
執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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- 妊娠初期症状は、生理予定日(性行為から約2~3週間後)頃から現れ始めることが多く、おりものの変化、着床時の少量出血、強い眠気や倦怠感、吐き気(つわり)などが主なサインです。
- これらの症状は生理前の症状とよく似ているため、妊娠初期は自分では区別が難しい場合があります。
- 妊娠初期症状には個人差が大きく、全く症状が出ないまま妊娠に気づく人もいます。
- 生理予定日になっても生理が来ない、または少しでも「妊娠かも?」と感じたら、妊娠検査薬で確認し、早めに産婦人科を受診しましょう。
- 早期に妊娠を確認し適切なケアを受けることが、母体と赤ちゃんの健康を守り安心につながります。
妊娠の兆しかもしれないと感じると、不安や期待で胸がいっぱいになりますよね。生理が遅れていたり体調にいつもと違う変化があると、「もしかして妊娠…?」と考える方も多いでしょう。特に妊娠初期は自覚症状が少なく、生理前の不調と区別がつきにくいため戸惑ってしまいます。
結論から言えば、妊娠初期症状には おりものの状態変化や着床時の少量出血、強い眠気・倦怠感、吐き気(つわり)など様々なものがあります。ただし、こうした症状だけで妊娠かどうか判断するのは難しいです。生理前にも似た症状が現れることが多く、また全ての妊婦さんに症状が出るわけでもありません。そのため、生理予定日を過ぎても月経が来ない場合や妊娠の可能性を感じる場合は、妊娠検査薬で確認し、できるだけ早めに産婦人科を受診することをおすすめします。
この記事では、産婦人科専門医である叶谷愛弓院長が妊娠初期症状について網羅的に解説します。妊娠初期症状がいつから始まるのか、症状の種類や生理前症状との違いをはじめ、セルフチェックリスト、症状への対処法、受診の目安、さらには産婦人科の選び方や初期健診の重要性まで詳しく説明しています。妊娠の可能性が気になる方や妊娠初期について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
各症状については、さらに詳しく解説した関連記事をご用意しています。症状別に知りたい方は、ぜひ文中ののリンクからご確認ください。
妊娠初期症状とは?
妊娠初期症状とは、妊娠が成立した直後(いわゆる妊娠超初期:妊娠0~3週)から妊娠初期(妊娠4~15週頃)にかけて現れる様々な体調変化の総称です。大きく分けると2種類の症状があります。1つ目は受精卵の着床によるごく初期の症状(妊娠超初期症状)で、2つ目はhCGホルモンの急増による症状です。一般的に「妊娠初期症状」という場合、後者のホルモン変化による症状を指すことが多いでしょう。
妊娠に伴うホルモンバランスの変化は、性行為後2~3週間(前回の生理から約3~4週)ほどで始まります。この頃にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という妊娠ホルモンが急増し、多くの妊娠初期症状が引き起こされます。ただし症状の現れ方や強さには個人差が大きく、妊娠初期症状が全くない人もいます。症状がないからといって妊娠していないと断言はできませんので注意しましょう。
さらに、妊娠初期症状は生理前の不調と似ていることが多く、自分だけで判断するのは難しい場合があります。そのため、生理予定日になっても月経が来ない場合や「おかしいな」と感じる場合は、妊娠検査薬で確認することをおすすめします。自分の身体の変化に敏感になっていれば、微かな兆候から早期に妊娠に気づける可能性もあります。日頃から基礎体温を測る習慣などを持ち、体のサインを見逃さないようにすると良いでしょう。
