レディースクリニック なみなみ

【医師監修】更年期にめまいが起こる?原因や予防・対処法を解説

更新日:

公開日:

当院のコラムは全て医師が監修しております。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓
総監修者について詳しく見る 

40代中盤から50代にかけて、めまいの悩みを抱える女性が増えてきます。
更年期には、ホルモンバランスの乱れによって自律神経が不安定になり、めまいを感じやすくなることがあります。
「最近、めまいがする日が多くて・・・」
「これって更年期なのかしら・・・」
こんなふうに感じてはいませんか?
今回は、更年期におけるめまいの原因や症状、対処法について、年間6000人以上の更年期症候群の患者さんを診察している医師がわかりやすく解説していきます。めまいの種類や対処法を知ることで、不安を軽減し、適切な対策を取るようにしましょう。

目次
  1. 1 更年期にめまいが起こる原因とは?
    1. 1.1 更年期になるとなぜめまいが起こりやすい? 女性ホルモンとの関係性を解説
    2. 1.2 更年期以外にも! めまいの原因となる病気の可能性
    3. 1.3 更年期障害によるめまいの症状の特徴
  2. 2 更年期めまいの種類と症状をチェック!
    1. 2.1 回転性めまい
    2. 2.2 浮動性めまい
    3. 2.3 ふらつき
    4. 2.4 その他の症状
  3. 3 【症状別】更年期のめまいの効果的な対処法を解説
    1. 3.1 回転性めまいの対処法
    2. 3.2 浮動性めまいの対処法
    3. 3.3 ふらつきの対処法
  4. 4 更年期めまいの予防に効果的な漢方は?
    1. 4.1 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
    2. 4.2 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
    3. 4.3 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
    4. 4.4 女神散(にょしんさん)
  5. 5 更年期めまいの予防にホルモン補充療法は効果的?
  6. 6 更年期めまいの予防に効果的な生活習慣
    1. 6.1 食事
    2. 6.2 運動
    3. 6.3 睡眠
  7. 7 更年期のめまいは何科を受診すればいいの?
  8. 8 まとめ|更年期のめまいは原因と症状に合った対処を!
  9. 9 更年期のめまいに関するよくある質問
    1. 9.1 更年期のめまいはどれくらいで治りますか?
    2. 9.2 更年期のめまいは何科を受診するべき?
    3. 9.3 めまい以外に吐き気や頭痛がある場合は大丈夫?
    4. 9.4 更年期のめまいに有効なツボや市販薬・漢方薬はある?

更年期にめまいが起こる原因とは?

更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少・波のある変化をします。
エストロゲンは、血管を広げて血流を促進する役割を持っていますが、更年期に入るとその分泌量が大きく変化します。これにより、からだのいろいろな場所で血流が滞りやすくなり、脳への血液供給も不安定になってめまいが発生しやすくなります。さらに、エストロゲンの減少は自律神経のバランスを乱すことにもつながります。自律神経は体の様々な機能を調整する役割を持っており、その乱れは血圧の変動やストレス反応を引き起こし、めまいの原因となります。また、更年期には加齢による感覚器官の機能低下も重なり、めまいや耳鳴りが発生しやすくなります。これらの要因が組み合わさることで、更年期の女性はめまいを経験することが多くなります。

更年期になるとなぜめまいが起こりやすい? 女性ホルモンとの関係性を解説

エストロゲンは、体温調節や血管の収縮・弛緩、精神状態の安定など、身体の様々な機能に関わっています。更年期にエストロゲンが減少すると、これらの機能がうまく働かなくなり、以下のような症状が現れることがあります。

症状解説
ほてり・のぼせ体温調節がうまくいかず、急に顔が熱くなったり、汗が噴き出したりします。
めまい自律神経の乱れ、脳や内耳への血流が不安定になり、局所的なむくみや血流不足からめまいが起こりやすくなります。
動悸・息切れホルモンバランスの乱れから、心臓がドキドキしたり、息苦しさを感じたりすることがあります。
精神不安定イライラしやすくなったり、気分が落ち込んだり、情緒不安定になりやすくなります。
不眠ホルモンバランスの乱れや自律神経の不安定により、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めやすくなったりします。

