執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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タイミング法とは、排卵日に合わせて性交のタイミングを取ることで自然妊娠を目指す方法です。排卵が起こる最も妊娠しやすい時期に合わせて夫婦生活を持つことで、妊娠の可能性を高めます。特に排卵が規則的で大きな不妊原因が見当たらないカップルに適した、妊活の第一歩となる方法です。
「自己流でタイミングを取っているけど合っているのか不安」「何回くらい試せば妊娠できるの?」「排卵日はどうやって特定すればいいの?」――そのような疑問や不安をお持ちではありませんか?本記事では、タイミング法の基本から成功率、効果的な続け方やコツまでを医学的根拠に基づいてやさしく解説します。焦らず一歩ずつ妊活を進められるよう、クリニックでできるサポートや次のステップについても紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること:
- タイミング法の基本と不妊治療(人工授精など)との違い・成功率
- タイミング法はいつから始めて何回くらい試すべきか、その目安
- 排卵日の予測方法とタイミング法の具体的な流れ(3つのステップ)
- タイミング法の妊娠率を上げる5つのコツ(生活習慣や栄養など)
- タイミング法で妊娠しない場合の対処法と次の治療ステップの考え方
- 当院(レディースクリニックなみなみ)で提供できるサポート内容
- タイミング法に関するよくある質問とその回答(Q&A)
「タイミング法」とは?排卵日に合わせて自然妊娠を目指す方法
タイミング法とは、排卵のタイミングに合わせて夫婦生活を持つことで妊娠を促す方法です。女性の排卵日は月に一度で、排卵された卵子の寿命は約24時間、精子は体内で約72時間生きられます。このわずかな受精可能な期間に合わせて性交を行い、もっとも妊娠しやすいタイミングで受精の機会を逃さないようにするのがタイミング法です。医療機関でのタイミング指導では、医師が超音波検査やホルモン検査を用いて排卵日を予測し、排卵の1~2日前から当日にかけての「妊娠しやすい期間」に合わせて性交のタイミングを指導します。これは自然な性交による妊活方法であり、体への負担も少なく済みます。
タイミング法は不妊治療の中でも最初のステップとして行われることが多く、特に妊活を始めたばかりのご夫婦に適した方法です。卵管や精子の状態に大きな問題がなく自然妊娠の可能性が十分ある場合に実施される方法であり、まずは「そろそろ赤ちゃんが欲しいな」と思ったときに気軽に始められる妊活といえるでしょう。一方で、明らかな不妊要因(例:排卵障害や卵管閉塞、重度の精子異常、高年齢など)がある場合は、タイミング法では妊娠が難しいため最初から別の治療を検討するケースもあります。
「タイミング法」と「不妊治療(人工授精など)」の違い
タイミング法と、次の段階の不妊治療である人工授精(AIH: 配偶者間人工授精)などには方法や適応、妊娠率に違いがあります。以下の表にまとめました。
| 比較項目 | タイミング法 | 不妊治療(人工授精など) |
|---|---|---|
| 方法 | 自然な性交で排卵日にタイミングを合わせる | 採取・調整した精子を子宮内に直接注入し受精を助ける |
| 対象 | 妊娠希望で不妊原因が特に見当たらない初期段階のご夫婦 | タイミング法で妊娠に至らなかった場合や軽度の男性因子などがある場合 |
| 成功率 (1周期あたり) | 約10~20% (若年層での目安) | 約5~10%程度と低め (※女性の年齢等で変動し、高齢ではさらに低下) |
タイミング法はいつから始める?どのくらい続ける?
「赤ちゃんが欲しい」と思ったときがスタート
タイミング法は特別な準備を要しない自然な妊活法ですので、妊娠を望んだそのときから始めることができます。避妊をせず定期的に性交渉を持っていれば妊娠の可能性はありますが、タイミング法では排卵日付近に狙いを定めることで妊娠確率を高めます。妊活を始めたばかりの方は、まず基礎体温をつけたり排卵日を予測したりして、「今月からタイミングを意識してみよう」と前向きにチャレンジしてみましょう。
妊活中の男女が医療機関の指導のもとタイミング法を行った場合、1回の月経周期あたりの妊娠成功率は一般に約10~20%とされています。つまり10組に1~2組が1周期で妊娠できる計算で、決して高い確率ではありません。6か月続けると累積妊娠率は約50%に達しますが、その後は横ばいになる(頭打ちになる)ことが報告されています。多くのカップルでは半年~1年以内に自然妊娠するケースが多いものの、裏を返せば1年試しても妊娠しない場合も珍しくないということです。焦らず、しかし長引くようなら原因の有無を専門医に相談する姿勢が大切です。
何回・どのくらい試せばいい?
