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Column

妊活中のお酒・たばこ・
カフェインは、どう考えればよいですか

妊娠を考えている時期は、お酒を控えることがすすめられています。妊娠中と授乳中の飲酒は、厚生労働省のガイドラインでも「避けることが必要な場合」に挙げられています。たばこは、ご本人が吸っていても、パートナーの男性が吸っていても、妊娠までにかかる期間を延ばすと報告されています。カフェインは、日本には1日の上限の基準がなく、妊娠中の目安を示しているのは海外の機関です。

お酒について、
国はどのように示していますか?

妊娠中・授乳期中の飲酒は、「避けることが必要な場合」として挙げられています。

厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」は、特定の状態にあって飲酒を避けることが必要な場合として、妊娠中・授乳期中の飲酒を挙げています。妊娠中にお酒を飲むと、赤ちゃんに胎児性アルコール症候群などが起こる可能性があるからです。

妊娠を考えている時期については、国立成育医療研究センターの「プレコン・チェックシート」(女性用)に、「アルコールを控える。」「妊娠したら禁酒する。」という項目があります。チェックシートは、できることから始めて、チェックの付く項目を1つずつ増やしていくよう呼びかけています。

ガイドラインでは、女性は男性より体の水分が少なく、アルコールを分解する力も弱いので、影響を受けやすいとされています。

飲む量は、
どう把握すればよいですか?

お酒の量(ml)だけでなく、含まれる「純アルコール量(g)」に目を向けることが勧められています。

純アルコール量は「摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8」で求められます。ガイドラインの例では、アルコール5%のビール500mlで20gです。

ガイドラインには、国の計画の目標として、生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)を飲んでいる人を減らすことが挙げられています。ただしこれらの量は個々人の許容量を示したものではないと書かれています。

飲むときの工夫としては、あらかじめ量を決めて飲むこと、一週間のうち飲まない日をつくることなどが挙げられています。自分の飲み方を知る方法として、医師などに相談することや、世界保健機関(WHO)が作ったスクリーニングテスト(AUDIT)を使うことも紹介されています。

この数字は、ここまでなら飲んでよいという意味ではありません。妊娠を考えている時期の飲み方で迷うときは、診察のときにお聞かせください。

たばこは、
妊娠のしやすさに関係しますか?

たばこは、妊娠のしにくさに関係するとされています。

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、妊娠を希望して避妊をやめてから妊娠するまでの「受胎待ち時間」は、ご本人かパートナーの男性が吸っていると長くなります。吸っている女性は閉経が早まり、妊娠できる期間が短くなるとも書かれています。

妊娠してからの影響としては、早産や低出生体重・胎児発育遅延などが挙げられています。子宮外妊娠、常位胎盤早期剥離、前置胎盤を引き起こす可能性も指摘されています。妊娠中でも、禁煙すれば低出生体重を防ぐのに役立つという研究も紹介されています。

当院の不妊検査のページでも、男性側の喫煙歴を、早めの受診を考える目安のひとつに挙げています。

自分が吸わなくても、
気をつけることはありますか?

まわりの人が吸うたばこの煙(受動喫煙)にも気をつけてください。

e-ヘルスネットによると、妊娠中の受動喫煙は、乳幼児突然死症候群(SIDS)の要因であることが確実視されています。低出生体重・胎児発育遅延との関連も指摘されています。

2020年4月に完全施行された改正健康増進法では、望まない受動喫煙を起こさないよう配慮する義務が、たばこを吸う人に課されています。プレコン・チェックシート(女性用)にも「禁煙する。受動喫煙を避ける。」という項目があります。

カフェインには、
どのような目安がありますか?

日本では一日摂取許容量が決められておらず、海外の機関が妊婦などに向けて目安を示しています。

食品安全委員会のファクトシートによると、カフェインは感じ方の個人差が大きく、健康への影響を正確に評価するのが難しいので、一日摂取許容量(ADI)は決められていません。海外の機関の評価としては、次のようなものが紹介されています。

  • 世界保健機関(WHO、2016年):1日のカフェイン摂取量が300mgを超える妊婦に対して、妊娠中は摂取量を制限するよう注意を呼びかけています。
  • 欧州食品安全機関(EFSA、2015年):妊婦については、習慣的なカフェイン摂取が200mg/日以下であれば、胎児に健康リスクは生じないとしています。
  • カナダ保健省(2017年):妊婦・授乳婦と、妊娠を計画している女性は、1日に300mg以下(コーヒーではマグカップで約2杯強)にするよう勧めています。

どれも海外の機関が出した目安です。

ファクトシートの表では、100mlあたりのカフェインは、コーヒー60mg、紅茶30mg、せん茶とウーロン茶20mg、玉露160mgです。エナジードリンクや眠気覚まし用の飲料は製品によって違い、1本でコーヒー2杯分にあたる量が入っているものもあります。コーヒー以外の飲み物にも入っているので、1日に口にするものをまとめて見ておくと量をつかみやすくなります。

パートナーの男性も、
見直したほうがよいですか?

国の資料でも、男性も一緒に生活習慣を見直すようにと書かれています。

プレコン・チェックシート(男性用)の冒頭には「男性にもプレコンセプションケアが必要です!妊娠は女性だけの問題ではありません。」と書かれています。項目には「たばこや危険ドラッグ、過度の飲酒はやめよう。」が入っています。

妊娠までにかかる期間は、パートナーの男性が吸っているときにも長くなるとされています。「パートナーも一緒に健康管理をしよう。」という項目は、女性用・男性用の両方のチェックシートに入っています。パートナーの検査も一緒に進める理由は、不妊治療は、いつから始めればよいですかにあります。

妊娠を考え始めたときにからだの状態を確かめておく検査として、自費のブライダルチェックもあります。

よくある質問

「純アルコール量20g」は、飲んでもよい量ですか?

いいえ。一人ひとりが飲んでよい量を示したものではない、とガイドラインに書かれています。

カフェインの量に、日本の基準はありますか?

一日摂取許容量(ADI)は決められていません。食品安全委員会のファクトシートが、海外の機関の評価を紹介しています。

紅茶や緑茶にもカフェインは入っていますか?

入っています。100mlあたり、紅茶は30mg、せん茶は20mg、玉露は160mgとされています。

エナジードリンクはどうですか?

製品によって量が違い、1本でコーヒー2杯分にあたるカフェインが入っているものもあります。表示を確かめてください。

パートナーだけが吸っています。関係はありますか?

受胎待ち時間は、パートナーの男性が吸っているときにも長くなると報告されています。妊娠中の受動喫煙にも気をつけてください。

お酒やたばこのことも、診察で相談できますか?

もちろんです。気になっていることを、そのままお話しください。

監修・更新

監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年9月19日
この記事は一般的な医学情報をまとめたものです。個別の診断・治療方針は診察のうえでご説明します。

出典

厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(PDF)
厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響」
食品安全委員会「ファクトシート 食品中のカフェイン」(PDF)
国立成育医療研究センター「プレコン・チェックシート」

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