レディースクリニック なみなみ

妊娠初期症状の腹痛は危険信号?産婦人科専門医が教える症状別対処法と受診の目安

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クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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  • 妊娠初期に感じる軽い腹痛は珍しくなく、多くの場合は心配いりません。子宮が大きくなることやホルモンバランスの変化に伴う、生理的な痛みです
  • 軽い腹痛は通常徐々に治まりますが、妊娠4ヶ月頃(妊娠16週)まで断続的に続くこともあります。それでも体が妊娠に適応する過程で起こる痛みであれば異常ではありません。
  • 一方、強い痛み、長く続く痛み、出血を伴う痛みがある場合は注意が必要です。流産や子宮外妊娠(受精卵が子宮の外に着床してしまう状態)など重大なトラブルの兆候の可能性があります。
  • 激しい痛みや大量の出血が起きたときは、夜間でも迷わず医療機関に連絡し受診しましょう。早めの受診が母体と赤ちゃんの安全につながります。
  • 出血を伴わない軽い痛みだけなら、過度に慌てずまずは安静にして様子を見て大丈夫です。痛みが悪化しないか注意しつつ、気になる場合は次の健診で医師に相談してみてください。

妊娠初期にお腹の痛みを感じると、「赤ちゃんは大丈夫かな?」「この痛みは普通なの?」と不安になる方も多いですよね。気になって色々と調べたくなるのも自然なことです。結論から言えば、妊娠初期の軽い腹痛はよくある症状でほとんどの場合心配ありません。 実際、多くの妊婦さんが妊娠超初期〜妊娠初期にかけて下腹部の違和感や軽い生理痛のような痛みを経験しています。とはいえ、すべての腹痛が大丈夫というわけではなく、痛みの強さや出血の有無によっては注意が必要なケースもあります。

妊娠初期の腹痛には、心配いらない痛みと注意すべき痛みが混在しています。初めての妊娠だと「この痛みは大丈夫なのかな?」と判断がつかず不安になってしまいますよね。そこで本記事では、妊娠初期に起こりうる腹痛の原因や症状について、比較的よくあるケースから注意が必要なケースまで順番に詳しく解説します。それぞれの原因ごとに現れる症状の特徴や対処法・受診の目安も説明しますので、ご自身の症状と照らし合わせることで「この痛みは大丈夫か」の判断に役立ててください。

妊娠初期には、出血以外にもさまざまな症状や体調の変化が現れます。妊娠初期症状全般についてまとめた以下の記事も合わせて参考にしてください👇️。

目次
  1. 1 妊娠初期症状の腹痛はよく起こります
    1. 1.1 妊娠してから16週程度は腹痛が続くことがある
    2. 1.2 下痢を伴うことがある
    3. 1.3 便秘を伴うことがある
    4. 1.4 腹痛の種類によっては流産のリスクがある
  2. 2 妊娠初期症状としての腹痛の原因
    1. 2.1 原因①:ホルモンバランスの変化
    2. 2.2 原因②:子宮のサイズ変化
    3. 2.3 原因③:子宮の周囲の靭帯の伸展
    4. 2.4 原因④:着床痛
  3. 3 妊娠初期の腹痛の症状 - 部位別
    1. 3.1 ①:お腹の左右どちらかが引きつる痛み
    2. 3.2 ②:下腹部がチクチクする痛み
    3. 3.3 ③:生理痛のような痛み
    4. 3.4 ③:全身症状(発熱など)を伴う痛み
  4. 4 妊娠初期の腹痛の症状 - 症状の種類別
    1. 4.1 ①:痛みがどんどん強くなる
    2. 4.2 ②:出血を伴う
    3. 4.3 ③:冷や汗をかく
    4. 4.4 ④:眠れない/目が覚める痛み
    5. 4.5 ⑤:嘔吐を伴う
  5. 5 妊娠初期の腹痛への対処法
    1. 5.1 ①:体勢を楽にする
    2. 5.2 ②:体を温める
    3. 5.3 ③:水分補給する
    4. 5.4 ④:食物繊維を摂取する
  6. 6 妊娠初期症状の腹痛の注意点
    1. 6.1 ①:市販薬を自己判断で服用しない
    2. 6.2 ②:痛みが強い・出血を伴う場合はすぐに医師に相談する
  7. 7 妊娠初期の出血に関するよくある質問
    1. 7.1 妊娠初期症状の腹痛と生理痛の違いは?
    2. 7.2 妊娠初期症状の腹痛で医師に相談する基準は?
    3. 7.3 妊娠初期にお腹の左側だけが痛むのはどうしてですか?
    4. 7.4 妊娠初期に腹痛があっても出血がなければ大丈夫ですか?
    5. 7.5 妊娠してから下痢をしやすくなりました。下痢をすると流産すると聞いたことがあって心配です。本当に関係がありますか?
    6. 7.6 妊娠超初期にも腹痛はありますか?
  8. 8 まとめ:腹痛などの妊娠初期症状の不安は医師に相談しましょう

