レディースクリニック なみなみ

マタニティヨガの効果と注意点|いつから始められる?産婦人科医が医学的根拠と週数別の目安を解説

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マタニティヨガのクラスで、インストラクターの指導を受けながら側屈ポーズを行う妊婦
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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マタニティヨガはいつから始められるのか、どんな効果が期待できるのか、避けるべき動きはあるのか──。
妊娠中に「運動した方がいい」と聞いても、お腹の赤ちゃんへの影響が心配で何を始めればよいか迷う方は少なくありません。
そんな中で、産婦人科領域でも医学的なエビデンスが少しずつ積み重なってきているのがマタニティヨガです。系統的レビュー(システマティック・レビュー)では、妊娠中のヨガ介入により、不安・抑うつ・ストレスの軽減、腰痛の改善、分娩時間の短縮、正常経腟分娩率の上昇などが報告されています。加えて、肩こり・便秘・むくみといった妊娠中の不快症状の緩和や、深い呼吸法・骨盤底筋ケアといった出産・産後に活かせるスキルの習得の場としても活用されています。ただし、研究の質やプログラム内容にはばらつきがあり、効果には個人差があります。マタニティヨガは「必ず安産になる」ことを保証するものではありません。
本記事では、産婦人科医の視点から、マタニティヨガとは何か、いつから・いつまで行えるのか、避ける・修正する動きや服装の選び方、臨月までの注意点まで、妊婦さんが安心して取り組めるよう医学的根拠に基づいた情報をまとめます。

目次
  1. 1 この記事でわかること
  2. 2 マタニティヨガとは?通常のヨガとの違い
  3. 3 マタニティヨガの効果|医学的に報告されているメリット
    1. 3.1 心の健康:不安・抑うつ・ストレスの軽減
    2. 3.2 分娩への影響:分娩時間の短縮・正常経腟分娩率の上昇に関する報告
    3. 3.3 一部の研究で報告された妊娠合併症への影響
    4. 3.4 腰痛・睡眠・妊娠中の不快症状の緩和
    5. 3.5 出産・産後に活かせる呼吸法と体力づくり
    6. 3.6 体重管理・生活習慣面でのサポート
  4. 4 マタニティヨガはいつから・いつまで?妊娠週数別の目安
  5. 5 マタニティヨガで避ける・修正する動き
    1. 5.1 妊娠中に避ける・修正する動き
    2. 5.2 運動を控えるべき医学的条件
  6. 6 なぜ「スタジオで習う」ことが推奨されるのか
  7. 7 東京・目黒のマタニティヨガなら、当院提携の「Studio KAJi」へ
  8. 8 まとめ
  9. 9 よくある質問(FAQ)
    1. 9.1 マタニティヨガはいつから始めて、いつまで続けられますか?
    2. 9.2 運動経験が全くなくても大丈夫ですか?
    3. 9.3 マタニティヨガで習う呼吸法は、出産時に役立ちますか?
    4. 9.4 妊娠中の肩こり・便秘・むくみにもマタニティヨガは効きますか?
    5. 9.5 自宅で動画やオンラインのマタニティヨガを見ながらやってもいいですか?
    6. 9.6 マタニティヨガの服装やウェアはどう選べばいいですか?
    7. 9.7 臨月までマタニティヨガを続けても大丈夫ですか?
    8. 9.8 つわりがあるのですが、ヨガをしたら楽になりますか?
    9. 9.9 妊娠前にホットヨガに通っていましたが、妊娠中も継続できますか?
    10. 9.10 切迫早産と言われています。マタニティヨガはできますか?
    11. 9.11 双子(多胎妊娠)でもマタニティヨガは可能ですか?
    12. 9.12 運動中にお腹が張ったらどうすればいいですか?