この後は、妊娠初期症状のセルフチェックリストと代表的な症状について詳しく解説していきます。
妊娠初期症状はいつから?性行為後2〜3週間で気づくことが多い
妊娠初期症状が現れ始める時期には個人差がありますが、多くの方は生理予定日(前回生理から約4週目)前後に「いつもと違うかも?」と感じ始めます。これは性行為から約2~3週間後にあたり、排卵→受精卵の着床を経てhCGホルモンの分泌が本格化するタイミングと一致します。ちょうど生理予定日付近のため、出現する症状が生理前のPMSと重なりやすく、妊娠かどうか判断が難しい時期でもあります。
妊娠の有無をより確実に確認するには、市販の妊娠検査薬を活用しましょう。一般的な妊娠検査薬は性行為から約2週間後(生理予定日1週間後)以降に使うと正確です。もし検査薬で陽性反応が出た場合、または生理が1週間以上遅れている場合は、できるだけ早めに産婦人科を受診して妊娠の確認と適切なケアを受けることが大切です。
なお、妊娠初期症状が現れ始めるまでの流れを時系列で見ると以下のようになります。
- 性行為後1~2週間(妊娠2週頃): 排卵・受精の時期。この段階ではほとんど症状はありません。
- 性行為後約2週間(妊娠3週頃): 受精卵が着床する時期です。人によってはごく軽い変化を感じる場合もありますが、通常は気づかないことが多いでしょう。
- 性行為後2~3週間(妊娠4週頃): hCGホルモンの分泌が本格開始。この頃から妊娠初期症状が現れ始めることが多く、生理予定日の頃でもあるため「最近体調が変かも?」と感じ始めます。
※妊娠初期は母体にとってデリケートな時期です。少しでも「おかしいな」という症状があれば、自己判断せず早めに医療機関に相談しましょう。
👉 関連記事:「妊娠初期症状は性行為後いつから?セルフチェックや検査のタイミングを解説」では、妊娠超初期症状に気づくタイミングや妊娠検査薬の使用時期について詳しく説明しています。こちらも参考にしてください。
妊娠初期症状のセルフチェックリスト
妊娠初期症状には個人差が大きく、すべての症状が必ず現れるわけではありません。また、生理前の症状や他の体調不良と似ているケースも多く、「これがあるから絶対妊娠」と自己判断するのは危険です。ただ、妊娠の可能性を感じたときに自分の状態を客観的に振り返るにはセルフチェックが役立ちます。以下のチェックリストに当てはまる項目が多いほど妊娠の可能性は高まります。ただし、チェックが多くても必ず妊娠しているとは限りません。生理予定日を1週間以上過ぎても生理が来ない場合や妊娠の可能性が少しでもある場合は、必ず医療機関で妊娠の確認を受けましょう。
▼ 妊娠超初期~妊娠初期症状セルフチェック項目 ▼
□ 生理が予定より遅れている
□ おりものの色や量に変化がある(白っぽくなる、量が増える など)
□ 少量の出血があった(着床出血の可能性)
□ 強い眠気やひどい倦怠感がある
□ 吐き気や嘔吐がある(胃のむかつきも含む)
□ 胸の張りや乳房の痛みを感じる
□ 便秘または下痢になっている
□ トイレが近くなった(頻尿傾向がある)
□ 食欲が変化した(食欲不振または異常に食欲旺盛になる)
□ めまいや立ちくらみがある
□ 微熱が続いている(体が熱っぽい)
□ 頭痛がする
□ イライラしやすい、不安感が強いなど感情の起伏が激しい
□ 腰痛がある
□ 下腹部に違和感や軽い痛みがある
□ 匂いに敏感になっている(今まで気にならなかった匂いがダメになる 等)
□ 口の中が金属っぽい味に感じる
□ 基礎体温の高温期が3週間以上継続している
妊娠初期にみられる代表的な症状