これらの症状は、更年期障害の代表的な症状であり、「更年期症候群」とも呼ばれます。更年期障害の症状は個人差が大きく、全く症状が現れない人もいれば、日常生活に支障が出るほど症状が重い人もいます。

更年期以外にも! めまいの原因となる病気の可能性

めまいは更年期以外にも、様々な原因で起こる可能性があります。代表的な病気としては以下のようなものがあります。

病気解説
メニエール病内耳という耳の奥にある器官の異常が原因で起こる病気です。
内耳のリンパ液が過剰になり、水ぶくれの状態(内リンパ水腫)になることで発症します更年期にはエストロゲンの低下によりこの状態が起こりやすくなるとされています。
回転性のめまい、耳鳴り、難聴などを伴うのが特徴です。
良性発作性頭位めまい症内耳にある耳石という小さなカルシウムの結晶が剥がれ落ち、三半規管という平衡感覚を司る器官に入り込むことで起こります。特定の頭の動きによってめまいが起こるのが特徴です。最近、更年期症候群に伴って起きる骨粗鬆症によって耳石の剥離が起きやすくなることがわかってきました。
前庭神経炎内耳と脳をつなぐ前庭神経に炎症が起こることで、めまい、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。
脳梗塞・脳出血脳の血管が詰まったり破れたりすることで、めまい以外にも、激しい頭痛、手足の麻痺、言語障害などの症状が現れます。緊急性の高い病気であるため、早急な治療が必要です。
貧血血液中の赤血球が減少することで、酸素が全身に行き渡らなくなり、めまい、ふらつき、動悸、息切れなどの症状が現れます。
低血圧血圧が正常値よりも低い状態です。立ちくらみやめまい、ふらつきなどを引き起こしやすくなります。
自律神経失調症ストレスや不規則な生活習慣などが原因で、自律神経のバランスが乱れることで、めまい、頭痛、疲労感、不眠などの症状が現れます。

めまいが続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。

更年期障害によるめまいの症状の特徴

  • 他の更年期症状を伴うことが多い: めまいは、ほてり、のぼせ、発汗、イライラ感、抑うつ気分などの他の更年期症状と一緒に現れることが多いです。
  • 症状の変動: めまいの症状は日によって異なったり、時間帯によって変動することがあります。これはホルモンバランスの変化やストレスの影響を受けやすいためです。
  • ストレスや疲労による悪化: ストレス、疲労、睡眠不足などがあると、めまいの症状が悪化しやすい傾向があります。

更年期障害によるめまいは、これらの特徴を考慮して他の病気の可能性を慎重に見極めることが重要です。特に、症状が長引く場合や日常生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診していただくことが推奨されます。

更年期めまいの種類と症状をチェック!

更年期に起こるめまいには、いくつかの種類があります。
更年期に伴うめまいに多い、典型的なのはふわふわしたような不動性めまいです。メニエール病も更年期症候群で、局所の循環障害が起こることで罹患率が増加するとされています。
それぞれのめまいでは症状が異なるため、自分のめまいがどの種類に当てはまるのか把握しておきましょう。

回転性めまい

回転性めまいは、周囲がぐるぐると回転しているように感じるめまいです。自分自身または周囲が回転しているように感じ、吐き気を伴うこともあります。メニエール病などで多く見られる症状です。メニエール病の好発年齢は30代から50代で過労や睡眠不足、ストレスを引き金に起こることが多いです。

浮動性めまい

浮動性めまいは、ふわふわと浮いているような感覚、または体が沈んでいくような感覚に襲われるめまいです。不安定な地面に立っているような感覚になることもあります。自律神経の乱れが原因で起こることが多いです。

ふらつき

ふらつきは、体が傾いたり、よろめいたりするような感覚に襲われるめまいです。歩行が不安定になり、転倒するリスクも高まります。脳血管疾患や、加齢による平衡機能の低下などが原因で起こることがありますが、更年期に伴うものとしては低血圧や不正出血などに伴う貧血の症状として現れやすいです。

その他の症状

めまいの種類に関わらず、吐き気、嘔吐、冷や汗、顔面蒼白などの症状を伴うことがあります。これらの症状が見られる場合は、重症化している可能性もあるため、速やかに医療機関を受診しましょう。自律神経失調の可能性が高い症状です。

