レディースクリニック なみなみ

骨盤底筋を鍛えるグッズ・EMSは効く?種類と選び方

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骨盤底筋を鍛えるグッズについて調べる女性|東京・目黒のレディースクリニックなみなみ
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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「骨盤底筋を鍛えるショーツ」「座るだけのEMS」「履くだけで引き締まるスパッツ」——尿もれが気になり始めて検索すると、こうした商品がたくさん出てきます。病院に行くほどではない気がするし、まずは手軽なもので何とかしたい。そう考えるのは、とても自然なことだと思います。

この記事では、市販されている骨盤底筋関連のグッズやEMS機器について、それぞれが何を目的とした製品なのか、どこまでを期待できるのかを、産婦人科の視点から正直に整理します。特定の商品をおすすめしたり、逆に否定したりするための記事ではありません。「自分の症状に対して、それは合っている道具なのか」を判断する材料をお渡しすることが目的です。

目次
  1. 1 この記事でわかること
  2. 2 そもそも骨盤底筋は何をしている筋肉なのか
  3. 3 市販されているものの種類と、それぞれの目的
    1. 3.1 1. 家庭用EMS(スパッツ型・パッド型)
    2. 3.2 2. トレーニング用の腟内デバイス(コーン・バイオフィードバック機器)
    3. 3.3 3. 加圧ショーツ・骨盤ガードル
    4. 3.4 4. 骨盤ベルト
    5. 3.5 5. 吸水ショーツ・尿もれパッド
  4. 4 「鍛える」と「支える」は別物です
  5. 5 家庭用EMSと医療機関の磁気刺激は何が違うのか
    1. 5.1 電気刺激か、磁気刺激か
    2. 5.2 出力と、到達する深さ
    3. 5.3 医師が適応を判断するかどうか
  6. 6 尿もれのタイプによって、選ぶものが変わります
    1. 6.1 腹圧性尿失禁
    2. 6.2 切迫性尿失禁
    3. 6.3 混合性尿失禁
  7. 7 グッズを使う前に確認しておきたいこと
  8. 8 どんな道具を使うにしても、土台になるのは自分の骨盤底筋です
  9. 9 こんな症状があれば、一度受診をご検討ください
  10. 10 当院で行っている治療のご案内
    1. 10.1 自分でのトレーニングが続かない方へ ― 座るだけの骨盤底筋トレーニング
  11. 11 よくあるご質問
    1. 11.1 骨盤底筋を鍛えるガードルはありますか?
    2. 11.2 骨盤底筋に効くショーツはありますか?
    3. 11.3 骨盤底筋EMSスパッツの効果はどうですか?
    4. 11.4 座るだけでEMSを使って骨盤底筋を鍛える方法はありますか?
    5. 11.5 腟内に入れるトレーニンググッズは使っても大丈夫ですか?
    6. 11.6 グッズを続けても変化がない場合、どうすればよいですか?
  12. 12 まとめ
  13. 13 関連する診療メニュー

この記事でわかること

  • 骨盤底筋が担っている2つの役割(締める・緩める)
  • 市販されているグッズの種類と、それぞれが実際にしていること
  • 「鍛える」道具と「支える」道具はまったく別物だということ
  • 家庭用EMSと、医療機関で行う磁気刺激の違い
  • 尿もれのタイプによって、選ぶべきものが変わること
  • グッズを使い始める前に確認しておきたいこと
  • 受診を考えたほうがよい症状の目安

そもそも骨盤底筋は何をしている筋肉なのか

骨盤底筋は、骨盤の底でハンモックのように膀胱・子宮・腸を下から支えている筋肉の集まりです。外から見えず、自分で動かしている実感も持ちにくいため、「どこにあるか分からない」という方がほとんどです。

ここで押さえておきたいのは、骨盤底筋の役割は「必要なときに締める」と「必要なときに緩める」の両方だということです。くしゃみや咳、重い荷物を持ち上げた瞬間にとっさに締まることで尿もれを防ぎ、反対に排尿・排便のときにはしっかり緩むことで、無理なく出し切ることができます。

骨盤底筋がうまく緩まないと、排尿がスムーズにいかず、膀胱に尿が残りやすくなることが知られています。「締める」ことだけに注目してグッズを選ぶと、この「緩む」側の働きが視野から抜け落ちてしまうことがあります。グッズ選びを考えるときも、この2つの役割はセットで頭に置いておいてください。

骨盤底筋がゆるむ背景には、妊娠・出産、加齢や閉経に伴うホルモンの変化、慢性的な便秘や咳、体重の増加などがあります。詳しくは女性の尿漏れの原因や種類・治療方法で解説しています。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

