子宮内膜フローラ検査

子宮の中にいる善玉菌(ラクトバチルス属菌)がどれくらいの割合かを調べて、子宮の環境を確かめます。先進医療として認められているので、保険で受ける体外受精とあわせて受けられます。当院では、慢性子宮内膜炎のある方や、胚移植をくり返しても妊娠に至らない方などに、この検査をしています。
体外受精の流れの
どこにあたりますか?
子宮内膜フローラ検査は、胚を戻す子宮の中の環境を調べる検査(先進医療)です。体外受精は、卵巣刺激・採卵・受精・培養・胚凍結・胚移植という順で進みます。胚を凍結せず、採卵した周期にそのまま移植することもあります。
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STEP 01
卵巣刺激
お薬(注射・内服)で卵子を育てます。
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STEP 02
採卵
育った卵胞から卵子を取り出します。
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STEP 03
受精
採った卵子と精子を受精させます。通常の体外受精と顕微授精があります。
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STEP 04
培養
受精した卵(胚)を培養します。
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STEP 05
胚凍結
育った胚を凍結して保存します。
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STEP 06
胚移植
胚を子宮に戻します。この検査は、胚を戻す子宮の中の環境を調べます。
流れの全体と、段階ごとの費用は体外受精のページにまとめています。
どのような検査ですか?
子宮の中に善玉菌がどれくらいいるかで、環境が整っているかを見ます。
腟や子宮の中には、いろいろな種類の細菌がいて、環境を整えています。この細菌の集まりは、顕微鏡で見るとお花畑のように見えるので、子宮内フローラと呼ばれています。子宮内フローラには、妊娠や出産に影響する善玉菌と悪玉菌がいます。
子宮の中(子宮内腔)は無菌だと長く考えられてきました。いまは、子宮の中にも細菌がいて(Franasiak JM, et al., JARG 2016)、腸と同じように子宮にも適した細菌の環境があるといわれています。特に、乳酸菌のひとつであるラクトバチルス(Lactobacillus)が、妊娠の成立には必要だといわれています(Moreno I, et al., Am J Obstet Gynecol 2016)。
ラクトバチルスの中でも、L. crispatus と L. gasseri が重要とされています。慢性子宮内膜炎がある方の子宮の中は、ラクトバチルスが少ないと指摘されています。慢性子宮内膜炎のない方では L. crispatus が多いという報告があります(Liu Y, et al., Fertil Steril 2019)。子宮内フローラが整っている方に比べて、乱れている方は妊娠・出産に至りにくいという報告もあります。
検査で
わかること
悪玉菌が多いと、生殖器の中で炎症が起きていることがあります。炎症があると免疫が働いて、受精卵が異物として排除されてしまうことがあります。善玉菌のラクトバチルスには、糖を分解して乳酸をつくり、生殖器の中を酸性に保って、悪玉菌が増えるのを抑える働きがあります。
- 善玉菌・ラクトバチルス属菌の割合が分かります
- 常在菌や細菌性腟症の原因菌がいるかどうか、どれくらいいるかが分かります
- 子宮内フローラのバランスが分かると、次にどうするかを考えられます
どのような方が
対象になりますか?
これから妊娠を望む方から、移植をくり返しても妊娠に至らない方まで、受けていただけます。
- これから妊娠を望むすべての方
- 不妊治療を受けていても妊娠しない方
- 良好な胚を移植しても妊娠しない方
- 流産・早産の経験がある方、またはくり返している方
当院では、慢性子宮内膜炎のある方や、体外受精・胚移植、凍結融解胚盤胞移植をくり返しても妊娠に至らない方に、この検査をしています。気になる方は、まずはご相談ください。
検査は
どのように進みますか?
まず医師がご説明し、そのあと子宮の中から検体を採取して、検査機関でDNAを解析します。結果は、検体の採取から15営業日後に医師からご報告します。
医師が検査の内容をお話しします。受けるかどうかを決めていただいてから進めます。
子宮の中から検体を採取します。
検体からDNAを取り出し、検査装置にかけます。
15営業日後に、医師から結果をご報告します。
通院の回数と期間
検体の採取から結果のご報告まで、15営業日かかります。
費用はいくらですか?
この検査は自費です。ただ、先進医療として認められているので、保険で受ける体外受精とあわせて受けられます。
- 保険適用時(3割)
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- 自費
- 50,000円
先進医療部分は全額自己負担です。
リスク・副作用
- 検査のための処置:処置のあとに出血や感染が起こることがあります。
- 効果:効果には個人差があります。
- 抗生剤の長期投与:結果によっては抗生剤で治療しますが、むやみに長く使うと耐性菌をつくるリスクがあります。
結果の見方
当院ではVarinos社の子宮内フローラ検査を使っています。結果には、ラクトバチルスやそのほかの有害な菌の割合が出ます。
| 分類 | ラクトバチルスの割合 |
|---|---|
| LDM(Lactobacillus Dominant Microbiota) | 90%以上。良好な状態と判定します |
| NLDM(Non-Lactobacillus Dominant Microbiota) | 90%未満 |
結果には、菌の種類のほかに、病原性の高い菌に効く抗生剤も出ます。ラクトバチルスの種類も調べるので、ラクトバチルスが多い状態でも、善玉とされる L. crispatus が主にいるかどうかを確かめられます。
結果に応じた治療
NLDMと判定されたときは、当院ではラクトフェリンや、ラクトバチルスそのものを使った治療をしています。
慢性子宮内膜炎と抗生剤
慢性子宮内膜炎には、まず使う抗生剤が決まっています。ただ、それでは治らないことも多く、次の抗生剤に切り替えます。抗生剤をむやみに長く使うと、耐性菌をつくるリスクがあります。子宮内フローラ検査で原因菌を確かめ、その菌に効く抗生剤を選ぶほうが、治療として有効だと考えられています。
ラクトフェリンを使う治療(NLDMの場合)
食物繊維やオリゴ糖のように、腸の中の善玉菌が増えるのを助けるものをプレバイオティクスと呼びます。子宮内フローラを整えるために、ラクトフェリンをお出しします。
ラクトフェリンは鉄と結びつく糖たんぱく質で、母乳や頸管粘液に含まれています。悪玉菌は、増えるために鉄を必要とします。ラクトフェリンは鉄と結びつくので、悪玉菌には鉄を渡さず、からだには吸収させると考えられています。ラクトバチルス属は増えるのに鉄を必要としないので、ラクトフェリンを使うとラクトバチルスが多い環境になるとされています。
腸の中と子宮の中の環境はつながっているといわれています。そのため、腸の環境を整える飲み薬も使います。
ラクトバチルスそのものを使う治療(NLDMの場合)
当院では、ラクトバチルスそのものをお出しする治療(プロバイオティクス)を優先しています。プロバイオティクスは、善玉菌そのものが入った食品やサプリメントのことです。ラクトバチルスの中でも特に大切とされる L. reuteri、L. rhamnosus、L. crispatus を含む飲み薬と腟錠の両方を使って治療しています。
検査や治療を考えている方は、診察のときにお声がけください。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年9月19日