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子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)検診のやり方は?検査方法/内容/流れを解説

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当院のコラムは全て医師が監修しております。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

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子宮がん検診のやり方はどんなもの?と気になりますよね。

子宮がん検診でどのようなことを調べるのか、痛みはあるのかといったことが気になって、検診を受けることに不安感を覚える方も多いものです。
本記事では、子宮がん検診のやり方・方法を子宮がんの種類ごとに解説します。
さらに、検診の費用や子宮頸がんの予防法についても詳しく説明します。

子宮がん検診の方法について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

子宮がん検診で調べる子宮頸がんと子宮体がんの違い

子宮がんは子宮頸部(子宮の入り口)にできる子宮頸がんと、子宮体部(子宮の本体)にできる子宮体がんに分けられます。それぞれ原因が異なり、検査方法もすこしだけ変わってきます。


・子宮頸(けい)がん
・子宮体(たい)がん

子宮頸(けい)がん

一般的に子宮がん検診で取り扱っているのはこちらのがんです。HPV(ヒトパピローマウイルス)が原因となって発症すると言われています。ワクチンで予防効果があることがわかっいます。早期発見で治療もできるがんのため検診の重要性が高いです。

子宮体(たい)がん

子宮体がんは50歳後半から増えてくるがんになります。そのため、全年齢に子宮体がんの検査は行いません。一般的な子宮がん検診に年齢やリスクを考慮して、検査を追加する場合が多いです。

日本ではがん対策推進事業の一環で20歳以上の女性には子宮がん検診が推奨され、市区町村からの助成(クーポンなどの補助)が使用できます。すべての女性が子宮頸がんのリスクは有ると考えてしっかり検診を受ける必要があります。

子宮頸がん:HPV感染が原因といわれています

子宮頸がんはその名前の通り、子宮の頸部、つまり子宮の入り口にできるがんのことをいいます。厳密には子宮の下部1/3、膣と子宮体部の間の部分の構造を指します。この部分は上皮細胞という細胞によって構成されていて、細胞が何層にも重なって子宮頸部を作っています。これらの細胞にHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが感染することで細胞に異常が生じます。感染は自然と治癒することが多いのですが、感染した状態が継続することで細胞が「がん化」して、子宮頸がんの状態になってしまいます。がん化を起こすHPVはハイリスク型のHPVで、16型、18型、31型、52型、58型などに継続感染することで子宮がんのリスクが大きくなることがわかっています。感染してからがん化するまでは5年程度かかるとも言われており、子宮頸がんはHPVに感染しているのかどうかを把握することでがんの予防もある程度は可能で、疑わしい部分には処置を行うことでがんを予防することもできます。
継続的ながん検診がかなり重要なのはこのためです。
HPVは性交渉によって誰もが感染すると言われているため、性交渉をするようになる年齢から子宮頸がんのリスクは上がってきます。

子宮体がん:女性ホルモン(エストロゲン)が原因といわれています

子宮体部は皆さんが思い浮かべる子宮の袋のようになっている部分、赤ちゃんが入っている袋の部分の上部2/3の事をいいます。子宮本体のことですね。
子宮頸がんとは違って、子宮体部は筋層と言って、筋肉のような組織構造がメインになっています。
子宮内膜は女性ホルモンの影響をかなり強く受けています。エストロゲンは子宮内膜を増殖させて、プロゲステロンが増殖した内膜を剥がす効果があって、月経が起こります。
閉経期の女性などは、プロゲステロンの分泌が少なくなるためエストロゲンのみが優位になることで子宮内膜が増殖したままになってしまいます。その状態が継続すると異常な細胞ががん化し、子宮体がんの状態になってしまうのです。
また、エストロゲンは脂肪細胞からも分泌されるため、肥満、糖尿病などの方は子宮体がんのリスクが上がってしまいます。
そのため子宮体がんは子宮頸がんと異なって50歳後半から増加してくるのです。しk

頸がんはHPVが関係するから年齢が低め、体がんはエストロゲンが関与するので年齢が高めで起こりやすいということです。
それぞれ原因は異なりますが、2年に1回の「子宮がん」検診を受けていれば、そこまで手遅れになる前に様々な対処ができます。検診は誰もが億劫になるものですが、2年に1回は検診を受診しましょう。

