レディースクリニック なみなみ

破水と尿もれの見分け方|迷ったときの連絡の目安

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自宅で体調の変化に気づいた妊婦|東京・目黒のレディースクリニックなみなみ
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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妊娠後期に入ると、「下着が濡れた」「じわっと何かが出た気がする」という経験をされる方は少なくありません。そのとき頭に浮かぶのが、「これは破水だろうか、それとも尿もれだろうか」という迷いです。夜中や休診日であればなおさら、「朝まで様子を見てもいいのでは」と考えたくなるものだと思います。

先にいちばん大切なことをお伝えします。破水かどうかを、ご自宅で判断しきることはできません。これは知識や注意深さの問題ではなく、破水の確定には検査が要るためです。この記事では、目安として知っておいていただきたい違いを正直にお伝えしたうえで、「迷ったときにどこへ、どのように連絡すればよいか」までをご案内します。読み終えたときに、様子を見るのではなく動ける状態になっていることを目指しています。

この記事でわかること

  • 破水と尿もれで、体の中で起きていることの違い
  • 出方・量・色・においなど、目安になる違い(ただし決め手にはならない理由)
  • 見逃されやすい「高位破水」の特徴
  • 市販のシートやリトマス紙で確かめられるのか、という疑問への答え
  • 時間帯を問わず連絡していただきたいサイン
  • 分娩を予定している施設への連絡の仕方と、連絡前にしないほうがよいこと

破水かもしれない、と思ったときにいちばん大切なこと

破水とは、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて羊水が出てくる状態です。膜が破れると、腟から子宮内へ細菌が入り込む経路ができてしまうため、時間が経つほど子宮内感染(絨毛膜羊膜炎)が起こりやすくなると考えられています。また、赤ちゃんの位置によっては、へその緒が先に出てしまう臍帯脱出が起こることもあります。妊娠37週未満での破水(前期破水)であれば、早産に向けた対応が要るため、さらに急ぎます。

つまり破水は、「様子を見て、変わらなければ受診する」という判断がいちばん危険な事象です。一方で尿もれは、妊娠中にはよくある変化で、それ自体はすぐに危険を意味するものではありません。両者は、危険度がまったく違うのに、症状だけを見ると似ている——ここが、この問題の難しさです。

だからこそ、判断の基準はシンプルに置いてください。「破水ではないと言い切れないなら、連絡する」です。「破水だと分かったら連絡する」ではありません。順番が逆になると、判断がつかない時間だけがのびてしまいます。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

「尿もれだったら恥ずかしい」「大げさだと思われないか」と気にされて、連絡が遅くなる方がいらっしゃいます。私たちにとっては、尿もれだと分かって安心して帰っていただくことも、大切な仕事のひとつです。空振りを気にせず、迷った時点でお電話ください。

破水と尿もれは、体の中で起きていることが違います

破水で出ているもの

羊水は、赤ちゃんが浮かんでいる無色〜わずかに白っぽい液体です。粘り気が少なくさらさらしていて、量にかかわらず自分の意思では止められません。膜が破れている以上、出続けたり、横になったあとに起き上がった拍子にまた出てきたりします。破水は、赤ちゃんが出てくる準備の一部として陣痛の前後に起こることもあれば、陣痛より先に起こることもあります。

尿もれで出ているもの

妊娠中の尿もれの多くは、お腹に力が入った瞬間に漏れる腹圧性尿失禁です。大きくなった子宮が膀胱を押し、膀胱にためられる量が減ります。加えて、骨盤の底で臓器を支えている骨盤底筋にも継続的な負荷がかかるため、くしゃみ・咳・笑う・立ち上がる・重いものを持つといった動作がきっかけになります。妊娠中に尿もれが起こること自体は珍しくありません。ご自身の体の不調というより、妊娠経過に伴う変化と考えていただいて差し支えありません。尿もれのタイプや仕組みについては女性の尿漏れの原因や種類・治療方法でも解説しています。

ただし、「妊娠中の尿もれはよくあること」という知識が、破水を尿もれだと思い込む理由になってしまうことがあります。よくあることだと知っていることと、今回のこれが尿もれだと決めることは、別の話です。