妊娠初期に現れる症状は本当に人それぞれです。全く症状が出ない方もいれば、いくつかの症状が重なる方もいます。また、生理前の不調と区別がつかないほど似ている症状も多いため、日頃から注意深く自分の体調を観察することが大切です。以下、比較的よく見られる代表的な妊娠初期症状とその特徴をまとめました。
症状 | 詳細 |
---|---|
①:おりものの色・量の変化 | ホルモンバランスの変化により、おりものの量が増えたり白っぽく水っぽくなったりします(生理前のおりものは粘り気が強くなる傾向)。妊娠初期のおりものはサラサラして水っぽいのが特徴です。 |
②:少量の出血 | 着床出血と呼ばれるごく少量の出血が起こる場合があります。受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる生理現象で、通常は痛みを伴いません。ただし、明らかに量が多い出血や激しい腹痛を伴う場合はすぐ医療機関を受診してください(その場合は流産など異常の可能性もあります)。 |
③:眠気や倦怠感 | 妊娠によるホルモン(黄体ホルモンなど)の影響で、いつも以上に眠くなったり疲れやすくなったりします。仕事中や日中でも耐え難い眠気に襲われることがあり、妊娠初期の典型的な症状の一つです。 |
④:下痢・腹痛 | ホルモンバランスの変化で腸の動きが活発になり、下痢をしやすくなったり軽い腹痛(生理痛のような下腹部の痛み)を感じることがあります。軽い下腹部の違和感は妊娠超初期にもよくありますが、強い腹痛に変わった場合は注意しましょう。 |
⑤:むかつきや吐き気 | 妊娠初期によくみられる代表的な症状で、一般に「つわり」と呼ばれます。起床時だけでなく一日中吐き気が続いたり、実際に嘔吐することもあります。また、食べ物の匂いに敏感になって急に苦手になったり、特定の食べ物がまったく受け付けなくなることもあります。つわりの症状は妊娠5~6週頃に始まり、8~11週頃にピークを迎えて16週頃までに治まることが多いとされています。 |
⑥:胸の張り・乳房の痛み | 妊娠初期には乳腺が発達し始めるため、胸が張ってチクチクした痛みを感じることがあります。生理前にも胸の張りは起こりますが、妊娠時の方が張りが強く痛みを伴う場合が多いです。下着がきつく感じたり、胸全体が敏感になるといった変化がみられます。 |
⑦:イライラや不安など情緒不安定 | ホルモンの急激な変化により、精神的に不安定になりがちです。ちょっとしたことでイライラしたり、急に悲しくなったりと感情の起伏が激しくなることがあります。「自分でも何故かわからないけれど泣きたくなる」というような精神面の変化も妊娠初期症状のひとつです。 |
⑧:食欲の変化(減退・増進) | 妊娠初期には、急に食欲がなくなる人もいれば、逆に異常にお腹が空くようになる人もいます。どちらもホルモンバランスの変化によるもので、「これまで好きだった物が食べられない」「普段は一度に食べられない量を食べてしまう」などいつもと違う食の傾向が現れることがあります。 |
⑨:めまい・立ちくらみ | 妊娠により血管拡張や血圧低下が起こりやすくなるため、急に立ち上がったときなどにクラッとめまいがしたり立ちくらみを起こすことがあります。貧血気味になる妊婦さんも多く、慢性的にふらつきを感じる場合は医師に相談しましょう。 |
⑩:微熱・体が熱っぽい | 妊娠すると基礎体温が高い状態(高温期)が普段より長く続くため、37℃前後の微熱が続いたり体がポカポカと熱っぽく感じることがあります。平熱が高めになるイメージですが、風邪のような高熱は通常出ません。ただし微熱とともに咳や喉の痛みがある場合は単なる風邪の可能性もあります。 |
頭痛 | ホルモンバランスや血圧の変動の影響で頭痛が起こることがあります。妊娠初期の頭痛はズキズキと偏頭痛のように起こるケースもあり、つらいときは無理せず休みましょう。市販の頭痛薬を自己判断で飲むのは避け、我慢できない場合は医師に相談して安全な対処法をとってください。 |
