不妊治療と仕事の両立に、
使える制度はありますか
不妊治療に使える休暇や、時間単位で取れる有給休暇があるかどうかは、勤務先の就業規則を見るか、人事の担当者に聞いてみてください。厚生労働省の「不妊治療連絡カード」は、治療の時期や配慮してほしいことを主治医が書いて勤務先に渡す書式で、使うかどうかは自由です。職場に伝えるかどうか、誰まで伝えるかも、ご本人が決められます。
国の資料をもとにした一般的な情報です。休暇制度や手続きの中身は、勤務先によって違います。
仕事との両立が難しくなるのは、
どんなときですか?
通院の日は、直前になって決まることがあります。前もって予定を組みにくいのは、そのためです。
厚生労働省のハンドブックも、仕事と日程を合わせる難しさを挙げています。通院にどれだけ時間がかかるか読めない、医師から言われた日に外せない仕事が入る、といったことです。気持ちの面での負担も大きい、としています。
一般不妊治療は排卵の周期に合わせて通うので、予定を前もって決めにくくなります。体外受精や顕微授精では、とくに女性の通院が多くなります。1回の診療にかかる時間は、一般不妊治療で1〜2時間、生殖補助医療で1〜3時間が目安です。待ち時間を入れると数時間になることもあります。採卵などは、半日から1日かかる場合があります。
男性も、女性の周期に合わせて通院したり、治療に加わったりすることがあります。治療ごとの通院の時期は、診療内容の各ページに載せています。
「不妊治療連絡カード」は、
どのように使いますか?
主治医に書いてもらったカードを勤務先に出して、休暇制度などを使いたいと申し出るときに使います。
不妊治療連絡カードは、厚生労働省が作って、使うことを勧めている書式です。任意の様式ですが、主治医などが書く証明書になります。治療中であることを会社に伝えるときや、会社の両立支援の制度を申し込むときに使います。
「不妊治療の実施(予定)時期」「特に配慮が必要な事項」「その他」の欄があります。
カードには、ご本人が書く「不妊治療と仕事との両立に係る申請書」の欄もあります。ここで、会社にある休暇制度や両立支援の制度を使いたいと申し出ます。
国は会社に、書かれた内容をもとに制度の利用をすすめるなど、必要な対応をとるよう求めています。
書いてもらうときは、勤務日や勤務時間、仕事が忙しい時期を主治医に伝えておいてください。国の記載例には「当該治療日については、午前中の休暇が必要」「治療日については、治療の前日に決まることもある」といった書き方が載っています。
カードは厚生労働省のページからダウンロードできます。会社に出すときは、カードの趣旨が伝わりやすいように、国のマニュアルやハンドブックも一緒に渡すとよいとされています。
書いてほしいときは、受付にお声がけください。
勤務先には、
どのような制度がありますか?
会社によって違うので、就業規則を見るか、人事労務の担当者に聞いてみてください。
会社によっては、不妊治療のための休暇・休職の制度や、治療費の補助があります。厚生労働省のハンドブックも、こうした制度があるか調べてみるよう勧めています。
- 不妊治療に使える休暇制度・休職制度(不妊治療に限ったもの、ほかの目的と共通のもの)
- 半日単位・時間単位で取れる年次有給休暇
- 失効した年次有給休暇の積立制度
- 残業免除、時差出勤、短時間勤務
- フレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク
- 不妊治療にかかる費用の助成制度
人事労務の担当者や産業医・産業保健スタッフが相談に乗ってくれる会社もあります。制度があっても、申し込みの方法や時期は会社ごとに決まっています。そこまで調べておくと、通院日が急に決まったときに動きやすくなります。
両立を支える会社かどうかは、
どこで分かりますか?