ではタイミング法は何周期くらい試すのが目安でしょうか。一般的には、奥様が35歳未満であれば約1年間(=約12周期)試みて妊娠しなければ不妊検査や治療を検討するとされています。実際、不妊の定義も「避妊せず性交して12か月妊娠しない状態」とされており、1年経っても授からない場合には何らかの原因が潜んでいる可能性があります。一方、奥様が35歳以上の場合は卵子の質低下により妊娠率が下がるため、約6か月タイミングを試しても妊娠に至らなければ早めに専門医を受診することが勧められます。特に37~38歳以上や不妊期間が長い場合は、タイミング法に固執せずできるだけ早く次のステップへ進むことが推奨されます。
目安として、20~30代前半であれば半年~1年で約70~80%の方が妊娠に至るとのデータがあります。例えば30歳前後のカップルでは、タイミング法を1年間続ければ7~8割が妊娠できる計算です。しかし35歳を過ぎると妊娠率は顕著に低下し、時間だけが過ぎてしまうリスクもあります。35歳以上では3~6周期試して成果が出なければ次の手段を検討するなど、年齢に応じた切り替えも大切です。悩んだときは一人で抱え込まず、早めに医療機関へ相談しましょう。
成功率の目安と年齢による違い
年齢は妊娠率に大きく影響します。女性の妊娠しやすさは20代がピークで、30歳以降徐々に低下し、35歳を超えると顕著に下がります。ある調査によると、1周期あたりの自然妊娠率の中央値は以下のように報告されています:
| 年齢 | 確率 |
|---|---|
| 24歳以下 | 約18%(約5~6組に1組) |
| 25~29歳 | 約13% |
| 30~34歳 | 約10% |
| 35~39歳 | 約6% |
| 40歳以上 | 約1% |
若年ほど妊娠しやすい傾向があり、35歳を超えると短期間での自然妊娠の可能性は低くなっていきます。例えば35歳女性の自然妊娠率はおよそ6~10%前後、40歳では5%以下とも言われ、45歳以上になるとほぼ0に近づきます。また、年齢が上がると流産率も高まり、35歳で約20%、40歳では約40%にも達します。以上のことから、年齢に応じて妊活期間の目安を考えることが重要です。若い方は1年程度はタイミング法を続けても良いですが、高齢の場合は数か月単位で区切って効果を見極め、ステップアップを急ぐことが後悔しない妊活につながるでしょう。
タイミング法の流れと3つのステップ【妊活の基本】
タイミング法に取り組む際は、以下の3つのステップで進めるとスムーズです。排卵日を予測し、適切なタイミングで仲良しを持ち、その結果を記録・振り返る――このサイクルを毎月続けることで妊娠のチャンスを最大限に活かします。
ステップ1:排卵日を予測する
まずは排卵日を予測することから始めましょう。排卵日を知るための主な方法には次のようなものがあります:
基礎体温の記録
毎朝起床前に婦人体温計で基礎体温を測り、グラフに記録します。排卵が起こると黄体ホルモンの作用で体温が0.3~0.5℃ほど上昇し、高温期に入ります。低温期から高温期への移行で「排卵が起きた」ことが確認できるため、自分の排卵周期を把握するのに役立ちます。ただし基礎体温は「過去の排卵」を知る指標のため、ピンポイントで排卵日を当てるのは難しい面もあります。ストレスや睡眠不足でも変動するため、「リズムの傾向をつかむ」くらいの気持ちで続けましょう。
排卵検査薬(LHサージ検査)
尿中の黄体形成ホルモン(LH)の濃度変化を検出し、排卵直前の「LHサージ」を捉える検査薬です。尿をかけるだけで判定ラインが出る簡易キットで、陽性が出たら「約24~36時間以内に排卵が起こる可能性が高い」ことを示します。使用開始日は次回生理予定日の17日前が目安です。これは一般的な製品説明書にも記載されている計算法で、排卵日は通常、生理予定日の14日前頃に起こるため、安全策としてさらに3日前から検査を始める考え方です。例えば生理周期が28日の方は、生理開始日を1日目と数えて11日目(=次回生理予定日の17日前)から検査薬を使い始めます。以降は毎日ほぼ同じ時間帯(朝10時以降が推奨)に検査し、陽性反応が出たらその日と翌日にタイミングを取りましょう。排卵検査薬は正しく使えばタイミング法の成功率アップに役立つ心強いツールです。詳しい使い方は当院コラム「排卵検査薬の正しい使い方」も参考にしてください。
超音波検査で卵胞チェック
