レディースクリニック なみなみ

閃輝暗点の原因と治し方|脳梗塞との違い・ピルとの関係を医師が解説

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閃輝暗点(片頭痛の前兆)で頭痛に悩む女性
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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視界にチカチカ・ギザギザした光が現れて、だんだん広がり、20〜30分ほどで消える——この現象は「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれ、多くは片頭痛の「前兆」として起こります。命に関わるものではないことがほとんどですが、「脳梗塞のサインでは?」と不安になって検索される方が非常に多い症状です。そして実は、閃輝暗点には女性にこそ知ってほしい大切な注意点があります。閃輝暗点(前兆)のある片頭痛の方は、エストロゲンを含む低用量ピルが原則使えないのです。

この記事では、閃輝暗点の正体と原因、危険なケースの見分け方、対処法、そしてピル・女性ホルモンとの関係までを、産婦人科と脳神経外科が連携するクリニックの視点から解説します。

  • 閃輝暗点とは何か、どんな見え方をするのか
  • なぜ起こるのか(脳の神経の現象と、女性ホルモンとの関係)
  • 脳梗塞など危険な病気との見分け方・受診すべきサイン
  • 起きたときの対処法と、繰り返さないための予防
  • 閃輝暗点がある人がピルを使えない理由と、代わりの選択肢
  • 何科を受診すればよいか

閃輝暗点とは|見え方と典型的な経過

閃輝暗点とは、視界の一部にチカチカと光る点やギザギザした光の模様(稲妻・万華鏡・ガラス片のようと表現されます)が現れ、それが徐々に大きく広がりながら移動し、多くは5分〜60分以内に自然に消える視覚症状です。光っている部分は見えにくくなり、文字が読みづらい・人の顔の一部が欠けて見えるといった訴えもよくあります。

典型的には、閃輝暗点が消えたあと60分以内にズキンズキンと脈打つ頭痛(片頭痛)が始まります。これが「前兆のある片頭痛」の典型的な経過です。一方で、閃輝暗点だけが起こり、頭痛がまったく来ないケースもあり、これは中高年の方に増える傾向があります(後述)。

閃輝暗点かどうかを見分ける大事なポイントは、「片目をつぶっても見えるか」です。閃輝暗点は脳で起こる現象なので、どちらの目をつぶっても同じように見えます。もし片目だけで起こっている場合は、網膜など目そのものの病気の可能性があり、眼科での検査が必要です。

閃輝暗点の原因|脳で何が起きているのか

閃輝暗点は、目の病気ではなく脳の後頭葉(視覚をつかさどる部分)で起こる神経の現象です。「皮質拡延性抑制」と呼ばれる神経の興奮の波が、視覚野をゆっくり広がっていくことで、光の模様が動きながら広がるように見えると考えられています。閃輝暗点の光がじわじわ移動するのは、この波の広がりを反映しているのです。

かつては「脳の血管が縮んで血流が減るため」と説明されてきましたが、現在では血管の変化よりも神経の現象が主体だと理解されています。誘因としては、睡眠不足・寝すぎ・強い光・ストレス・疲労・気圧の変化・空腹などが知られています。

閃輝暗点が女性に多い理由|女性ホルモンとの関係

閃輝暗点をともなう片頭痛は、女性に多く見られます。これは片頭痛全体が女性に多い(男性の約3.6倍)ことと共通する背景があり、女性ホルモン(エストロゲン)の変動が深く関わっています。エストロゲンが急激に低下すると、痛みや感覚に関わる脳の神経が過敏になり、片頭痛や前兆(閃輝暗点)が起こりやすくなると考えられています。

そのため、月経の前後・排卵期・更年期など、エストロゲンが大きく揺れる時期に閃輝暗点が出やすい方がいます。とくに月経周期にはっきり連動して起こる頭痛は「月経関連片頭痛」と呼ばれ、通常の片頭痛より強く・長く・薬が効きにくい傾向があります。生理と頭痛の関係については、生理頭痛(月経関連片頭痛)の記事で詳しく解説しています。

更年期に増える「頭痛のない閃輝暗点」

40代以降になると、頭痛をともなわず閃輝暗点だけが起こるケースが増えてきます。若い頃に片頭痛があった方が、年齢とともに頭痛は軽くなり前兆(閃輝暗点)だけが残る、というパターンです。更年期のエストロゲンの揺らぎも影響すると考えられています。多くは心配のいらないものですが、中高年ではじめて閃輝暗点が現れた場合は、後述する脳の病気との区別のため一度受診しておくと安心です。更年期の頭痛全般については更年期の症状もあわせてご覧ください。

