子宮頸がんの検査方法はどんな種類があるの?検査方法によっては痛いの?と不安な方もいることでしょう。
子宮頸がんの検査方法は、種類も多く自分にあった検査方法が分からないですよね。
本記事では、9つの子宮頸がんの検査方法や、検査の痛みや費用について解説します。
子宮頸がん検査方法を全て把握したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
子宮頸がんの検査方法は9種類
子宮頸がんの検査は大きく分けると、子宮がん検診による検査と検診で要精密検査となった場合に行う検査に分けられます。
日本ではがん検診推進事業として、各市区町村が2年に1回の検診の補助があります。
通常は子宮がん検診の検査を行ったのちに必要な場合は保険診療で精密検査を行います。
ここでは各検査の方法について詳しく説明します。
子宮がん検診で行う検査
① 内診・視診・直腸診
② 細胞診
③ HPV検査
④ 経腟超音波(経腟エコー)
要精密検査となった場合に行う検査
⑤ コルポスコープ・組織診
⑥ MRI・CT検査
⑦ PET検査
⑧ 内視鏡検査
⑨ 腫瘍マーカー検査
①内診・視診・直腸診
視診は膣鏡(クスコ)という道具を膣の中に入れて、子宮頸部に形状の異常がないかを確認します。
内診は双合診といい、膣壁と、お腹側から子宮を挟み込むようにして診察します。
子宮(頸部、体部)や、卵巣の位置、硬さ、可動性、圧痛があるかないか、腫瘤がないかを直接手を使って診察します。
膀胱に尿が溜まっていると検査しにくいため、検査の前には排尿しておきましょう。
性交渉がまだの場合などは、直腸診に変更したりします。
②細胞診
子宮頸部の細胞診の検体採取の方法には擦過法が用いられる。
子宮頸部、頸管内を綿棒や、スワブというヘラのようなものでこすって細胞を採取します。
採取した細胞は特殊な染色(papanicolau染色)を行って、細胞に異常な所見がないかを確認します。採取した細胞はクラス分類で分類します。
③HPV検査
細胞診で採取した細胞で検査できます。
細胞がHPVに感染しているかどうかを検査します。
は子宮頸がんの多くはハイリスク型のHPVに感染することで生じるので、HPV検査でハイリスクのHPVに感染しているかどうかを把握しておくことで、将来の子宮頸がんのリスクをあらかじめ知ることができます。
進んでいる自治体では子宮がん検診とHPV検査をセットで補助が出る場合もありますが、現在のところそこまで多くありません。
④経腟超音波(経腟エコー)
子宮の状態や、卵巣の状態、ダグラス窩の状態をエコーで見ます。
子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症など女性がかかりやすい多くの病気をエコーで見つけることができます。
経腹エコーでは子宮や、卵巣の状況を確認しずらいため、婦人科検査では多くが経膣エコーで行われます。
経膣エコーは内診台で行わなければならないため、せっかく子宮がん検診で細胞診を行うのですから、その際に合わせて見てしまう方が、改めてドックや、診察を行わなくて良いため、時間・費用対効果が圧倒的に良いです。当院では子宮がん検診の際にエコー検査を併用することをお勧めしています。
ここまでが通常の子宮がん検診でも行われる検査方法の説明になります。以下は主に精密検査が必要になった方が行う検査です。女性ドックとしてMRIやCT検査、尿検査、血液検査を行うこともあります。各検査の詳細を見ていきましょう。
⑤組織診(コルポスコープ)
細胞診で異常が見られる場合に行う検査です。
膣拡大鏡という特殊な顕微鏡のようなもので子宮膣部を確認します。異常な所見がありそうな場所を特殊な溶液(酢酸)をかけることで見やすくした上で、一部組織を採取します。
少し組織を採取する際に出血することもありますが、自然と止血されることがほとんどです。採取した組織はCIN分類で分類します。
⑥MRI・CT検査
病変の広がりが骨盤内や、リンパ節にないかどうかを見る検査です。
原則として初期の子宮頸がん、子宮頸がんの疑いの状態では行わないことが多いです。
病変の広がりの評価や、治療法の選択に有用な検査になります。
病期がIb期以上(細胞診で浸潤がんが検出されたもの)、細胞診と組織診の検査結果があまり合致しない場合に行うことが多いです。
⑦PET検査
特殊なブドウ糖液を注射し、がん細胞に取り込まれるブドウ糖の分布を撮影して、がんの広がりを調べる検査です。エコー、CT、MRI検査で診断が確定しなかった場合に、リンパ節、子宮以外の臓器への転移の有無、がんの再発の有無、治療の効果を調べるために使われることがあります。
⑧内視鏡検査
子宮頸がんが周囲に広がっている場合に行われる検査です。
子宮の上側には膀胱があって、下側には直腸があります。これらの臓器にがんが進展していないかをMRIやCTなどで見たのちに行います。
膀胱鏡は膀胱への浸潤を見る検査ですし、直腸鏡は直腸への浸潤を見る検査です。直腸鏡は一般的な下部内視鏡を思いうかべてもらえればわかると思います。
⑨腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカーという血液中に現れる物質を検査します。
子宮頸がんの場合に上昇する代表的なマーカーはSCC抗原、子宮体癌の場合に上昇する代表的なマーカーはCEA、CA125、CA19-9と言われるようなマーカーです。