この記事でわかること

  • マタニティヨガとは何か、通常のヨガとの違い
  • 医学的に報告されている効果(心の健康・分娩時間・経腟分娩率・腰痛・睡眠・出産準備)
  • 妊娠中の不快症状(肩こり・便秘・むくみ)の緩和や、出産時の呼吸法習得の側面
  • いつから・いつまで続けられるのか、妊娠週数別の考え方(初期・中期・後期・臨月)
  • 妊娠中に避ける・修正する動きと、運動を控えるべき医学的条件
  • 東京エリアのマタニティヨガ事情と、当院の提携ヨガスタジオ「Studio KAJi(目黒)」のご紹介

当院では、妊娠中の心身のケアにマタニティヨガを取り入れたい患者様向けに、目黒のヨガ・ピラティススタジオ「Studio KAJi」と連携してご案内しています。

→Studio KAJi 公式HPはこちら

マタニティヨガとは?通常のヨガとの違い

マタニティヨガとは、妊婦さんの身体的変化に配慮し、妊娠週数・体調・妊娠経過に応じてポーズ、呼吸法、リラクセーションを調整しながら行うヨガです。「妊婦ヨガ」とも呼ばれ、一般的なヨガと異なり、腹部を圧迫する動き、長時間の仰向け、転倒リスクの高い動き、高温環境での実施などを避ける点が特徴です。日本臨床スポーツ医学会の「妊婦スポーツの安全管理基準」でも、ヨガはウォーキング・水泳・固定自転車などとともに妊娠中に行いやすいスポーツの一つとして挙げられています。

米国産科婦人科学会(ACOG)は、合併症や医学的禁忌がない妊婦では身体活動の継続・開始は安全で望ましいとし、妊娠中に行いやすい運動の一つとして修正版(モディファイド)ヨガ・修正版ピラティスを挙げています。ただし、長時間同じ姿勢で静止するポーズ、長時間仰向けになるポーズ、ホットヨガは避ける必要があるとしています。つまり「マタニティ用に調整されたヨガ」は、世界的にも妊婦のためのエクササイズの選択肢として位置づけられています。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

「マタニティヨガは、単なる運動ではなく『呼吸法・骨盤底筋ケア・心の安定』をワンセットで取り入れられる点が特徴です。妊娠中は自律神経が乱れやすく、メンタル面の不調が産後にも影響することがあるため、安定期以降に主治医と相談しながら検討するとよいでしょう。」

マタニティヨガの効果|医学的に報告されているメリット

「マタニティヨガをやって安産だった」という体験談を耳にする方もいると思いますが、これにはある程度の医学的報告も存在します。マタニティヨガの効果は、複数の医学研究で検証されてきました。ここでは、複数の研究で比較的一貫して報告されている領域を中心に解説します。ただし、研究デザイン、対象者、ヨガプログラムの内容にはばらつきがあり、医学的には効果を過度に断定しないことが重要です。

心の健康:不安・抑うつ・ストレスの軽減

2022年に BMC Pregnancy and Childbirth に掲載されたメタアナリシスでは、妊娠中のヨガ介入はストレス・不安・抑うつスコアを低下させたことが報告されています。また、複数のメタアナリシスを統合した2023年の研究でも、93%のレビューが「マタニティヨガは対照群よりも不安・抑うつ・ストレス改善に効果的」と結論づけています。妊娠期はホルモン変動や生活変化により気分の落ち込みが起こりやすく、産後うつのリスク因子にもなり得ますが、マタニティヨガは薬物療法の代替ではなく、主治医や助産師によるケアと併用できる補助的な非薬物的アプローチの一つと考えるのが適切です。

分娩への影響:分娩時間の短縮・正常経腟分娩率の上昇に関する報告

同じく BMC Pregnancy and Childbirth のレビューでは、ヨガ群の妊婦で分娩時間が平均約118分短く、正常経腟分娩のオッズが高かったことが報告されています。ただし、これは「ヨガをすれば安産になる」という意味ではありません。経腟分娩は「安産」と同義ではなく、経腟分娩でも難産、吸引・鉗子分娩、会陰裂傷、出血などは起こり得ます。分娩経過には、胎児の向き、子宮収縮、骨盤、母体の体調、産科的リスクなど多くの因子が関与します。ヨガで行う呼吸法、リラクセーション、身体への意識づけが、陣痛時の緊張を和らげ、痛みの受け止め方や分娩時の姿勢調整に役立つ可能性が示唆されています。