より正確に排卵日を知りたい場合は、産婦人科で経腟超音波検査を受けましょう。医師が卵巣内の卵胞(卵子が入った袋)の大きさを計測し、成熟度合いから排卵日を予測します。卵胞が約18~20mmに成長すると排卵間近と判断できます。また、超音波検査は排卵済みかの確認にも有用で、排卵後は卵胞が消えて黄体に変化する様子が映ります。必要に応じて血中ホルモン検査も併用し、排卵直前のLHサージや黄体形成を確認することも可能です。病院では排卵日までに数回通院してタイミング指導を行い、場合によっては排卵を促す薬(排卵誘発剤)を使うこともあります。
これらの方法を組み合わせて、自分の排卵パターンを把握しましょう。最初は難しく感じるかもしれませんが、基礎体温と検査薬の併用でかなり精度高く予測できるようになります。また、生理不順や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で排卵日予測が難しい場合でも、排卵誘発剤を使って排卵を促しタイミング法を行うケースもあります。医師と相談しながら、自分に合った方法で排卵日予測に取り組んでみましょう。
ステップ2:ベストなタイミングを取る
排卵日が予測できたら、その前後の「妊娠しやすい期間」に合わせて夫婦生活を持ちます。一般にもっとも妊娠しやすいのは排卵日の1~2日前であることが分かっています。排卵の6日以上前や排卵翌日以降では妊娠率が0%で、逆に排卵前日の妊娠率がピークになるとの報告があります。精子は女性体内で数日生存できるため、卵子が排卵されたときに卵管内ですでに精子が待機している状態が理想的だからです。そのため「陽性反応が出た翌日」や「排卵日当日」では少し遅く、むしろその前日から2日前にタイミングを取る方が妊娠率が高まります。
では具体的な性交頻度はどのくらいが良いのでしょうか。米国生殖医学会の見解では、排卵日の約4日前から前日までの間に1~2日おきの性交を持つのが望ましいとされています。この期間(いわゆる「受精可能期間」)に毎日タイミングを取る必要はなく、精子の質を保つためにも1~2日間隔で十分です。1日おきでも卵子と精子の寿命を考えれば充分にチャンスは確保できます。逆に「この日だけ!」と特定の1日に絞るより、多少幅を持たせて複数回タイミングを重ねる方が妊娠の確率は高まります。
加えて、性交の体位や射精後の安静時間などは妊娠率に影響しないことも分かっています。よく「終わった後はしばらく横になった方がいい?」などと心配されますが、そのような要因よりもタイミングの合致が何より重要です。緊張しすぎず夫婦でリラックスして過ごし、仲良しの機会をもつようにしましょう。どうしても仕事などの都合で頻繁にタイミングを取れない場合は、排卵日予測ツールを上手に活用してチャンスを逃さないよう工夫してください。
ステップ3:継続的に記録・振り返りを
タイミングを取ったあとは、その結果を記録し振り返ることも大切です。基礎体温表や妊活アプリを活用して、「いつ陽性反応が出ていつタイミングを持ったか」「高温期は何日続いたか」などを記録しましょう。毎周期のデータを蓄積することでご自身の排卵パターンが見えてきますし、もしクリニックを受診する際にもその情報が診断の助けになります。
また、数周期タイミング法を試してもうまく妊娠に至らない場合は、一度その記録を持って医師に相談してみることをおすすめします。タイミング法の妊娠率は1周期あたり決して高くなく、すぐに結果が出なくても不思議ではありません。しかし「しっかり指導通りタイミングを取っているのにできない」という場合、排卵そのものがうまくいっていない、卵管や精子に何らかの問題があるなど、タイミング以外の要因が関与している可能性もあります。そのため6か月~1年経っても妊娠しない場合はもちろん、「タイミングの取り方に自信が持てない」「プレッシャーで夫婦関係がぎくしゃくしてしまう」といった場合も、早めに医療機関へ相談しましょう。
実は、妊娠を目的とした性交渉は男女ともに大きな心理的ストレスとなりえます。中にはタイミングがプレッシャーとなって勃起不全(ED)気味になってしまう男性もおり、頑張りすぎが裏目に出るケースも少なくありません。そうした際は一人で抱え込まず、医師に正直に打ち明けてみてください。状況に応じてタイミング法以外の対処法(排卵誘発や人工授精など)を提案してもらえる場合もあります。妊娠というゴールに向けて、柔軟にステップを考えていくことも重要です。
タイミング法の成功率を上げる5つのコツ
タイミング法による妊活は、基本的には自然な方法ですが、日々の生活習慣やコンディションによって妊娠しやすさが左右されることも事実です。ここでは、タイミング法の成功率アップに役立つ5つのポイントを紹介します。ご自身だけでなくパートナーと二人三脚で取り組んでみてください。
