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【医師監修】ピルの服用で太るってホント?その真相を分かりやすく解説!

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クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

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院長 叶谷愛弓
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「ピルを飲むと太る」という話を耳にしたことはありませんか?

ピルの服用を検討する際、多くの女性が気になっています。確かに、ピルの服用後に体重が増加したという経験談を耳にすることもあるかもしれません。しかし確率的にはほとんどなく、直接的に体重増加を引き起こす作用はほぼありません。

今回は、産科婦人科学会専門医が、ピルと体重変化の真実について医学的な根拠に基づいて詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読んで、正しい知識を身につけてくださいね。

ピルに対するイメージと現実

ピルは、避妊以外にも、生理痛の緩和や肌荒れ改善など、女性にとって多くのメリットがある薬です。しかし、「太る」「副作用が心配」といったネガティブなイメージを持っている方も少なくありません。これらのイメージの多くは、過去にホルモン含有量が多かった時代のピルで起こった副作用のイメージや、web上などで見られる情報に影響を多く受けてしまっている可能性があります。

現在では、低用量・超低用量ピルの登場によって、これらの副作用は以前に比べてかなり軽減されています。正しい知識を身につけることが、ピルと正しく向き合うために重要です。

ピルの種類と作用の違い

「ピルで太る」というイメージは、低用量ピルに含まれる女性ホルモンの影響によるものと考えられています。しかし、低用量ピルはホルモン量を調整することで、副作用を最小限に抑えるように設計されているため、過度に心配する必要はありません。後ほど詳しく解説しますが、体重増加の原因は、ピルの作用というよりも、むしろ服用中の生活習慣に影響を受けることが多いです。
まずはピルが大きく分けてどのような種類があるのか説明します。
ピルには、大きく分けて「超低用量ピル」「低用量ピル」「中用量ピル」「アフターピル」の4種類があり、それぞれ成分や作用が異なります。

種類成分作用
超低用量ピルエストロゲン30μg未満副作用が最も少なく、エストロゲン関連の副作用リスクが低いため、エストロゲンに敏感な方や副作用を特に心配される方に適しています。主に避妊目的で使用されます。
低用量ピルエストロゲン30-35μg副作用が比較的少なく、避妊効果が高いのが特徴です。避妊だけでなく、月経困難症やPMS(月経前症候群)の緩和にも効果があります。最も一般的に使用されているピルの種類です。
中用量ピルエストロゲン50μg以上強い効果が期待できる一方で、副作用のリスクも比較的高くなります。月経移動、重度の月経困難症や子宮内膜症の治療、より強い効果が必要な場合に使用されることがあります。
アフターピル基本的にはプロゲステロンのみ性交後72時間以内に服用することで緊急避妊効果を発揮します。通常のピルとは異なり、継続的に服用するものではなく、緊急時にのみ使用します。

低用量ピルは継続して内服するものなので、太るイメージがあると内服を避ける方も中にはいらっしゃいます。
実際はそんなことはほとんどなく、ピルを内服する方のメリットの方が多いことの方がほとんどです。
中容量ピル、アフターピルもホルモンの量は異なりますがホルモンバランスが一時的に崩れるのでいずれもむくみなどが生じて、一時的な体重増加が起きることがありますよ。

ピルの基礎知識|仕組みや効果を正しく理解しよう

ピルと体重変化の関係について詳しく見ていく前に、まずはピルの基礎知識についておさらいしておきましょう。

ピルの基本的な仕組み

低用量ピルは、2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を配合した薬です。これらのホルモンは、脳下垂体に働きかけ、排卵を抑制するよう指令を出します。その結果、卵巣から卵子が放出されなくなり、妊娠を防ぐことができるのです。

ピルの主な効果と副効果

ピルの主な効果と副効果は以下の通りです。
別のコラムで細かく説明しているのでここでは簡単にまとめます。

避妊効果

低用量ピルは、正しく服用すれば99%以上の高い確率で妊娠を防ぐことができます。避妊効果が高いことから、確実な避妊方法として、世界中で広く利用されています。

生理痛やPMSの緩和

ピルは、生理痛やPMS(月経前症候群)の症状緩和にも効果があります。ピルを服用することで、生理周期が整い、生理痛の原因となるプロスタグランジンの分泌量が抑えられるため、生理痛が軽くなる傾向があります。また、ホルモンバランスが安定することで、PMSの症状も改善されることがあります。

肌荒れ改善効果

ピルは、ニキビなどの肌荒れ改善効果も期待できます。ピルに含まれるホルモンの働きによって、皮脂の分泌量が抑制され、毛穴の詰まりが改善されるためです。

ピル服用後の体重変化の真実|医学的な根拠を解説

ピル服用で「太る」と感じる理由

ピルの内服で体重増加が起こることは非常に少なく、1%未満とされています。
ピル服用後に体重が増加したと感じる理由は、「むくみ」と「食欲増進」の2つが考えられます。
エストロゲン、プロゲステロンの作用によって「むくみ」と「食欲増進」が起こることで体重増加の可能性があります。
ただし、これらの変化は基本的には一時的なものであり、多くの場合、服用を続けるうちに自然と落ち着いていきます。

むくみについて

ピルに含まれるエストロゲン、プロゲステロンともに体内の水分量を溜め込む働きがあります。そのため、ピル服用初期には、むくみを感じやすくなることがあります。しかしエストロゲンには利尿作用も同時に働かせる作用があるので単純に体重増加の働きのみというわけではありません。一方プロゲステロンは体内、細胞外の水分量を増やすことで直接むくみを生じさせます。
しかし、これらで起きるむくみは、一時的なものであり、多くの場合、服用を続けるうちに体が慣れて気にならないことがほとんどです。
女性ホルモンとむくみに関する文献はこちら▶︎