診察室でよくお聞きするのが「ショーツを買ってみたのですが、これで合っていますか?」というご質問です。合っているかどうかは、商品の良し悪しではなく、その方の尿もれがどのタイプかで決まってきます。まずはそこを一緒に整理していきましょう。

市販されているものの種類と、それぞれの目的

ひとくちに「骨盤底筋のグッズ」といっても、目的も仕組みもかなり違うものが同じ棚に並んでいます。大きく分けると次の5つです。

1. 家庭用EMS(スパッツ型・パッド型)

EMSは Electrical Muscle Stimulation の略で、皮膚の上に当てた電極から微弱な電気を流し、筋肉を収縮させる仕組みです。腹部や太もも、お尻まわりに貼るパッド型と、下着のように履くスパッツ型があります。

ここで理解しておきたいのは、皮膚の上から流す電気は、皮膚・脂肪・筋膜といった組織を通っていく途中で減衰するという点です。そのため、体表に近い腹筋やお尻の筋肉には届きやすい一方で、骨盤の奥に位置する骨盤底筋そのものに同じ強さで到達するかどうかは、製品の設計や体格によって差が出るという指摘があります。

また、電気刺激は皮膚を通るときに刺激感(ピリピリする感覚)を伴うため、強度を上げようとすると先に皮膚が痛くなり、そこで上限がきてしまうという性質もあります。「体幹まわりの筋肉に働きかける運動補助の道具」として捉えると、位置づけが分かりやすいと思います。

2. トレーニング用の腟内デバイス(コーン・バイオフィードバック機器)

腟内に挿入し、締める動きをセンサーで検知してスマートフォンに表示したり、重りを落とさないように保持する練習をしたりするタイプです。「自分が正しく締められているかどうか」を可視化できる点が、この種の製品の本来の目的です。

骨盤底筋トレーニングの最大の難しさは「動いている実感がない」ことなので、フィードバックがあること自体には意味があります。一方で、清潔管理が必要なこと、出産直後や炎症があるとき、骨盤臓器脱がある場合には向かないことがあるため、使用前に医療者に相談していただくのが安心です。

3. 加圧ショーツ・骨盤ガードル

強い伸縮素材でお腹やお尻、太ももの付け根を締めつける下着です。これらは外から圧をかけて姿勢や体のラインを整えることを目的とした製品であり、骨盤底筋そのものを収縮させる仕組みは基本的に持っていません。

履いている間に「もれにくい気がする」と感じる方がいるのは、腹部や骨盤まわりが支えられることで姿勢が変わり、腹圧のかかり方が変化するためと考えられます。これは「一時的に支えている」状態であって、筋肉を鍛えている状態とは違います。

なお、締めつけが強すぎるものを長時間履くと、かえってお腹に圧がかかって骨盤底に負担が向かうことがあるという指摘もあります。「きついほど効く」と考えず、苦しくない範囲で選ぶことをおすすめします。

4. 骨盤ベルト

骨盤ベルトは本来、産後などに骨盤の関節(仙腸関節・恥骨結合)のぐらつきを支え、痛みをやわらげることを目的とした製品です。腰やお尻の痛みには役立つことがありますが、尿もれ対策として骨盤底筋を鍛える道具ではありません。目的が違う、と整理していただくのが正確です。

5. 吸水ショーツ・尿もれパッド

これらは症状を改善するものではなく、漏れたときの困りごとを減らすための道具です。目的がはっきりしている分、期待とのズレも起こりにくく、外出や運動のときの安心材料として実用的です。ただし、吸水ショーツで日常が回ってしまうと受診のきっかけを失いやすく、原因の評価が先延ばしになることがあります。「困らなくなった」ことと「原因が解決した」ことは別だと考えてください。

「鍛える」と「支える」は別物です

ここまでの5つを整理すると、実は目的が3つに分かれていることが見えてきます。

  • 鍛える(筋肉を収縮させる):家庭用EMS、腟内トレーニングデバイス、自分で行うトレーニング
  • 支える(外から圧や支持を加える):加圧ショーツ、ガードル、骨盤ベルト
  • 受け止める(漏れの困りごとを減らす):吸水ショーツ、尿もれパッド

「支える」道具は、着けている間の快適さを助けてくれますが、外せば元の状態に戻ります。「鍛える」ことを期待して加圧ショーツを買い、数か月使っても変化がないと感じるとしたら、それは製品が悪いのではなく目的の異なる道具を選んでいたということかもしれません。

