
執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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生理が遅れる主な理由には妊娠の可能性のほか、ストレスや生活習慣の乱れ、過度なダイエットや激しい運動、さらにはホルモンバランスの異常や婦人科系の病気など様々な要因が挙げられます。また、生理が何日遅れているかによっても対応が異なり、1〜2週間の遅れであればまず妊娠検査や生活習慣の見直しを、3ヶ月以上来ない場合は婦人科を受診することが必要です。
- 妊娠の可能性(生理が止まる最も一般的な理由)
- 強いストレスや環境の変化(ホルモンバランスが乱れ、生理が遅れる原因に)
- 過度なダイエット・激しい運動(体脂肪の急激な変化や肉体的ストレスで生理不順に)
- ホルモンバランスの異常(無排卵や早発閉経など、生理周期を乱す要因)
- 婦人科系の病気(多嚢胞性卵巣症候群や甲状腺疾患など、生理が遅れることがある)
「生理が予定日より遅れている…もしかして妊娠?」「最近ストレスが多いからかな…」「何か病気だったらどうしよう…」と、生理が遅れると不安な気持ちになりますよね。実際、生理の遅れは妊娠以外にもさまざまな原因が考えられ、さらに年齢によって起こりやすい理由も異なります。本記事では、生理が遅れる理由を年代別に詳しく解説し、それぞれの対処法や生理周期を整えるための生活習慣改善策、そして病院へ行く目安などを紹介します。不安を解消し、正しい対処をするためにぜひ最後までお読みください。
生理は何日遅れたら異常?遅れる日数と受診の目安
まず、生理が「どれくらい遅れると問題なのか」について押さえておきましょう。一般的な生理周期は25日~38日程度と言われています。個人差が大きいため、毎回ぴったり同じ日数になるとは限らず、数日程度のずれであれば心配いらないケースがほとんどです。ただし、大幅に周期が乱れる場合や1週間以上の遅れがある場合には注意が必要です。

- 生理周期の正常範囲: 25~38日程度(数日のズレは正常範囲)
- 24日以内に次の生理が来る: 周期が短すぎる状態。何らかの原因がある可能性があり、婦人科受診を検討しましょう。
- 39日以上生理が来ない: 周期が長すぎる状態。月経不順と考えられ、原因を調べるために婦人科受診をおすすめします。
生理予定日から1〜2週間遅れたら注意
生理予定日より1週間〜2週間経過しても生理が来ない場合は、普段規則正しい人なら注意が必要です。まず考えられるのは妊娠の可能性です。心当たりがある場合は市販の妊娠検査薬を使って早めに確認してみましょう。また、妊娠以外にもストレスや生活習慣の乱れ、あるいは病気などが原因で生理が遅れることもあります。妊娠検査薬で陰性だった場合は、一度生活リズムや心身の状態を振り返り、思い当たるストレス要因や生活習慣の乱れがないかチェックしてみてください。必要に応じて早めに婦人科を受診することも検討しましょう。
生理が3ヶ月以上来ない場合は婦人科受診が必要
生理が3ヶ月以上来ない状態を医学的に「続発性無月経」と呼びます。この場合、単なる生活上のストレスなどではなく、何らかの婦人科疾患が潜んでいる可能性が高くなります。例えば子宮や卵巣の病気、ホルモン分泌の異常などが原因で無月経になることがあります。3ヶ月ものあいだ生理が来ない場合は放置せず、必ず婦人科を受診しましょう。長期間の無月経を放置すると、女性ホルモン不足による骨粗鬆症や子宮内膜増殖による子宮体がんリスクが高まることがあります。
婦人科を受診すると、まずは超音波検査や血液検査で原因を調べます。超音波検査では子宮や卵巣に異常がないか確認し、血液検査でホルモン値を測定します。性経験の有無によっては腟からの超音波検査が難しい場合もありますが、その際はお腹の上から当てる方法や、必要に応じて経肛門超音波やMRI検査で詳細に評価することも可能です。無月経の原因を正確に突き止めるためにも、専門医の診察を早めに受けることが大切です。
生理周期 | 詳細 |
---|---|
25日~38日 | 一般的な生理周期の範囲です。数日のずれは個人差の範囲内です。 |
24日以内 | 生理周期が短いです。原因を特定するために婦人科を受診することをおすすめします。 |
