胚移植のあと、判定日まで
どう過ごせばよいですか
胚移植のあとは、仕事や家事を含めて、ふだんどおりに過ごしていただいて構いません。気をつけたいのは、黄体ホルモンなどのお薬を決められたとおりに続けることと、お酒やたばこを控えることです。当院では移植の9日後に妊娠判定をします。それまでに出血が多いときやお腹の痛みが強いときは、ご連絡ください。
当院の移植の手順は胚移植のページに載せています。この記事は、移植のあとの生活についての一般的なお話です。
移植のあと、
安静にしたほうがよいですか?
長く横になって過ごす必要はありません。
移植のあとに安静をとっても、妊娠しやすくなるという報告はほとんどありません。当院では、移植のあとは安静にしすぎなくてよいとお伝えしていて、歩いてお帰りいただけます。
日本産科婦人科学会は、妊娠初期の切迫流産について、安静にしたりお薬を使ったりしても、流産を防ぐ効果はなさそうだと説明しています。移植のあとも、体を動かしたせいでうまくいかなかった、と考えなくて大丈夫です。
当日の過ごし方は、移植の日にお渡しする説明書に書いています。体調に変わりがなければ、普段どおりに過ごしてかまいません。
仕事・家事・運動は
どうすればよいですか?
ふだんの仕事や家事は続けて構いません。重労働や長時間の勤務は避けたほうがよいとされています。
日本産科婦人科学会は、妊娠初期について、重労働や長時間労働は避けたほうがよいと思われるので、安静や勤務の緩和が必要かどうかは主治医と相談するよう案内しています。立ち仕事や力仕事が多い方は、診察でお仕事の内容をお聞かせください。
運動や仕事の目安は、移植の日にお渡しする説明書にも書いています。散歩のような軽い運動を続けるかどうかも、気になるときは診察でご相談ください。
通院とお仕事の両立については仕事と不妊治療の両立のコラムで取り上げています。
お薬は、
いつまで続けますか?
判定日まで、決められたとおりに続けてください。自己判断でやめないことが大切です。
体外受精の移植のあとは、子宮の内膜を着床しやすい状態に保つため、黄体ホルモンを補うお薬を使うことが多くあります。体調が変わらないから、少し出血があったから、とご自身の判断でやめると、妊娠が続いている場合でも流産につながることがあります。
当院では、黄体ホルモンの腟に入れる薬(ルティナス・ウトロゲスタン)や飲み薬(デュファストン・ルトラール)、注射(ルテウムデポー)、卵胞ホルモンの貼り薬(エストラーナ)などから、周期に合わせて組み合わせます。どれをいつまで使うかは、移植の前日のお電話と、移植の日の説明書で確かめていただけます。
日本生殖医学会のガイドラインでは、黄体補充は少なくとも妊娠判定で陽性が出るまで続けることが勧められています。陽性のあとも、しばらくは続けるのが一般的です。胎盤から出る黄体ホルモンは妊娠7〜8週ごろから増え、10週ごろに十分な量になるという報告があり、それまでを目安に続ける医療機関が多くあります。終える時期は治療の方法や経過で変わるので、自己判断でやめずに、医師の指示に合わせてください。飲み忘れや貼り忘れに気づいたときは、自己判断で次の分をまとめて使わずに、当院にご連絡ください。
ほかの病気でお薬を飲んでいる方は、移植の前に診察でお伝えください。国立成育医療研究センターの妊娠前のチェックリストにも、持病と妊娠、薬の内服について知っておくことが挙げられています。
控えたほうがよいことは
ありますか?
お酒とたばこは控えてください。受動喫煙も避けられるとよいです。
国立成育医療研究センターの妊娠前のチェックリストでは、女性について「アルコールを控える」「妊娠したら禁酒する」「禁煙する。受動喫煙を避ける」が挙げられています。移植のあとは、妊娠しているかもしれない時期として過ごしてください。
お酒・たばこ・カフェインについては、妊活中のお酒・たばこ・カフェインのコラムで詳しく取り上げています。
症状で、うまくいったか
分かりますか?
