精液検査の受け方と、
結果の見方
精液検査では、2〜7日の禁欲期間をおいてから、マスターベーションで精液を採ります。結果は体調などで変わるので、2回以上の検査を見て判断します。WHOのマニュアル(第6版)の下限値を下回る項目があれば、泌尿器科的な詳しい検査に進みます。日本生殖医学会は、不妊の原因の約半数は男性側にもあるとして、男性側の検査も女性側の検査と一緒に進めるよう勧めています。
なぜ男性も
検査を受けたほうがよいのですか?
男性側に原因があることも多いからです。
日本泌尿器科学会は、妊娠・出産はカップルで考える問題だとしています。そのうえで、約半数は男性側にも原因があるとして、男性もまず精液検査を受けるよう勧めています。日本生殖医学会も、不妊症の約50%は男性側に原因があるとしていて、男性側の検査は女性側の検査と一緒に進めるのがよいとしています。
精液検査は、男性不妊症かどうかを調べるときのいちばん基本の検査です。同学会は、妊孕性(にんようせい:妊娠に至る力)を調べる方法は、いまのところ精液検査しかないとしています。女性側の検査を何か月も続けてから男性側を調べ、進め方を組み直すことになるときもあります。はじめからお二人で調べておけば、こうした遠回りをせずに済みます。当院でも、お二人そろっての検査をおすすめしています。
精液検査は
どこで受けられますか?
不妊治療を専門とするクリニックや病院で受けられます。当院でもお受けしています。
日本生殖医学会によると、精液検査は不妊治療を専門とするクリニックや病院で受けられます。一般の泌尿器科では精液検査をしていないこともあるので、先に確かめておくとよいとしています。日本産科婦人科学会も、検査できる場所として、不妊症を診ている産婦人科や泌尿器科を挙げています。
当院で受けるときは、診察でお声がけください。男性ブライダルチェックとして、男性おひとりでも受けていただけます。受け方は診察でご相談ください。付き添いが必要かどうかは、受ける検査や治療によって違います。気になるときはお電話(03-3440-5562)でお問い合わせください。
診療時間と行き方、待合の様子は院内・アクセスに載せています。
検査の前に、
何に気をつければよいですか?
2〜7日は射精を控えること、そして採った精液をなるべく早く検査に回すことです。
日本生殖医学会は、検査を受けるときは2〜7日の禁欲期間を保つよう勧めています。男性不妊症診療ガイドライン(2024年版)によると、WHOのマニュアルの基準値は2〜7日の禁欲期間で行った検査をもとにしています。ですから、検査のときも同じ範囲に合わせます。
マスターベーションで採ります。ご自宅で採って持ってくる方法と、医療機関の中で採る方法があり、どちらを選べるかは施設によって違います。
ガイドラインでは60分以内とされています。それより時間がかかりそうなときは、院内で採ることを勧めています。
ご自宅で採ったときは、運ぶあいだの温度にも気をつけてください(20〜37℃が目安です)。
日本生殖医学会は、ふつうは院内で採ったほうが正確な結果が出るとしています。日本泌尿器科学会も、採ってから検査までの時間や気温の変化、紫外線が精子の運動率に影響するとしています。
当院での採り方(院内で採るか、ご自宅から持ってこられるか)と、容器の受け取り方は、受診のときにご案内します。
結果の数字は、
どう見ればよいですか?
WHOのマニュアル(第6版・2021年)の下限値を目安にします。1回の結果だけでは決めず、2回以上の結果で判断します。
精液検査では、主に精液の量、精子の濃さ(1mLあたりの数)、精子の動きなどを測ります。日本生殖医学会と男性不妊症診療ガイドラインは、下限の目安として次の値を挙げています。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 精液量 | 1.4mL |
| 精子濃度 | 1,600万/mL |
| 総運動率(動いている精子の割合) | 42% |
| 前進運動率(前に進む精子の割合) | 30% |
| 正常形態率(形が正常な精子の割合) | 4% |
| 白血球数 | 100万/mL未満 |
総運動率は、動いている精子すべてを数えた割合で、まっすぐには進まない動きの精子も含みます。前進運動率は、まっすぐ前に進む動き(ガイドラインでいう「直進運動」)をしている精子だけを数えた割合です。
ガイドラインによると、この値は、避妊せずに12か月以内に自然妊娠に至った男性の精液所見をもとにしています。その5パーセンタイル(低いほうから5%)にあたる値です。下回った項目があるからといって、妊娠できないと決まるわけではありません。日本生殖医学会は、基準を下回る項目があるときは、さらに詳しい男性不妊症の検査が必要になるとしています。
精液の状態は、同じ人でも時期によって大きく変わります。ガイドラインは、少なくとも2回以上の結果で判断するべきだとしています。日本生殖医学会も、体調などで変わるので2回以上の検査を見て総合的に判断するよう勧めています。1回目の数字だけで結論を出さず、次の検査の時期を診察でご相談ください。
「乏精子症」などの言葉は、
何を指しますか?