一部の研究で報告された妊娠合併症への影響

日本公衆衛生雑誌に掲載された系統的レビュー(2015年)では、肥満や高齢などのリスクを持つ妊婦に対するヨガ介入で、妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・胎児発育不全(FGR)が少なかったとの報告があります。ただし、これは限られた研究結果であり、ハイリスク妊娠の方にマタニティヨガを一般的に勧めるものではありません。産科合併症、胎児発育異常、多胎妊娠、切迫早産などがある場合は、自己判断で行わず、必ず主治医の個別判断に従ってください。腰痛妊婦を対象とした研究では、腰痛の自覚が改善したとの報告もあります。

腰痛・睡眠・妊娠中の不快症状の緩和

妊娠後期にかけて多くの妊婦が経験する腰痛は、子宮の増大と姿勢変化、骨盤の不安定化などが背景にあります。ヨガで体幹と骨盤底筋を整えることで、腰背部の負担が軽減する可能性が示唆されています。また日本助産学会の研究助成報告では、マタニティヨガの介入が妊婦の睡眠の質を改善する可能性も示されています。

このほか、妊娠中によくみられる肩こり、便秘、足のむくみ、冷えなどの不快症状についても、ヨガによる軽い運動・ストレッチ・深い呼吸が血流促進・自律神経の調整を介して緩和に役立つ可能性があると、複数のマタニティ情報媒体(ユニ・チャーム ムーニー、パンパースなど)でも紹介されています。ただし、これらの効果は厳密な臨床試験で全て検証されているわけではなく、感じ方には個人差があります。痛みやしびれが強い場合、日常生活に支障がある場合、便秘や浮腫の急激な悪化がある場合は、ヨガで対応しようとせず必ず医師に相談してください(妊娠高血圧症候群や深部静脈血栓症などの兆候であることもあります)。

出産・産後に活かせる呼吸法と体力づくり

マタニティヨガは「効果が出る運動」というだけでなく、出産時と産後に活かせるスキルを事前に身につけられる場でもあります。具体的には次のような要素が含まれます。

  • 深い腹式呼吸の習得:陣痛時の緊張・痛みの感じ方を和らげる準備として、ゆっくりした呼吸を平時から練習しておけます。出産時の「いきみ逃し」や「呼吸を整えて陣痛を乗り切る」場面で、事前練習が役立つことがあります。
  • 骨盤底筋・股関節周りの柔軟性:分娩時に重要な骨盤底筋への意識づけと、股関節周りの可動域の維持。
  • 体幹・下肢の筋持久力の維持:妊娠中に活動量が落ちやすい筋肉を、低〜中強度で動かしておくことで、出産後の育児(抱っこ・授乳・夜間対応)に必要な体力の土台を保つ意図があります。

もちろん、これらは「マタニティヨガをすれば出産・育児が必ず楽になる」という保証ではなく、あくまで補助的な準備の一つです。実際の分娩経過は産科的因子に大きく左右されるため、過度な期待ではなく「無理のない範囲で続けられる習慣」として位置づけるのが現実的です。

体重管理・生活習慣面でのサポート

妊娠中の過度な体重増加は、妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・難産などのリスクを高めることが知られています。マタニティヨガそのものが大量にカロリーを消費する運動ではありませんが、定期的に身体を動かす習慣を持つことで、適正な体重管理や生活リズムの整備を支える役割が期待できます。妊娠中の体重管理は、運動だけでなく食事内容・睡眠・健診での評価を含めた総合的な取り組みが基本になります。

領域主な報告医学的に適切な位置づけ
心の健康不安・抑うつ・ストレスの軽減複数研究で改善が報告されているが、補助的ケアとして位置づける
分娩分娩時間の短縮、正常経腟分娩率の上昇メタアナリシスで関連が報告されているが、個人差があり「安産保証」ではない
妊娠合併症一部研究で妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・FGRの低下ハイリスク妊婦への一般推奨ではなく、主治医の個別判断が必要
身体症状腰痛・肩こり・むくみ・便秘・睡眠の改善改善の可能性が示唆されているが、症状が強い場合は医療相談が必要
出産準備呼吸法の習得・骨盤底筋への意識づけ・体力維持事前練習として有用と考えられるが、分娩経過を保証するものではない
生活習慣体重管理・運動習慣の維持食事・睡眠・健診と組み合わせた総合的なアプローチが前提
安全性適切に修正されたプログラムでは大きな有害事象は少ないと報告禁忌がない妊婦が、常温・低〜中強度・専門指導下で行うことが前提
※効果には個人差があり、すべての妊婦に当てはまるわけではありません。研究の質には限界があり、エビデンスの強さも一様ではありません。