頻尿 | 妊娠初期には子宮が少しずつ大きくなることやホルモンの作用で腎臓の働きが活発になることから、トイレが近くなる傾向があります。特に夜間に何度も起きるようになった場合は妊娠の影響かもしれません(生理前にも頻尿になる場合はありますが、妊娠時の頻尿はより顕著です)。 |
以上のように、妊娠初期症状には様々なものがあります。同じ妊婦さんでも毎回すべての症状が出るわけではなく、また症状の感じ方にも差があります。「これって妊娠かな?」と不安に思ったら、上記の症状が複数当てはまるか確認してみましょう。ただし、一つ一つの症状だけを見ると生理前とほとんど区別がつかない場合も多いです。総合的に体調の変化を捉えることが大切ですが、やはり確定のためには妊娠検査薬や医療機関での確認が必要になります。
👉 関連記事:妊娠初期症状 各症状の詳しい解説
おりものの変化について: 『妊娠初期のおりものの変化』では、生理前のおりものとの違いや注意すべきおりものの特徴について詳しく解説しています👇️。
妊娠初期の出血について: 『妊娠初期の出血・不正出血は大丈夫?』では、着床出血と生理の出血の違い、出血が続く場合の対処法や流産の可能性について説明しています👇️。
下腹部痛(腹痛)について: 『妊娠初期症状の腹痛は危険信号?』では、妊娠初期に起こりうる腹痛の原因ごとの症状の特徴や対処法、病院に行く目安について紹介しています👇️。
妊娠初期の頭痛について: 『妊娠初期症状の頭痛は危険信号?』では、妊娠中の頭痛の原因や予防策、安全な対処法と受診のタイミングをまとめています👇️。
つわり(悪阻)について: 『妊娠初期のつわり徹底ガイド』では、つわりの具体的な症状やピーク時期、少しでも楽に過ごすための対策法について詳しく解説しています👇️。
妊娠初期症状と生理前の違い
妊娠初期症状と生理前症状は本当によく似ています。実際、多くの症状が双方に共通するため、「妊娠かな?」と思っても生理前の不調と見分けるのは非常に難しいでしょう。産婦人科医であっても症状だけで判断できない場合があるほどです。そのため、妊娠の可能性を考えるときは両者の違いを正しく理解しておくことが大切です。以下に代表的な症状について妊娠初期の場合と生理前の場合の違いを比較しました。
症状 | 違いのポイント |
---|---|
おりものの変化 | 妊娠初期はおりものの量が増え水っぽくサラサラになる傾向があります。一方、生理前も量は増えますが粘り気が強くなることが多いです。→ 妊娠初期のおりものは水っぽく、生理前は粘度が高めという違いがあります。 |
出血 | 妊娠初期には着床に伴ってごく少量の出血(着床出血)が見られる場合があります。生理前にもごく少量の出血が起こる人がいますが、これは本格的な生理開始の前触れです。→ 着床出血はほんの少量で短期間(鮮血でないことが多い)なのに対し、生理の出血はいつも通りの量と期間が続きます。 |
吐き気・嘔吐 | 妊娠初期の吐き気はつわりとして現れ、時間帯や頻度が一定せず徐々に強くなる場合が多いです。生理前にも吐き気を感じることはありますが通常は軽く、一日の中で症状が安定しています。→ 妊娠時の吐き気は強く持続しやすく、時間帯に関係なく起こる点が異なります。 |
乳房の張り | 妊娠初期は乳房の張りが強く、痛みを伴うこともあります。生理前にも胸は張りますが、痛みは軽いことがほとんどです。→ 妊娠時の胸の張りは生理前より強烈で、痛みを感じる場合も多いです。 |
倦怠感・眠気 | 妊娠初期には日中でも眠くなるほど強い倦怠感や眠気に襲われることがあります。生理前にもだるさや眠さはありますが、妊娠時ほど強くは出ません。→ 妊娠時の倦怠感は生理前より顕著で、日常生活に支障が出るレベルになることもある点が違います。 |