閃輝暗点は脳梗塞の前兆?|危険な症状との見分け方

「閃輝暗点は脳梗塞の前兆では」と心配される方が多いのですが、典型的な閃輝暗点(片頭痛の前兆)そのものは、命に関わるものではありません。ただし、見た目が似ていても、脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)・てんかんなど、別の病気による視覚異常のこともあります。次の表で典型的な閃輝暗点との違いを整理します。

項目典型的な閃輝暗点(片頭痛の前兆)要注意(別の病気の可能性)
持続時間5〜60分で自然に消える数時間以上続く/消えない
症状の広がり方じわじわと数分かけて広がる突然すべてが起こる
ともなう症状このあと片頭痛が来ることが多い手足の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない
視野の欠けやがて元に戻る視野が欠けたまま戻らない
年齢・経過以前から繰り返している中高年ではじめて起きた

次のような場合は、様子を見ずにすぐ受診してください(迷ったら救急相談#7119)。

  • 視覚の症状に加えて、手足の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない、体の片側に力が入らない
  • 視野が欠けたまま元に戻らない
  • これまで経験したことのない・突然の激しい頭痛をともなう
  • 中高年になってはじめて閃輝暗点が現れた
  • ピルを服用中に、新しく閃輝暗点や頭痛が現れた・悪化した(血栓症・脳梗塞の可能性を確認する必要があります)

閃輝暗点の治し方・対処法

閃輝暗点そのものは数十分で自然に消えるため、「消すための特効薬」は基本的に必要ありません。大切なのは、そのあとに来る片頭痛への備えと、繰り返さないための予防です。

起きたときの対処

  • 安全を確保して休む:運転中や作業中なら、無理せず安全な場所で目を休めます。光がまぶしいので、暗く静かな場所が楽です
  • 薬は「頭痛が始まったらすぐ」に:前兆(閃輝暗点)の段階で先回りして飲むのではなく、頭痛が始まったら、痛みが軽いうちのできるだけ早いタイミングで鎮痛薬やトリプタンを使うのが効かせるコツです。がまんして痛みが強くなってからでは効きにくくなります(用法は医師の指示に従ってください)

繰り返さないための予防

  • 頭痛ダイアリーをつける:閃輝暗点や頭痛が出た日を、睡眠・月経周期・天気・ストレスとあわせて記録すると、自分の引き金が見えてきます
  • 睡眠リズムを一定に:寝不足も寝すぎも誘因になります
  • 誘因を重ねない:強い光・空腹・気圧の低下・疲労が重なると出やすくなります
  • 発作が多いときは予防治療を:月に何度も繰り返す場合は、そもそも起こりにくくする予防薬という選択肢があります

閃輝暗点とピル|前兆がある人がピルを使えない理由

ここが、女性にとって最も大切な注意点です。閃輝暗点などの前兆をともなう片頭痛がある方は、エストロゲンを含む低用量ピルを使うと脳梗塞のリスクが高まることが知られています。そのため、前兆のある片頭痛では、エストロゲンを含むピルは原則として使えません。

これは「ピルが危険」という意味ではなく、前兆のある片頭痛という体質とエストロゲンの組み合わせが問題になる、ということです。すでに低用量ピルを使っている方に新しく閃輝暗点が現れた場合も、必ず処方医に相談してください。

では前兆のある片頭痛の方が避妊や月経トラブルの治療をしたい場合はどうするか。エストロゲンを含まない方法(黄体ホルモン単剤の薬、子宮内システム〈IUS〉など)が選択肢になります。どれが向いているかは一人ひとり異なるため、ピルを始める前に「自分の頭痛に前兆があるか」を必ず医師に伝えることが何より大切です。ピルの副作用や安全性については低用量ピルの副作用もご覧ください。

レディースクリニックなみなみの片頭痛診療では、産婦人科と脳神経外科の医師が連携し、頭痛の前兆の有無を確認したうえで、ピル月経関連トラブルの治療を安全に検討できる体制を整えています。

閃輝暗点は何科を受診すればいい?

基本的には、頭痛や前兆をくわしく診る脳神経内科・脳神経外科が専門です。ただし、月経周期に連動する・ピルを使っている/使いたい・更年期の症状もあるといった場合は、ホルモンの視点が欠かせないため婦人科・産婦人科での相談が適しています。とくにピルと片頭痛の兼ね合いは、両方の視点がそろってはじめて安全に判断できます。

また、片目だけで見える・視野が欠けるといった目そのものの症状が疑わしいときは眼科の検査も必要になります。当院では産婦人科と脳神経外科が連携し、必要に応じて適切な診療科につなぎます。忙しくて通院が難しい方はオンライン診療も活用できます。中高年ではじめて閃輝暗点が現れた方、ピルを使っている・検討している方は、一度ご相談ください。

よくある質問(FAQ)

閃輝暗点は脳梗塞の前兆ですか?