妊娠初期症状の腹痛はよく起こります

妊娠初期の腹痛は決して珍しくありません。妊娠が成立すると女性の体内では劇的な変化が起こります。受精卵が子宮内膜に着床し始め、胎盤が形成され、子宮も急速に大きくなり始めます。これらの変化に伴ってホルモンバランスも大きく変動します。特にプロゲステロンやhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)などのホルモンが急激に増加し、体の様々な部分に影響を及ぼします。その結果、腹痛はこうした体の変化に対する自然な反応の一つとして現れることがあります。多くの場合、この腹痛は軽度~中程度で一時的に起こり、しばらくすると治まる間欠的な痛みです。ただし個人差が大きいため、痛みの強さや続く時間には人それぞれ違いがあります。

妊娠してから16週程度は腹痛が続くことがある


妊娠初期の腹痛は、多くの場合妊娠16週頃まで続く可能性があります。妊娠初期から中期にかけて子宮が急速に成長し、それを支える靭帯(じんたい)が引き伸ばされる時期と重なるためです。特に子宮を支える円靭帯(えんじんたい)という靭帯の伸展は、下腹部や鼠径部(脚の付け根あたり)の痛みの原因となることがあります。このような痛みは「子宮円靭帯痛」とも呼ばれ、妊娠中期まで続くこともあります。

また、子宮の拡大に伴いお腹の筋肉や皮膚も引き伸ばされるため、引っ張られるような痛みを感じる妊婦さんもいます。これらの痛みは突然立ち上がったり姿勢を急に変えたときに強まることが多いですが、いずれも一時的な生理的痛みである場合がほとんどです。ただし、痛みがずっと続く場合や明らかに強い場合、他に気になる症状(発熱や出血など)を伴う場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

下痢を伴うことがある

妊娠初期に下痢を起こす妊婦さんもいます。主な原因はホルモンバランスの変化です。特にエストロゲン(卵胞ホルモン)の増加は腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、食べ物が腸を通過する時間を短くします。その結果、十分に消化されないまま内容物が排出されやすくなり、下痢につながります。また、妊娠による免疫機能の変化も腸内細菌のバランスに影響を与え、下痢を引き起こすことがあります。さらに、つわりで食事内容が偏ったり水分が十分に取れなかったり、妊娠に伴うストレスがあったりすることも下痢の一因となります。

下痢に伴うお腹の痛み(腹痛)は、腸の蠕動運動が普段より活発になることや下腹部の筋肉が収縮することによって生じます。基本的に妊娠初期の下痢は一過性で心配いらないケースが多いですが、下痢が重症化して脱水症状を起こすと母体や胎児の健康に影響を及ぼす可能性があります。水分が取れないほどの激しい下痢の場合は、病院で点滴などの処置が必要になることもありますので早めに受診してください。

便秘を伴うことがある

一方で、便秘に悩まされる妊婦さんも大勢います。妊娠初期は先述の通りエストロゲンの作用で腸の動きが活発になり下痢しやすくなる側面がありますが、同時に増加するプロゲステロン(黄体ホルモン)には消化管の動きを緩やかにする作用があるため、妊娠中は便秘にもなりやすいのです。また、つわりで十分な水分や食物繊維を摂れなかったり、嘔吐が続いたりして腸内の内容物が硬くなりがちなことも便秘の原因となります。

妊娠初期の便秘が続く場合は、食事の工夫で改善できることが多いです。例えば食物繊維や乳酸菌を含む食品を意識して摂ると、腸内環境が整い徐々に解消されることがあります。

