レディースクリニック なみなみ

生理頭痛の原因と対処法|月経関連片頭痛を医師が解説

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頭痛でつらそうにこめかみを押さえる女性のイメージ
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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生理のたびに繰り返す頭痛の多くは、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な変動が引き金になって起こる「月経関連片頭痛」と考えられています。いつもの生理痛の一部だと思って市販薬でしのいでいる方も多いのですが、生理に伴う頭痛は通常の頭痛より強く・長く・薬が効きにくい傾向があり、繰り返すなら治療で軽くできるものです。「毎月きまって寝込む」「鎮痛薬が効かなくなってきた」——そんなふうに我慢してきた方に向けて、原因と対処法をわかりやすくまとめました。

女性の片頭痛は男性の約3.6倍多く、とくに20〜40代でピークを迎えるとされます。これは、月経・妊娠・出産といったホルモンの変化が深く関わっているためです。この記事では次のことがわかります。

  • 生理頭痛(月経関連片頭痛)とは何か、いつ痛むのか(生理前・生理中・生理後)
  • なぜ生理のたびに頭痛が起こるのか(エストロゲンの変動との関係)
  • 片頭痛タイプと緊張型タイプの見分け方、正しい対処法(冷やす/温める)
  • 市販薬(ロキソニンなど)の使い方と「飲みすぎで増える頭痛」への注意
  • 病院でできる治療(ピル・トリプタン・予防薬・漢方)と、ピルを使う前に必ず確認したい安全情報
  • 「これは危ない頭痛」の受診サインと、何科を受診すればよいか

生理頭痛(月経関連片頭痛)とは

生理頭痛とは、月経の周期に合わせて繰り返し起こる頭痛の総称です。女性の片頭痛患者さんの約半数が月経と関連して頭痛を自覚するとされ、なかでも月経開始の2日ほど前から月経3日目ごろに集中して起こるものを「月経関連片頭痛」と呼びます。ふだんの片頭痛より痛みが強く、持続が長く、薬が効きにくいことが多いのが特徴です。

「生理痛のひとつ」と受け止められがちですが、下腹部の痛み(月経困難症)とは原因もメカニズムも異なります。ズキンズキンと脈打つように痛む、吐き気をともなう、光や音がつらい——そのような特徴があれば、それは片頭痛のサインかもしれません。

生理前・生理中・生理後、いつ痛む?

頭痛が出るタイミングは人によって異なり、次のように分けて考えると原因が理解しやすくなります。

タイミング起こりやすい背景
生理前(2日前ごろ〜)エストロゲンの急激な低下。月経前症候群(PMS)の一症状として、吐き気やだるさをともなうことも
生理中(開始〜3日目)ホルモンの落ち込みが続く時期で、月経関連片頭痛が最も出やすい。経血による貧血傾向も影響
生理後・終わりかけ月経による鉄不足(隠れ貧血)や、体内の水分バランス・自律神経の乱れが関わると考えられる

とくに生理後・終わりかけの頭痛は、月経で失われた鉄が不足し、酸素を運ぶ力が落ちることが一因と考えられています。経血量が多い方は、頭痛の背景に貧血が隠れていないかを確認する価値があります。これは婦人科ならではのチェックポイントです。なお、経血量が多い状態が続く場合は、子宮筋腫などの病気が背景にあることもあります。

なぜ生理のたびに頭痛が起こるのか|エストロゲンの変動

月経関連片頭痛の最大の引き金は、エストロゲン(女性ホルモン)の急激な「低下」だと考えられています。排卵後に高まったエストロゲンは、月経の前になると急激に落ち込みます。この落差が、痛みや気分に関わる脳内物質セロトニンの働きを不安定にし、脳の感覚をつかさどる神経を過敏にさせて、頭痛の発作につながると考えられています。

片頭痛は「血管が広がるから痛い」と説明されてきましたが、現在では脳の三叉神経という神経が過敏になり、CGRPという物質が放出されて炎症のような反応が起こることが痛みの中心だと理解されています。血管の変化はその結果にすぎません。ホルモンの変動は、この過敏な状態を引き起こすスイッチのような役割を果たしていると考えられます。