典型的な閃輝暗点(片頭痛の前兆)そのものは、脳梗塞の前兆ではなく、命に関わるものではありません。ただし、手足の麻痺やしびれ・ろれつが回らない・視野が欠けたまま戻らないといった症状をともなう場合や、中高年ではじめて起きた場合は、脳梗塞などの別の病気の可能性があるため、すぐに受診してください。

閃輝暗点は何分くらいで消えますか?

多くは5分から60分以内(典型的には20〜30分ほど)で自然に消えます。数秒で終わる、数時間以上続く、消えないといった場合は、片頭痛の前兆とは異なる病気の可能性があるため、受診をおすすめします。

頭痛がない閃輝暗点は放置しても大丈夫ですか?

以前から繰り返していて経過が変わらない場合は、頭痛をともなわない閃輝暗点でも過度に心配はいりません。ただし、中高年になってはじめて現れた場合や、症状の出方がこれまでと変わった場合は、脳の病気との区別のため一度受診しておくと安心です。

閃輝暗点がある人はピルを飲んでもいいですか?

閃輝暗点などの前兆をともなう片頭痛がある方は、エストロゲンを含む低用量ピルで脳梗塞のリスクが高まるため、原則として使えません。エストロゲンを含まないピルを飲む選択肢があります。ピルを始める前に、自分の頭痛に前兆(閃輝暗点)があるかどうかを必ず医師にお伝えください。すでにピルを使っていて新しく閃輝暗点が現れた場合も、処方医にご相談ください。

閃輝暗点と女性ホルモンは関係ありますか?

関係があります。女性ホルモン(エストロゲン)の急激な変動は、痛みや感覚に関わる脳の神経を過敏にし、片頭痛や前兆(閃輝暗点)を起こしやすくします。月経前後・排卵期・更年期などホルモンが大きく揺れる時期に出やすい方がいます。

閃輝暗点は何科を受診すればよいですか?

頭痛や前兆をくわしく診る脳神経内科・脳神経外科が専門です。ただし、月経周期に連動する、ピルを使っている・使いたい、更年期の症状もあるといった場合は、婦人科・産婦人科での相談が適しています。ピルと片頭痛の兼ね合いは両方の視点がそろってはじめて安全に判断できます。

まとめ

閃輝暗点は、視界にチカチカ・ギザギザした光が広がり、多くは5〜60分で消える、片頭痛の前兆として起こる脳の現象です。典型的なものは命に関わりませんが、手足の麻痺や言葉の障害をともなう場合、視野が欠けたまま戻らない場合、中高年ではじめて起きた場合は、脳梗塞などとの区別のためすぐに受診してください。女性では、エストロゲンの変動が閃輝暗点の背景にあることが多く、月経・更年期との関わりも深い症状です。

そして最も大切な注意点として、前兆(閃輝暗点)のある片頭痛の方は、エストロゲンを含むピルで脳梗塞リスクが高まるため、ピルを始める前に前兆の有無を必ず確認してください。レディースクリニックなみなみでは、産婦人科と脳神経外科が連携し、頭痛・ピル・ホルモンの両面から安全にご相談いただけます(オンライン診療にも対応)。気になる方は、一人で抱え込まずお気軽にご相談ください。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
総監修者について詳しく見る 

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参考文献

  1. 頭痛の診療ガイドライン2021. 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 (2021). https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_2021.pdf
  2. 頭痛診療ガイドライン2021. 日本神経学会 (2021). https://www.neurology-jp.org/guidelinem/headache_medical_2021.html
  3. 片頭痛(疾患・用語編). 日本神経学会 脳神経内科の主な病気. https://www.neurology-jp.org/public/disease/zutsu_detail.html
  4. OC・LEPガイドライン2020年度版(禁忌・慎重投与). 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会 (2021). https://www.jsog.or.jp/medical/410/
  5. 頭痛の診療ガイドライン2021(要約). Mindsガイドラインライブラリ (2022). https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00689/
  6. Medical eligibility criteria for contraceptive use, 5th edition. World Health Organization (2015). https://www.who.int/publications/i/item/9789241549158
  7. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). International Headache Society. https://ichd-3.org/
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