子宮頸がん検診はどれくらいの頻度で受けるべきか疑問に思いますよね。
検査を短い期間に何度も受けないほうがいいといったことを聞くこともあれば、定期的な検診が必要という声もあり、適切な検診の間隔がわからないものです。本記事では子宮頸がん検診の適切な頻度や受け始める適切な時期を解説します。
子宮頸がん検診の費用や検査内容についても説明するので、検診を検討している際は参考にしてください。
子宮頸がん検診を受ける適切な頻度
子宮頸がん検診の適切な頻度は、原則として2年に1回です。この間隔は、がんの進行速度と早期発見の効果を考慮して設定されています。ただし、個人の状況によっては検診間隔を調整する必要があります。また、女性は子宮がある限り、年齢に関わらず継続して検診を受けることがとても重要です。検診を定期的に受けることで、子宮頸がんのリスクを大幅に低減できることは多くの研究により示されています。
2年間隔で受けることがおすすめ
子宮頸がん検診は日本国内では、2年に1回の頻度で受けることが推奨されています。これは、日本産科婦人科学会や厚生労働省のガイドラインに基づいた推奨です。
2年に1回の検査で良いとされている理由としては以下の5つが挙げられます。
・子宮頸がんの進行速度
子宮頸がんは比較的ゆっくりと進行するがんであり、2年間隔の検診で十分に早期発見が可能とされています。
・死亡率減少効果
2年間隔での定期的な検診受診により、子宮頸がんによる死亡率を大幅に低減できることが多くの研究で示されています。
・偽陽性のリスク軽減
毎年受けることでのデメリットとして、偽陽性が高くなる可能性があります。検診間隔を2年とすることで、毎年受診する場合に比べて偽陽性のリスクを軽減しつつ、効果的な早期発見が可能となります。
・費用対効果
年間隔での検診は、がんの早期発見と医療費の抑制のバランスを考慮した上で最適とされています。
・国際的な基準との整合性
国によって少しずつ子宮頸がんの発症確率や検診の有効率などは変わりますが、多くの国々で2~3年間隔の検診が推奨されており、2年間隔はこの国際的な基準とも整合しています。
これらの複数観点で考慮して考えた結果、一般的に2年に1回がバランスが良いと現時点ではされているのです(参考文献はこちら)。
レディースクリニックなみなみのある目黒区でも、20歳以上の女性を対象に2年に1回の無料クーポンを配布しており、区内の指定医療機関で検診を受けることができます。レディースクリニックなみなみも指定医療機関の一つです(目黒区の指定病院はこちらから)。
ただし、これはあくまで一般的な目安で、過去の検診で異常が見つかった方や、HPV(ヒトパピローマウイルス)検査で陽性だった方は、医師の指示に従って、1年ごとなどより頻繁に検診を受ける場合もあります。
子宮がある限り子宮がん検診は受けたほうがいい
子宮頸がん検診は、子宮がある限り継続して受けることが大切です。年齢や閉経の有無に関わらず、子宮がある方は定期的な検診を続けるべきです。
最近の研究では、65~69歳の女性も検査が有益であることが示されています。特に過去5年間に子宮頸がんの検査を受けていない女性では、前がん病変の発見率が高く、早期の介入が可能です(参考文献)。
目黒区の子宮頸がん検診受診率は28.5%と、東京都平均(約20%)よりも高いですがまだ改善の余地があります(参考ページ)。レディースクリニックなみなみでは、高齢の方にも配慮した検診環境を整えており、安心して検診を受けていただけます。
子宮全摘出手術を受けた方は、主治医と相談の上で検診の必要性を判断しましょう。多くの場合、子宮頸部を完全に摘出していれば、子宮頸がん検診は不要となりますが、個々の状況に応じて対応が異なる場合があります。
子宮頸がん検診はいつから受けるべき?
子宮頸がん検診は、原則として20歳から開始することが推奨されています。これは、子宮頸がんの発症年齢や若年層での増加傾向を考慮して設定されています。ただし、性交渉の経験がある場合は、10代でも検診を検討はすべきです。
20歳以降から検診を受けたほうがいい
日本の現行のガイドラインでは、子宮頸がん検診は20歳から始めることが推奨されています。これは、子宮頸がんの発症年齢を考慮して設定された年齢です。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html
20代以降で徐々に発症率が上昇していることがわかると思います。性交渉との関連性もある疾患のためこの年齢分布となっています。米国などではこれよりも低年齢化しています。
10代でも性交渉の経験がある場合は検診を受けたほうがいい?