マタニティヨガはいつから・いつまで?妊娠週数別の目安

「マタニティヨガはいつから始められるの?」という質問は、当院の妊婦健診でも非常に多くいただきます。国内の「妊婦スポーツの安全管理基準」では、妊娠成立後にスポーツを新たに開始する場合、原則として妊娠12週以降とされています。実際のマタニティヨガでは、つわりが落ち着き、妊婦健診で経過に問題がないことを確認したうえで、妊娠16週以降を目安に開始する運用が多くみられます。なお、ACOGは、合併症や医学的禁忌がない妊婦では身体活動の継続・開始は安全で望ましいとしています。

時期週数の目安マタニティヨガの可否
妊娠初期〜15週つわり、倦怠感、出血の有無など体調変化が大きい時期。妊娠後に新しく始める場合は、国内基準では原則12週以降。開始前に主治医へ相談する
妊娠中期16〜27週妊婦健診で経過に問題がなければ、常温・低〜中強度のマタニティヨガを検討しやすい時期
妊娠後期28〜36週お腹の大きさ、張り、めまい、腰痛に注意し、立位ポーズは補助具や壁を活用する
妊娠末期・臨月37週〜出産経過が順調で主治医が問題ないと判断した場合は継続可能。呼吸法、リラクセーション、座位・側臥位の軽いストレッチを中心にする

運動強度については、安全管理基準で「心拍数150回/分以下、自覚的運動強度は『ややきつい』以下」が目安とされています。連続して行う場合は、より控えめに「やや楽である」以下が望ましいとされています。会話ができる程度の強度から始め、1回60分以内、週1回から無理なく開始し、体調に応じて週2〜3回以内に調整します。

マタニティヨガで避ける・修正する動き

妊娠中に避ける・修正する動き

妊娠中の身体には、子宮の増大による重心の変化や、循環血液量の増加など、様々な変化が起きています。
以下は、妊娠中に「避ける」または「妊娠週数・体調に応じて修正する」動きです。禁忌の有無は妊娠経過により異なるため、自己判断せず、主治医とマタニティヨガに詳しい指導者に確認しましょう。

  • 腹部を圧迫する深い前屈:閉脚でお腹を押し込む前屈は避け、脚を開く、膝を曲げる、ブロックを使うなどしてお腹のスペースを確保します。
  • うつ伏せのポーズ(コブラ・弓のポーズなど):お腹が大きくなる時期以降は避けます。
  • 強いねじり:腹部を圧迫する深いツイストは避け、胸を開く程度の軽いねじりにします。
  • 過度な腹圧がかかる動き:強い腹筋運動、ジャンプ、息を止めて力む動きは避けます。
  • 長時間の仰向け:国内基準では妊娠16週以降、ACOG基準では妊娠20週以降、長時間の仰臥位になる運動・ポーズを避けるとされています(増大した子宮による下大静脈・大動脈圧迫=仰臥位低血圧症候群を予防するため、静脈還流が低下し、めまい・低血圧・気分不良を起こすことがあります)。代わりに、左側を下にした側臥位(左側臥位)や、ボルスター・クッションで上半身を起こした半坐位(セミリクライニング姿勢)を活用してください。シャヴァーサナ(屍のポーズ)など本来仰向けで行うリラクセーションも、左側臥位や半坐位に修正します。
  • 長時間の静止立位:ACOGは妊娠中期以降、動かずに立ち続ける姿勢(立位ポーズの長時間ホールド・直立不動など)も避けるよう示しています。下肢に血液が貯留して静脈還流が低下するためで、立位ポーズを行う場合は軽く重心移動を続けるか、壁・椅子・ブロックで支えながら短時間に留めます。
  • 逆転のポーズ(頭立ち・肩立ちなど):転倒・血圧変動のリスクがあるため避けます。
  • ホットヨガ・ホットピラティス等の高温多湿環境:脱水、めまい、過熱を避けるため、妊娠中は行わないようにします。
  • 長時間の息止め(クンバカ):自然な呼吸を保ち、息を止めて力む呼吸法は行いません。