1. 妊娠しやすい生活習慣を整える(睡眠・食事・運動)
規則正しい生活は妊活の基本です。十分な睡眠とバランスの良い食事、適度な運動習慣を心がけましょう。睡眠不足や過労はホルモンバランスを乱し排卵に影響しますし、極端なダイエットや偏食は栄養不足を招いて妊娠力を低下させます。軽い有酸素運動やストレッチは血行を良くし、基礎代謝やホルモン分泌の正常化につながります。
体重管理も重要なポイントです。女性の場合、痩せ過ぎだと貧血や骨粗しょう症の原因になるうえ、太り過ぎだと糖尿病や高血圧のリスクが高まり妊娠率が下がることが知られています。男性も肥満になると精子の数や運動性の低下が報告されており、適正体重の維持はカップル双方にとって大切です。目安としてBMI(体格指数)18.5~25未満が適正体重とされています。妊娠しやすい体づくりのため、無理のない範囲で体重をコントロールしましょう。
また、喫煙や過度な飲酒は妊孕性(妊娠する力)に悪影響を及ぼします。女性では喫煙により不妊リスクが高まり閉経が数年早まるとの報告もあり、卵子数の減少や質の低下が懸念されます。男性でも喫煙は精子の濃度・運動率を低下させ形態異常を増やす可能性があります。アルコールも適量(一般に1日ビール中瓶1本程度)までにとどめ、カフェインも摂りすぎないよう注意しましょう。妊娠を目指すなら夫婦で協力して禁煙・節酒に取り組むことをおすすめします。
2. 葉酸・鉄・ビタミンなど栄養バランスを意識
妊活中の食事では、妊娠に必要な栄養素を意識的に摂ることが大切です。中でも葉酸と鉄分は特に重要な要素です。
葉酸
ビタミンB群の一種で、細胞分裂やDNA合成に関与します。葉酸は妊娠初期の胎児の神経管閉鎖障害リスクを減らす効果があり、厚生労働省も「妊娠を計画している女性は妊娠1ヶ月前から1日400µgの葉酸を追加摂取することが望ましい」と推奨しています。食事から摂れる葉酸(緑黄色野菜などに含まれる)だけでは不足しがちなため、妊活中~妊娠初期にはサプリメントで補うようにしましょう。葉酸は赤血球形成を助け貧血予防にも有用で、結果的に子宮や胎盤への血流改善にもつながります。
鉄分
鉄は血液のヘモグロビンの構成成分であり、不足すると鉄欠乏性貧血を起こします。鉄分が不足すると妊娠率が低下するとの報告もあり、妊活中は積極的に摂取したい栄養素です。特に月経がある女性は毎月鉄を失うため、貧血ではなくても「隠れ貧血」で体内鉄貯蔵が足りていないケースが多いです。妊娠を望む方は血液検査でフェリチン値(体内の鉄貯蔵量)をチェックし、必要に応じて鉄剤や食事で補いましょう。鉄分豊富なレバーや赤身肉、魚、大豆製品、ほうれん草などをバランス良く摂取し、合わせてビタミンC(鉄の吸収を助ける)もしっかりとりましょう。
その他のビタミン・ミネラル
その他のビタミン・ミネラル:ビタミンDや亜鉛、ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンCなども妊活をサポートする栄養素です。ビタミンDは不足すると妊娠合併症のリスク増加が指摘されており、適切な血中濃度の維持が望ましいという報告があります(※ただしサプリ摂取は過剰にならないよう注意が必要)。亜鉛は細胞分裂やホルモン生成に関与し、不足すると卵子や精子の質低下につながる可能性があります。ビタミンEやCは抗酸化作用により卵子・精子の酸化ダメージを軽減する効果が期待されます。基本はバランスの良い食事でこうした栄養素をまんべんなく摂ることが理想です。不足しがちな場合のみサプリメントで補いましょう(用法容量を守り過剰摂取に注意)。
3. ストレスを溜めすぎない
過度なストレスは妊活の大敵です。精神的ストレスが続くと自律神経やホルモン分泌が乱れ、女性では排卵障害や月経不順、男性では精子形成障害などを引き起こす可能性があります。実際、女性は強いストレスで性腺刺激ホルモンの分泌が抑制され無排卵になる場合がありますし、男性もストレスでテストステロン(男性ホルモン)が低下し精子数や運動率の低下を招くことが知られています。
妊活中は結果が出ないこと自体がストレスになりがちですが、意識的にリラックスする時間を持つことが大切です。十分な睡眠を確保して体と心を休め、趣味や軽い運動で気分転換を図りましょう。リラクゼーション法(深呼吸、ヨガ、瞑想、アロマテラピー等)を取り入れるのも効果的です。夫婦でおいしいものを食べに行ったり小旅行をしたりして、「妊活のことを一旦忘れる日」を作るのも良いでしょう。お互いに思いやりの気持ちを持ち、頑張りすぎない妊活を心掛けてください。