逆に言えば、「今すぐ外出時の不安を減らしたい」なら支える・受け止める道具が役に立ちますし、「数か月かけて土台を変えたい」なら鍛える方向の取り組みが必要になります。両方を組み合わせても構いません。自分が今どちらを求めているのかを言葉にすることが、失敗の少ない選び方につながります。

家庭用EMSと医療機関の磁気刺激は何が違うのか

「座るだけで骨盤底筋を鍛える」という説明は、家庭用の椅子型EMSでも、医療機関に置かれている磁気刺激装置でも使われることがあります。言葉が似ているので混同されやすいのですが、両者は仕組みの段階から違います。

電気刺激か、磁気刺激か

家庭用EMSの多くは電気を皮膚から流します。電気は皮膚の抵抗を受けるため、刺激感が強くなりやすく、深部に届く量は減衰していきます。

一方、当院で導入しているスターフォーマーのような機器は磁気を用います。磁場は皮膚や脂肪の影響を受けにくく、体の内側で神経・筋肉に働きかけるため、電極を肌に貼らずに、服を着たまま座った姿勢で施術ができます。仕組みの詳しい解説はスターフォーマーとはをご覧ください。

出力と、到達する深さ

家庭用機器は、資格を持たない方が自宅で自己判断で使うことを前提に設計されているため、安全側に立って出力が抑えられています。これは製品の欠点ではなく、家庭用として当然の設計です。

医療機関で用いる機器は、医療者の管理下で使用することを前提に、より高い出力を出せるように作られています。そのぶん、自分の意思では動かしにくい深い層の筋肉まで収縮を起こしやすいという違いが生まれます。1回の施術で、自分ではとても続けられない回数の収縮運動を起こせる点も、家庭用との差になります。

医師が適応を判断するかどうか

これが最も大きな違いかもしれません。市販のグッズは、症状の評価を経ずに購入できます。便利である反面、その方の尿もれが本当に骨盤底筋の問題なのか、別の原因が隠れていないかが確かめられないまま始まるということでもあります。

医療機関では、症状の経過や排尿の状態を伺い、内診などで骨盤底の状態を確認したうえで、その方に磁気刺激が向いているかを判断します。心臓ペースメーカーや体内金属がある方、妊娠中の方、悪性腫瘍の治療中の方など、機器を使えない条件もあります。適応は診察で判断します。同じ「座るだけ」でも、この評価の有無は小さくない差です。

なお、医療機関向けの磁気刺激装置にも複数の種類があります。違いについてはエムセラとスターフォーマーの違いで比較しています。

尿もれのタイプによって、選ぶものが変わります

グッズ選びで最も見落とされやすいのが、この「タイプ」の視点です。尿もれは大きく次の3つに分けられます。

腹圧性尿失禁

くしゃみ・咳・笑ったとき・走ったとき・重い物を持ったときなど、お腹に力が入った瞬間に漏れるタイプです。尿意とは関係なく起こります。骨盤底筋の支持力が落ちていることが背景にあるため、トレーニングや磁気刺激といった「鍛える」方向のアプローチが向いています。市販の骨盤底筋グッズが想定しているのも、主にこのタイプです。詳しくは腹圧性尿失禁とはをご覧ください。

切迫性尿失禁

急に強い尿意が来て、トイレまで間に合わないタイプです。水の音を聞いた、帰宅して玄関の鍵を開けた、といった場面で起こることもあります。これは骨盤底筋というより膀胱側の問題で、膀胱が過敏に収縮してしまうことが背景にあります。

このタイプでは薬物療法が治療の中心になり、あわせて排尿間隔を延ばす練習(膀胱訓練)や生活の見直しを行います。骨盤底筋グッズを買っても、想定している症状が違うということが起こりえます。頻尿を伴うことも多く、女性のための頻尿対策ガイドもあわせて参考になさってください。

混合性尿失禁

上の2つが重なっているタイプで、実際にはこの形の方も少なくありません。どちらの要素が強いかによって、優先する対処が変わります。「くしゃみでも漏れるし、急に来ても間に合わない」という場合は、自己判断でグッズを選ぶより、一度評価を受けたほうが遠回りになりません。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

「グッズを半年使ったけれど変わらなかった」という方の中には、実は切迫性の要素が強かった、というケースがあります。道具が合っていなかっただけで、その方の努力が足りなかったわけではありません。タイプが分かると、打ち手はぐっと具体的になります。