※ダウンドッグについて:ダウンドッグ(下を向いた犬のポーズ)は、妊娠中に必ず禁止されるポーズではありません。ただし、妊娠後期は腹部の圧迫感、めまい、手首への負担が出やすいため、短時間に留めます。必要に応じて壁やブロックを使った修正版にし、違和感がある場合は行わないでください。

運動を控えるべき医学的条件

ACOGの「妊娠中および産後の身体活動・運動に関する委員会意見(Committee Opinion No. 804)」および国内の「妊婦スポーツの安全管理基準」を踏まえると、以下に該当する場合は、マタニティヨガを含む運動を自己判断で行わず、必ず主治医に確認してください。

  • 切迫流産、切迫早産
  • 後期流産・早産の既往
  • 頸管無力症、頸管縫縮術後、頸管長短縮
  • 前期破水、破水疑い
  • 前置胎盤、低置胎盤
  • 妊娠高血圧症候群、子癇前症
  • 持続する性器出血
  • 胎児発育不全、胎児発育異常の指摘
  • 早産リスクのある多胎妊娠
  • 重い心疾患、呼吸器疾患、重症貧血
  • その他、主治医から運動制限を指示されている場合

また、運動中にお腹の張りを感じたら、すぐに動きを止めて休みましょう。休んでも張りが治まらない、規則的に繰り返す、痛みを伴う、出血・破水感・胎動減少・強いめまい・頭痛・胸痛・ふくらはぎの腫れや痛みを伴う場合は、ヨガを中止して医療機関に連絡してください。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

「『安定期だから大丈夫』と自己判断せず、必ず妊婦健診でその時点の妊娠経過を確認してから始めてください。切迫早産や前置胎盤などが判明している場合は、運動を控えるべき条件にあたります。当院ではマタニティヨガを希望される方には、妊娠経過と注意事項を確認したうえで提携スタジオをご紹介しています。」

なぜ「スタジオで習う」ことが推奨されるのか

目黒のヨガスタジオ「Studio KAJi」でマタニティヨガを行う女性の画像。

初めてマタニティヨガを行う場合や、妊娠後に新しく運動を始める場合は、マタニティ指導に慣れた専門指導者のもとで、対面で基本姿勢や避ける動きを確認することを推奨します。理由は以下のとおりです。

  • 妊娠週数や体格、骨盤の傾きに応じてポーズを個別に修正(モディファイ)する必要があるため
  • 体調変化(張り・めまい・動悸)に第三者が早く気付ける
  • 同じ週数の妊婦さんと交流することで孤立感や妊娠不安が軽減される(ピアサポート効果)
  • マタニティヨガの有資格指導者であれば、避ける動きや中止サインへの対応が訓練されている

オンラインや動画を利用する場合も、妊婦専用プログラムを選び、主治医の許可を得たうえで無理のない範囲で行いましょう。

→Studio KAJiのインストラクター一覧

東京・目黒のマタニティヨガなら、当院提携の「Studio KAJi」へ

目黒のヨガスタジオ「Studio KAJi」の内装

東京都内でマタニティヨガが受けられるスタジオを探している方、特に目黒区・大田区・品川区・恵比寿エリアにお住まいの妊婦さんに向けて、レディースクリニックなみなみでは目黒駅徒歩4分のヨガ・ピラティススタジオ「Studio KAJi(スタジオ・カジ)」と連携してご案内しています。

Studio KAJiは、マタニティヨガの専門資格を持つインストラクターが在籍し、妊娠中期以降の妊婦さんに対応したクラスを提供しています。受講条件や最新情報は、Studio KAJi公式サイトをご確認ください。

  • マタニティ専門資格を持つ指導者によるクラス
  • 週数別の個別対応・補助具を用いたポーズの修正
  • 産後ケア(産後ヨガ・骨盤底筋ピラティス)への移行も可能

