一般不妊治療は
どこまで保険で受けられますか?
タイミング法や人工授精が対象で、年齢や回数の決まりはありません。
令和4年度の診療報酬改定で「一般不妊治療管理料」(250点・3か月に1回)ができました。一般不妊治療に必要な管理や指導をしたときの点数です。人工授精も1,820点として新しく設けられました。
この2つには、生殖補助医療のような年齢の要件や回数の上限はありません。ただし、治療計画を作り、書面でご説明して、書面で同意をいただくことが条件です。
どのような方が人工授精の対象になるかは、人工授精と体外受精は何が違いますかで取り上げています。
生殖補助医療の
年齢の要件を教えてください
治療開始日に女性が43歳未満であることが要件です。
生殖補助医療管理料の算定要件には、対象となる患者について「当該患者又はそのパートナーのうち女性の年齢が当該生殖補助医療の開始日において43歳未満である場合に限る」と定められています。
43歳未満かどうかは、治療を始めた日の年齢で見ます。治療の途中で43歳になったときのことや、43歳を過ぎてからの進め方は、それまでの経過を見てお話しします。
回数の上限は
どのように数えますか?
数えるのは胚移植の回数で、上限は治療開始時の年齢で決まります。
胚移植術については「患者の治療開始日の年齢が40歳未満である場合は、患者1人につき6回に限り、40歳以上43歳未満である場合は、患者1人につき3回に限り算定する」と定められています。
| 初めての胚移植の治療計画を作成した日の年齢 | 上限 |
|---|---|
| 40歳未満 | 患者1人につき6回 |
| 40歳以上43歳未満 | 患者1人につき3回 |
上限を決めるときの「治療開始日の年齢」は、「当該患者及びそのパートナーについて初めての胚移植術に係る治療計画を作成した日における年齢」によると定められています。途中で年齢が上がっても、上限は最初に決まった回数のままです。
胚移植で妊娠・出産したあと、次のお子さんのために胚移植を受けるときは、そのときの治療開始日の年齢が40歳未満ならさらに6回、40歳以上43歳未満ならさらに3回まで算定できると定められています。この「出産」には、妊娠12週以降の死産も含まれます。
回数は採卵の回数ではなく胚移植の回数で数えます。他院で受けた回数も合わせて確かめることになっています。
保険の外になるのは
どのような場合ですか?
要件を満たさないときと、もともと保険の対象でない診療は自費になります。
生殖補助医療で43歳以上のときや、胚移植の回数の上限を超えたときは、全額自己負担になります。
同じ治療でも、要件を満たすかどうかで扱いが変わります。ご自身がどちらになるかは、診察のときにお尋ねください。
保険で受けるために
必要な手続きはありますか?
治療計画を作り、書面で同意をいただくことが決められています。
生殖補助医療管理料の算定要件では「治療計画を作成し、当該患者及びそのパートナーに文書を用いて説明の上交付し、文書による同意を得ること」とされています。治療計画は、採卵の準備から胚移植とその結果の確認までを含めて作ることになっています。
6か月に1回以上、治療内容について同意を確かめ、必要なら計画を見直すことも決められています。パートナーの方にも、ご説明の場に同席していただきます。
治療計画を作るときは、これまでの治療の経過を確かめます。とくに、胚移植を何回受けたかの合計が必要です。他院で治療を受けたことがあれば、その記録をお持ちください。
当院での費用は
どこで確認できますか?
治療ごとの目安を費用のページに載せています。
検査・一般不妊治療・生殖補助医療・自費診療それぞれの目安を、費用についてに載せています。受診の前にご覧ください。
高額療養費制度など、医療費の負担を軽くする公的な制度もあります。対象になる範囲や手続きは、ご加入の健康保険組合によって違います。そちらにもお問い合わせください。分からないことがあれば、受付でお尋ねください。
現金のほか、クレジットカード(VISA、Master Card、JCB、AMERICAN EXPRESS、Diners Club)でお支払いいただけます。カードは一括払いのみです。
よくある質問
事実婚でも保険は使えますか?
事実婚の方も対象とされています。重婚でないこと、同じ世帯であること、生まれたお子さんを認知する意向があることを、医療機関が確認します。
回数は採卵の回数で数えますか?
数えるのは胚移植の回数です。採卵を何回受けたかでは数えません。
他院で受けた回数も含まれますか?
含まれます。治療計画を作るときに、これまでの胚移植の回数の合計を確かめることになっています。
出産したあとは、また最初から数えられますか?
出産後に、次のお子さんのために受けるときは、そのときの年齢に応じてさらに6回または3回まで算定できると定められています。
2022年4月より前に受けた治療の回数は含まれますか?
令和4年4月1日より前に特定治療支援事業で受けた治療の回数は、保険の胚移植の回数には含みません(厚生労働省の事務連絡)。
保険と自費を同じ日に組み合わせられますか?
治療計画にもとづいて保険で受けている一連の治療の途中に、自費の検査や治療を組み合わせることは、先進医療などを除いて原則としてできません。日を分けても同じで、組み合わせると、その一連の治療が保険で受けられなくなります。当院の着床前診断(PGT)は自費診療なので、受けるかどうかを卵巣刺激を始める前に決めます。ご自身の治療で何が当てはまるかは、診察のときにお尋ねください。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年10月8日
この記事は一般的な医学情報をまとめたものです。個別の診断・治療方針は診察のうえでご説明します。
出典
厚生労働省 令和4年度診療報酬改定の概要 不妊II(各論)(PDF)
厚生労働省 不妊治療に関する支援について
厚生労働省 不妊治療に係る診療報酬上の取扱いについて(疑義解釈・PDF)
黒田恵司・竹田省・田中温 編『データから考える 不妊症・不育症治療 改訂第2版』メジカルビュー社(2022)
『産科と婦人科』93巻8号 特集「ガイドラインから学ぶ!生殖医療アップデート」診断と治療社(2026)