グッズを使う前に確認しておきたいこと

購入前に、次の点を確認しておくと、選び方のズレが減ります。

  • 自分の尿もれはどのタイプか:どんな場面で、どのくらいの量が漏れるかを2〜3日分メモしてみてください
  • その商品は「鍛える」ものか「支える」ものか:説明文に収縮を起こす仕組みが書かれているかを見てください
  • 使えない条件に当てはまらないか:EMSは心臓ペースメーカーや体内金属のある方、妊娠中の方は使用できないことがあります。妊娠中・産後まもない時期の使用可否も確認してください
  • 痛みや強い不快感がないか:がまんして続けるものではありません
  • 効果を判定する期間を決めておく:一般に骨盤底筋への取り組みは、変化を実感するまでに数週間から3か月程度かかると報告されています。あらかじめ「3か月試して、変わらなければ相談する」と決めておくと、ずるずる続けずに済みます

もうひとつ大切なのは、グッズを使うことで受診が先延ばしになっていないかという点です。尿もれの背景には、骨盤臓器脱や膀胱炎など、別の対応が必要な状態が隠れていることもあります。

どんな道具を使うにしても、土台になるのは自分の骨盤底筋です

ここまでグッズの話をしてきましたが、費用がかからず、いちばん基本になるのは自分で行う骨盤底筋トレーニングです。やり方の詳細は骨盤底筋トレーニングの正しいやり方にまとめています。

ただし、自己流には落とし穴もあります。お腹やお尻に力が入ってしまって骨盤底筋が動いていない、息を止めて力むことでかえって腹圧をかけている、締める練習ばかりで緩める動きができなくなっている——こうしたことは珍しくありません。骨盤底筋トレでやってはいけないこともあわせてご確認ください。

また、体重管理、便秘を避けること、長引く咳を治療すること、水分やカフェインの摂り方を見直すことも、骨盤底への負担を減らすうえで役立ちます。道具は、こうした土台の上に乗せるものと考えていただくとよいと思います。

こんな症状があれば、一度受診をご検討ください

次のような状態がある場合は、市販のグッズを選ぶ前に、産婦人科や泌尿器科でご相談ください。

  • 尿に血が混じる、排尿時に痛みがある、発熱を伴う
  • 尿が出しにくい、出し切れていない感じが続く、勢いが弱い
  • 腟や外陰部に何かが下りてくる感じ、入浴時に触れる膨らみがある(骨盤臓器脱の可能性があります)
  • 急な強い尿意が頻繁にあり、夜間も何度も起きる
  • 尿もれの量が増えてきている、パッドの交換回数が増えた
  • 産後半年以上たっても尿もれが続いている(産後の尿もれ・頻尿はいつまで続く
  • グッズやトレーニングを3か月続けても変化を感じない

尿もれの相談は、恥ずかしいことでも、大げさなことでもありません。当院の尿失禁・尿もれ外来では、症状の経過を伺ったうえで、その方に合う方法を一緒に考えていきます。40代以降で症状が強くなってきた方は40代で尿漏れがひどい方へもご参照ください。

当院で行っている治療のご案内

自分でのトレーニングが続かない方へ ― 座るだけの骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)は有効な方法ですが、「正しく収縮できているか分からない」「忙しくて続かない」という声も多くあります。

当院では、服を着たまま椅子に座るだけで骨盤底筋に高強度の磁気刺激を与え、収縮運動を起こす「スターフォーマー」による治療を行っています。1回20分程度・週1〜2回の通院で、ご自身のトレーニングでは動かしにくい筋肉まで働きかけます。

  • こんな方に:くしゃみ・咳・運動での尿もれ(腹圧性尿失禁)、産後の骨盤底のゆるみ、頻尿が気になる方
  • 料金:1回 22,000円/8回セット 158,400円(税込・自由診療)
  • 腟側の組織に働きかけるインティマレーザーとの併用プラン(10%オフ)もあります

スターフォーマーは国内では医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医療機器です(医師の判断のもと個人輸入により導入・自由診療)。効果には個人差があり、適応は診察で判断します。

費用の目安についてはスターフォーマーの料金相場でも解説しています。

よくあるご質問

骨盤底筋を鍛えるガードルはありますか?

「骨盤ケア」をうたうガードルは多く販売されていますが、加圧ガードルは外から圧をかけて姿勢や体のラインを整えることを目的とした製品で、骨盤底筋そのものを収縮させる仕組みは基本的に持っていません。履いている間はもれにくく感じる方もいらっしゃいますが、これは腹部が支えられて腹圧のかかり方が変わるためと考えられ、脱げば元の状態に戻ります。「支える道具」として使い、鍛える取り組みは別に行う、という位置づけがおすすめです。なお締めつけが強すぎるものを長時間履くと、かえって腹圧が骨盤底に向かうことがあるという指摘もありますので、苦しくない範囲で選んでください。

骨盤底筋に効くショーツはありますか?