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便秘解消に特におすすめの栄養素は、食物繊維植物性乳酸菌オリゴ糖です。効果的な食べ物として、もち麦キウイフルーツバナナオリーブオイル納豆などが挙げられます。これらは腸内の善玉菌を増やし、腸の調子を整える働きがあります。ただし塩分の多い食品や高カロリーな食品の摂りすぎには注意しましょう。バランスの取れた食事と規則正しい生活を心がけることで、妊娠中の便秘による腹痛の改善が期待できますよ。

腹痛の種類によっては流産のリスクがある

妊娠初期の腹痛の中には、流産のリスクを示唆するものもあります。特に注意が必要なのは、痛みが非常に強い場合長時間持続する場合、そして出血を伴う腹痛です。流産の兆候として現れる腹痛は、通常下腹部に集中し、間欠的に陣痛のように起こるか、あるいは鈍い痛みが持続的に続くことが多いです。また流産しかかっている場合には腰痛を伴うこともあります。

出血がある場合は、その続いている時間に注意を払ってください。鮮やかな赤色の出血や、生理2日目以上のような多めの出血が見られるときは特に注意が必要です。また、おりもの(膣分泌物)の変化も重要なサインです。普段と異なる茶色っぽい色や嫌な臭いがしたり、量が急に増えたりする場合も注意しましょう。

さらに、妊娠初期の腹痛で片側の下腹部だけが激しく痛む場合、子宮外妊娠(異所性妊娠)の可能性も考えられます。子宮外妊娠では受精卵が子宮以外(多くは卵管)に着床してしまうため、胎児は育たず母体に危険が及ぶことがあります。片側だけの強い痛みやめまい・失神、出血などがある場合は緊急の対応が必要です。

このような激しい症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し、超音波検査など適切な検査を受けてください。早期に診断し適切な処置を行うことで、母体の健康を守り、場合によってはその後の妊娠継続につなげられる可能性があります。

普段とは違う時期に腹痛が起こると、生理痛程度の軽い痛みでも妊娠中だと心配になるのが自然な反応です。まずはご自身の体調の変化をしっかり把握し、決して一人で抱え込まずに早めにかかりつけ医に相談しましょう。

妊娠初期症状としての腹痛の原因

妊娠初期の腹痛には、様々な要因が複雑に絡み合っています。ここでは代表的な4つの原因について、それぞれ詳しく解説いたします。

原因①:ホルモンバランスの変化

妊娠すると体内のホルモンバランスが劇的に変化します。特にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が急激に増加し、女性の体にさまざまな変化を引き起こします。

  • 子宮への作用: エストロゲンは子宮内膜を厚くし胎児の成長を支えるホルモン、プロゲステロンは子宮の筋肉をゆるめて妊娠を維持するホルモンです。プロゲステロンの作用で子宮筋がやわらかく保たれ拡張しやすくなりますが、その過程で子宮が軽く痙攣したり違和感を覚えたりすることがあります。このため、生理現象として軽い下腹部痛張るような痛みを感じる場合があります。
  • 消化器への作用: これら妊娠ホルモンは消化器系の働きにも影響します。プロゲステロンには胃腸の動きを緩める作用があり、妊娠初期には消化不良や便秘を引き起こしやすくなります。その結果、お腹の張りや不快感、さらには腹痛につながることがあります。
  • つわりとの関連: 加えて、**hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)**というホルモンも妊娠超初期から急激に増加します。hCGはつわり(悪阻)の原因になることで知られますが、つわりに伴う食欲不振や消化機能の不調を通じて間接的に腹痛を引き起こす可能性もあります。

原因②:子宮のサイズ変化

妊娠すると子宮は驚くべき速さで大きくなり始めます。妊娠前の子宮は鶏卵大(約7~8cm程度)ですが、妊娠末期にはスイカほどの大きさ(長径30cm前後)にまで成長します。特に妊娠初期(妊娠1~4か月頃)は子宮が急激に大きくなる時期です。

子宮が拡大していくにつれ、周囲の組織や臓器が押し上げられたり圧迫されたりします。その影響で下腹部に違和感軽い痛みを感じることがあります。特に初めて妊娠した方(初産婦さん)は、子宮が今まで経験したことのないスピードで大きくなるため、より強い圧迫感や痛みを感じる可能性があります。また子宮の位置や形状には個人差があるため、子宮拡大に伴う症状の出方も人によって異なります。