10代では子宮頸がん発症率自体はかなり低いです。このことから現段階では10代への積極的な系がん検診の推奨は世界的にされていません。
10代で検診を受ける場合、上記のように、頸がんの状態にまでなることはまずないです。ただし、子宮頸がんの原因であるハイリスクHPVに感染している方は中にいます。通常の細胞診に加えてHPV検査を併用することで、より精度の高い検査が可能になります。ただし、HPV感染は一過性のものも多いため、結果の解釈には産婦人科専門医の判断が必要です。
子宮頸がん検診を受けるべき理由
早期発見・早期治療だと完治の可能性が高いから
子宮頸がんは早期に発見されれば、治療による完治の可能性が非常に高くなります。国立がん研究センターの統計によると、初期の段階(0期・I期)で発見された場合の5年生存率は90%以上です。定期的な検診により、前がん病変や早期のがんを発見することで、たとえ癌であったとしても、より簡単で負担の少ない治療が可能になります。
子宮頸がんの初期は自覚症状がない
子宮頸がんの初期段階では、ほとんど自覚症状がありません。症状が現れた時にはすでに進行している可能性が高く、治療が複雑で長期になる場合があります。そのため、症状がなくても定期的に検診を受けることが重要です。
子宮頸がん検診で産婦人科とのつながりを
子宮頸がん検診でせっかく内診台に上がる際にエコーなどの検査を追加(多くは有料です)することで、がん以外の婦人科系の異常も発見できる可能性があります。例えば、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫などの早期発見にもつながることがあります。これらの疾患も早期発見・早期治療が重要であり、継続的な検診は総合的な女性の健康管理に役立ちます。
子宮頸がん検診の費用
子宮頸がん検診の費用は、医療機関や検査内容によって異なります。目黒区では20歳以上の女性に2年に1回の無料クーポンを配布しており、指定医療機関で利用できます。
レディースクリニックなみなみでの自費での検診費用:
- 細胞診のみ:5,000円(税別)
- HPV検査併用:10,000円(税別)
子宮頸がん検診の検査内容
一般的な子宮頸がん検診の流れは以下の通りです:
- 問診:妊娠について、生理の周期や性交渉の有無、過去の検診歴などをお聞きします。
- 内診:膣鏡(クスコといいます)を使用して子宮頸部の状態を観察します。
- 細胞診:子宮頸部から細胞を採取し、顕微鏡で異常がないか調べます。
- HPV検査(オプション):HPVの感染の有無を調べます。
- エコー検査をついでに行い、卵巣などの状態もチェックします。
子宮頸がん検診の頻度に関するよくある質問
自費なら毎年受けてもいいの?
あくまで統計的な死亡率や発生率を下げるには2年に一度の検診で良いということですので、毎年受けていただいた方が良い例も少なからずあるのは事実です。2年に1回の検診に追加して少し余裕のある方は自費での検診を行うとより良いと言えるでしょう。
子宮頸がん検診にひっかかる確率は?
日本対がん協会の統計によると、子宮頸がん検診での要精密検査率(いわゆる「ひっかかる確率」)は約1.5%です。ただし、これは年齢や地域によって多少の変動があります。
「レディースクリニックなみなみの検診で引っかかる確率」に関してまとめた記事はこちら
子宮頸がん検診が必要ない人は?
基本的に、子宮がある女性は全員検診が必要です。ただし、以下の場合は検診の必要性が低くなる可能性があります:
- 子宮全摘出手術を受けた方(ただし、手術の理由や方法によっては継続的な検診が必要な場合もあります)
- 性交渉の経験が全くない方(ただし、将来的には検診が必要になります)
これらの場合でも、個別の状況によって判断が異なるため、医師との相談をおすすめします。
まとめ:子宮頸がん検診はまず、2年間隔で受ましょう!
子宮頸がん検診は、2年に1回の頻度で受けることが推奨されています。早期発見・早期治療の重要性、初期症状の認識困難さ、そして継続的な女性の健康管理の観点から、定期的な検診が非常に重要です。
レディースクリニックなみなみでは、最新の医療技術と患者様に寄り添った丁寧なケアを提供しています。皆様の健康な人生のパートナーとして、安心で質の高い検診サービスを提供してまいります。検診に関するご質問やご不安な点がございましたら、お気軽に当クリニックまでお問い合わせください。
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頸がん検診は普段産婦人科に通院しない健康な女性には億劫なものだと思います。ただ、せっかく検診で防げる癌の筆頭の一つであること、行政もかなり積極的にサポートしてくれているので利用しましょう。
逆に頸がん検診をきっかけに産婦人科が身近になるように我々も努力していこうと考えています。