頻尿 | 妊娠初期は子宮の拡大やホルモンの作用で頻繁にトイレに行きたくなる人が多いです。生理前もホルモン変化でやや頻尿になる場合がありますが、程度は軽めです。→ 妊娠時の頻尿は生理前より顕著で、夜間何度も起きることがあるのが特徴です。 |
その他症状 | 腰痛、便秘、味覚の変化などは妊娠初期にも生理前にも起こり得ます。ただ、症状の出方や組み合わせに違いが見られます。妊娠初期症状の方が複数の症状が同時に現れることが多く、「生理前と比べて色々な不調が重なって強い気がする…」と感じたら妊娠を疑うきっかけになるでしょう。 |
👉 関連記事:『生理が遅れる理由は?年代別の原因と対処法』では、生理が遅れている場合に考えられる妊娠以外の原因についても解説しています。妊娠ではなかった場合に何が原因か気になる方は参考にしてみてください。
妊娠初期症状?妊娠を確認する方法
妊娠初期症状らしき兆候があった場合、本当に妊娠しているかどうか確認する方法はいくつかあります。最も確実なのは産婦人科など医療機関を受診して医師に診断してもらうことですが、「まだ病院に行くのは早いかも…」とか「まずは自宅で確かめたい」という方も多いでしょう。ここでは、自宅でできる方法も含めて妊娠を確認する主な方法を3つ紹介します。
1.妊娠検査薬を使用する
自宅で手軽に妊娠の有無をチェックできるのが市販の妊娠検査薬です。妊娠検査薬は尿中の**hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)**という妊娠ホルモンの存在を調べて判定します。hCGは受精卵が子宮に着床すると体内で分泌され始め、妊娠すると日を追うごとに血液や尿中の濃度が上昇します。検査薬はこのhCG濃度が一定以上になると陽性反応を示す仕組みです。
妊娠検査薬には一般的なものと早期検査薬の2種類があります。一般的な検査薬は尿中hCG濃度が約50 mIU/ml以上で陽性になりますが、早期妊娠検査薬は25 mIU/ml程度から反応するため、通常タイプより数日早く妊娠を感知できます。
妊娠検査薬の種類 | 価格 | 特徴 |
---|---|---|
市販の妊娠検査薬 | 300〜1000円 | ドラッグストア等で手軽に購入でき、自宅で数分で結果がわかります。比較的安価なのも利点です。ただし、陰性と出ても妊娠している可能性が残る場合があります(特に妊娠超初期など検査が早すぎた場合)。また、使うタイミングを誤ると正確な結果が得られません。 |
病院での妊娠検査 | 5000〜15000円 | 血液検査や超音波検査により非常に高い精度で妊娠の確認ができます。妊娠超初期の段階でも子宮内に胎嚢(たいのう)が見えるかなどをチェックでき、確定診断が可能です。ただし医療機関を受診する必要があり、費用も市販検査薬に比べて高くなります。 |
妊娠検査薬を使用する際のポイント: 説明書をよく読み、基本的には生理予定日の1週間後以降に使用しましょう。それ以前に使うとhCG量が十分でなく、たとえ妊娠していても結果が陰性になってしまう(偽陰性)可能性があります。「少しでも早く知りたい」という場合は感度の高い早期検査薬を使う選択 (続き)があります。ただ、妊娠超初期では尿中hCGがまだ少なく陰性のまま出てしまうこともあります。生理予定日から1週間後を目安に検査するとより確実です。
2.基礎体温を記録する
普段から毎朝の基礎体温をつけておくと、排卵日や生理周期だけでなく妊娠の兆候もつかみやすくなります。妊娠すると黄体ホルモンの作用が続くため、いつもなら下がる時期になっても基礎体温の高温期が普段より長く続く傾向があります。妊娠初期症状があまり感じられない場合でも、高温期が普段より明らかに長引いているなら妊娠を疑うサインと言えます。毎日体温を記録する習慣は、自身の体調変化に気づく上でとても有効です。