また、周囲の妊娠報告や世間のプレッシャーに過度に反応しないことも大事です。妊活の状況は夫婦によって様々であり、他人と比較する必要はありません。自分たちのペースを大切にしつつ、辛いときは一人で抱え込まず専門家(医師やカウンセラー)に相談しましょう。メンタルケアも妊活成功への重要なステップです。
4. 体を冷やさない・血流を促す
「冷え」は妊活の大敵と言われます。体温が低い・手足が冷えると感じる人は、温活(体を温める習慣)を取り入れて血行改善を図りましょう。身体が冷えると血行不良により卵巣の機能低下やホルモン分泌の乱れを招き、卵子の質低下や排卵障害につながる可能性があります。結果的に妊娠の確率が下がる恐れがあるため、妊活中はできるだけ体を冷やさない工夫が必要です。
冷え対策としては、以下のような方法があります:
入浴で体を芯から温める
シャワーだけで済まさず、できれば毎日湯船に浸かりましょう。38~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり10~15分浸かると、血行が良くなり基礎体温が上がりやすくなります。半身浴も効果的です。夏場でも冷房で体は冷えますので、季節に関係なく入浴習慣を続けてください。
衣服で冷えを防ぐ
お腹や足首、首周りなど冷えやすい部位を重点的に保温しましょう。腹巻きやレッグウォーマー、マフラーなども活用してください。特に下半身が冷えると子宮や卵巣の血流が悪くなると言われています。寝るときも靴下を履くなど、冷えを感じない工夫をしましょう。
体を温める食材を摂る
根菜類(人参、ごぼう、生姜など)や発酵食品、スパイス類(生姜、シナモン)など、体を内側から温める食材を積極的に取り入れましょう。反対に白砂糖やカフェインの過剰摂取、生野菜や南国のフルーツなど身体を冷やす食材の摂りすぎにも注意が必要です。栄養バランスを保ちながら、できる範囲で温かい食事を心掛けてください。
適度な運動で血流促進
ウォーキングやストレッチ、ヨガなどで筋肉を動かすことも血行改善に役立ちます。特に骨盤周りの筋肉をほぐすと子宮への血流がアップすると言われます。無理のない範囲で日常的に体を動かし、「血液が全身を巡る状態」を維持しましょう。
温活によって基礎体温が少し上がるだけでも、子宮や卵巣の働きが良くなりホルモンバランスが整うと考えられます。また温めることでストレス軽減やリラックス効果も期待でき、結果的に自律神経やホルモンの安定につながります。冷え性の方は妊活を機に体質改善に取り組み、「冷えにくい体づくり」を目指しましょう。
5. パートナーも一緒に体調を整える
妊活は女性だけの努力では成り立ちません。男性側のコンディションも妊娠率に直結します。パートナーの方もぜひ自分の健康管理に目を向け、二人で協力して妊娠しやすい環境を整えましょう。
まず、男性も健康的な生活習慣を送ることが大切です。十分な睡眠・バランスの良い食事・適度な運動は、精子の質に良い影響を与えます。男性の喫煙・飲酒は精子数や運動率の低下、奇形精子の増加に関連するとされ、過度の飲酒も精巣機能に悪影響を及ぼします。妊活期間中だけでも禁煙・節酒に努めることが望ましいです。また、男性の肥満も精子の質を下げる一因となります。適正体重の維持や筋力アップ(適度な筋トレ)は男性ホルモンの分泌改善にも役立つでしょう。
さらに、男性の場合は精巣(睾丸)を高温にしすぎないこともポイントです。精巣内の温度は体温より2~6℃ほど低い状態が精子形成に適しており、下半身を必要以上に温めない工夫が必要です。具体的には、締め付けの強い下着や長時間の入浴・サウナを控える、ノートパソコンを膝の上に載せて作業しない、長時間同じ姿勢で座り続けない、といった点に気を付けましょう。就寝時もスマートフォンや電気毛布で局所を温めすぎないよう注意してください。
精神面でも、奥様への思いやりと協力が不可欠です。タイミング法はどうしても「子作り」という目的意識が強くなりがちですが、プレッシャーを感じてしまう男性もいます。「うまくできなかったらどうしよう」と不安になると逆に勃起しづらくなる場合もあります。もしパートナーにそういった不安が見られるときは、責めたり焦ったりせず、一緒にリラックスできる雰囲気作りを心掛けましょう。コミュニケーションを密にし、お互いの気持ちを理解し支え合うことが何より大切です。必要に応じて不妊カウンセリングを利用したり、医師に相談して男性側のケア方法(精液検査や必要なら治療)についてアドバイスをもらうのも良いでしょう。
まとめると、妊活は二人三脚。お二人ともが健康的な生活を送り、協力し合うことがタイミング法成功のカギです。
タイミング法がうまくいかないときは?
