
執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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- 黒ずみが生じる原因は、下着との摩擦、自己処理による刺激、皮膚の乾燥、ホルモンバランスの変動などが主な要因ですが、これらは日常のケアで十分に予防・改善できることがわかります。
- 黒ずみを予防・改善するための日常のセルフケア方法は、適切な保湿や摩擦を軽減する下着の選び方、正しい自己処理方法を実践することで、黒ずみの進行を抑えられると結論付けられます。
- 専門医による治療法(インティマレーザーなど)の特徴と効果は、医師監修の下で行うレーザー治療は、黒ずみの原因であるメラニンを安全かつ効果的に除去でき、改善が期待できる治療法であると結論付けられます。
- 治療にかかる費用や回数の目安、注意すべき症状は、施術部位や回数により費用は変動しますが、複数回の施術で効果を実感できるケースが多く、痛みや副作用などの注意点を事前に確認することが重要であると分かります。
デリケートゾーン(VIO)の黒ずみが気になっていませんか?
毎日の下着との摩擦や自己処理による刺激で、鏡を見るたび「これって普通なの?」と不安に感じること、あるいは自分一人で悩んでしまう女性は少なくありません。そんなあなたへ、本記事では黒ずみの原因と改善方法について、医師が分かりやすく解説します。
黒ずみはメラニン色素の沈着によって起こる
デリケートゾーン(VIO)の黒ずみは、肌にメラニン色素が沈着して起こる現象です。顔や腕など露出する部分の黒ずみ(シミ)は紫外線によるものが多いですが、メラニンの沈着は強い摩擦など物理的な刺激によっても生じます。
紫外線や物理的刺激によって皮膚の一番深部にある基底層に存在するメラノサイト(色素細胞)が活性化され、黒い色素であるメラニンを過剰に作り出します。このメラニンが増えることで皮膚が部分的に黒っぽく見えるのです。本来メラノサイトがメラニンを増やすのは肌を守るための防御反応ですが、その結果として黒ずみが発生します。したがって黒ずみの予防にはこうした刺激を避けること、治療には沈着したメラニンを取り除くことが基本となります。
デリケートゾーンの黒ずみの原因
デリケートゾーン(VIO)が黒ずんでしまう主な原因は、大きく5つあります。普段衣服に覆われている部分なので紫外線の影響はほとんどなく、主な原因は日常的な摩擦など物理的刺激です。また、女性ホルモンの影響で黒ずむこともあります。具体的には次のような要因が黒ずみを招きます。
- 下着・トイレットペーパーによる摩擦
- カミソリなどによるアンダーヘアの自己処理(シェービング)
- 生理用ナプキン・おりものシートによる肌荒れ(かぶれ)や炎症
- 皮膚の乾燥
- 女性ホルモンの分泌増加(妊娠などによる影響)
以下でそれぞれの原因を詳しく見ていきましょう。

近年、デリケートゾーン、いわゆるVIOの脱毛を多くの方が行うようになってきました。
今まであまり気にならなかった方でも、脱毛後に単純に見えやすくなることで気になってしまう方も多くいらっしゃいます。保険診療では治療の選択肢はありませんが、普段からどんなことに気をつければいいのか、治療するとしたらどんな治療になるのか見ていきましょう。
①:下着・トイレットペーパーによる摩擦
デリケートゾーンは下着やトイレットペーパーによる摩擦で黒ずみやすくなります。とくに締め付けの強いショーツやパンツを履いていると、小陰唇(外陰部)が常に擦れて物理的刺激が加わり、メラニン色素が蓄積しやすくなります。また、トイレの際にゴシゴシと強く拭く癖がある場合も、皮膚への負担が大きく黒ずみの原因になります。痩せている方やアンダーヘアの脱毛をしていない方は、皮下脂肪のクッションが少なかったり陰毛と肌が擦れたりするため、摩擦による黒ずみが起こりやすいと言われています。
②:カミソリなどによるアンダーヘアの自己処理
アンダーヘアをカミソリなどで頻繁に自己処理していると、そのたびに皮膚に傷や摩擦刺激が加わり、メラノサイトが刺激されてメラニン色素が増えてしまいます。シェービングは黒ずみの原因となりやすいため、頻繁に剃る必要がある場合は医療レーザーによる脱毛に切り替えた方が、黒ずみ予防の観点からは望ましいでしょう。
③:生理用ナプキン・おりものシートによる肌荒れや炎症