食欲増加について

ピルに含まれるプロゲステロンには、食欲を増進させる働きがあります。そのため、ピル服用開始後、食欲が増したと感じる方もいるかもしれません。一方エストロゲンは食欲を抑制する作用があるとされています。
食欲増加による体重増加を防ぐためには、暴飲暴食を避け、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。また、間食を控える、食物繊維を多く含む食品を食べるなど、工夫次第で食欲を抑えることができます。

エストロゲンで食欲増進、プロゲステロンでむくみが起きるのは、通常の生理周期を思い出してもらうとごく自然にわかりやすいはずですよ。
排卵前(エストロゲンがピークに達する)は食欲が増えるな、排卵後の高音期には浮腫みやすいなと思う女性が多いのでこれらも自身の体から出ているホルモンの働きなんですよ。

太りにくいピルは?

むくみはエストロゲンとプロゲステロンともに原因になっており、食欲増加はプロゲステロン単独の効果ということが整理できましたね。太りにくいピルはこれらが少なければいいかというと単純にそうもいかないのです。
ですが、経験論的に低用量ピルよりも超低用量ピルの方が、そして新しい世代のピルの方がむくみや食欲増加効果が少ないとされているので、ルナベル、フリウェルのULDヤーズ、ヤーズフレックス、ドロエチといったピルがこれらの時には選ばれることになります。

ピル服用で体重増加を防ぐための秘訣|医師が教える食事・運動のポイント

基本的に低用量ピルで体重増加する方は少ないですが、それでもやっぱり増加傾向になる方には上記のできる限り太りにくいとされるピルを選択すること、そして体重管理には生活習慣にも気をつけることがが非常に大切です。
体重増加を防ぐために、日常生活でできる対策はたくさんあります。ここでは、食事と運動のポイントについて解説していきます。

むくみを防ぐ

塩分の摂り過ぎは、むくみの原因になります。ピル服用中は、減塩を意識した食生活を心がけましょう。加工食品やインスタント食品は、塩分量が多い傾向があるので注意が必要です。また、カリウムを多く含む食品(バナナ、ほうれん草、アボカドなど)は、体内の余分な塩分を排出する働きがあるため、積極的に摂取するようにしましょう。

バランスの取れた食事を心がける

ピル服用中は、特にバランスの取れた食事を心がけるようにしましょう。栄養バランスが偏ると、代謝が低下し、体重増加につながりやすくなります。主食、主菜、副菜をバランス良く食べるように心がけ、特に、タンパク質、ビタミン、ミネラルを積極的に摂取しましょう。また、食物繊維を多く含む食品は、満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。
むくみは塩分を控えた食事、カリウムを多く含む食品(バナナ、ほうれん草など)を積極的に摂取したりすると改善される傾向にあります。

適度な運動を習慣にする

適度な運動は、基礎代謝を向上させ、体重増加を防ぐ効果があります。ピル服用中は、無理のない範囲で、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を生活に取り入れてみましょう。また、筋トレなどの無酸素運動も効果的です。筋肉量を増やすことで、基礎代謝が上がり、太りにくい体作りにつながります。

ストレスを溜め込まない

ストレスは、自律神経のバランスを乱し、ホルモンバランスの乱れにもつながります。ストレス自体も、食欲増加や代謝の低下を

まとめ|正しい知識を身につけて、ピルと上手に付き合っていこう!

今回は、ピルと体重変化の関係について解説しました。ピルは正しく服用すれば、多くの女性にとってメリットがある薬です。「ピル=太る」というイメージだけで、服用をためらってしまうのは非常にもったいないことです。この記事を参考に、ピルに対する正しい知識を身につけていただければ幸いです。

数%の方はピル内服後に太ったかなという実感があるかもしれないですが、より太らない角度を上げるにはルナベル、フリウェルのULDヤーズ、ヤーズフレックス、ドロエチといったピルがおすすめです。

もし、ピルの服用を検討されている方は、自己判断せずに、まずは産婦人科医にご相談ください。レディースクリニックなみなみでは患者様一人ひとりの体質や症状、希望に合わせて、最適な治療法を提案させていただきます。

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よくある質問

ピルで何kgくらい体重が増加しますか?

ピルを服用したからといって、必ず体重が増加するわけではありません。個人差が大きく、体重に全く変化がないという方もいれば、非常に稀ですが数kg増加する方もいます。もし、体重増加が気になる場合は薬の変更も含めて、医師に相談してみましょう。

ピルの服用をやめれば体重は元に戻りますか?

はい、多くの場合、ピルの服用をやめれば、体重は自然と元に戻ります。ただし、服用中に生活習慣が乱れてしまった場合、体重が戻りにくくなることがあります。ピルの服用をやめる場合も、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、健康的な生活習慣を維持することが大切です。

ピルの副作用が出たらどうしたら良いですか?

ピルの服用によって、吐き気、頭痛、不正出血などの副作用が現れることがあります。副作用が軽い場合は、様子を見ても良いですが、症状が重い場合や、長く続く場合は、自己判断せずに、必ず医師に相談するようにしましょう。

(超)低用量ピル、中容量ピル、アフターピルのいずれも太る可能性があるの?

ホルモンバランスの変化が起こるのでどれもむくみなどの問題が起こる可能性はあります。しかし、生理移動や避妊目的に一時的に使用される中容量ピル、アフターピルでの体重増加は本当に一時的なものなので気になることの方が少ないです。

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