3.医療機関を受診する
妊娠を確定するには、やはり産婦人科で診察を受けることが一番確実です。クリニックでは超音波検査などで子宮内に妊娠の徴候(胎嚢〈たいのう〉や胎芽など)が確認できるかどうか調べます。妊娠していれば胎児の心拍確認や、今後の健診スケジュール・注意点などの説明を受けられます。妊娠の可能性を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。特に妊娠初期は胎児の重要な器官形成が始まる時期で、早期に妊娠を把握して必要なケアを開始することが大切です。異常妊娠の有無(例:子宮外妊娠)も含め、早めに確認しておくと安心です。
妊娠初期症状で産婦人科を受診する目安
「妊娠かな?」と思ったら、いつ産婦人科に行けばいいのか迷いますよね。基本的には妊娠検査薬で陽性反応が出たら、できるだけ早めに産婦人科を受診しましょう。また、検査薬が陰性でも生理予定日より1週間以上生理が遅れている場合は、一度受診することをおすすめします。検査薬で陽性が出ていれば妊娠の可能性は高いですし、仮に妊娠初期すぎて胎児の状態がまだ見えなくても、早めに診てもらって損はありません。不安なときは遠慮せず受診してみてください。
目安としては、妊娠6週目頃(生理予定日から約2週間後)までには最初の受診を済ませておくのが望ましいとされています。妊娠6週前後になると超音波検査で子宮内に胎嚢(赤ちゃんの袋)や胎芽が確認できることが多いからです。逆に妊娠5週より前ですと、正常に子宮内に妊娠しているか判断がつかなかったり、胎児心拍が確認できず再度受診する必要が出てくる場合もあります。

ただし、これらはあくまで一般的な目安です。激しい腹痛や大量の出血など明らかに異常な症状がある場合は、検査薬の結果を待たずにただちに受診してください。 妊娠初期は流産のリスクも高い時期なので、少しでも「おかしいな」と感じることがあれば早めに専門医に相談するのが安心です。
「こんな早い時期に受診していいのかな…」と心配になる気持ちもわかります。当院ではスタッフ一同、どんなに早い段階でも不安な気持ちに寄り添って診療しております。「受診すべきか迷う」場合でもどうぞ遠慮なくご相談くださいね。
妊娠初期症状がみられたときの注意点
妊娠初期症状が現れると、嬉しい気持ちと同時に不安も出てくるものですよね。ここでは、妊娠初期症状がみられたときに心身の負担を減らし、赤ちゃんのために気をつけたいポイントをまとめました。
身体への負担を軽減する
妊娠初期はつわりや倦怠感などで体に負荷がかかりやすい時期です。無理は禁物と心得て、できるだけ休息をとりましょう。特に過度な運動や激しい労働は避けるべきです。軽い散歩程度の運動に留め、疲れたら早めに横になる・昼寝をするなどして十分な睡眠を確保してください。
また、栄養と水分補給にも気を配りましょう。つわりで食欲が落ちることもありますが、食べられるものを少量ずつでも構わないので口に入れて、バランスの良い食事を心がけます。妊娠初期には特に葉酸など胎児の発育に必要な栄養素を積極的に摂りたいところです。水分もこまめに取り、脱水症状を防ぎましょう(スポーツドリンクなど飲みやすいものを活用してください)。
心身のリラックスを心がける
妊娠初期はホルモン変化や将来への不安から、精神的にも不安定になりがちです。ストレスを溜めない工夫をしましょう。リラックスできる時間を意識的に作り、趣味に没頭したり音楽を聴いたりして気分転換すると良いです。パートナーや家族、友人に気持ちを話してサポートしてもらうのも有効です。どうしても不安が強いときは、遠慮せずかかりつけの医師や助産師に相談してみてください。
薬の使用について注意する