原因③:子宮の周囲の靭帯の伸展

子宮を支える靭帯、特に円靭帯(えんじんたい)の伸びも、妊娠初期の腹痛の主要な原因の一つです。円靭帯は子宮の両側から骨盤の前方へ向かって伸びている帯状の組織で、子宮が大きくなるにつれてこの靭帯が引っ張られます。その結果、鋭い痛みや引きつれるような感覚を引き起こすことがあります。

この痛みは英語で「ラウンドリガメントペイン (round ligament pain)」と呼ばれ、日本語では上記の子宮円靭帯痛を指します。特に妊娠12週~24週頃に顕著になると言われますが、妊娠初期から感じる人もいます。ラウンドリガメントペインは通常、鼠径部や下腹部の片側に現れるのが特徴です。寝返りを打つ・急に立ち上がる・くしゃみや咳をするといった突然の動きで痛みが悪化することもあります。イメージとしては、ピンと張ったゴムひもが急に引っ張られて痛むような感覚です。多くの場合、数秒から長くても数分以内には治まる一過性の痛みですが、初めて経験する妊婦さんにとっては不安に感じることも少なくありません。

原因④:着床痛

これは妊娠超初期(妊娠3~4週頃)の痛みです。着床痛(ちゃくしょうつう)とは、受精卵が子宮内膜に着床する際に起こるごく軽い痛みや不快感のことを指します。

着床は通常、排卵後6~12日ほど(前回の月経開始日から数えて約20~26日目頃)に起こります。この時期に受精卵が子宮内膜にもぐり込むようにして着床しますが、その過程で子宮内膜の一部が剥がれてごく少量の出血(着床出血)を伴うことがあります。

着床痛の感じ方には個人差が大きく、全く感じない人もいれば生理痛のような軽い痛みを感じる人もいます。典型的には下腹部がチクチクする痛み軽い引っ張られるような感覚として表現されます。

着床痛は通常、数分から長くても数時間程度で自然に治まります。痛み自体も強いものではありません。ただし、着床時期にあまりにも強い痛み多量の出血がある場合は、他の原因(例えば子宮外妊娠など)の可能性も考えられますので念のため医療機関へ相談しましょう。着床出血も含めた妊娠初期の出血については、当院コラム「妊娠初期の不正出血は大丈夫?原因と流産の可能性について」で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。

妊娠初期の腹痛の症状 - 部位別

妊娠初期の腹痛は、その痛む場所や痛み方によって感じ方が異なります。ここでは腹痛が現れる部位や痛みの性質ごとに、代表的な症状を説明します。ご自身の痛みの箇所や感じ方に近いものがないか、確認してみてください。

①:お腹の左右どちらかが引きつる痛み

症状の特徴: 下腹部や鼠径部の左右いずれか一方に、筋が引っ張られるような鋭い痛みを感じます。妊娠に伴う子宮の靭帯(特に円靭帯)の伸びによって起こる痛みで、急に体を動かしたときや姿勢を変えたときに「ピキッ」と走るような痛みが特徴です。痛み自体は数秒~数分で治まる一時的なものですが、驚いてしまう妊婦さんも多いでしょう。

  • よく起こる時期: 妊娠初期~中期(特に妊娠12週~24週頃)にかけて感じやすいです。ただし初期でも子宮が大きくなり始めた頃から起こり得ます。
  • 痛みが悪化しやすい動作: くしゃみや咳、寝返り、起き上がる動作などで痛みが強まることがあります。ゆっくり動くことで予防できる場合があります。
  • 注意点: 痛みが持続的になったり出血を伴ったりする場合は、円靭帯痛以外の問題の可能性があります。特に片側の痛みで激痛が続く場合は子宮外妊娠の可能性もあるため、早めに医師の診察を受けてください。

②:下腹部がチクチクする痛み

症状の特徴: 下腹部中央あたりにチクチクと針で刺すような軽い痛み下腹部が張るような違和感を感じます。妊娠初期に子宮が大きくなることで周囲にかかる負荷が原因と考えられます。生理前後の下腹部違和感に近い軽い痛みと表現する方もいます。