【症状別】更年期のめまいの効果的な対処法を解説

更年期のめまいには、症状に合わせた対処法があります。自己判断せずに、医師の診断のもと、適切な対処法を試すようにしましょう。

回転性めまいの対処法

回転性めまいが起こった場合は、安静にして、めまいが治まるのを待ちましょう。めまいが強い場合は、吐き気を伴うこともあるため、横になって楽な姿勢をとると良いでしょう。症状が改善しない場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。

浮動性めまいの対処法

浮動性めまいは、自律神経の乱れが原因で起こることが多いため、生活習慣の改善が有効です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけましょう。ストレスを溜め込まないように、リラックスできる時間を作ることも大切です。また、漢方薬も効果が期待できます。医師に相談の上、自分に合った漢方薬を試してみましょう。

ふらつきの対処法

ふらつきは、加齢による平衡機能の低下や、脳血管疾患などが原因で起こる可能性があります。バランス感覚を鍛える運動や、転倒予防対策を行うことが大切です。また、血圧を安定させるために、規則正しい生活習慣を心がけましょう。心配な症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

更年期めまいの予防に効果的な漢方は?

更年期障害によるめまいは、漢方薬によって症状を緩和できる場合があります。漢方薬は、自然の生薬を組み合わせることで、身体のバランスを整え、自然治癒力を高める効果が期待できます。ただし、体質に合わない場合は、副作用が出る可能性もあるため、自己判断で服用せずに、必ず医師の診断のもと服用するようにしてください。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

血行促進と冷え性改善に効果がある漢方薬です。更年期障害に伴うめまい、冷え性、貧血、月経不順などに効果が期待できます。当帰、芍薬、川芎などの生薬により、血流改善、水分代謝調整、ホルモンバランス調整を行います。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

めまい、ふらつき、吐き気に効果がある漢方薬です。水毒が原因のめまいにも効果があります。天麻の鎮静作用がめまいや頭痛を緩和し、半夏や生姜が胃腸機能を整え、吐き気を軽減します。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

体力がなく神経質な人に適しています。のぼせや動悸を伴うめまい、ふらつき、耳鳴り、頭痛に用いられます。茯苓と白朮が水毒を改善し、桂皮が血行を促進、甘草がストレス症状を緩和します。

女神散(にょしんさん)

更年期障害、自律神経失調症に効果がある漢方薬です。精神的ストレスや不安感も軽減します。柴胡などの生薬により、ホルモンバランス調整、血行促進、精神安定作用が期待できます。

その他、加味逍遙散や桂枝茯苓丸など、更年期障害全般に効果的な漢方薬も多数あります。医師に相談の上、症状や体質に合った漢方薬を選びましょう。

更年期めまいの予防にホルモン補充療法は効果的?

ホルモン補充療法(HRT)は、更年期めまいを含む更年期障害の症状改善に効果的な治療法です。エストロゲンを直接補充することで、ホルモンバランスを整え、自律神経系を安定させ、めまいや他の症状を軽減します。骨密度維持や心血管系疾患リスク軽減など、長期的な健康効果も期待できます。

しかし、HRTには乳がんリスクの若干の上昇や血栓症のリスク増加などの副作用もあります。そのため、個々の症状、年齢、既往歴に基づいて適用を慎重に判断する必要があります。

治療方法は錠剤、パッチ、ジェルなど多様で、通常数ヶ月から数年間継続されます。ただし、長期使用のリスクを考慮し、定期的に再評価することが重要です。

更年期めまいの予防に効果的な生活習慣

更年期めまいを予防するためには、医学的な治療とともに、生活習慣の見直しもとても大切です。規則正しい生活を送り、心身ともに健康な状態を保つようにしましょう。

食事

大豆イソフラボンは植物性エストロゲンとして作用し、エストロゲン減少による症状を緩和する可能性があります。豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品から摂取できます。
カルシウムはエストロゲン減少による骨密度低下を防ぐため、乳製品、小魚、緑黄色野菜からの摂取が重要です。
鉄分は貧血を予防し、めまいの原因となる脳への酸素供給不足を防ぎます。赤身の肉、レバー、ほうれん草などが良い供給源となります。
ビタミンEは血行を改善し、ホットフラッシュなどの更年期症状を緩和する可能性があるため、ナッツ類、種子、植物油からの摂取が推奨されます。
最後に、オメガ3脂肪酸は抗炎症作用があり、更年期症状の緩和に役立つ可能性があります。魚油や亜麻仁油などから摂取することができます。