「くるみんプラス」などのプラス認定を受けているかどうかが目印になります。
「くるみん」は、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けた会社の証です。認定を受けた会社のうち、不妊治療と仕事との両立に取り組み、基準を満たした会社は「くるみんプラス」「トライくるみんプラス」「プラチナくるみんプラス」の認定を受けられます。条件は次の4つで、すべて満たす必要があります。
不妊治療のための休暇制度(年次有給休暇は含まない)に加えて、半日・時間単位の年次有給休暇、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークのいずれか。
両立に関する方針を示し、制度の内容とあわせて社内に周知している。
研修など、社員の理解を促す取り組みを行っている。
両立支援担当者を選任し、社内に周知している。
くるみん認定などを受けた会社の職場情報は、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で調べられます。制度として決めてはいなくても、そのつど対応している会社もある、と厚生労働省の調査に出ています。
職場には、
どこまで伝えればよいですか?
伝えるかどうか、誰まで伝えるかは、ご本人が決められます。
厚生労働省のハンドブックは、職場に伝えていない理由として「伝えなくても支障がないから」「周囲に気遣いをしてほしくないから」「不妊治療をしていることを知られたくないから」などを挙げています。不妊や不妊治療のことは、プライバシーに関わる、人に知られたくないことだとしています。
伝えるときは、上司や人事など、どの部署の誰までなら伝えてよいかを、先に人事労務の担当者と確認しておいてください。そこから先に広がらないよう、どこまで共有するかを決めておくことが大切だとされています。勤務時間の配慮や休暇、出張に行けるかどうかといった困りごと・希望も一緒に伝えておくと、会社が対応を考えやすくなります。
不妊治療について相談したり制度を使ったりしたことで不利益な取り扱いやハラスメントを受けることがないよう、国は会社に配慮を求めています。
職場で困ったときは、
どこに相談できますか?
厚生労働省のハンドブックは、都道府県労働局などを問い合わせ先として挙げています。
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室):性別を理由とする差別、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い、職場のハラスメントなどの相談を受け付けています。
- 総合労働相談コーナー:解雇、配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせなど、労働問題全般の相談を受け付けています。
- 性と健康の相談センター:不妊症や不育症に関する医学的・専門的な相談や、経験者によるピアサポートを行っています。
受付の曜日・時間や連絡先は変わることがあります。使う前に、各窓口の案内で確かめてください。
当院には、
仕事の前後にも通えますか?
月・水・金は19時まで(火は18時まで)、土曜は午前に診療しています。
平日の午後から夕方は、お仕事のあとに寄っていただける時間帯です。受付は診療終了の30分前までです。待合には、待ち時間に仕事ができるスペースがあります。WiFiと電源もお使いいただけます。
ただ、採卵のように日程を選べない処置や、土曜にはできない検査・処置もあります。お仕事のご都合は診察のときにお聞かせください。できる範囲で日程をご相談しますが、周期の都合で合わせられないこともあります。
診療時間や行き方、待合の様子は院内・アクセスに載せています。
よくある質問
不妊治療連絡カードは、必ず出さなければいけませんか?
いいえ、任意の書式です。使うかどうか、いつ使うかは、ご本人が決められます。
カードはどこで手に入りますか?
厚生労働省のホームページからダウンロードできます。当院で書いてもらいたいときは、受付にお声がけください。
次の通院日は、どのくらい前に分かりますか?
治療の内容や経過によって変わります。直前に決まることもあります。
仕事の都合で、予約の日に行けなくなりました。
お電話(03-3440-5562)でご連絡ください。そのときに、次のご予約もご相談いただけます。
待ち時間に仕事はできますか?
待合にはWiFiと電源があり、お待ちの間に仕事を進めていただけます。
検査の結果を待つ間、院外に出られますか?
出られます。受付にお声がけいただければ、戻っていただく時間をご案内します。
パートナーも仕事を休む必要がありますか?
治療の内容によっては、パートナーの検査やご来院が必要になります。必要な日は、前もってお知らせします。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年9月19日
この記事は一般的な医学情報をまとめたものです。個別の診断・治療方針は診察のうえでご説明します。
出典
厚生労働省「不妊治療連絡カードをご活用ください!」(PDF)
厚生労働省「不妊治療と仕事との両立について」
厚生労働省「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」(PDF)
厚生労働省 職場情報総合サイト しょくばらぼ「くるみん認定・プラチナくるみん認定・トライくるみん認定とは」