生理用品のナプキンやおりものシートも、肌との擦れや長時間の蒸れによって黒ずみを招く要因になります。ナプキンやシートの素材で皮膚がかぶれて炎症を起こすと、治る過程でメラノサイトが刺激されてメラニンが増え、炎症後色素沈着(シミ)が残ってしまいます。とくにナプキンを長時間替えずにつけっぱなしにしていると、デリケートゾーンが常に湿った状態になり雑菌が繁殖しやすく、かゆみやかぶれが起きて黒ずみにつながります。夏場の蒸れや、生理中の不衛生な状態による膣炎・外陰炎(感染症)なども同様に、炎症を通じて黒ずみの原因となりえます。
④:皮膚の乾燥
乾燥しているとバリア機能が低下し、摩擦など外部刺激に対する抵抗力が弱まります。その結果、わずかな刺激でもメラニンが産生されやすくなり、黒ずみが進行してしまいます。
デリケートゾーンのムダ毛処理(脱毛)の後に肌が乾燥していると特に色素沈着しやすいため、処理後はしっかり保湿して肌を保護することが大切です。
女性は更年期にかけてエストロゲンが低下します。エストロゲンは腟や外陰部の皮膚のコラーゲン産生、維持に関与しており、エストロゲンの低下でコラーゲンが減少し、皮膚が乾燥しやすくもなります。
エストロゲン入りのジェルや、クリームもあるのでうまく使うことで乾燥を防ぎましょう。一方では人によっては蒸れやすい方もいるのでその場合はさっぱりとしたジェル型の製剤の方がおすすめです。
⑤:女性ホルモンの分泌増加
妊娠時期にも多いのがデリケートゾーンの黒ずみの悩みです。
妊娠期の増加するエストロゲン、プロゲステロンともにメラノサイトを活性化させると言われています。これらホルモンの影響は出産後にはある程度なくなりますが、黒ずみも完全に元に戻るかというとそうではない場合が多いです。
妊娠期にデリケートゾーンのケア(保湿など)があまり行えないと黒ずみも悪化しやすく、残りやすいです。
妊娠から2−3ヶ月程度経過しても残っている黒ずみはその後変わることはあまりないのでその状態からホワイトニングの治療(インティマレーザーなど)を行うのが良いです。妊娠後すぐの施術はあまりおすすめではありません。

こうやって原因を見てみると、女性にとっては避けられないものばかりです。
ある程度の黒ずみは仕方ないものと考えることも大事ですし、日頃からできるだけケアすることが非常に大切です。顔のお肌のケアと同じようにデリケートゾーンも労ってあげましょう。
デリケートゾーンの黒ずみを予防・改善するセルフケア
黒ずみの原因が主に摩擦などの物理的刺激と女性ホルモンの影響であることをお話ししました。では、日常生活でどのように対策すれば黒ずみを減らせるのでしょうか。ここからは黒ずみを予防・改善するために自分でできるケア方法を解説します。
- 保湿
- 脱毛(レーザー脱毛などで自己処理の頻度を減らす)
- 摩擦の軽減
- 生理用ナプキン・おりものシートをこまめに交換する
- 生活習慣の改善
以下で、それぞれのセルフケアのポイントを詳しく見ていきましょう。
①:保湿
乾燥や摩擦による黒ずみを防ぐには、日頃からしっかり保湿を行って肌のバリア機能を高めておくことが重要です。デリケートゾーンのスキンケアも基本的には顔と同じで保湿が基本ですが、外陰部の皮膚は非常に薄く刺激に弱いため、デリケートゾーン専用の保湿剤を使うのがおすすめです。市販ではあまり見かけませんが、エストロゲン(女性ホルモン)を含むデリケートゾーン専用クリームも存在し、そういったアイテムは医療機関でのみ取り扱われている場合もあります。ご自身で適切な保湿剤が分からない場合は、クリニックに相談してみると良いでしょう。
②:脱毛
頻繁にカミソリでアンダーヘアを処理している方は、思い切って医療レーザー脱毛を検討するのがおすすめです。自己処理による皮膚への物理的な刺激を減らせるだけでなく、陰毛をなくすことで蒸れや毛と皮膚の擦れも防止でき、その結果メラニン産生の抑制につながるとされています。
③:摩擦の軽減
前述の脱毛によって摩擦軽減が期待できますが、その他にも日常で摩擦を減らす工夫をしましょう。例えば下着のサイズや素材を見直すことも有効です。大きすぎる下着も逆にきつすぎる下着も摩擦の原因となるため、自分に合ったサイズで通気性の良い素材のものを選ぶと良いでしょう。
また、毎日のお風呂で体を洗う際にも擦りすぎに注意が必要です。ボディタオルでゴシゴシと強く洗うと外陰部の薄い皮膚には刺激が強すぎて黒ずみの原因になります。お顔を優しく洗っていても、体は力を入れて洗ってしまう方が多いので気をつけてください。デリケートゾーン専用のボディソープを使い、指の腹でなでるように洗うくらいで十分清潔になります。洗いすぎは必要な常在菌(デリケートゾーンの自浄作用を保つ乳酸菌)まで洗い流してしまい、かえって膣カンジダ症など感染症を起こしやすくなるので注意しましょう。