この仕組みは、ライフステージによる頭痛の変化ともよく一致します。初潮を境に女性の片頭痛が急に増えること、エストロゲンが高く安定する妊娠中期以降は頭痛が軽くなりやすいこと(妊娠初期の頭痛は別の記事で解説しています)、閉経すると約3分の2の方で軽快することなどは、いずれも女性ホルモンの関与を示す傍証とされています。頭痛の変化は更年期の症状のひとつとして現れることもあります。

生理頭痛のタイプと見分け方|片頭痛と緊張型頭痛

頭痛には大きく分けて「片頭痛」と「緊張型頭痛」があり、生理に伴う頭痛でも両方が起こりえます。正しく対処するには、まず自分のタイプを知ることが大切です。対処法(とくに冷やすか温めるか)が正反対になるためです。

項目片頭痛タイプ緊張型頭痛タイプ
痛み方ズキンズキンと脈打つ(片側〜両側、こめかみ中心)締めつけられる・重い(頭全体や後頭部)
吐き気・光音過敏ともなうことが多いほとんどない
動いたとき体を動かすと悪化する動くとむしろ楽になることも
おすすめの対処冷やす・暗い静かな場所で休む温める・首肩をほぐす

ざっくりした目安として、「ズキズキ+吐き気+光や音がつらい」なら片頭痛タイプ、「締めつけ+肩や首のこり+吐き気なし」なら緊張型タイプと考えられます。両方が重なることも珍しくありません。どちらかわからないときは、後述する頭痛の記録をつけて受診時に見せると、診断の助けになります。

生理頭痛の対処法・治し方|セルフケア

発作が起きてしまったときと、そもそも起こしにくくする日ごろの工夫の、両面からのケアが役立ちます。

痛くなったときの対処

  • 片頭痛タイプは「冷やす」:こめかみや後頭部を保冷剤や濡れタオルで冷やし、暗く静かな部屋で横になります。動かないほうが楽になります
  • 緊張型タイプは「温める」:蒸しタオルや入浴で首・肩をほぐします(※片頭痛の発作中に温めると悪化することがあるので注意)
  • カフェイン(コーヒーなど)は軽い発作の初期に痛みを和らげることがありますが、とりすぎ・常用は逆効果になることもあります

起こしにくくする日ごろの工夫

  • 頭痛ダイアリーをつける:頭痛が出た日を月経周期・睡眠・天気・カフェインとあわせて記録すると、自分の引き金が見えてきます。予測できれば先手を打てます
  • 睡眠リズムを一定に:寝不足だけでなく「寝過ぎ」も誘因になります。休日も平日と同じ時刻に起きるのが基本です
  • 誘因を重ねない:気圧が下がる日・寝不足・空腹・カフェインの抜けなどが重なると発作が出やすくなります。生理前後は無理を控えめに

市販薬・薬での対処|ロキソニンは効く?飲みすぎに注意

ロキソプロフェン(ロキソニン)やイブプロフェン、アセトアミノフェンといった市販の鎮痛薬は、生理頭痛にも一定の効果が期待できます。ポイントは「痛みが強くなる前の、できるだけ早いタイミングで飲む」ことです。がまんして痛みが強くなってからでは効きにくくなります。

ただし、注意したいのが「薬の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」です。鎮痛薬を頻繁に使い続けると、かえって頭痛が起こりやすい状態になり、「市販薬を飲んでも効かない」「頭痛の日が増えた」という悪循環に陥ることがあります。目安として、次の頻度を超えて鎮痛薬を使う月が続くようなら、一度ご相談ください。

  • 市販の鎮痛薬(NSAIDs・アセトアミノフェン):月15日以上
  • トリプタンや複合鎮痛薬など:月10日以上

「頭痛が増えたら、まず薬を飲んだ日数を数える」——これが、飲みすぎによる頭痛に早く気づくコツです。数えてみて多いと感じたら、薬の整理と、そもそも発作を減らす予防的な治療を検討する段階といえます。