妊娠初期(特に妊娠4~12週)は胎児の重要な器官が形成される大事な時期です。薬を自己判断で服用するのは避けましょう。市販薬であっても、飲んでよいものか必ず医師や薬剤師に確認してください。持病の薬なども、この時期は服用を続けてよいか主治医に相談が必要です。
飲酒・喫煙をやめる
アルコールやタバコは胎児の発育に悪影響を与える可能性があるため、妊娠中は禁酒・禁煙が鉄則です。妊娠の可能性がある段階から飲酒・喫煙はすぐに中止しましょう。「妊娠が確定してからやめればいいかな」ではなく、妊活中・妊娠の可能性がある時点でストップすることが赤ちゃんの健康につながります。
カフェインの量に注意する
コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインも、過剰摂取は控えた方が良い成分です。1日あたりコーヒー2杯程度までにとどめ、できればカフェインレスの飲み物に切り替えるのがおすすめです。カフェインは胎盤を通じて胎児にも影響すると言われていますので、「絶対ダメ」というほどではありませんが摂りすぎないよう節度を持ちましょう。
体調に不安を感じたら早めに受診する
妊娠初期症状がつらくて日常生活に支障が出る場合や、「この症状大丈夫かな?」と不安な場合は、迷わず早めに産婦人科を受診しましょう。我慢しすぎる必要はありません。医師に相談すれば安全に症状を和らげる方法を提案してもらえますし、妊娠経過に問題がないか確認することで安心にもつながります。
以上の点に気をつけつつ、体も心も大切にして健やかなマタニティライフを送ってくださいね。
👉 関連記事:『妊娠初期のカフェイン摂取は大丈夫?胎児への影響と知っておくべきこと』では、妊娠中のカフェインの安全な摂取量や注意点について詳しく解説しています。カフェインを控えるコツなど知りたい方は参考にしてください。
妊娠初期症状に関するよくある質問
妊娠初期症状が全くない人もいますか?
はい、妊娠初期症状が全く現れないまま妊娠に気づかない人もいます。 妊娠初期症状の有無や強さには大きな個人差があり、hCGホルモンの分泌量や体質、過去の妊娠経験などによって左右されます。そのため、妊娠していても症状が非常に軽かったり、本人が自覚しないケースも珍しくありません。症状がないからといって「妊娠していない」とは言い切れませんので、生理が遅れている・妊娠検査薬で陽性が出た等の他の兆候がある場合は早めに医師に相談してくださいね。妊娠の確定診断は超音波検査などで行われますので、不安な場合は症状の有無にかかわらず産婦人科を受診しましょう。
思い込みで妊娠超初期症状が出ることはある?
はい、いわゆる「想像妊娠」で妊娠に似た症状が現れることがあります。 「赤ちゃんが欲しい」と強く願っていると、生理前の体調変化や些細な不調を「これって妊娠初期症状かも?」と過敏に感じてしまうことがあります。精神的な要因で吐き気や胸の張り、眠気などが実際に起こってしまう場合があるのです。これを医学的には想像妊娠と呼びます。ただ、想像妊娠による症状には本当の妊娠初期症状とは異なる点があります。例えば、想像妊娠では基礎体温の高温期が継続しないことが多いです。基礎体温の上昇持続は妊娠を判断する一つの目安ですので、冷静に基礎体温を測定することで妊娠の可能性をより正確に見極められます。
妊娠検査薬で陽性反応が出ました。どのタイミングで受診すべき?
妊娠検査薬で陽性が出たらできるだけ早く産婦人科を受診してください。妊娠の可能性が高いということですから、もう待つ必要はありません。一度産婦人科で超音波など精密検査を受けて、子宮内に妊娠が成立しているか確認してもらいましょう。順調な妊娠の場合はそのまま妊婦健診の予約など次のステップに進めますし、万一異常があっても早期に対処できます。
妊娠初期の頭痛はいつまで続きますか?