④:生理用ナプキン・おりものシートをこまめに交換する
ナプキンやおりものシートによる蒸れやかぶれ、感染は黒ずみの大敵です。できるだけ生理用品はこまめに交換して、デリケートゾーンを清潔で乾いた状態に保ちましょう。最近は長時間交換せずに済むナプキンもありますが、産婦人科医の立場からいうと通気性が悪く不衛生になりやすいためおすすめできません。交換頻度が少ないとその分蒸れや刺激が長時間継続してしまいます。短時間用のナプキンを使い、2〜3時間おきなどこまめに取り替えるのが理想的です。
⑤:生活習慣の改善
肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促進してメラニンを排出しやすくするために、生活習慣を整えることも大切です。特に十分な睡眠をとることで成長ホルモンの分泌が促され、皮膚の生まれ変わりが活発になります。睡眠不足が続くとターンオーバーが乱れてメラニンが蓄積しやすくなるため、黒ずみを悪化させないためにも夜更かしを避けましょう。
併せてバランスの良い食事も意識してください。メラニンの生成を抑える働きがあるビタミンC(野菜や果物に豊富)や、肌の新陳代謝に必要なタンパク質(肉や魚、大豆製品など)を積極的に摂ることで、黒ずみにくい健康な肌を保つことにつながります。

ここまでデリケートゾーンの黒ずみの原因と日常から行えるケアに関して説明しました。
しかし、一度ついてしまった黒ずみはなかなか改善しないことが多いので、当院では効果が強いレーザー治療をお勧めしています。治療に関してもみてみましょう。
デリケートゾーンの黒ずみの治し方
インティマレーザーが効果的
ここまで黒ずみの原因とセルフケアについて説明しました。しかし、一度沈着してしまった黒ずみはセルフケアだけではなかなか改善が難しいため、症状が気になる場合は医療機関でのレーザー治療を検討すると良いでしょう。当院でも、デリケートゾーンの黒ずみには高い効果が期待できる「インティマレーザー」という治療をおすすめしています。
インティマレーザーはデリケートゾーン専用のエルビウムヤグレーザーによる治療で、黒ずみの原因であるメラニン色素に反応する波長のレーザーを照射し、沈着したメラニンを少しずつ分解・除去していきます。デリケートゾーンの黒ずみは通常1回の施術では取りきれないため複数回の施術が必要になるケースが多いです。
インティマレーザーは黒ずみ治療だけでなく、膣のゆるみ改善などデリケートゾーンの他の悩みも同時にケアできるメリットがあります。詳細は当院のインティマレーザー治療ページでも解説していますので、興味がある方はご参照ください。
インティマレーザーの治療は黒ずみのほか、同時に気になる膣の緩みなどデリケートゾーンのさまざまな悩みに対応できるので一度当院のページをご覧ください。



シスペラによる美白治療(外用薬)
シスペラは、強力な美白作用を持つ成分であるシステアミンを主成分とした医療用の美白クリームです。従来から美白治療に使われてきたハイドロキノンよりも約4倍の美白効果があるとされ、副作用が少ないことが特徴です。そのため、顔のシミや肝斑はもちろん、デリケートゾーンや乳輪、ワキなど身体の黒ずみ改善にも用いられる新しい美白外用薬として注目されています。
システアミンにはメラニン色素の生成に関わる複数の酵素の働きを幅広く抑制する作用があります。肌の奥で新たに黒いメラニンが作られるのを防ぐとともに、強力な抗酸化作用によって既に沈着した色素を無色化する働きも持っています。こうした複合的な作用により、シスペラはデリケートゾーンの黒ずみを含め、色素沈着による黒ずみのある部位のトーンを徐々に明るくしていきます。
シスペラは市販されておらず、使用するには医療機関で処方を受ける必要があります。また、塗布のタイミングや時間(1日15分程度肌に塗ってから洗い流す等)に独特の方法があり、自己判断で誤った使い方をすると肌トラブルを起こす恐れがあります。安全に効果を得るためにも、必ず医師の指導のもと正しい使用方法で用いるようにしてください。
さらに、シスペラによる外用治療はレーザー治療(インティマレーザーなど)と併用することで一層の効果が期待できます。レーザー照射によってデリケートゾーンの皮膚表面の古い角質を除去し肌を柔らかくすると、シスペラの有効成分が浸透しやすくなります。その結果、VIOの黒ずみ改善効果をより早く高めることができます。黒ずみを早く確実に薄くしたい方は、レーザーとの併用も検討するとよいでしょう。