タイミング法を数ヶ月試してもうまくいかない場合、次の一手を考える必要があります。妊娠成立には様々な要因が関わるため、「タイミングは合っているはずなのになぜ?」というときには専門的な検査・対応で原因を探ることが大切です。
医療機関で排卵の確認を
まず排卵が確実に起きているかを確認しましょう。自己流の排卵予測ではタイミングがずれていたり、何らかの理由で排卵自体がうまく起こっていない可能性もあります。産婦人科を受診すれば、経腟超音波で卵胞の発育や排卵の有無をチェックできますし、血液検査で排卵に関わるホルモン(LHサージや黄体ホルモン値など)を測定することもできます。排卵障害(無排卵や排卵遅延など)が見つかれば、排卵誘発剤の使用など適切な治療に移行できます。
また、病院でタイミング指導を受けることでタイミングの取り逃しを防ぐメリットもあります。「自分では排卵日を特定しづらい」という方は、ぜひ早めに医師に相談してみてください。医療機関では排卵日前に数回来院するスケジュールで指導を行うため、より正確なタイミングでのトライが可能です。超音波検査とホルモン検査を併用すればかなりの精度で排卵日を予測できますし、必要に応じてhCG注射で排卵を促すこともできます。「自分ではタイミング法がうまくできていないかも…」という場合も、遠慮なく医師に現状を伝えましょう。妊娠を目的とした性交で男性側がプレッシャーを感じるケースも少なくありませんが、その場合も含め医師が適切な対処法を提案してくれるはずです。
ホルモンバランスや卵管・精子の状態をチェック
タイミング法で妊娠しない背景には、不妊の原因となる要因が潜んでいることがあります。女性側・男性側それぞれの検査を受け、問題がないか確認しましょう。
一般的な不妊検査としては、以下のような項目が挙げられます:
ホルモン検査(内分泌検査)
血中のFSH・LH・エストロゲン・黄体ホルモン・プロラクチン・甲状腺ホルモンなどを測定し、排卵障害やホルモン異常がないか調べます。
卵管疎通性検査
子宮卵管造影検査(HSG)や通水(通気)テストで卵管の通りを確認します。卵管が詰まっていると、卵子と精子が出会えず妊娠できません。HSGは造影剤を子宮腔に注入してレントゲン撮影し、卵管の通過性や子宮の形態異常を調べる検査です。
子宮頸管粘液検査(フーナーテスト)
排卵期に性交渉を持った後、女性の頸管粘液内に精子が生存・泳いでいるかを確認する検査です。近年は重視されなくなりましたが、頸管粘液の状態や精子との適合性をみます。
子宮内診検査
経腟超音波や必要に応じて子宮鏡検査で子宮内膜ポリープや子宮筋腫、子宮形態異常(中隔子宮など)がないかをチェックします。着床環境に問題がないか調べる目的です。
精液検査
男性側の精子濃度・運動率・形態異常率などを評価します。WHO基準に基づき、精子の数や運動性が正常範囲かを確認します。精子に著しい異常があれば、タイミング法や人工授精では妊娠が難しく、体外受精などが必要になることもあります。
これらの一次スクリーニング検査で大きな問題が見つからなければ、「原因不明不妊(検査では原因が特定できないが妊娠に至らない状態)」と考えられます。一方で何かしら異常が見つかった場合、その原因に応じた治療(排卵誘発、子宮内膜症の治療、精索静脈瘤の治療など)を行うことになります。不妊の原因は一つとは限らず、男女双方にまたがる場合もあります。タイミング法がうまくいかないと感じたら、早めに一通りの検査を受けてみることをおすすめします。
次のステップ(排卵誘発・人工授精など)を検討
タイミング法で妊娠に至らなかった場合、次の不妊治療へステップアップするタイミングです。一般的には「人工授精(AIH)」が次のステップになりますが、個人の状況によっては早期に体外受精(IVF)へ移行することもあります。
排卵誘発剤の活用
排卵障害がある場合や、より妊娠率を高めたい場合には、排卵誘発剤を使って卵胞を育てタイミング法を行うことがあります。クロミフェンやレトロゾールといった内服薬やhMG注射などで卵胞発育を促し、hCG注射で排卵を誘発してからタイミングを取る方法です。誘発剤により1周期あたりの妊娠率向上が期待できますが、副作用(多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群など)のリスクもあるため、医師と相談しながら進めます。
人工授精(AIH: 配偶者間人工授精)
タイミング法から次に進む代表的治療です。ご主人から採取した精液を洗浄濃縮し、運動の良い精子を選んで子宮内に注入します。性交を介さず直接子宮に精子を届けることで、精子が卵管まで到達する手助けをする方法です。精子数がやや少ない方や頸管粘液に問題がある場合、性交障害があるケースなどで有効とされます。人工授精の1回あたり妊娠率はおよそ5~10%と高くはありませんが、3~6回程度まで試みて妊娠しなければ次は体外受精へ進むのが一般的です。女性の年齢が高い場合は人工授精を飛ばして最初から体外受精を検討することもあります。
体外受精・顕微授精(IVF/ICSI)
卵管の問題や高度な男性不妊因子、またタイミング法・人工授精で妊娠に至らなかったケースでは体外受精へ進みます。体外受精は排卵誘発で複数の卵子を採取し、体外で精子と受精させてから子宮に胚を戻す方法です。1回の胚移植あたり妊娠率は若年なら20~40%程度と比較的高く、成功すれば確実に次のステージ(妊娠)へ進めます。顕微授精は体外受精の一種で、精子を卵子に直接注入する方法(重度男性不妊向け)です。費用や体への負担は大きいですが、原因不明不妊や高齢不妊などでは最も確実性の高い手段となります。