子宮がん検診のやり方①:子宮頸がんの検査方法

子宮頸がんの検査方法は

・問診
・視診
・内診
・細胞診
・HPV検査

が一般的です。細胞診までは多くの市区町村の検診で行われています。進んでいる自治体ではHPV検査、超音波検査を行うところもあります。それではそれぞれどんなことを行うのか見ていきましょう。

問診

子宮頸がんの問診では現在の生理の状況、閉経しているのかいないのか、妊娠出産したことはあるか、性交渉したことがあるかなどが簡単に聞かれます。自治体によって形式が少し異なりますが、多くがこのような内容です。目黒区の問診票では、以下のように子宮体がんの検査を希望するか、風疹の抗体価検査も同時に検査するかが聞かれます。
自身で事前に問診票を印刷して記入しておくと非常にスムーズですが、多くのクリニックでは問診票が準備されていますので忘れても問題ないですよ。

視診

視診は文字の通り、実際に子宮頸部の状態を医師が見て確認することをいいます。
子宮頸部はそのままでは見づらいため、クスコ(腟鏡)という医療器具を膣に入れて子宮頸部を観察します。この際ベッドでは行いづらいので内診台という両足が開きやすい台に乗って観察をします。産婦人科が初めての人は内診台に乗ることに抵抗があるかもしれません。
子宮頸部に形状の異常がないか、色調が変わっていないかなどを確認して子宮頸がんかどうかの判断に用います。
性交渉がまだのかたはクスコを入れないで、超音波検査だけを行う場合もあります。

内診

内診は膣から子宮を触ることで子宮の形、大きさ、位置、表面の状態などを確認します。また、この際におなか側(外側)からも子宮を挟み込むように触ることで子宮の形や大きさ、可動性などを観察します。子宮の大きさや可動性を見ることで子宮頸がんだけではなく、子宮体がんの可能性や、骨盤内の炎症性疾患などの可能性(炎症があると子宮の可動性が悪くなったりします)などいろいろな病気が隠れていないかを確認しています。

細胞診

子宮がん検診、特に子宮頸がんの検査としてはこの検査が大切になります。視診と内診に連続して子宮頸部から細胞を少し採取します。綿棒のようなもので子宮頸部を擦ると細胞が取れるのでその細胞を検査に提出します。前述の視診、内診の際に怪しいかなと医師が思った場合にはその部分から中心に細胞を採取します。
細胞を採取するというと痛そうな印象がありますがそこまで痛みは感じない方が多いです。違和感があると多くの方が言います。
この際に少し出血することもありますが必ず一時的なものですのでそこまで心配しなくても大丈夫です。

HPV検査

採取した細胞がハイリスクなHPVに感染しているのかどうかを別途検査する方法です。欧米では検診と同時に当たり前に行われています。
別の検査に聞こえますが、上述の細胞診で採取した細胞を別の検査にかけるだけです。ですので更に精密な検査を追加で行えるので通常は行ったほうが良いです。日本では多くの市区町村で追加の検査になってしまうので別料金がかかってきます。
細胞診で何かしらの異常があった場合にはこのHPV検査を追加ですることになりますし、異常がない場合でもHPV検査次第ではフォローの仕方を少し変える(検査回数を増やす)ほうが良い場合もありますので患者さんのメリットを考えて当院ではHPV検査を推奨しています。

超音波検査

子宮頚部、体部は視診・触診・細胞診だけではあまりわからない疾患も多くあります。子宮内膜症や小さめの子宮筋腫、卵巣嚢腫などです。これらは比較的症状が重くなったり、病気が大きくなったりして初めて産婦人科を受診することが多いです。エコーをおこなっていれば早めに気づくこともできます。
当院では普段あまり産婦人科に通う機会がない、特に若かったりいそがしかったりする方にはせっかくの検診の機会を利用して超音波検査まで行ってしまうことをおすすめしています。
婦人科ドックという形で受診すると高額になることも多いですが、検診の際にオプション追加のような形で受けてもらうと比較的お値段も抑えられて、時間も無駄にならないですよ。