見分けの目安 ― ただし、どれも決定的ではありません

ご自身で観察できる範囲での、一般的な傾向をまとめます。連絡したときに伝えていただく材料として役立ちますので、覚えておいていただくと役に立ちます。

破水を疑う尿もれの可能性
出方自分では止められず、持続的に出続けるいきんだ・くしゃみをした瞬間など、きっかけがある
体位を変えると再び出てくることがある少量で止まることが多い
色・性状無色〜わずかに白濁。さらさらしている黄色みがあることが多い
におい生臭い、甘いなど、尿とは違うことがあるアンモニア臭

ここで正直にお伝えしておきたいのは、この表のどれも、決め手にはならないということです。理由はいくつかあります。

  • 尿もれでも、勢いよく出れば「止められなかった」と感じます
  • 破水でも、量が少なければ「少しで止まった」ように見えます
  • においは、下着やナプキンに時間が経つと分かりにくくなります
  • おりものが水っぽく増える時期と重なると、色や性状での区別がさらに難しくなります

そのため、この表は「連絡するかどうかを決めるための表」ではなく、「連絡したときに状況を正確に伝えるための表」としてお使いください。当てはまる項目が尿もれ側に多かったとしても、それは受診を先送りしてよい根拠にはなりません。

高位破水は、尿もれやおりものといちばん区別がつきにくい

破水のなかでも、とくに注意していただきたいのが高位破水です。これは、子宮口から離れた高い位置で卵膜が破れるもので、羊水がいちどにあふれるのではなく、少量ずつじわじわと流れ出てきます

高位破水では、次のような感じ方をされることが多くあります。

  • 下着がなんとなく湿っている状態が、半日〜1日以上続く
  • おりものシートが、いつもより早く湿ってしまう
  • 「チョロチョロ」とした少量が、思い出したように出る
  • 歩いたり体を起こしたりしたときに、少し出る感じがある

これらは、水っぽいおりものが増えたとき、あるいは軽い尿もれが続いているときとほとんど同じ体験です。そのため高位破水は見逃されやすく、「気づいたときには何日か経っていた」ということが起こり得ます。膜が破れている状態が続けば、その間ずっと感染のリスクが続くことになります。

ですから、量が少ないことは安心材料になりません。むしろ、「少量だけれど、いつもと違う湿り方が続いている」ときこそ相談していただきたい状況です。おりものの変化そのものが気になる場合は性病検査でお調べする対象になることもありますが、妊娠中で破水の可能性が頭をよぎるときは、そちらより先に、分娩を予定している施設へご連絡ください。

「自分で確かめる方法」を探している方へ

「リトマス紙で調べられますか」「破水が分かるシートはありますか」というご質問は、とてもよくいただきます。夜中に不安になれば、手元で確かめたいと思うのは自然なことだと思います。

羊水は弱アルカリ性、尿は弱酸性であることが多く、この性質の違いを利用した検査は実際に医療機関で行われています。一般的には、腟内の分泌物を採取してpHの変化や特定の成分を調べる検査、超音波で羊水量を確認する検査などを組み合わせて判断します。つまり、確定できるのは診察と検査の組み合わせであって、単独の紙や試験紙の色ではありません。

ご自宅での判定が難しい理由は、はっきりしています。

  • 腟の分泌物や血液、精液、細菌性腟症などの影響で、pHが本来と違う結果に傾くことがあります
  • 羊水が少量で、すでに他の分泌物と混ざっている場合、判定が安定しません
  • 結果が「破水ではない」と出たときに、その一枚を根拠に様子を見てしまうことがいちばんの問題です

誤って「破水ではない」と読み取ってしまえば、その時間はそのまま感染や早産への対応の遅れになります。結果が陰性に見えたとしても、それは受診を見送る理由にはなりません。手元の道具で答えを出そうとするより、電話1本のほうが、はるかに早く確かな答えにたどり着けます。

時間帯を問わず連絡していただきたいサイン

次のいずれかに当てはまるときは、夜間・早朝・休診日であっても、朝や翌日の外来を待たずにご連絡ください。

  • 液体が出続けて止まらない、または量が多い
  • 発熱がある、お腹の張りや痛みが続く、悪臭のあるおりものがある
  • 出血をともなっている
  • 赤ちゃんの動きがいつもと違う、あるいは感じにくい
  • 妊娠37週未満で、破水を疑う症状がある(前期破水の可能性があり、より急ぎます)
  • 少量でも、いつもと違う湿り方が続いている(高位破水の可能性)