39日以上 | 生理周期が長いです。原因を特定するために婦人科を受診することをおすすめします。 |
月経不順のメカニズムを簡単に解説
月経はホルモンバランスによって調整されています
生理が遅れる背景には、体の中で起きるホルモンバランスの乱れがあります。生理(月経)は脳からの指令によって卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の濃度バランスでコントロールされています。脳の視床下部が分泌するGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が下垂体を刺激し、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)が卵巣に働きかけて排卵を促します。排卵後は黄体からプロゲステロンが分泌され、子宮内膜を厚く維持します。この一連のホルモンのリレーがうまくいっていれば規則正しく生理が来ますが、ストレスや急激な体重変化など様々な要因でこのホルモンバランスが崩れると、生理周期が乱れたり生理が遅れたりする(=月経不順になる)わけです。
例えば、強いストレスを感じると視床下部からのGnRH分泌が抑制され、結果として排卵に必要なFSHやLHの分泌が低下します。排卵が起こらなければ当然生理(月経)も来ないため、ストレスが続くと生理が遅れる原因になります。同様に、急なダイエットで体脂肪が減りすぎるとエストロゲンの分泌に影響し、生理が止まってしまうことがあります。また、甲状腺ホルモンの異常も生理周期の調節に影響するため、甲状腺の機能低下や亢進症によっても生理不順が引き起こされます。
ホルモン | 役割 | 生理不順との関連 |
---|---|---|
GnRH (ゴナドトロピン放出ホルモン) | 下垂体にFSHとLHの分泌を促す | 分泌異常によりFSH、LHの分泌が乱れる |
FSH (卵胞刺激ホルモン) | 卵胞の成熟を促進 | 分泌異常により卵胞が正常に発育しない |
LH (黄体化ホルモン) | 排卵を促す | 分泌異常により排卵障害が起こる |
エストロゲン | 子宮内膜の増殖を促す | 分泌異常により子宮内膜が正常に増殖しない |
プロゲステロン | 子宮内膜を妊娠の準備状態にする | 分泌異常により子宮内膜が正常に維持されない |
生理が遅れる8つの理由【妊娠以外の原因も】
生理が予定日より遅れる理由には実に様々なものがあります。妊娠は最も一般的な理由ですが、それ以外にもストレスや生活習慣の乱れ、病気など複数の要因が考えられます。ここでは、生理が遅れる代表的な8つの理由について一つずつ解説します。
①:妊娠
生理が遅れてまず頭に浮かぶのは妊娠ではないでしょうか。実際、生理が遅れる最も一般的な原因は妊娠です。妊娠すると排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が持続し、子宮内膜が維持されるため生理が起こらなくなります。性行為の後に生理が来ていない場合は、まず妊娠の可能性を考えましょう。心当たりがある場合は市販の妊娠検査薬で早めに確認することをおすすめします。
②:ストレス
精神的または肉体的な強いストレスも、生理が遅れる大きな原因になります。ストレスはホルモンの司令塔である脳の視床下部や下垂体に影響を与え、先ほど述べたホルモン分泌のリズムを乱してしまいます。その結果、排卵が抑制されたり、生理周期が乱れたりして生理が遅れることがあります。仕事や人間関係、受験・勉強、家庭の悩みなど、現代社会はストレス要因が多く、心当たりがある方も多いでしょう。特に心理的なプレッシャーが長期間続く場合は、月経不順や無月経になるケースもあります。
③:過度なダイエット
極端な食事制限や急激な体重減少など、行き過ぎたダイエットも生理の遅れにつながります。体脂肪の急激な低下は体にとって大きなストレスであり、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌にも影響します。エストロゲンは一定の体脂肪量があってこそ安定して分泌される面があるため、無理なダイエットで体脂肪が減りすぎるとホルモンバランスが崩れてしまいます。その結果、生理不順や無月経を引き起こすことがあります。美容や健康のためのダイエットも、やりすぎは禁物です。