  • 主な原因: 急速に拡大する子宮によって膀胱や腸など周囲の臓器が圧迫されることで起こる軽い痛みです。また、着床時期のチクチクした痛み(着床痛)を指す場合もあります。初産の方はこうした違和感をより強く意識しやすい傾向があります。
  • 経過: 多くは安静にしていれば治まる軽度の痛みで、時間経過とともに慣れて気にならなくなることも多いです。
  • 注意点: 下腹部のチクチクした痛み自体は心配のないことがほとんどですが、痛みがだんだん強くなる何時間も持続するといった場合には念のため医師に相談しましょう。

③:生理痛のような痛み

症状の特徴: 下腹部に鈍い痛み重苦しい圧迫感があり、月経時の生理痛に似た痛みです。時には腰や背中までだるく痛むこともあります。妊娠初期の腹痛が生理痛に似ているのは、どちらも子宮の収縮が関係しているためです。

  • 痛みの性質: 多くの場合、軽度~中程度の鈍い痛みで、じわじわと続く圧迫感として感じられます。プロゲステロンの影響で子宮が敏感になっているためと考えられます。
  • 放散痛: 子宮由来の痛みのため、人によっては腰や骨盤周りまで痛むように感じることがあります(生理痛でも腰が重くなるのと同様です)。
  • 注意点: 生理痛のような下腹部痛自体は妊娠初期によくある症状で、通常は問題ありません。ただし、痛みがあまりに強かったり長時間続く場合は医師に相談してください。また、妊娠中に市販の鎮痛剤を使うのは注意が必要です。痛み止めを服用したい場合は必ず事前に産婦人科医に相談し、指示に従うようにしましょう。

③:全身症状(発熱など)を伴う痛み

症状の特徴: 下腹部の痛みに加えて、発熱悪寒倦怠感おりものの異常などの全身症状を伴う場合です。妊娠初期はホルモンの影響で免疫バランスが変化し、感染症にかかりやすい時期でもあります。そのため、例えば子宮内膜炎や尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎など)が起こり、腹痛の原因となることがあります。

  • 感染症のサイン: 発熱(微熱~高熱)、寒気、吐き気、尿のトラブル(尿がしみる・頻尿)や膣からの異常なおりもの(色や臭いの変化、量の増加)などが見られます。
  • 具体的な可能性: 下腹部痛に加え発熱や膿の混じったおりものがある場合は子宮内膜炎の懸念があります。また下腹部~脇腹の痛みと高熱、排尿痛がある場合は腎盂腎炎などの尿路系の感染が考えられます。どれも妊娠中には注意すべき感染症です。
  • 注意点: 感染症が疑われる場合は早急に医療機関を受診してください。抗生剤など適切な治療を受ければ早期に治まり、母体と胎児への影響も最小限に抑えられます。放置すると症状が悪化し、流産などにつながるリスクもゼロではありませんので油断せず対処しましょう。

妊娠経験のある経産婦の方は、「この程度の腹痛なら大丈夫」と自分で判断できる場合が多く、上手に付き合って過ごせることがほとんどです。それに対し初めての妊娠では、今までの生理痛とは違う感覚に「これは大丈夫なのかしら?」と戸惑い、不安になる方が多いです。現在感じている腹痛を一度落ち着いて「場所」「強さ」「頻度」「他の症状の有無」で分類してみると、意外と自分の状態が客観的にわかるかもしれませんよ。

妊娠初期の腹痛の症状 - 症状の種類別

妊娠初期の腹痛はその多くが心配のないケースですが、中には緊急性の高い腹痛もあります。次のような症状(痛み方)の腹痛がある場合は、放置せずできるだけ早く医師に相談しましょう。

①:痛みがどんどん強くなる

時間の経過とともに腹痛が増強していく場合、それは深刻な問題のサインかもしれません。

注意すべきポイント:

  • 痛みが徐々に強くなり、我慢できないレベルに達する。最初は軽かった痛みが、次第に激痛に変わっていくようなら注意が必要です。
  • 痛む場所が変わったり広がったりする。下腹部の一箇所だった痛みがお腹全体に広がる、あるいは左右に移動するような場合も要注意です。
  • 波がある痛み(周期的に痛みが強まる)。陣痛様に痛みの強弱を繰り返す場合、子宮の収縮を伴っている可能性があります。