病院でできる治療|ピル・トリプタン・予防薬・漢方

市販薬でしのぎきれない、毎月寝込む、薬の量が増えてきた——そのような場合は、医療機関での治療が選択肢になります。片頭痛には、一般の鎮痛薬とは仕組みの異なる専用の薬があります。

治療の種類特徴・向いている場合
トリプタン片頭痛に特化した発作止め。頭痛が始まって早め(痛みが軽いうち)の服用が効果的とされる
低用量ピル・ホルモン療法エストロゲンの変動をならすことで、月経に関連する発作を減らせる場合がある(※前兆のある方は下記の注意)
予防薬発作が月に何度もある場合に、そもそも起こりにくくする薬(ロメリジンなど)。効果判定には数週間かかる
抗CGRP製剤片頭痛の原因物質CGRPを狙い撃つ新しい治療。重症例の選択肢
漢方薬呉茱萸湯(冷えをともなうタイプ)や五苓散(天気・むくみをともなうタイプ)など。妊娠・授乳中でも比較的使いやすい

漢方薬は妊娠・授乳中でも比較的使いやすい選択肢です。妊娠中に使える薬・避けたい薬については別の記事で詳しく解説しています。

ピルと片頭痛|「前兆」がある人は必ず相談を

低用量ピルは月経関連片頭痛を和らげる選択肢になりますが、ここには非常に重要な安全情報があります。片頭痛のなかには、頭痛が始まる前にチカチカ・ギザギザした光が見える「前兆(閃輝暗点)」をともなうタイプがあります。

前兆のある片頭痛の方がエストロゲンを含むピルを使うと、脳梗塞のリスクが高まることが知られています。そのため、前兆のある片頭痛では、エストロゲンを含むピルは原則として使えず、ホルモンを含まない方法や黄体ホルモン単剤の薬(いわゆるミニピル。国内では自由診療での取り扱いです)などが検討されます。ピルを始める前に、「自分の頭痛に前兆があるかどうか」を必ず医師に伝えてください。この確認は、婦人科を受診する大切なきっかけになります。

また、経口避妊薬を使っている方は、片頭痛の発作止め(トリプタン)の処方を他院で断られることもあります。レディースクリニックなみなみの片頭痛診療では、産婦人科と脳神経外科の医師が連携し、ピルと頭痛治療の両面から安全に検討できる体制を整えています。ピル(低用量ピル)月経関連トラブルとあわせてご相談いただけます。

こんな頭痛は要注意|すぐ受診・救急のサイン

生理頭痛のような一次性の頭痛は命に関わることはほとんどありませんが、まれに命に関わる別の病気(くも膜下出血・脳出血・髄膜炎など)が隠れていることがあります。「いつもの頭痛」と思い込むのが最も危険です。次のようなときは、様子を見ず、すぐに医療機関を受診してください(迷ったら救急相談#7119)。

  • 突然・これまで経験したことのない・人生最悪といえる激しい頭痛
  • 手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない、視野が欠けたまま戻らない
  • 高熱をともない、首が硬くて曲げにくい
  • 頭を強く打ったあとの頭痛
  • ピルを服用中に、新しく現れた・悪化する頭痛ピルの副作用としての血栓症や脳梗塞の可能性を確認する必要があります)

「突然・人生最悪・いつもと違う」のどれかが当てはまる頭痛は、生理のせいと決めつけず、市販薬で粘らないことが大切です。

生理頭痛は何科を受診すればいい?

生理に関連する頭痛は、月経周期やホルモンが深く関わるため、婦人科・産婦人科が相談先として適しています。とくに、頭痛と一緒に月経痛やPMS、経血量の多さ(貧血)などの悩みがある場合は、まとめて相談できる婦人科が向いています。頭痛の症状が強い・神経の症状をともなうといった場合には、脳神経内科・脳神経外科と連携して診ていきます。

片頭痛治療はこの数年で大きく進歩し、「我慢する病気」から「治療で設計して付き合う病気」へと変わってきました。まずは、いまの頭痛が月経に関連したものなのか、前兆はあるのか、貧血などの背景がないかを確認するだけでも、対策の第一歩になります。忙しくて通院が難しい方は、オンライン診療も活用できます。「これくらいで受診してよいのか」とためらう必要はありません。毎月つらい思いをしているなら、それは相談してよいサインです。

よくある質問(FAQ)

生理前の頭痛は何日前から起こりますか?ピークはいつですか?