連絡の前にしないでいただきたいこと

  • 入浴やシャワーで洗い流してから受診する——出ているものの性状が分からなくなり、診断が難しくなります。また、破水している状態での入浴は感染につながる可能性があります
  • タンポンを使う、腟内を洗う——感染のリスクを高めます。清潔なナプキンを当ててお待ちください
  • 市販の判定シートやリトマス紙の結果を根拠に様子を見る
  • 朝まで待つ、翌日の外来まで待つ
  • ご自身で車を運転して向かう——移動の手段は電話で相談してください

どこに連絡すればよいか ― 分娩を予定している施設が第一です

連絡先を間違えると、そのぶん時間を失います。ここは分けて考えてください。

分娩する施設が決まっている方

分娩を予定している施設へ、時間帯を問わず直接お電話ください。分娩を扱う施設は、夜間・休日も連絡を受けられる体制をとっています。破水が確認された場合、そのまま入院や分娩の管理に移ることになるため、最初から分娩先につながっているほうが、その後の流れが早く進みます。

妊娠後期に入ったら、分娩先の夜間・救急の電話番号を、携帯電話に登録し、母子健康手帳にも書き添えておくことをおすすめします。不安な状況で番号を探すのは、思っている以上に大変です。

当院で妊婦健診を受けている方・分娩先がまだ決まっていない方

レディースクリニックなみなみはセミオープンシステムを採用しており、当院では妊娠32週頃までの妊婦健診を担当し、分娩は提携している病院で行っていただく形をとっています。日本赤十字社医療センター、慶應義塾大学病院、山王病院、厚生中央病院、昭和大学病院、済生会中央病院、順天堂医院、昭和大学江東豊洲病院、日本医科大学附属病院などと連携しています。里帰り出産をご予定の方の健診もお受けしています。

そのため、分娩先がすでに決まっている時期であれば、その施設へのご連絡が最優先です。まだ分娩先が決まっていない時期や、どこへ連絡すべきか判断がつかない場合は、当院へご連絡ください。状況をうかがったうえで、連携先の施設へおつなぎします。仕組みについては妊婦健診のご案内もあわせてご覧ください。

なお、破水を疑う症状は、画面越しの相談で確定できるものではありません。妊娠中のオンライン相談は、日々の不安や体調の変化をご相談いただくのに向いていますが、破水の疑いは対象外とお考えください。その場合はオンラインではなく、お電話でご連絡ください。

電話で伝えていただきたいこと

  • 妊娠週数と、これまでの妊娠経過で言われていること(逆子、前置胎盤など)
  • いつ、どのくらいの量が出たか。出続けているか、止まったか
  • 色(無色・白っぽい・黄色い・血が混じる・緑がかっている)とにおい
  • お腹の張りや痛み、発熱、出血の有無
  • 赤ちゃんの動きの様子
  • これまでの健診をどこで受けているか、分娩の予定先

あわせて、母子健康手帳・健康保険証・診察券・入院の荷物をまとめておくと、その後の移動がスムーズです。清潔なナプキンを当てておくと、出ているものの量や色を医療者が確認しやすくなります。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

「破水かどうか分からないのに電話してもいいですか」と聞かれることがありますが、分からない状態でお電話いただくのが正しい使い方です。分かってから電話するものではありません。判断はこちらでいたしますので、状況をそのままお話しください。

妊娠中の尿もれとの付き合い方

診察の結果、破水ではなく尿もれだったと分かる方は多くいらっしゃいます。その場合は、妊娠経過に伴う変化として付き合っていく形になります。

  • トイレを我慢しすぎない。長時間ためると、漏れやすさにつながります
  • くしゃみや咳が出そうなときは、体を少し前に傾け、下腹部に手を添えると和らぐことがあります
  • おりものシートやパッドを活用し、皮膚が湿ったままにならないようこまめに替える
  • 骨盤底筋の運動は、妊娠中も産後も助けになると報告されています。ただし、お腹の張りが強い時期や安静の指示がある方は、担当の医師に確認してから始めてください

出産後もしばらく尿もれが続く方は少なくありません。時間の経過とともに落ち着いていくことが多い一方で、長引く場合には対処の方法があります。詳しくは産後の尿もれ・頻尿はいつまで続くをご覧ください。尿もれのタイプによって向いている対処が変わる点は、女性の尿漏れの原因や種類・治療方法で解説しています。

ただし、ここでも前提は変わりません。「前回は尿もれだった」ことは、今回も尿もれである根拠にはなりません。気になる出方があれば、そのつどご相談ください。

よくあるご質問

破水かと思ったら尿漏れだった、ということはありますか?