「骨盤底筋ショーツ」として売られているものは、大きく2種類に分かれます。ひとつは加圧タイプで、これはガードルと同じく支えることを目的としたものです。もうひとつは吸水ショーツで、こちらは漏れたときの困りごとを減らすための製品であり、症状そのものに働きかけるものではありません。どちらも日常を楽にしてくれる実用的な道具ですが、筋肉を鍛える機能は想定されていないとお考えください。吸水ショーツで日常が回るようになると受診のきっかけを失いやすいので、原因の評価は別に進めていただくのが安心です。

骨盤底筋EMSスパッツの効果はどうですか?

EMSスパッツは、皮膚の上に当てた電極から電気を流して筋肉を収縮させる製品です。体表に近い腹筋やお尻の筋肉には届きやすく、体幹まわりの運動を補助する道具としては役割があります。一方で、皮膚から流す電気は途中で減衰するため、骨盤の奥にある骨盤底筋にどこまで届くかは製品の設計や体格によって差が出るという指摘があります。また強度を上げると先に皮膚の刺激感が強くなり、そこで上限がきてしまう性質もあります。腹圧性尿失禁の方が補助的に取り入れるのは選択肢のひとつですが、これ単独で解決を目指すというより、自分でのトレーニングと組み合わせるものと考えていただくとよいと思います。心臓ペースメーカーや体内金属がある方、妊娠中の方は使用できないことがありますので、購入前に注意書きをご確認ください。

座るだけでEMSを使って骨盤底筋を鍛える方法はありますか?

「座るだけ」という表現は、家庭用のクッション型・椅子型EMSでも、医療機関に置かれている磁気刺激装置でも使われるため、混同されやすいところです。家庭用は電気刺激を用い、資格を持たない方が自宅で使う前提で安全側に出力が抑えられています。医療機関の磁気刺激装置は磁場を使うため皮膚や脂肪の影響を受けにくく、医療者の管理下で使用する前提でより高い出力を出せるように作られており、自分の意思では動かしにくい深い層まで収縮を起こしやすいという違いがあります。加えて医療機関では、症状の評価と使用できない条件の確認を行ったうえで判断します。手軽さを取るか、評価を踏まえた出発点を取るかで選び方が変わります。

腟内に入れるトレーニンググッズは使っても大丈夫ですか?

締める動きを可視化できる点は、骨盤底筋トレーニングの「動いている実感がない」という難しさを補ってくれます。ただし、使用前に確認していただきたい点がいくつかあります。出産直後、腟や外陰部に炎症・傷がある時期、骨盤臓器脱がある場合、痛みがある場合には向かないことがあります。また、清潔に保つ手入れが欠かせません。すでに骨盤底筋が緊張しすぎている方が締める練習を重ねると、かえって症状が変わりにくくなることもあります。使い始める前に、一度医療機関で状態を確認していただくことをおすすめします。

グッズを続けても変化がない場合、どうすればよいですか?

まず考えたいのは「道具が合っていたか」です。急に強い尿意が来て間に合わないタイプ(切迫性)であれば、骨盤底筋を鍛えるグッズは想定している症状が違うため、変化が出にくいのは自然なことです。次に「鍛える道具だったか、支える道具だったか」を見直してください。目安として、3か月続けても変化を感じない場合は、自己判断で買い替えを繰り返すより、一度受診して状態を評価していただくほうが近道になることが多いです。タイプが分かれば、薬物療法、理学療法、磁気刺激など、選べる手段は広がります。

まとめ

市販の骨盤底筋グッズは、それぞれに目的があります。加圧ショーツやガードルは「支える」もの、吸水ショーツは「受け止める」もの、EMSや腟内デバイスは「鍛える」方向のものです。どれが優れているかではなく、自分が今求めているものとかみ合っているかが、選び方の分かれ目になります。

そしてその前提として、自分の尿もれがどのタイプなのかを知ることが、遠回りを減らしてくれます。くしゃみや運動で漏れる腹圧性なら鍛える方向が向いていますし、急な尿意で間に合わない切迫性なら別の対処が中心になります。

「まず市販のもので試してみる」という選択自体は、悪いことではありません。ただ、期間を決めて振り返ること、そして変化がないときに一人で抱え込まないことをおすすめします。尿もれは、年齢のせいとあきらめなくてよい症状です。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
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