 精子凍結保存維持管理料 | 2,100円 | 60,000円(提携の保管機関へ直接お支払い) |
不妊症の検査として保険で受けるときの、検査ごとの自己負担の目安(3割)です。
| 検査 | 点数 | 自己負担(3割)の目安 |
|---|---|---|
| 精液検査(判断料を含む) | 104点 | 約310円 |
| ホルモン検査(LH・FSH・プロラクチン・テストステロン、判断料と採血を含む) | 611点 | 約1,830円 |
| 精巣超音波検査 | 350点 | 約1,050円 |
診療報酬の点数(1点10円)から計算した目安です。このほかに初診料・再診料などがかかります。判断料は同じ月に何回検査しても1回分です。実際の金額は、受ける検査の組み合わせで変わります。
ほかの費用は費用についてに載せています。
リスク・副作用
精液検査・ホルモン検査(採血)・超音波検査は、からだへの負担の小さい検査です。採血では、内出血や気分が悪くなることがあります。お薬による治療では、お薬ごとに副作用があるので、処方のときにご説明します。体外受精・顕微授精のリスクは、それぞれのページに載せています。
ご不明な点は、お電話(03-3440-5562)または診察でお問い合わせください。
よくある質問
男性だけで受診できますか?
男性ブライダルチェックとして、男性おひとりでも受けていただけます。受け方は診察でご相談ください。
精液検査は1回で結果がわかりますか?
精液の状態は体調や時期によって大きく変わるので、1回の結果だけでは決めず、2回以上の結果で判断します。
男性不妊の手術は受けられますか?
男性不妊の手術は、当院では行っていません。手術が必要と分かったときは、泌尿器科などの医療機関をご紹介します。手術で採った精子は、当院の顕微授精に使えます。
精子凍結は保険で受けられますか?
精巣内精子と高度乏精子症の射出精子を、体外受精・顕微授精に使う目的で凍結するなら保険の対象です。医療上の必要がなく、ご本人の都合で凍結するときは選定療養となり、自己負担です。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年10月25日
出典
公益社団法人 日本産科婦人科学会
一般社団法人 日本生殖医学会
一般社団法人 日本泌尿器科学会
厚生労働省 不妊治療に関する取組