よくあります。妊娠後期は子宮に膀胱が押されるため、少量の尿もれが起こりやすい時期です。診察の結果、破水ではなかったと分かってお帰りいただく方は珍しくありません。そして、それは「無駄足」ではありません。破水でないことを確かめられて初めて安心して過ごせますし、私たちにとっても確認できたこと自体に意味があります。逆に、尿もれだと思って様子を見た結果、破水の対応が遅れるほうが問題です。空振りを気にせずご連絡ください。

リトマス紙や市販のシートで破水かどうか確かめられますか?

それだけで確かめることはできません。羊水と尿は性質が違うため、その差を利用した検査は医療機関でも用いられていますが、実際の判断は、分泌物の検査・内診・超音波検査などを組み合わせて行います。ご自宅では、おりものや血液が混ざる、量が少ないといった条件で結果が本来と違う方向に傾くことがあります。とくに危険なのは、「破水ではない」と読み取れてしまい、そのまま様子を見てしまうことです。結果がどう見えたとしても、それは受診を見送る根拠にはなりません。確定は医療機関の検査でしか行えないとお考えください。

高位破水は自分で気づけますか?

気づきにくいものだとお考えください。高位破水は子宮口から離れた位置で膜が破れるため、羊水が少量ずつじわじわと出てきます。「下着がなんとなく湿っている」「おりものシートの替えが早い」といった程度の変化にとどまることが多く、水っぽいおりものや軽い尿もれと区別がつきません。ご自身で見分けようとするより、少量でもいつもと違う湿り方が続いている時点で相談するほうが安全です。膜が破れている時間が長くなるほど、感染のリスクは高まると考えられています。

妊娠中にチョロチョロ漏れるのは破水ですか?

その出方だけでは判断できません。少量ずつ出る状態は、腹圧性の尿もれでも、高位破水でも起こります。目安として、きっかけ(くしゃみ・立ち上がるなど)があって少量で止まるなら尿もれのことが多く、きっかけなく続く、体位を変えるとまた出る場合は破水を疑います。ただし、これはあくまで傾向であり、決め手にはなりません。少量だから軽い、という考え方は当てはまらないとお考えください。続いているようであれば、分娩を予定している施設へご連絡ください。

水っぽいおりものが続いていますが破水でしょうか?

妊娠中はおりものの量が増え、水っぽくなることがあります。一方で、高位破水も同じような見え方をします。この二つを見た目やにおいだけで分けることは難しいため、続いている場合はご相談ください。とくに、量が急に増えた、色が黄緑がかっている、悪臭がある、発熱やお腹の張りをともなうといった場合は、時間帯を問わず連絡してください。妊娠中でない時期のおりものの変化については性病検査のページもご参照いただけますが、妊娠中で破水の可能性がある場合は、まず分娩予定の施設へのご連絡が先です。

夜中や休診日に破水したかもしれないときはどうすればいいですか?

朝や翌日の外来を待たずに、分娩を予定している施設へお電話ください。分娩を扱う施設は、夜間・休日も連絡を受けられる体制をとっています。まだ分娩先が決まっていない時期で、当院で健診を受けている方は、当院へご連絡いただければ連携先へおつなぎします。連絡までの間は、入浴やシャワーで洗い流さず、タンポンを使わず、清潔なナプキンを当ててお待ちください。移動の方法もあわせて電話でご相談ください。ご自身で運転して向かうのは避けてください。

まとめ

  • 破水と尿もれには目安になる違いがありますが、どれも決め手にはなりません。確定は医療機関の検査で行います
  • 市販のシートやリトマス紙で、ご自宅で結論を出すことはできません。結果を根拠に様子を見ないでください
  • 高位破水は少量がじわじわ続き、尿もれやおりものと区別がつきにくいため、見逃されやすい状態です
  • 妊娠中の尿もれ自体は珍しくありません。ただし「よくあること」は、今回がそうである根拠にはなりません
  • 迷ったときの連絡先は、分娩を予定している施設。時間帯を問わずお電話ください
  • 当院(レディースクリニックなみなみ)はセミオープンシステムで、32週頃までの健診を担当しています。分娩先が決まっていない時期や判断に迷う場合は、当院へご連絡いただければ連携先へおつなぎします

「破水だと分かったら連絡する」のではなく、「破水ではないと言い切れないから連絡する」。この順番だけ、覚えて帰っていただければと思います。空振りを気にする必要はありません。確かめられて安心すること自体に、十分な意味があります。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

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院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
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