④:激しいスポーツ
一見健康的に思えるスポーツや運動も、度を超すとかえって体にストレスとなります。特にマラソンや水泳など長時間にわたる持久力系の運動、あるいは過度なトレーニングによって体脂肪が極端に減ったりエネルギー不足に陥ったりすると、生理が止まることがあります。プロのアスリートやバレリーナなど体を酷使する女性が無月経になりやすいことは知られていますが、一般の方でも毎日激しい運動を続けたり急に運動量を増やしたりすると、生理周期に影響が出る場合があります。
⑤:無排卵
生理が遅れる原因として見逃せないのが無排卵です。通常、月経は排卵が起きた約2週間後に起こりますが、何らかの原因で排卵自体が起こらないと月経が予定通りに来ません(排卵がない周期の出血を無排卵月経と呼びます)。無排卵の原因は様々で、上記のストレスや急激な体重変化はもちろん、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など卵巣の疾患によっても引き起こされます。無排卵が続くと生理が乱れるだけでなく妊娠しにくくなることもあるため、注意が必要です。
⑥:早発閉経
早発閉経とは40歳未満で閉経してしまう状態を指します。遺伝的な要因や自己免疫疾患などが原因で卵巣機能が著しく低下し、卵子が枯渇してしまうことで起こります。早発閉経になると、生理周期の乱れや生理が急に来なくなるといった症状が現れます。加えて女性ホルモンが大幅に不足するため、更年期と同様に骨粗鬆症や動脈硬化による心血管疾患リスクも高まります。若いのに生理が極端に遅れる・止まる場合は、まれではありますがこうした早発閉経の可能性も視野に入れて医療機関で検査を受けましょう。
⑦:甲状腺の疾患
首のところにある甲状腺は代謝を司るホルモンを出していますが、実は生理周期の調節にも深く関与しています。甲状腺ホルモンの分泌が不足する甲状腺機能低下症や、逆に過剰になる甲状腺機能亢進症(バセドウ病)など、甲状腺の病気になると全身のホルモンバランスが乱れやすく、生理不順や無月経が起こることがあります。特に甲状腺機能低下症では月経過多や不順が生じやすく、機能亢進症では無月経になりやすい傾向があります。疲れやすい、動悸がするといった甲状腺の症状を感じる場合は、婦人科だけでなく内科的な検査も必要かもしれません。
⑧:その他
上記以外にも、生理が遅れる理由はいくつかあります。代表的なものは婦人科系の疾患です。例えば多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や子宮内膜症、子宮筋腫などは、生理不順や生理が遅れる原因となり得ます。また、持病の治療で服用している薬剤の副作用として月経が止まることもあります。さらに、短期間での急激な体重増加や極度の肥満もホルモン環境に影響を及ぼし、生理周期を乱すことがあります。
生理が遅れているときは、まずは落ち着いて自分の状況を振り返りましょう。上記のような原因に心当たりがないか確認してみてください。どうしても原因がわからない場合や不安が強い場合は、早めに婦人科医に相談することをおすすめします。
生理が遅れているときのセルフチェックリスト
生理の遅れにつながる生活習慣や症状について、以下のセルフチェックをしてみましょう。当てはまる項目が多いほど、生理不順の原因となる要因が隠れている可能性があります。
- 強いストレスを感じている
- 過度なダイエットをしている、または極端に食事制限をしている
- 体重の増減が激しい
- 激しい運動を毎日行っている
- 睡眠不足が続いている
- 最近、生活習慣が大きく変化した(引っ越し、転職など)
- 不規則な生活を送っている(夜更かし、不規則な食事など)
- 吐き気や嘔吐などの症状がある
- 強い生理痛がある
- 不正出血がある
- 体重増加や多毛症などの症状がある
- 40代以上で、閉経が近づいていると感じる
もし複数の項目で「思い当たる」場合、何らかの要因でホルモンバランスが乱れて月経不順になっている可能性が高いです。ただし自己判断は禁物です。当てはまるものが多かったり心配な症状がある場合は、早めに婦人科を受診して専門医の診断を受けましょう。
年代別:生理が遅れる原因の傾向