シスペラは医療機関専売のクリームで、一般店舗のオンライン、ECストアでは購入できません。そのため、取り扱いクリニックで直接もしくは、クリニックが運営する通販サイトを利用したりして購入する必要があります。それ以外のサイトのものは模造品であることがあるので中止してください。
デリケートゾーンの黒ずみの治療にかかる費用
デリケートゾーンの黒ずみ治療(ホワイトニング)にかかる費用は、施術する部位と回数によって異なります。当院では外陰部のホワイトニング対象箇所を細かく分類し、カウンセリングで状態を確認したうえで最適な施術プランを決定します。部位によってレーザーの照射方法が異なるため、効果を最大化できるよう部位ごとにメニューを設定しています。
また、黒ずみ治療は単回よりも複数回の施術が効果的なため、セットプランには割引料金を適用しています。さらに、定期的なメンテナンス(4回目以降)の施術も継続しやすいよう料金を抑えて提供しています。
治療内容 | 1回料金(税込) | セット料金(税込) |
外陰部ホワイトニング(小陰唇) | ¥88,000 | 2回 ¥158,400 |
外陰部ホワイトニング(小陰唇) | ¥44,000 | 3回 ¥118,000 |
肛門(Oライン) | ¥44,000 | 3回 ¥118,000 |
鼠径部(太ももの付け根) | ¥44,000 | 3回 ¥118,000 |
座骨部(お尻のあたり) | ¥44,000 | 3回 ¥118,000 |
小陰唇以外の部位への照射+美白剤 1回 | ¥44,000 | 3回 ¥118,000 |
乳輪ホワイトニング | ¥66,000 | 3回 ¥140,800 |
4回目以降の施術 | 一律15%引き | |
シスペラオリジナルプラス | ¥29,700 | 2本 ¥53,460 |
デリケートゾーンの黒ずみに関するよくある質問
デリケートゾーンの黒ずみは何歳から起きますか?
思春期に入り生理が始まった頃(初潮後)から、女性ホルモンの分泌増加に伴いデリケートゾーンの色素沈着が少しずつ進み始めます。一番黒ずみが進みやすいのは妊娠中で、ホルモンバランスの大きな変化によって外陰部がより色づく傾向があります。
市販の塗り薬で黒ずみを薄くできますか?
市販されているデリケートゾーン用の美白クリームや軟膏には、残念ながらほとんど効果が期待できません。黒ずみに有効とされる成分としてレチノール(ビタミンA誘導体)などがありますが、そのような強力な美白成分を含む外用薬は一般には市販されておらず、医療機関で処方されるものが中心です。
レーザー治療で黒ずみが改善しないこともありますか?
インティマレーザーを1回受けただけでは「変化が分からない」と感じる方もいますが、術前後の写真を比較すると多くの場合できちんと色が薄くなっています。レーザー照射と美白薬の併用や、複数回にわたる施術を組み合わせれば、ほとんどの方は黒ずみが大幅に改善できますよ。
まとめ:デリケートゾーンの黒ずみのご相談はレディースクリニックなみなみまで
デリケートゾーンの黒ずみは多くの女性に共通するお悩みですが、デリケートな内容のため一人で抱えがちです。本記事で原因や対策・治療法を解説してきたように、黒ずみ自体は決して特殊な異常ではなく誰にでも起こりうるものであり、日頃のケアと適切な治療によって十分改善が期待できます。
黒ずみ治療を検討する際は、症例数が多く実績のある専門クリニックに相談するのがおすすめです。レディースクリニックなみなみでは産婦人科専門医が一人ひとりの状態をしっかり診察し、最適な治療プランをご提案いたします。まずはカウンセリングだけでも構いませんので、デリケートゾーンの黒ずみにお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
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産婦人科医はどの科目の医師よりもデリケートゾーンを診察いたします。その観点で、色素沈着もどのくらい色素沈着があるか、どの程度治療できそうかもうまく判断できると考えています。何度も相談しにくいお悩みかと思うので、初めから専門医、産婦人科医へご相談ください。当院ではレーザー+シスペラでの治療で徹底的に黒ずみを除去します。