卵子の老化とは、年齢とともに
何が変わることですか
年齢とともに、卵子は数が減り、質も変わります。卵子は生まれたときが最も多く、37歳を過ぎると減り方が速くなるとされています。染色体の分配の誤りも起こりやすくなり、流産や赤ちゃんの染色体の異常の原因になります。学会の解説には、質の低下を防ぐ方法は「ないのが現状」とあります。そのため、年齢と卵子の状態を知り、将来の妊娠や治療について早めに話し合うことをすすめています。
卵子の数は、
年齢とともにどう変わりますか?
生まれたときが最も多く、その後は年齢とともに減り続けます。
日本生殖医学会によると、卵子(正確には卵母細胞)は女性が胎児のときにすでに作られていて、生まれた時点で約200万個あります。思春期までに30万個程度に減り、その後も年齢とともに減っていきます。生涯で排卵されるのは、そのうち400〜500個ほどです。
37歳を過ぎると卵子の数の減り方が速くなり、1,000個以下になると閉経します。
卵巣に残っている卵子の数の目安は、血液検査のAMHで推し量ることがあります。値の見方はAMH検査でわかること・わからないことで説明しています。
「卵子の質が下がる」とは、
何が起きることですか?
卵子の染色体に異常が起こりやすくなることが、いちばん大きな変化です。
日本生殖医学会の解説によると、年齢とともに卵子の質が下がると、受精しにくくなり、胚が育ちにくくなり、着床しにくくなります。染色体の異常による流産や、赤ちゃんの異常も起こりやすくなります。
体の細胞は46本の染色体を持っています。卵子は、排卵されるまでに2回の分裂(減数分裂)を経て、23本の染色体を持つようになります。年齢とともに、この分裂のときに「染色体分配エラー(不分離)」が起こりやすくなると考えられています。すると受精卵の染色体の数に異常が起き、流産や、ダウン症などの赤ちゃんの染色体の異常の原因になります。原因の一つは、分裂を制御するタンパク質(コヒーシンなど)の劣化と考えられています。
同学会は、染色体のほかにも、質の低下にかかわる要因を挙げています。
- ミトコンドリアの働きが落ちて卵子のエネルギーが減り、胚の発生が不完全になることがある
- DNAの傷を修復する力に異常が出ることがある
- 卵子を囲む卵巣の細胞(顆粒膜細胞や卵丘細胞)の働きが落ち、卵子の発育やホルモンへの反応が損なわれることがある
同学会の解説には、卵子の老化によって染色体の不分離が起こることが知られている、とも書かれています。
年齢によって、
妊娠のしやすさはどう変わりますか?
女性は30歳を過ぎると妊娠する力が下がり始め、35歳を過ぎると下がり方が速くなるとされています。
日本産科婦人科学会は、年齢とともに妊孕性(妊娠する力)が下がる主な原因として、卵巣で卵子の数と質が落ちること、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が増えることを挙げています。日本生殖医学会も、35歳を超えると、自然妊娠でも体外受精でも結果が得られにくくなると述べています。
年齢による変化の中心が卵子の質にあることは、海外のデータからも分かっています。日本生殖医学会の解説によると、若い女性から提供された卵子を使う体外受精では、受ける女性の年齢が上がっても、自分の卵子を使ったときのような下がり方は見られなかったというデータがあります。
流産とも関係があります。日本産科婦人科学会によると、赤ちゃんの染色体の異常はお母さんの年齢と関係し、40歳代で流産が多くなるのは、胚の染色体の異常が増えるためです。
年齢の影響は男性にもあります。日本産科婦人科学会の説明では、加齢による妊孕性の低下は男性にも起こり、女性よりゆっくりではあるものの、35歳を過ぎると精子の質が徐々に低下するといわれています。
卵子の質は、
検査で分かりますか?
AMHは卵子の数の目安で、卵子の質を推し量ることはできません。
日本産科婦人科学会のページには、AMHについて「卵巣に残っている卵子の数を反映するといわれていますが、卵子の質を推測することはできません」と書かれています。AMHの値が高くても、年齢による質の変化がないわけではありません。
日本生殖医学会によると、治療の進め方は、女性の年齢や卵巣予備能、男性の精液所見などを参考にしながら決めます。実際の診察でも、年齢に加えて、超音波検査やホルモン検査、卵管の検査、パートナーの精液検査の結果もあわせて、進め方を考えます。当院で受けられる検査は不妊検査のページに載せています。
卵子の老化は防げますか?
何ができますか?
学会の解説には「卵子の質の低下を防ぐ方法はないのが現状」とあります。だからこそ、早めに計画を立てることをすすめています。
日本生殖医学会は、年齢と卵子の状態を正しく理解し、カップルで将来の妊娠や治療計画について、早いうちから話し合うことを勧めています。
治療の進め方にも、年齢が関わります。日本産科婦人科学会の説明では、一般的な不妊治療はタイミング法から段階を進めていくものの、女性の年齢が高いときはそのペースが早まります。年齢が上がると男女ともに妊娠しづらくなるので、すぐに治療を始めたほうがよいこともあります。日本生殖医学会も、段階を順に進めるだけでなく、早めに体外受精などの生殖補助医療を勧めることを、選択肢の一つに挙げています。
受診を考える期間の目安は不妊治療は、いつから始めればよいですかに書いています。当院は、何歳の方でも受診していただけます。
若いうちに卵子を凍結しておくと、
どうなりますか?
採卵した時点の卵子を保存しておく方法です。将来の妊娠を保証するものではありません。
日本生殖医学会の解説によると、卵子凍結の技術が進み、若いうちに卵子を保存して将来に備える「社会的卵子凍結」が広がりを見せています。保存した卵子は、本人の年齢が上がってからも使えます。
当院でも卵子凍結を行っています。将来の選択肢を残しておくための方法です。凍結したあとのことも、あわせてご相談ください。受けられる年齢や方法、費用とリスクは卵子凍結のページに書いています。
よくある質問
卵子の質を上げる方法はありますか?
日本生殖医学会は、卵子の質の低下を防ぐ方法は今のところないとしています。
AMHが高ければ、卵子の質もよいのですか?
AMHは卵子の数を反映するといわれていますが、卵子の質を推測することはできないとされています。
男性の年齢も関係しますか?
男性でも加齢による妊孕性の低下が起こり、35歳を過ぎると精子の質が徐々に低下するといわれています。
年齢が上がると、流産も増えますか?
赤ちゃんの染色体の異常はお母さんの年齢と関係し、40歳代で流産が多いのは胚の染色体の異常が増えるためと説明されています。
何歳まで相談できますか?
受診に年齢の制限はありません。保険が使える治療には年齢の要件がありますので、費用のページをご覧ください。
卵子を凍結しておけば、将来妊娠できますか?
卵子凍結は、将来の妊娠を保証するものではありません。方法・費用・リスクは卵子凍結のページに載せています。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年9月19日
この記事は一般的な医学情報をまとめたものです。個別の診断・治療方針は診察のうえでご説明します。
出典
一般社団法人 日本生殖医学会「生殖医療Q&A:Q24.加齢に伴う卵子の質の低下はどのような影響があるのですか?」
一般社団法人 日本生殖医学会「生殖医療Q&A:Q8.不妊症の治療にはどんな方法があり、どのように行うのですか?」
公益社団法人 日本産科婦人科学会「不妊症」
公益社団法人 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」