精子の数や動き、精子があるかどうか、そのどこに問題があるかを表す言葉です。
精子の数が少ないことをいいます。
精子の運動率が低い状態です。
精液の中に精子が見つかりません。精子の通り道がふさがっている「閉塞性」と、精巣で精子がつくられていない「非閉塞性」に分けて考えます。
日本産科婦人科学会は、乏精子症や精子無力症では、男性側の治療をしたり、精子の状態に合わせて人工授精や体外受精・顕微授精をしたりすると説明しています。治療の違いは人工授精と体外受精は、何が違いますかで取り上げています。
基準を下回る項目があったら、
次に何を調べますか?
泌尿器科的な検査で、原因をさらに詳しく調べます。
日本生殖医学会は、精液検査で異常がみられたときの詳しい検査として、次のようなものを挙げています。
- 問診:これまでの病気や手術、たばこやお酒、ストレスなどの生活のこと、お薬、勃起や射精の状態をうかがいます
- 身体診察:精巣の大きさや硬さ、左右差、精索の静脈が広がっていないかを触って調べます
- 陰嚢の超音波検査:精巣の大きさや内部、精索静脈瘤の血流を見ます
- ホルモン検査:LH、FSH、テストステロン、プロラクチンなどを測ります
- 染色体検査:無精子症や高度の乏精子症のときに行います
日本泌尿器科学会によると、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は男性不妊症でいちばん多い原因で、男性不妊症の40%前後に見つかります。日本産科婦人科学会も、精子の状態が悪いときは、精索静脈瘤などの病気がないかを泌尿器科の専門医に診てもらうとしています。
当院の不妊検査では、男性の精巣超音波検査と、LH・FSH・プロラクチン・テストステロンのホルモン検査をしています。男性不妊の手術は当院では行っていないので、手術が必要と診断されたときは、泌尿器科などの医療機関をご紹介します。検査の一覧は不妊検査のページにまとめています。
よくある質問
男性だけで受診できますか?
まずはお電話(03-3440-5562)でお問い合わせください。
自宅で採って持っていくことはできますか?
持ってくる方法を選べるかどうかは、施設によって違います。当院での採り方は、受診のときにご案内します。
禁欲期間は長いほうがよいのですか?
基準値が2〜7日の禁欲期間での結果をもとにしているので、検査のときも同じ範囲に合わせてください。
1回目の結果が基準を下回ったら、どうすればよいですか?
精液の状態は体調などで変わるので、2回以上の検査を見て判断します。次に検査する時期は、診察でご相談ください。
他院で受けた精液検査の結果は使えますか?
お持ちいただければ、診察で参考にします。あらためて検査を受けていただいたほうがよいときは、その理由もお話しします。
パートナーと同じ日に受ける必要がありますか?
同じ日にそろって受けなくてもかまいません。お二人とも検査を受けると、原因を広く確かめられます。
費用はどこで確認できますか?
不妊検査には、保険が使える検査と自費になる検査があります。主な料金は費用についてに載せています。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年9月19日
この記事は一般的な医学情報をまとめたものです。個別の診断・治療方針は診察のうえでご説明します。
出典
一般社団法人 日本生殖医学会「生殖医療Q&A:Q7.不妊症の検査はどこで、どんなことをするのですか?」
一般社団法人 日本泌尿器科学会「パートナーがなかなか妊娠しない」
日本泌尿器科学会 編・日本生殖医学会 後援「男性不妊症診療ガイドライン 2024年版」(PDF)
公益社団法人 日本産科婦人科学会「不妊症」