近年ではこれらのマーカーが上がる前にRNAという物質が早くから上昇していることがわかっています。腫瘍マーカーが上がっている状態ではそれなりに進行がんになっていることが多いので、早期発見にはRNAを検査した方が良いのです。
当院ではcraif株式会社という信頼できる検査会社の先進的な検査、マイシグナルスキャン(マイシグナルナビ)を取り入れています。
興味がある方は当院LINEなどからお気軽にお問い合わせください。
近年、採血や尿検査で早期にがんをスクリーニングする検査が多く出ており、どの検査が良いのか?が一つポイントになっています。検査の精度や値段、わかる疾患などそれぞれ良い点、悪い点が必ずありますので、まずは専門医に相談して検査方法を一緒に選んでみるのがお勧めですよ。当院ではレディースドックなども行っており、どの検査がいいのかわからないというニーズにもお答えしております。
子宮頸がん検査の流れ
子宮頸がん検診の流れは以下のような流れになっています。通常の検査、検診、診察の流れと変わりはありません。
しかし、補助券(市区町村、健康保険組合)がある場合、ない場合(自費での診療)によって予約の方法も変わってくることもあります。
①検査の予約をする
②問診を受ける
③検診を受ける
④検査結果を受け取る
詳細はこちらのコラム「子宮頸がん検診にひっかかる確率は?検査内容/結果/精密検査について解説」でも説明しているので気になる方は是非ご覧ください。
子宮頸がん検査の費用
【自費の場合】5,000円~10,000円前後が一般的
【費用負担のある場合(市区町村のクーポン、健康保険組合からの補助)】無料~1,000円前後
が一般的な費用になります。
通常の方の2年に1回の検診はかなり安く受診できますので必ず受診しましょう。
より詳しく知りたい方は、当院のコラム「子宮頸がん検診の費用はいくら?検診を受けられる場所や保険適用などについても解説」をご覧ください。
子宮頸がん検査にひっかかる確率と原因
子宮がん検診の要精検率は2022年時点で2.2%と言われています。
この中で本当に癌の人はさらに100人に1人となっています。子宮頸がん検査の癌発見率自体は0.02%となります。かなり低い数字に見えますが、年間1万人以上が子宮頸がんと診断され、子宮頸がんが理由でお亡くなりになる方は3000人程度いるような病気です。
より詳しく知りたい方は、「子宮頸がん検診にひっかかる確率は?検査内容/結果/精密検査について解説」をご覧ください。
子宮頸がん検診で陽性になっても3割近くの方は精密検査を受診せずに放置してしまいます。
中には病期が進行してしまう方もいます。子宮頸がんは早期発見でかなり簡単な処置で終わらせられるがんの一つです。必ず定期検診を受診して、もしも以上が見つかった場合は早めに病院を受診しましょう。
子宮頸がん検診に関するよくある質問
子宮頸がん検査は痛い?
子宮がん検診で行う検査自体は多くの方が痛くないと感じます。違和感は少なからずあります。
組織診(コルポスコピー)になると少し痛かったり、出血したりする場合があります。いずれも麻酔などは不要で我慢できるくらいですよ。
子宮頸がん検査は性行為未経験でも必要?
子宮頸がん検査は性行為未経験でも必要です。
それでも、子宮頸がんは性交渉によるHPV感染が主な原因のため、性行為未経験であれば発症する可能性はかなり低いといえます。HPVの感染以外にも、喫煙などそのほかの要因による子宮頸がんの発症リスクも少なからずあるため、「性行為未経験なら子宮頸がんにはならない」とは言い切れません。
万が一のことを考えて、性行為未経験の方でも検査を受けた方がよいでしょう。
何年おきに検査すればいいの?
基本的には市区町村からの補助が出る2年に1回の検診で問題ありません。
2年に1回と1年に1回で子宮頸がんの死亡率に変化はなかったこともわかっています。ただしこれはあくまでも死亡率ですので、中には心配だから1年に1回自費で受診する方もいます。HPV検査などを組み合わせて、2年に1回しっかり検査するのが効率良い受診の仕方でもあるので、まずは主治医の先生に相談しましょう。
妊娠中でも検査できるの?
妊娠中でも子宮頸がん検査は問題なく受けられます。
ただし、がんが進行している場合は子宮の摘出や子宮への放射線照射を行うため、出産が困難になってしまいます。
中には全く検診を受けずに、妊娠時に色々検査してがんが見つかる方もいます。
前がん病変(がんの手前)の状態までであれば、子宮の一部を切除するだけで治療できるので妊娠中でも問題はないですが、必ず2年に1回は受診するようにしましょう。
まとめ:子宮頸がんの検査方法を把握して状況に合った検査を受けましょう
□ 子宮頸がんに関する検査は子宮がん検診で行う検査と、その先に行う検査で分けられる
□ 子宮がん検診では、問診・視診・内診・(エコー検査)・(HPV検査)を行う
□ 2年に1回は市区町村の補助が出て1000円未満で受診できる
検査前は誰しもが不安な気持ちがあると思います。子宮頸がんの検査は多くが痛くはない検査なので、その点でもそこまで気をわず受診してください。レディースクリニックなみなみでは患者さんが落ち着いて検査できるよう、女性スタッフが優しく声掛けしながら行うように心がけていますよ。