生理が遅れる理由は年齢によって傾向が異なることをご存知でしょうか。同じ「生理が遅れる」という現象でも、10代と40代とでは背景にある原因が違う場合があります。ここからは年代別に、生理が遅れやすい原因を整理してみましょう。
10代に多い生理遅れの原因
10代の女性は初潮を迎えてから数年程度と、月経のリズムがまだ安定していない時期です。そのため、生理が予定より遅れることも珍しくありません。10代で生理が遅れがちな主な原因は次のとおりです。
原因 | 詳細な説明 |
---|---|
初潮後まもない不安定な周期 | 初潮からしばらくの間は、脳(視床下部・下垂体)と卵巣のホルモン分泌のリズムが未成熟です。そのため、生理周期が一定しづらく遅れが生じてもあまり心配はいりません。 |
過度なダイエット | 思春期は体型を気にして無理なダイエットをしがちな時期です。急激なダイエットによる体脂肪の低下はホルモンバランスを乱し、生理不順の原因となります。特に痩せ型志向の強い10代では注意が必要です。 |
20代に多い生理遅れの原因
20代の女性になると、月経周期は比較的安定してくる人が多くなります。しかし、社会生活が本格化することでストレスや生活習慣の乱れも増えがちです。20代で生理が遅れる主な原因は以下が考えられます。
原因 | 詳細な説明 |
---|---|
ストレスによるホルモンバランスの乱れ | 仕事や人間関係、恋愛など、様々なストレスがホルモンバランスを乱し、生理不順につながります。 |
過労や睡眠不足 | 慢性的な睡眠不足や過労は、自律神経の乱れを引き起こし、生理周期に影響を与えます。 |
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性 | PCOSは、卵巣に多くの小さな嚢胞ができる病気で、生理不順や不妊の原因となります。 |
30代に多い生理遅れの原因
30代の女性は妊娠・出産を経験する人が増え、また加齢によるホルモン変化がじわじわと始まる時期です。30代で生理が遅れる主な原因には次のようなものがあります。
原因 | 詳細な説明 |
---|---|
妊娠・出産によるホルモンバランスの変化 | 30代前半は妊娠の可能性が高い時期です。妊娠すると前述のように生理が止まりますし、出産後も授乳期間中はプロラクチンというホルモンの作用で生理が来にくくなります(産後無月経)。 |
子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患 | 30代後半になると子宮筋腫や子宮内膜症など婦人科系の病気が発症することがあります。こうした疾患は月経量の増加や不正出血だけでなく、生理周期の乱れや遅れを引き起こす場合があります。 |
40代に多い生理遅れの原因
40代の女性では、いよいよ更年期が視野に入ってきます。卵巣機能の低下が始まり、ホルモン分泌量が減少して生理周期が乱れがちになる時期です。40代で生理が遅れる主な原因は以下になります。
原因 | 詳細な説明 |
---|---|
更年期によるホルモンバランスの乱れ | 卵巣の働きが弱まり、エストロゲン分泌が減少し始めます。その影響で生理周期が不規則になったり、生理が遅れたりすることが増えます。 |
プレ更年期による生理不順 | まだ閉経前でも40代前半からホルモン分泌が変動し、生理が飛んだり遅れたりすることがあります。これをプレ更年期といい、個人差はありますが40代では誰にでも起こりうる変化です。 |

現代の女性をとりまく環境やライフスタイルは1950年代と比べて大きく変化していて、初婚年齢は29歳を超え、第一子を出産する年齢も上昇しています。日本人女性31万人、600万月経周期のビッグデータを解析した研究では、研究対象者の平均月経周期は10代から20代にかけ徐々に長くなり、23歳で平均30.7日と最も長くなりました。その後30代から40代前半にかけ徐々に短縮し、45歳で平均27.3日と最も短くなり、以降は再び長くなりました。
生理が遅れたときの対処法3選【生活習慣の改善など】
生理が遅れている場合でも、原因によっては日常生活の工夫で改善が期待できることがあります。ここでは生理不順を整えるために有効な対処法を3つご紹介します。いずれも今日から始められることなので、ぜひ試してみてください。
①:ストレス緩和を心がける
