RSウイルスについて
RSウイルスとは
RSウイルスは、Respiratory Syncytial virusの略称です。風邪のウイルスです。
年齢を問わず、風邪などの症状を引き起こすウイルスです。
新生児、乳幼児期(特に1歳未満)において非常に重篤な症状を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
特に、低出生児、心臓や肺の基礎疾患がある児、免疫不全がある場合には、重症化のリスクが高いことが知られています。
2歳以上のお子さまは軽い、いわゆる「鼻風邪」で終わることが多いですが、1歳未満、特に6か月未満の赤ちゃんは重症化することがありますので注意が必要です。
RSウイルスによる症状は?
RSウイルスによる症状
よくある症状
・発熱
・咳
・鼻汁
重篤な症状
・気管支炎・細気管支炎
・喘息
・肺炎
・哺乳不良、活気不良、無呼吸発作、チアノーゼ(3ヶ月未満の児)
RSウイルスに対する治療は?
RSウイルスに対する治療は対症療法と言って、出てきてしまった症状に対する治療方法しかないのが現状です。
インフルエンザウイルスのように特効薬があるわけではないのが現状なため、予防することに意味が大きいのです。
感染率が高く、一定数は重症化してしまう、かつ治療薬がないので予防薬で予防しようというわけです。
RSウイルスの感染率と予防の必要性
⽣後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%が初感染します。成⼈にとっては⾵邪程度で済むことがほとんどですが、特に6か⽉未満では重症化しやすいため、ワクチンの母体投与で新生児のリスクを減らしてあげようという考え方です。
⽇本では、年間12〜14万⼈の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、そのうち3万⼈が⼊院を要しており入院率も高いために母子免疫ワクチンの投与が行われるようになりました。
アブリスボとは
アブリスボとは
アブリスボは、妊婦さんに接種して母体のRSウイルスに対する中和抗体価を高めて、その抗体が胎盤を通して胎児に移行することで、出生時から乳児のRSウイルス感染、感染による重症下を予防する母子免疫ワクチンです。
母体でできた中和抗体が胎盤を通して胎児にわたることで胎児もRSウイルスへの免疫を獲得します。
臨床実験で妊娠28週から36週の間の摂取で有効性が高くなることがわかっているのでこの期間付近に接種します。
発症予防効果は50%、重症予防効果は80%です。
対象は?
妊娠24~36週の妊婦さん
※有効性の観点では、28〜36週が最も望ましいです。
36週を少し過ぎている妊婦さんも相談の上投与する場合があります。別途ご相談ください。
アボリスボ接種後14日以内に出産した場合の児への有効性は確認されていませんが、14日以上猶予があれば投与も全く無駄ではないということがわかっています。
当院では妊娠週数と出産までの状態も考慮して接種を決めています。
投与方法は?
0.5mlを1回、筋肉注射します。
安全性は?
非投与群と比較して、報告された有害事象の発現率は同程度であり、安全性の懸念は認めませんでした。
日本以外ではすでに投与が行われており、2023年8月にアメリカ食品医薬品局(FDA)から承認を取得、2023年9月に米国疾病管理予防センター(CDC)の推奨を受けています。また、EUでは2023年8月に欧州医薬品庁(EMA)から承認を取得しており、世界的にも安全性が確認され一般的に使用されているワクチンです。
参考:乳児のRSウイルス感染症を予防するための妊娠中2価融合前F蛋白ワクチンについて
副作用は?
大きな副作用はありません。
その他ワクチンと同程度の、注射部位反応、倦怠感などがございます。
価格は?
36,300円(税込)
※ 当院(レディースクリニックなみなみ)の自費診察料込みの値段です。
接種の予約について
当院で「アブリスボ®筋注用」の接種を希望される方はLINEもしくはwebからご予約ください。
問診票の中でアブリスボを選択ください。
ファイザー社からの情報はこちら
日本小児科学会からの情報はこちら
日本産婦人科学会からの情報はこちら
RSワクチン(アブリスボ)接種を予約する レディースクリニックなみなみのその他ワクチンのページ
よくある質問
アブリスボ接種の副作用はありますか?
RSウイルスは母体にとっては安全なものです。注射部位反応(疼痛、紅斑、腫脹)、頭痛、筋肉痛などの軽い症状が出ることはあります。
アブリスボを打てばRSウイルスにはかからないのですか?
出生後6ヶ月程度までの効果となります。この期間が一番重症化しやすいのでそれを防ぐ目的で使用します。
その後はRSウイルスに罹患する可能性はございます。
妊娠24〜36週以外では打てませんか?
原則期間内での接種となります。
保険適応になりますか?
そのほかワクチンと同様で保険適応ではありません。
今後行政の補助がつく可能性はありますが現在のところ全額負担になります。
2024年5月31日から日本全国でRSウイルスに対する母子免疫ワクチン「アブリスボ®筋注用」が発売になりました。
生まれてくる新生児と、妊婦さんへの必要性からレディースクリニックなみなみでも接種を行っています。
TBSさんの取材にもおこたえしています。簡単にまとまっていますので見てみてください。