Studio KAJi マタニティヨガクラスの詳細を見る

まとめ

マタニティヨガは、心の健康、分娩時間、正常経腟分娩率、腰痛、睡眠などの領域で有用性が報告されている、妊婦さんのための非薬物的アプローチの一つです。ACOGや日本臨床スポーツ医学会も、修正版ヨガを妊娠中に行いやすい運動の一つとして位置づけています。ただし、効果には個人差があり、研究の質やプログラム内容にもばらつきがあります。安全に行うためには、妊娠経過に異常がないことを確認し、暑熱環境、腹部圧迫、過度な腹圧、長時間の仰向け、転倒リスクの高い動きを避けることが重要です。開始時期、継続可否、医学的禁忌については、自己判断ではなく主治医と専門指導者に確認しましょう。

レディースクリニックなみなみでは、妊婦健診で妊娠経過を確認したうえで、東京・目黒の提携スタジオ「Studio KAJi」のマタニティヨガクラスへのご紹介を行っています。妊娠中の運動について不安のある方、心身の不調を感じている方、マタニティヨガスタジオをお探しの方は、まずは妊婦健診の際にお気軽にご相談ください。

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よくある質問(FAQ)

マタニティヨガはいつから始めて、いつまで続けられますか?

国内基準では妊娠成立後にスポーツを新規開始する場合、原則として妊娠12週以降とされています。実際のマタニティヨガでは、つわりが落ち着き経過に問題がないことを確認した妊娠16週以降を目安に開始するのが一般的です。妊娠経過に異常がなく、主治医が問題ないと判断した場合は、出産予定日近くまで継続できることもあります。新規開始は必ず主治医の許可を得てください。

運動経験が全くなくても大丈夫ですか?

はい、マタニティヨガは運動初心者を前提に設計されたプログラムです。ACOGも「妊娠を機に新たに運動を始めることは推奨される」と明記しています。ただし、妊娠前にまったく運動していなかった方は、自覚的に「やや楽」と感じる強度から始め、徐々に頻度を増やすことが望ましいとされています。

マタニティヨガで習う呼吸法は、出産時に役立ちますか?

マタニティヨガで練習する深い腹式呼吸やゆっくりとした呼吸は、陣痛時の緊張・痛みの感じ方を和らげるための準備として役立つ可能性があります。出産時の「いきみ逃し」「呼吸でリラックスを保つ」場面で、平時から練習しておくと取り組みやすくなります。ただし、呼吸法だけで分娩経過が決まるわけではなく、当院での出産前の保健指導や、助産師による分娩準備とあわせて活用するのが望ましいです。

妊娠中の肩こり・便秘・むくみにもマタニティヨガは効きますか?

マタニティヨガの軽い運動・ストレッチ・呼吸法は、血流促進と自律神経の調整を介して、肩こり・便秘・足のむくみ・冷えなどの不快症状を緩和する可能性があります。ただし、厳密な臨床試験で全て証明されているわけではなく、感じ方には個人差があります。むくみが急激に強くなった場合や、頭痛・視覚異常を伴う場合は、妊娠高血圧症候群などの兆候であることもあるため、自己判断でヨガで対応せず、必ず妊婦健診で相談してください。

自宅で動画やオンラインのマタニティヨガを見ながらやってもいいですか?

絶対ダメではありませんが、最初の数回は対面スタジオで正しい姿勢と禁忌ポーズを学ぶことを強く推奨します。妊娠中はリラキシンの影響で関節が緩み、自己流の動きで腰や骨盤を痛めるリスクがあります。YouTube・オンラインヨガサービス・マタニティヨガ動画は基礎を習得した後のセルフケアとして取り入れるのが理想的です。なお、オンライン専用クラスを利用する場合も、必ず「妊婦専用」「マタニティ専門資格保持者」のものを選んでください。

マタニティヨガの服装やウェアはどう選べばいいですか?

マタニティヨガの服装は、(1) お腹を締め付けないゆとりのあるトップス、(2) ウエストゴムがやわらかいレギンス・ヨガパンツ、(3) 動きやすい吸湿性のある素材が基本です。マタニティ専用ヨガウェアでなくても、伸縮性のあるレギンスとゆったりめのTシャツでも十分対応可能です。靴下は滑り止め付きのものがあると安心です。

臨月までマタニティヨガを続けても大丈夫ですか?