運動

まず、有酸素運動が挙げられます。ウォーキング、水泳、サイクリングなどを週に3〜5回、1回につき30分程度行うことをお勧めします。これらの運動は血行を促進し、めまいの一因となる脳への血流不足を防ぐ効果があります。
次に、バランス運動も重要です。ヨガや太極拳などの実践は、体のバランス感覚を司る前庭系の機能を改善し、めまいの予防に大いに役立ちます。これらの運動は、身体的な効果だけでなく、精神的なリラックス効果も期待できます。
最後に、軽度の筋力トレーニングも取り入れると良いでしょう。軽いウェイトを使ったトレーニングは、エストロゲン減少に伴う骨密度の低下を防ぐ効果があります。これは、更年期以降の骨粗鬆症予防にもつながります。

睡眠

毎日一定の時間に就寝し、7〜8時間の十分な睡眠時間を確保しましょう。
睡眠環境の整備、就寝前の習慣にも注意を払う必要があります。特に、スマートフォンやタブレット、パソコンなどの電子機器から発せられるブルーライトは、睡眠を妨げる可能性があるため、就寝の1〜2時間前からは避けることをお勧めします。代わりに、読書や瞑想といったリラックスできる活動を取り入れることで、心身をリラックスさせ、良質な睡眠への準備を整えることができます。

更年期のめまいは何科を受診すればいいの?

これもよく聞かれる質問ですが、産婦人科・婦人科で大丈夫です。
更年期かな?と思うような45歳から55歳くらいの女性でそのほかの更年期症候群の症状も伴っている場合は、まずは産婦人科を受診していただいて更年期症候群の治療を行うのが良いです。
診察時に、特別に耳鼻科や脳神経外科の受診が必要な場合のみそれらの診療科を紹介するので問題ございません。

まとめ|更年期のめまいは原因と症状に合った対処を!

更年期のめまいは、ホルモンバランスの乱れや自律神経の不安定などが原因で起こることが多く、症状も人によって様々です。自己判断せずに、医療機関を受診し症状に合った適切な治療や対策を行うようにしましょう。

レディースクリニックなみなみでは、更年期障害の症状にお悩みの方へ、漢方薬の処方やホルモン補充療法、生活習慣のアドバイスなどを行っております。お気軽にご相談ください。

更年期外来を予約する レディースクリニックなみなみの更年期のページを見る

更年期のめまいに関するよくある質問

更年期のめまいはどれくらいで治りますか?

更年期のめまいがどれくらいで治るかは、原因や症状の程度、治療法などによって個人差があります。 生活習慣の改善や漢方薬の服用などで、症状が改善することもあれば、ホルモン補充療法などの治療が必要になることもあります。
自己判断せずに、はやめに医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。

更年期のめまいは何科を受診するべき?

A:更年期のめまいが疑われる場合は、まず「産婦人科」「婦人科」を受診しましょう。その後めまいに特化した診察が必要な場合は、「めまい外来」のある耳鼻科や神経内科、脳神経外科を受診するのも良いでしょう。

めまい以外に吐き気や頭痛がある場合は大丈夫?

めまいと一緒に吐き気や頭痛がある場合は、注意が必要です。メニエール病や脳腫瘍などの病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せずに、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。

更年期のめまいに有効なツボや市販薬・漢方薬はある?

ホルモンバランスの変化が起こるのでどれもむくみなどの問題が起こる可能性はありまめまいに効果があるとされるツボはいくつかあります。「労宮(ろうきゅう)」や「内関(ないかん)」などのツボを刺激することで、自律神経のバランスを整え、めまいを和らげる効果が期待できます。
市販薬の中には、めまいの症状を緩和する薬も販売されています。ただし、市販薬はあくまでも一時的な対処法であり、根本的な治療にはなりません。また、持病がある方や、他の薬を服用している方は、医師や薬剤師に相談の上、服用するようにしましょう。
漢方薬も、更年期のめまいに効果が期待できます。ただし、体質に合わない場合は、副作用が出る可能性もあるため、自己判断で服用せずに、必ず医師の診断のもと服用するようにしてください。

当院のコラムは全て医師が監修しております。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓
総監修者について詳しく見る 
コラム一覧をみる