基礎体温の測り方と、
グラフから分かること
基礎体温は、朝、目が覚めたら起き上がらずに、専用の婦人体温計を舌の下に入れて測ります。わきの下で測った体温は参考になりません。排卵のあとは体温が0.3〜0.5℃上がるので、低温期から高温期に移っていれば、排卵があったと考えられます。ただ、分かるのは「このころに排卵があったらしい」と、あとから振り返ることだけです。気になる形が続くときは、検査で確かめます。
基礎体温とは、
どのような体温ですか?
寝ているあいだの、体を動かしていないときの体温です。
体を動かしていない、安静なときの体温という意味です(厚生労働省事業「ヘルスケアラボ」)。寝ているあいだの体温なので、朝起きてすぐ、動き出す前に測ります。
女性の体は、排卵の前と後で状態が大きく変わります。毎朝同じように測って記録していくと、その変化が体温のグラフとして見えてきます。毎日きっちり測れなくても大丈夫です。
当院の初診の持ち物では、基礎体温表を「つけている方のみ」にしています。つけていなくても受診いただけます。
どのように
測ればよいですか?
目が覚めたら起き上がらずに、婦人体温計を舌の下に入れて測ります。
枕元に婦人体温計を置いて眠ります。基礎体温は小数点以下の小さな変化を見るので、専用の婦人体温計を使います。
起き上がる前に測ります。起きる時刻がまちまちな方は、起きてすぐに測って、その時刻もメモしておいてください。
体温計の先を舌の裏側のつけ根に当て、舌で押さえて口を閉じます。測っているあいだは、口で息をしないようにします。
測った値を基礎体温表やアプリに書き留めます。
ふだんのように、わきの下で測る体温は参考になりません。婦人体温計には、短い時間で約5分後の値を予測する「予測式」と、実際に約5分測る「実測式」があります。ヘルスケアラボは、実測式のほうが正確としています。使い続けやすいものを選んでください。
何を、どのくらい
記録すればよいですか?
体温に加えて月経や体調も書き留め、少なくとも2〜3周期分を見ます。
ヘルスケアラボは、体温とあわせて、月経、体調不良、性交日なども書いておくことを勧めています。書き留めておくと、何が体温や体調に影響しているかが自分でも見えてきます。紙の表でも、スマートフォンやパソコンのアプリでもかまいません。
1か月(1周期)だけでは、いつもの体の状態は分かりません。自分の体を知るには、2〜3周期は見てみてください。体調を崩した日の値も混じります。1日ごとの数字ではなく、数周期の流れで見てください。
記録をつけていたら、受診のときにお持ちください。記録があれば、診察の参考にしています。
グラフからは
何が分かりますか?
低温期から高温期へ移っていれば、排卵があったと考えられます。
ヘルスケアラボによると、排卵のあとは黄体ホルモン(プロゲステロン)が出るのにあわせて、体温が0.3〜0.5℃ほど上がります。測り続けていると、この低温期から高温期への移り変わりで、排卵が起こったことが分かるようになります。グラフが低い時期と高い時期の二つに分かれる形を「二相性(にそうせい)」と呼びます。
日本生殖医学会の説明では、月経周期が25〜38日で、基礎体温が二相性であれば、排卵が起こっていると考えられます。日本産科婦人科学会のページにも、ご自身で基礎体温をつけてみると、排卵しているかどうかのおおよその見当が付くと書かれています。
28日周期なら、次のような流れが目安です。
- 月経が始まると低温期に入り、排卵まではおよそ2週間続きます(個人差があります)
- 高温期に変わったころに、排卵があったと考えられます
- 高温期は12〜14日ほど続き、そのあと体温が下がって月経になります
- 高温期が16日以上続く場合は、妊娠の可能性があります
日数は目安で、周期の長さには個人差があります。排卵の時期は、超音波検査などで見ています。
気をつけたい
グラフの形はありますか?
低温期が続く、高温期が短い、低温期が短いといった形は、受診を考えるきっかけになります。
月経から次の月経まで、体温がほぼ横ばいで低いままのときは、排卵がない(無排卵)疑いがあります。
高温期が短い形や、途中で一時的に下がる「M字」の形では、黄体ホルモンの分泌がよくない黄体機能不全を疑います。
排卵までがとても短くなる形です。年齢が高くなると出てくることがあり、若い方では早発卵巣不全の疑いがあります。
どれもヘルスケアラボが挙げている形です。あくまで「疑い」で、グラフの形だけで病気が決まるわけではありません。二相に分かれない周期が1回あっただけで、不妊と決まるものでもありません。同じ形が続くときは、ホルモンの検査や超音波検査で排卵や卵巣の状態を確かめられます。
月経周期そのものが乱れているときも、受診の目安になります。ふつう25〜38日(変動は6日以内)でくる月経が3か月こないときは、医療機関を受診してください(ヘルスケアラボ)。
基礎体温だけでは
分からないことは何ですか?
これから排卵する日は、体温では前もって分かりません。排卵以外の原因も、体温からは分かりません。
体温が上がるのは排卵のあとです。ですから基礎体温で分かるのは、高温期に入ってから振り返って「このころに排卵があったらしい」ということだけです。これから排卵する日を言い当てるものではありません。
不妊症の原因は排卵だけではありません。日本産科婦人科学会は、卵管・子宮頸管・子宮の異常や、男性側の原因も挙げています。卵管の通り具合や子宮の中の状態、精子の状態は、体温からは分かりません。それぞれ別の検査で調べます。
当院のタイミング法では、超音波検査で卵胞の育ち方を見ながら、排卵しそうな時期をお知らせしています。
ホルモン検査、超音波検査、卵管の検査、精液検査などで調べます。検査によっては、月経周期のなかで受ける時期が決まっています。
検査の種類は不妊検査に、排卵しそうな時期を見てタイミングをお知らせする治療はタイミング法にまとめています。受診の時期に迷うときは不妊治療は、いつから始めればよいですかも参考にしてください。
よくある質問
基礎体温をつけていないと受診できませんか?
つけていなくても受診いただけます。記録があれば診察の参考にしますので、お持ちください。
毎朝同じ時刻に測れません。
起きる時刻がまちまちなら、起きてすぐ、起き上がる前に測って、その時刻をメモしておいてください。
わきの下で測ってもよいですか?
わきの下の体温は参考になりません。専用の婦人体温計を、舌の下に入れて測ってください。
何周期分つければよいですか?
1周期だけではいつもの状態が分からないので、2〜3周期は見てみてください。
グラフがきれいに二相に分かれません。
1周期だけでは決めつけません。低温期が続くといった形が何周期も続くときは、検査で排卵や卵巣の状態を確かめられますので、ご相談ください。
高温期が16日以上続いています。
妊娠の可能性があります。妊娠の判定は、妊娠検査薬と採血、超音波検査で行っています。
監修・更新
監修:城南レディースクリニック品川 院長 岩﨑 信爾(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医/日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)
最終更新:2026年9月19日
この記事は一般的な医学情報をまとめたものです。個別の診断・治療方針は診察のうえでご説明します。
出典
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省事業)「基礎体温」
一般社団法人 日本生殖医学会「生殖医療Q&A:Q4.不妊症の原因にはどういうものがありますか?」
公益社団法人 日本産科婦人科学会「不妊症」