妊婦健診で経過が順調と確認され、主治医や指導者が問題ないと判断した場合は、臨月までマタニティヨガを継続できることがあります。ただし、臨月は体調変化が大きい時期のため、立位の連続ポーズや負荷の高い動きは避け、呼吸法、リラクセーション、座位・側臥位での軽いストレッチを中心にしましょう。「臨月までヨガを続けて安産だった」という体験談もありますが、あくまで個別の経過に基づくものであり、誰にでも当てはまるとは限りません。

つわりがあるのですが、ヨガをしたら楽になりますか?

つわりが強い時期は、脱水、低血糖、体重減少、めまいを起こしやすいため、マタニティヨガの新規開始は避けましょう。つわりが落ち着き、妊婦健診で経過に問題がないことを確認してから、妊娠12〜16週以降を目安に検討します。

妊娠前にホットヨガに通っていましたが、妊娠中も継続できますか?

妊娠中のホットヨガ・溶岩ヨガなど高温多湿環境でのヨガは避けましょう。ACOGも避けるべき運動として挙げています。高温環境では脱水、めまい、過熱を起こしやすく、特に妊娠初期は高体温を避けることが重要です。ホットヨガと胎児異常を直接結びつけるデータは限定的ですが、安全面から常温のマタニティ専門クラスへ切り替えることを推奨します。妊娠に気づかず一度参加してしまった場合でも、体調に異常がなく、その後の妊婦健診で問題がなければ過度に心配しすぎる必要はありません。以後は常温のマタニティ専門クラスへ切り替えてください。

切迫早産と言われています。マタニティヨガはできますか?

切迫早産は運動を控えるべき条件です。安静が治療の中心となるため、マタニティヨガを含めた運動は中止してください。状態が改善し主治医から許可が出てから再開を検討します。

双子(多胎妊娠)でもマタニティヨガは可能ですか?

多胎妊娠は、単胎妊娠より早産や妊娠高血圧症候群のリスクが高いため、マタニティヨガの通常クラス受講は原則として主治医の個別判断が必要です。呼吸法やごく軽いセルフケアであっても、妊娠週数、頸管長、子宮収縮、胎児発育の状態を確認したうえで判断します。多胎妊娠の方は必ず当院でご相談ください。

運動中にお腹が張ったらどうすればいいですか?

すぐに動きを止めて休憩してください。休んでも張りが治まらない、規則的に繰り返す、痛みを伴う、出血・破水感・胎動減少・強いめまい・頭痛・胸痛・ふくらはぎの腫れや痛みを伴う場合は、ヨガを中止して医療機関に連絡してください。これらはACOGや国内基準でも中止サインとして示されています。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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参考文献

  1. Physical Activity and Exercise During Pregnancy and the Postpartum Period: ACOG Committee Opinion, Number 804 (2020) – American College of Obstetricians and Gynecologists
  2. 妊婦スポーツの安全管理基準(2019改訂版) – 日本臨床スポーツ医学会 学術委員会産婦人科部会
  3. The characteristics and effectiveness of pregnancy yoga interventions: a systematic review and meta-analysis (2022) – BMC Pregnancy and Childbirth
  4. Prenatal Yoga-Based Interventions May Improve Mental Health during Pregnancy: An Overview of Systematic Reviews with Meta-Analysis (2023) – International Journal of Environmental Research and Public Health
  5. Efficacy of Prenatal Yoga in the Treatment of Depression and Anxiety during Pregnancy: A Systematic Review and Meta-Analysis (2022) – International Journal of Environmental Research and Public Health
  6. 妊娠中のヨガ(マタニティ・ヨガ)の有効性に関する文献的考察(システマティック・レビュー) – 日本公衆衛生雑誌
  7. 妊娠期における身体活動に関する日本のガイドラインのレビュー – 厚生労働科学研究費補助金研究報告書
  8. マタニティヨガの介入が妊婦の睡眠およびストレスに及ぼす効果 – 日本助産学会研究助成金報告書
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電話番号 03-5747-9330
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