このように不妊治療には段階があります。ポイントは「適切なタイミングでステップアップする」ことです。ダラダラと同じ方法を続けて時間を浪費しないよう、医師と相談しながら計画的に進めましょう。特に女性の年齢因子は大きいため、年齢が上がるほど早めの治療切り替えが重要です。タイミング法がうまくいかないと感じたら、遠慮なく次の選択肢について専門家に意見を求めてください。
レディースクリニックなみなみでできるサポート
当院「レディースクリニックなみなみ」では、妊活中の皆様に対しきめ細やかなサポートを提供しております。タイミング法で頑張るご夫婦を全力で応援し、必要に応じて次のステップへの橋渡しもいたします。当院で可能なサポート内容の一例をご紹介します。
排卵日予測・超音波チェック
自分では判断が難しい排卵日の予測を、経験豊富な医師がサポートします。経腟超音波検査で卵胞の大きさをチェックし、「いつ頃排卵しそうか」をお伝えします。必要に応じて尿中LH検査や血中ホルモン測定も行い、より正確なタイミング指導を実施します。排卵直前の診察でタイミングの指示を行い、排卵後にはきちんと排卵したかも確認します。超音波検査は痛みもなく数分で終わる検査ですので、安心して受診してください。
また、患者様のご希望や状態に応じて排卵誘発剤の使用も検討します。タイミング法の効果を高めるため、軽い排卵誘発(内服薬など)を用いることがあります。複数周期の指導を通じて最適な方法をご提案しますので、一人で悩まず何でもご相談ください。
ホルモン検査・精液検査
妊活の経過に応じて、必要な不妊検査も当院で受けていただけます。タイミング法を一定期間試して妊娠に至らない場合、以下のような検査を適宜行い原因の有無を調べます。
ホルモン検査
生理周期に合わせて採血を行い、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)、プロラクチン、甲状腺ホルモンなどの値を測定します。排卵障害や高プロラクチン血症、甲状腺機能異常などがないかを確認します。
超音波検査
卵巣や子宮の状態を超音波で観察します。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や子宮筋腫・子宮内膜ポリープの有無など、妊娠に影響しうる要因をチェックします。
精液検査
男性の精液検査も当院で承ります。初回は検査内容のご説明を実施いたします。初回時に専用容器をお渡しいたしますので、ご自宅で採取した後に後日ご予約の上で当クリニックにお持ちいただく運びになります(平日のみご提出が可能です)。当クリニックには採精室のご用意がないため、東京プレコンゼミのご利用を予定されている方は採精室のあるクリニックをお選びいただくようにご案内をしております。
以上の検査結果を踏まえ、今後の方針を医師と一緒に考えていきます。当院では日本産科婦人科学会のガイドラインに沿った適切な検査を行い、必要以上に患者様を不安にさせないよう丁寧な説明を心がけています。不明点や不安なことは何でもお尋ねください。
タイミング指導・妊活相談
タイミング法の指導は当院の基本サービスの一つです。毎周期の排卵日予測とタイミング指示、妊娠判定までのフォローを行います。タイミングの取り方や頻度について分からないことがあれば遠慮なく質問してください。排卵検査薬の使い方や基礎体温表の見方についてもアドバイスします。
また、妊活に関するあらゆる相談に対応しています。生活習慣の改善ポイントや栄養管理、メンタル面のサポートまで、トータルにご相談いただけます。「夫にどう協力をお願いしたらいいか」「周囲に妊活をどう伝えるか」などデリケートな悩みも、専門スタッフと一緒に解決策を考えます。必要に応じて男性不妊の専門医や心療内科とも連携し、カップル全体をサポートいたします。
当院では、妊活中の不安に寄り添いながら、一組一組に最適な治療プランをご提案することをモットーとしています。タイミング法は妊活の第一歩ですが、その次のステップまで見据えてサポートいたしますので、どうぞ安心してご来院ください。
まとめ:焦らず、一歩ずつ。お二人のペースで妊活を進めましょう
タイミング法は妊活の第一歩として多くの方がチャレンジする方法です。排卵日に合わせて夫婦生活を持つことで妊娠の可能性を高めるシンプルな方法ですが、その反面結果が出るまでに時間がかかる場合もあります。思うようにいかず不安になることもあるでしょう。しかしどうか自分を責めないでください。妊娠にはタイミングだけでなく様々な要素が絡んでおり、頑張りだけではどうにもならない部分もあります。うまくいかないときは一人で抱え込まず、ぜひ専門家の力を借りてください。
本記事でお伝えしたように、タイミング法のコツを押さえ生活習慣を整えることで妊娠率の向上が期待できます。それでも授からないときは、次の一歩を踏み出す勇気も必要です。人工授精や体外受精といった不妊治療のステップアップは決して負けではありません。むしろ限られた時間の中でできることを増やす前向きな選択です。当院では妊活に奮闘する皆様の気持ちに寄り添い、最適な治療への橋渡しをサポートいたします。
レディースクリニックなみなみの外来を予約するタイミング法に関するよくある質問
タイミング法は何回くらい試せばいいですか?