一般的には妊娠中期に入る頃(妊娠19週前後)までに治まることが多いです。 ただし頭痛の持続期間には個人差が大きく、数週間で良くなる人もいれば妊娠後期まで長引く人もいます。頭痛のタイプ(偏頭痛・緊張型頭痛など)や原因、お母さんの体質によって異なります。また、頭痛がつわりと関連している場合は、つわりが落ち着くにつれて頭痛も軽減していく傾向があります。一方、つわりとは関係なく妊娠中ずっと頭痛に悩まされるケースもありますので、あまりにつらいときや長引くときは無理せず医師に相談してください。
妊娠検査薬はいつから使えばいいですか?
生理予定日の1週間後(性行為から約2週間後)以降に使うのが目安です。 それ以前に試すと、たとえ妊娠していても尿中のhCGホルモン量が十分でなく正確な判定ができない可能性が高いです。フライング検査は避け、説明書に書かれた時期を守って使用しましょう。
妊娠検査薬で誤判定(偽陽性・偽陰性)が出ることはありますか?
条件によっては起こり得ます。 正しい時期に正しく使用すれば妊娠検査薬の精度は約99%と非常に高いですが、状況によっては偽陽性(本当は妊娠していないのに陽性反応)や偽陰性(本当は妊娠しているのに陰性反応)が生じる場合があります。例えば、不妊治療でhCG注射を受けている方は体内のhCG残留により妊娠していなくても陽性反応が出てしまうことがあります。また、検査が早すぎたり尿が薄かったりすると妊娠していても陰性になることがあります。最終的な確定診断は医師の診察(内診やエコー)で行いますので、検査薬の結果だけで自己判断せず不安な場合は必ず産婦人科で確認してください。
妊娠検査薬は尿をかけ過ぎると陽性になることがありますか?
正しい使い方をすれば通常そのようなことはありません。 ただ、ごく稀に実際は妊娠していないのに検査薬が反応してしまう偽陽性が起こるケースがあります。大切なのは各製品の説明書に書かれた正しい手順で使用することです。尿の量や浸しすぎなども、説明書通りのやり方であれば問題ありません。万一取り扱いミスで結果が怪しい場合は、日を改めて再検査するか医療機関で確認してもらいましょう。
妊娠初期症状のまとめ
妊娠初期症状の具体例から生理前との違い、妊娠の確認方法、受診のタイミングまで幅広く解説しました。繰り返しになりますが、妊娠初期症状の出方には個人差が大きく、全ての妊婦さんに当てはまるわけではありません。本記事で触れた各症状については、それぞれ関連コラムでさらに詳しく解説していますので、気になるテーマがあればぜひ参考に読んでみてくださいね。
少しでも「あれ?」と感じる症状がある場合や、妊娠の可能性を感じた場合は、自己判断せず早めに産婦人科を受診しましょう。 医療機関で妊娠の確定診断を受ければ、今後の健診スケジュールや注意点など適切なサポートを得られます。お腹の赤ちゃんとお母さん自身のためにも、専門家の力を借りて安心して妊娠生活を送ってください。
妊娠初期は胎児の器官がどんどん形作られる大事な時期です。初期の段階で妊娠を把握し、必要なケアを受けることで、母体と胎児の健康を守りながら安心で健やかなマタニティライフを過ごすことができます。お母さん一人で抱え込まず、周囲の支援や産婦人科の先生の力を借りながら、楽しい妊娠ライフにしていきましょう。
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東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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妊娠初期症状は生理のときよりも少し症状が強いなと複数思うことがあって、もしかしたら?と気づくことが多いです。
生理前と症状は非常に似ているので、個々の症状に注目するとそこまで変化がないように見えます。産婦人科医でもはっきりわからない場合もあるので、エコーや検査薬を使用して確認します。