ストレスは体内のホルモンバランスに大きな影響を与え、生理の遅れを引き起こす可能性があります。具体的には、ストレス下で分泌されるコルチゾールが、排卵に必要なFSHやLHといったホルモンの分泌を抑制することがあります。また、ストレスは自律神経のバランスも乱し、それによって子宮内膜の成長にも影響を及ぼす可能性があります。
特に慢性的なストレスや強いストレスは生理不順を引き起こしやすく、精神的なストレスだけでなく、肉体的な疲労や睡眠不足なども同様の影響を与えることがあります。このため、生理の正常なサイクルを維持するためには、日々のストレス管理が重要となります。
ストレスの種類 | 生理への影響 |
---|---|
精神的なストレス(人間関係、仕事、学業など) | ホルモンバランスの乱れ、排卵障害、生理周期の乱れ |
肉体的なストレス(過労、睡眠不足、激しい運動) | ホルモンバランスの乱れ、免疫機能の低下、生理周期の乱れ |
慢性的なストレス | 長期的な生理不順、無月経、月経困難症など |
②:生活習慣を整える
改善策 | 具体的な方法 | 効果 |
---|---|---|
規則正しい生活リズムを心がける | 毎日同じ時間に寝起きし、食事をする。週末も可能な限り同じリズムを保つ。 | 体内時計を整え、ホルモンバランスの安定に繋がります。 |
栄養バランスの良い食事を摂る | 1日3食バランスの良い食事を摂る。野菜、果物、タンパク質、良質な脂質を意識して摂取する。 | ホルモンの材料となる栄養素を補給し、ホルモンバランスの乱れを防ぎます。 |
適度な運動を習慣づける | ウォーキング、ジョギング、ヨガなど、自分に合った運動を週に3回以上行う。 | 血行を促進し、ストレス軽減効果も期待できます。 |
③:ピルを活用する
生活習慣の改善を行っても生理不順が続く場合や、早く生理周期を整えたい場合には、低用量ピルの使用も選択肢になります。低用量ピルは女性ホルモンを補充する薬で、服用中は人為的に安定した周期を作り出すことができます。生理が毎月きちんと来るようになるだけでなく、経血量が減ったり生理痛が軽くなるといったメリットもあります。ただし、ピルには副作用のリスクもありますし、全ての方に適しているわけではありません。使用する際は必ず医師に相談し、自分に合った種類のピルを処方してもらいましょう。
当院でも生理不順の改善にピルを活用する方法を提案しています。ピルの詳しい効果や種類について知りたい方は、ぜひ当院の解説ページも参考にしてください。ピルの正しい知識を持ち、上手に活用することで、生理周期をコントロールしやすくなる場合があります。
生理の遅れに関するよくある質問
生理が遅れるのは病気のサインですか?
生理が遅れるからといって、必ずしも重大な病気が隠れているわけではありません。ストレスや生活習慣の乱れ、過度なダイエットなど、日常的な要因でも生理周期は乱れるものです。まずは心当たりのある原因を整理し、上記で紹介した対処法(ストレスケアや生活習慣の改善)を試してみましょう。しかし、数ヶ月以上生理が来ない、あるいは激しい腹痛や不正出血など他の症状を伴う場合は注意が必要です。子宮内膜症や子宮筋腫、甲状腺疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など何らかの病気が関与している可能性もあります。こうした場合は自己判断せず、早めに婦人科を受診して医師に相談してください。
妊娠検査薬が陰性なのに生理が遅れるのはなぜ?
妊娠検査薬で陰性だったのに生理が来ない場合、考えられる理由はいくつかあります。まず、検査のタイミングが早すぎて正確な結果が出ていない可能性があります。生理予定日から1週間以上経ってから再度検査してみましょう。それでも陰性で生理が遅れている場合は、妊娠以外の原因を疑います。例えば強いストレスや急な体重変化、寝不足が続いていないか振り返ってみてください。また、ピルの服用を中止した直後や産後・授乳中など、ホルモン環境が変化している時期も生理が乱れやすいです。いずれにせよ、生理が明らかに遅れていて妊娠ではない場合、何らかのホルモンバランス異常や体調変化が起きているサインです。心配なときは念のため婦人科を受診してみると安心でしょう。
市販薬で生理を早めることはできますか?