一般的には、35歳未満なら約1年間(12周期前後)、35歳以上なら約6か月(6周期前後)を目安に続けてみることが推奨されています。若い方でも1年以上妊娠しない場合は何らかの不妊要因が隠れている可能性があるため、不妊検査を受けてみましょう。特に女性が35歳を過ぎると妊娠率が大きく低下するため、半年タイミング法を試して妊娠しなければ早めに医療機関に相談することをお勧めします。ただしこれは目安であり、精神的負担や年齢、他の不妊要因によって調整が必要です。ご夫婦の状況に合わせて医師と相談しながら進めるとよいでしょう。
タイミング法でも妊娠しないのはなぜ?
タイミング法を正しく行っても1周期あたりの妊娠率はせいぜい20%前後であり、必ずしもすぐ妊娠できるわけではありません。数周期試してダメでも不思議はないのです。しかし「排卵日を狙っているのに半年以上できない」場合、タイミング以外の要因を疑ってみましょう。例えば排卵がうまく起きていない(ホルモンバランスの乱れ等)、卵管が詰まって精子と卵子が出会えていない、精子の数や運動率が低く自然受精が難しいなど、不妊原因が隠れている可能性があります。あるいは、実はタイミングの取り方がずれているケースもあります。「ちゃんとできているつもりでも実際は排卵と噛み合っていなかった」ということもあり得ます。まずは産婦人科で一通りの不妊検査を受け、問題がないか確認しましょう。問題が見つかった場合はその治療を、原因不明であれば人工授精など次のステップを検討するのがよいでしょう。また、タイミング法における精神的ストレスも意外と馬鹿にできません。リラックスするよう努め、必要なら医師に相談してみてください。
夫が協力的でないときはどうしたら?
妊活への温度差は多くのご夫婦が直面する問題です。まずはパートナーとよく話し合い、妊娠への思いを正直に伝えることが大切です。男性側はプレッシャーから逃げたくて非協力的に見える場合もあります。「絶対に◯日と◯日にして!」ではなく、「今週期はこの範囲で2~3回タイミングお願いできる?」と具体的かつ柔軟に提案すると受け入れてもらいやすいようです。また、責めない・焦らせないことも重要です。「協力してくれない」と責めるより、「一緒に頑張りたい」と優しく働きかけましょう。妊活は夫婦の共同プロジェクトですので、お互いの気持ちを尊重し合う姿勢が必要です。
それでも難しい場合、医師やカウンセラーからご主人に直接説明・説得してもらう方法もあります。不妊治療専門クリニックでは男性向けの相談窓口や資料も用意されています。第三者の言葉の方が素直に響くこともありますので、受診に一緒に来てもらいプロから話をしてもらうのも一つの手です。「夫が非協力的で困っている」と予約時や診察時にこっそり教えていただければ、こちらからも配慮いたします。最終的には、ご主人自身が「自分の問題」と捉えて主体的に取り組んでもらうことが理想ですが、**きっかけづくりは遠慮なくお手伝いします。焦らずじっくり向き合っていきましょう。
クリニックではどんな検査をするの?
主に排卵の有無を確認する検査(超音波・ホルモン測定)や、不妊原因を探る検査(卵管疎通性検査、精液検査、血液検査など)を行います。初めて受診する際は、月経周期に合わせてホルモン採血を行い、卵巣機能や排卵の様子を評価します。排卵期には超音波検査で卵胞の育ち具合や子宮内膜の厚さをチェックします。必要に応じて子宮卵管造影検査で卵管の通りを確認したり、抗精子抗体など特殊な検査を追加することもあります(患者様の状況によります)。男性側には精液検査をお願いし、精子の状態を評価します。これらの検査結果を総合し、タイミング法を続けるかステップアップするかの方針を立てます(一部検査に関しましては他院をご紹介させて頂く場合もございます)。検査内容は個々の状況で異なりますが、基本的には必要最低限の検査から始め、異常が疑われる場合に追加検査をする流れです。疑問があれば検査前後に遠慮なくご質問ください。
参考文献
日本産婦人科医会 「タイミング療法」
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準2020年版」
アカチャンホンポ 「タイミング法とは?確率や成功させるコツ」東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業の概要
執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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人工授精は自然妊娠に近い方法ですが、1回あたりの妊娠率は高くなく、複数回試みてもうまくいかなければ体外受精など高度治療への移行が検討されます。一方、タイミング法も1周期で妊娠できる確率は決して高くないため(後述)、双方とも「ある程度の回数を試し、それでも妊娠しなければ次のステップへ」という位置づけになります。