月経開始の2日ほど前から頭痛が出はじめ、月経初日から3日目ごろにかけて強くなりやすいとされています。エストロゲンが急に低下する時期にあたるためです。出方には個人差があるので、頭痛の記録をつけて、ご自身のパターンを把握しておくと対策しやすくなります。

生理中の頭痛にロキソニンなどの市販薬は効きますか?

ロキソプロフェンなどの鎮痛薬は生理頭痛にも一定の効果が期待できます。痛みが強くなる前の早いタイミングで飲むのがコツです。ただし、月15日以上(トリプタン等は月10日以上)を超えて使う月が続くと、かえって頭痛が増える「薬の使用過多による頭痛」になることがあるため、使う日数が多い場合はご相談ください。

生理のときに片頭痛(偏頭痛)が起こるのはなぜですか?

月経の前後に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に低下し、痛みに関わる脳の神経が過敏になることが引き金と考えられています。ふだんの片頭痛より強く・長く・薬が効きにくい傾向があり、これを「月経関連片頭痛」と呼びます。

生理後や終わりかけに頭痛がするのはなぜですか?

月経で鉄が失われることによる貧血傾向や、体内の水分バランス・自律神経の乱れが関わると考えられています。経血量が多い方は、頭痛の背景に隠れた貧血がないかを確認する価値があります。婦人科で相談できるポイントです。

ピルを飲むと生理頭痛は良くなりますか?

低用量ピルはエストロゲンの変動をならすことで、月経に関連する頭痛を和らげる場合があります。ただし、頭痛の前にチカチカ・ギザギザした光が見える「前兆」のある片頭痛の方は、エストロゲンを含むピルで脳梗塞のリスクが高まるため原則使えません。ピルを始める前に、前兆の有無を必ず医師にお伝えください。

生理頭痛は何科を受診すればよいですか?

月経周期やホルモンが関わるため、婦人科・産婦人科が相談先として適しています。月経痛やPMS、貧血などをあわせて相談できるのが利点です。神経の症状をともなう場合などは、脳神経内科・脳神経外科と連携して診ていきます。

まとめ

生理のたびに繰り返す頭痛の多くは、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な変動を引き金とする「月経関連片頭痛」と考えられています。生理前・生理中に強く出やすく、生理後・終わりかけの頭痛には貧血が関わることもあります。片頭痛タイプは冷やして暗い静かな場所で休む、緊張型タイプは温める——タイプによって対処が正反対になる点に注意しましょう。市販薬は早めに飲むのがコツですが、使う日数が多いとかえって頭痛が増えることがあります。

そして最も大切な安全情報として、前兆のある片頭痛の方はエストロゲンを含むピルで脳梗塞リスクが高まるため、ピルを始める前に前兆の有無を必ず確認してください。毎月つらい頭痛を我慢してきた方は、治療で軽くできる可能性があります。レディースクリニックなみなみの片頭痛診療では、産婦人科と脳神経外科が連携し、ピル・トリプタン・予防薬・漢方など一人ひとりに合った方法をご提案しています(オンライン診療にも対応)。一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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参考文献

  1. 頭痛の診療ガイドライン2021. 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 (2021). https://www.neurology-jp.org/guidelinem/headache_medical_2021.html
  2. CGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(暫定版). 日本頭痛学会 (2021). https://www.jhsnet.net/guideline_CGRP.html
  3. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 (2023). https://www.jsog.or.jp/medical/410/
  4. OC・LEPガイドライン 2020年度版. 日本産科婦人科学会 (2021). https://www.jsog.or.jp/medical/447/
  5. 国際頭痛分類 第3版(ICHD-3). 国際頭痛学会 (2018). https://ichd-3.org/
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