症状のあるなしでは分かりません。
判定日に陽性になっても、自覚症状のない方は多くいらっしゃいます。症状のあるなしから、結果を読み取ることはできません。
判定日までの日数は長く感じると思います。何かしていないと落ち着かないときや、不安が強いときは、診察でそのお気持ちもお聞かせください。
どんなときに
連絡すればよいですか?
月経のような多めの出血や、強い腹痛があるときは、夜間や休日でもご連絡ください。
日本産科婦人科学会は、妊娠初期に月経のような多めの出血や、ひどい腹痛があるときは、夜間や休日であっても産婦人科へ連絡するよう案内しています。少量の出血や軽い腹痛であれば、まず自宅で安静にするのがよいとしています。
お腹の張りが強い、息苦しい、尿の量が少ないなど、採卵のあとから続く体調の変化があるときも、ご連絡ください。卵巣が腫れる副作用については卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のコラムで取り上げています。
当院に通院中の方は、診療時間内はお電話(03-3440-5562)でご連絡ください。診療時間外は、当院公式LINEのメッセージ、または公式WEBサイトのお問い合わせフォームからご連絡いただけます(順番に確認してご返信します)。緊急の場合や症状が重い場合は、お近くの救急医療機関にご相談ください。
判定日には、
何をしますか?
当院では、移植の9日後に妊娠判定をします。
判定は移植の9日後で、血液検査でhCG(妊娠すると増えるホルモン)の値を測ります。結果の受け取り方(ご来院かお電話か、おひとりかご一緒か)は、移植の日に伺っておき、そのご希望どおりにお知らせします。
排卵や移植の準備でhCGの注射を使った周期は、着床していなくても、体に残った注射のhCGで市販の妊娠検査薬が陽性に出ることがあります。判定日の前に検査薬を使ったときは、使った日と結果を診察でお伝えください。
陽性のあと、超音波で胎嚢が見える前に出血して終わることを化学流産(生化学的妊娠)といいます。詳しくは化学流産のコラムをご覧ください。陰性だったときは、凍結している胚の有無やこれまでの経過を見て、次の進め方を一緒に考えます。治療全体の日程は体外受精のスケジュールのコラムにまとめています。
よくある質問
移植のあと、横になって安静にしていたほうがよいですか?
長く横になっている必要はないとする報告が多く、移植のあとは歩いて帰宅していただけます。重労働や長時間の勤務は避けたほうがよいと学会は案内しているので、仕事の内容が気になるときは診察でご相談ください。
判定日の前に、市販の妊娠検査薬を使ってもよいですか?
hCGの注射を使った周期は、注射のhCGが体に残って、着床していなくても陽性に出ることがあります。判定は、当院では移植の9日後に行います。検査薬を使ったときは、使った日と結果を診察でお伝えください。
少し出血がありました。お薬はやめたほうがよいですか?
出血があっても、黄体ホルモンなどのお薬はご自身の判断でやめないでください。妊娠が続いていても、途中でやめると流産につながることがあります。出血が多いときや腹痛が強いときは、夜間や休日でもご連絡ください。
体調の変化が何もありません。うまくいっていないのでしょうか?
判定日に陽性になっても、自覚症状のない方は多くいらっしゃいます。症状のあるなしで、結果は判断できません。
判定日が陰性だったら、次はどうなりますか?
凍結している胚があるかどうかや、これまでの経過によって変わります。次の進め方は診察でご相談ください。
受診や通院のそのほかの質問は、よくある質問のページにまとめています。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年10月31日
この記事は一般的な医学情報をまとめたものです。個別の診断・治療方針は診察のうえでご説明します。
出典
公益社団法人 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」
一般社団法人 日本生殖医学会「生殖医療ガイドライン(原案)」
一般社団法人 日本IVF学会「胎盤性黄体ホルモン値測定による ホルモン補充下凍結胚移植における補充終了時期の検討」
国立成育医療研究センター「プレコン・チェックシート」
久慈直昭・京野廣一 編『今すぐ知りたい!不妊治療Q&A』医学書院(2019)