単なる子宮がん検診は主に子宮頸がん、子宮体がんのスクリーニングのために行われることが多いです。時間、コストのパフォーマンスを考えると検診の際にHPVは検査、エコー検査を追加したほうがリーズナブルです。レディースクリニックなみなみでは女性を応援するために本当に何が一番大切なのかを考えて、検査を提案しています。

子宮がん検診のやり方②:子宮体がんの検査方法

子宮体がんの検査方法も大きく変わりはありません。
頸がん検診に連続する形で、体がんリスクのある方には検査を追加します。
子宮頸部からブラシのようなもの(エンドサーチ)を子宮内に挿入して子宮頸部と同じように細胞を採取します。触診などで明らかに子宮体部の一部に以上が認められるなどの場合は細胞の採取だけではなく、内視鏡のようなもの(エンドサイト)で組織を採取することもありますが、子宮がん検診でここまで行うことは通常ありません。
子宮体がんの検査は子宮頸部から更に奥に器具をいれるため、少し違和感や痛みが強くなることがあります。

子宮がん検診の料金


【自費の場合】5,000円~10,000円前後が一般的
【費用負担のある場合(市区町村のクーポン、健康保険組合からの補助)】無料~1,000円前後

が一般的な費用になります。
通常の方の2年に1回の検診はかなり安く受診できますので必ず受診しましょう。
より詳しく知りたい方は、当院のコラム「子宮頸がん検診の費用はいくら?検診を受けられる場所や保険適用などについても解説」をご覧ください。

目黒区の子宮がん検診について

レディースクリニックなみなみでは目黒区のがん検診も行っています。
目黒区に住所を有する年齢20歳以上(4月1日から3月31日までの年度内に20歳以上)で、前年度にこの検診を受診していない女性(受診間隔は2年に1度です。)のうち、職場等で受診する機会のないかたを対象に無料で検診を行っています。また、年齢45歳以上のかたで、頸部がん検診の問診の結果、医師が必要と認めたかたのみ子宮体がんの検査も追加します。
こちらのページも御覧ください。

子宮頸がんの予防にはHPVワクチンが有効です

子宮頸がんはHPVへの感染が主な原因とされているため、HPVワクチンの接種により予防効果が期待できます。
日本では小学校6年~高校1年相当の女性が定期予防接種の対象となっています。HPVワクチンでは一度感染したHPVを排除することはできないので、あくまで予防的な投与になります。また、ワクチン接種で必ずしもHPV感染を予防できるわけではない点には注意が必要です。そのため、性交渉が一度でもあれば定期的な子宮頸がん検診を行わなければなりません。
ワクチンの種類によって、対応するHPVのタイプが異なります。より詳しく知りたい方は、「子宮頸がん検診にひっかかる確率は?検査内容/結果/精密検査について解説」をご覧ください。

子宮頸がんはワクチンで予防できる数少ないがんの一つです。ワクチンの副作用もほとんどないので早めにワクチン接種を受けましょう。子宮体がんに関してはワクチンでの予防効果はありません。
いずれもワクチンと定期的な検診の組み合わせが非常に大切です。

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子宮がん検診に関するよくある質問

子宮がん検診で痛みはある?

子宮頸がん検診で行う検査自体(擦過細胞診)は多くの方が痛くないと感じます。違和感は少なからずあります。
子宮体がんの検査で子宮内にブラシなどをいれる際には少し痛く感じたり、違和感が強くなったりすることがあります。

子宮がん検査は性行為未経験でも必要?

子宮がん検査は性行為未経験でも必要です。
それでも、子宮頸がんは性交渉によるHPV感染が主な原因のため、性行為未経験であれば発症する可能性はかなり低いといえます。HPVの感染以外にも、喫煙などそのほかの要因による子宮頸がんの発症リスクも少なからずあるため、「性行為未経験なら子宮頸がんにはならない」とは言い切れません。
また、子宮体がんは説明の通り、性行為に関係なく発症するため、性行為未経験でも検査が必要です。

まとめ:子宮がん検診の基本は細胞診|定期的な検査をおすすめします

□ 子宮がん検診は子宮頸部を検査する子宮頸がん検診が一般的で、50歳付近の子宮体がんのリスクが上がってきた際には子宮体がんの検査を追加する場合がある

□ 子宮がん検診では、問診・視診・内診・細胞診・HPV検査を行う

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