「生理を早く来させたい」と思って市販薬を探す方もいるかもしれませんが、自己判断での薬の使用はおすすめできません。生理不順の症状を一時的に和らげる市販薬は存在しますが、根本的な原因を解決するものではないからです。生理が遅れる原因によっては、市販薬の安易な使用でかえって症状が悪化したり副作用が出たりすることもあります。「生理が遅れて困る」という場合でも、まずは遅れている理由を突き止めることが大切です。専門医による診察を受け、必要に応じて適切な治療(ホルモン療法など)を受けるようにしましょう。
生理不順を改善するためにできることは?
生理不順の改善には、生活習慣の見直しが基本となります。すでにご紹介したとおり、規則正しい生活・栄養バランスの良い食事・適度な運動が何より大切です。また、ストレスを溜め込まないよう自分なりのリフレッシュ法を持つこと、無理なダイエットをしないことも重要です。これらを実践しつつ、それでも改善しない場合には婦人科で相談し、必要に応じてホルモン療法や漢方薬の処方を受けることも検討しましょう。市販のサプリメントなどで不足しがちな栄養素(鉄分やビタミンB群など)を補給するのも一助ですが、まずは生活習慣を整えることが先決です。
基礎体温をつけるメリットはありますか?
生理周期を把握するために基礎体温を記録することは非常に有用です。基礎体温表をつけることで自分の排卵周期やホルモン状態をある程度把握でき、妊娠を希望している場合は排卵日の予測に役立ちますし、避妊目的でも安全日を知る参考になります。さらに、基礎体温の変化パターンを見ることで生理不順の兆候やホルモン異常を早めに察知できる場合もあります。例えば低温期と高温期の差がはっきりしない場合は無排卵の疑いがありますし、高温期が極端に短い場合は黄体機能不全が疑われることもあります。基礎体温のデータは診察時に医師への有力な情報にもなります。毎朝できるだけ同じ時間に測って記録する習慣をつけてみましょう。正確な把握のためには最低3ヶ月以上続けることをおすすめします。
まとめ:生理が遅れる理由はさまざまです。1〜2週間遅れたら婦人科に相談しましょう。
生理が遅れる主な理由として、妊娠の可能性をはじめ、ストレス、過度なダイエット、激しい運動、甲状腺の異常など実に様々な要因が考えられます。また、年代によって生理が遅れる背景は異なり、10代では初潮後の周期不安定さ、20代ではストレスや生活習慣の乱れ、30代では妊娠・出産による変化、40代では更年期に伴う変化などがそれぞれ特徴的です。
生理周期を整えるためには、規則正しい生活リズムやバランスの良い食事、適度な運動といった基本的な生活習慣を心がけることが大切です。十分な睡眠と休息をとり、ストレスを溜め込まないようにしましょう。これらの工夫で改善しない場合や、明らかにおかしいと感じる場合には早めに婦人科を受診することをおすすめします。特に、生理が1〜2週間以上遅れている、あるいは強い腹痛や不正出血など気になる症状を伴うときは、できるだけ早く医療機関で相談しましょう。
当院「レディースクリニックなみなみ」でも、生理不順や月経トラブルに関する相談を承っています。低用量ピルによる治療なども可能ですので、必要な方はお気軽にご相談ください。
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執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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婦人科受診をされた場合、一般的に無月経の場合、超音波検査を行い子宮や卵巣に異常がないかの確認と、血液検査でホルモンの値を調べます。超音波検査は、性行為の経験がある場合は腟から超音波の機器を入れますが、性行為の経験がない場合は、お腹の上から超音波を当てたり、より正確に評価するためにも、肛門から超音波の機器を入れる方法もあります。もし抵抗があり、この検査を希望されない場合や、お腹の上から超音波を行なっても評価が難しい場合は、MRI検査で評価を行うことも可能ですよ。