考えられる原因:

  • 流産: 切迫流産や進行流産では下腹部の痛みが次第に強くなり、出血も増えていくことが多いです。安静にしても痛みが治まらない場合は急いで受診を。
  • 子宮外妊娠: 特に卵管妊娠では、卵管が破裂する際に耐え難い痛みが突然起こり、その後も激しい痛みが続きます。命に関わる緊急事態です。
  • 卵巣のう腫破裂: 卵巣にできた嚢胞(袋状の腫れ物)が破裂すると、下腹部に急激な激痛が走ります。場合によっては出血性ショックになることも。
  • 子宮筋腫の変性: 子宮筋腫を持っている妊婦さんの場合、妊娠中に筋腫が変性を起こして強い痛みを引き起こすことがあります。

②:出血を伴う

腹痛と同時に出血がある場合、必ずしも全てが異常とは限りませんが、やはり注意が必要です。

注意すべきポイント:

  • 出血の量: ごく少量の茶色い出血で一日で止まるような場合は様子を見ることもありますが、出血量が少量でも持続する場合や、生理以上の出血量がある場合は注意が必要です。
  • 出血の色: 鮮紅色(鮮やかな赤色)の出血は新しい出血を示し、特に注意が必要です。茶褐色は古い出血ですが、量が多い場合は油断できません。
  • 出血が続く時間: 一度きりですぐ止まったのか、ダラダラ続いているのかも重要です。長引くようなら受診の目安になります。

考えられる原因:

  • 切迫流産: 少量の出血と下腹部痛がある状態です。胎児は子宮内に留まっていますが流産しかかっているサインなので、安静と医師の指示が必要です。
  • 子宮外妊娠: 特に卵管で出血が起こると、腹腔内への出血とともに外にも出血することがあります。激痛を伴うことが多いです。
  • 絨毛膜下血腫: 子宮内で胎嚢付近に出血の塊ができる状態です。出血量は様々ですが、腹痛を感じることもあります。妊娠初期に比較的よくみられ、安静にして経過を見ることが多いです。

③:冷や汗をかく

冷や汗を伴う腹痛は、体が何らかの強いストレスを受けているサインです。

注意すべきポイント:

  • 冷や汗と同時に顔色が悪くなる。貧血やショック症状に陥りかけている可能性があります。
  • めまいや吐き気を伴う。血圧低下や激痛による迷走神経反射が考えられます。
  • 発熱や悪寒がある。感染症や腹膜刺激症状(腹膜炎など)の可能性があります。

考えられる原因:

  • 重度の脱水: 下痢やつわりで脱水になりかけているとき、冷や汗やめまいを生じることがあります。点滴治療が必要かもしれません。
  • 急性腹症: 虫垂炎(盲腸)や腹膜炎など、急性の腹痛を伴う状態では冷や汗や嘔吐を伴うことがあります。妊娠中でも起こり得るので注意が必要です。
  • 重度の貧血: 妊娠中の貧血が進むと、ちょっとした動作で冷や汗が出たり気分不良をきたすことがあります。腹痛というより腹部不快感に近い場合も。

④:眠れない/目が覚める痛み

睡眠を妨げるほどの強い腹痛は、深刻な問題のサインである可能性があります。

注意すべきポイント:

  • 痛みの強さ: 横になっていても眠れない、うずくまってしまうほどの強い腹痛は異常です。
  • 痛みの持続時間: 波があるにせよ、慢性的に痛みが長時間続いている場合も危険信号です。
  • 痛みの性質: 鋭い刺すような痛みや締め付けられるような激痛など、普段の生理痛とは明らかに異なる痛み方にも注意してください。

考えられる原因:

  • 巨大な子宮筋腫の変性: 大きな子宮筋腫を持っている場合、妊娠により血流が変化して筋腫が痛み出すことがあります。特に夜間や安静時にも痛む場合は入院管理が必要なことも。
  • 卵巣のう腫の捻転: 卵巣にある嚢腫(チョコレート嚢胞や皮様嚢腫など)が茎捻転を起こすと、突然の激痛で眠っていられません。緊急手術が必要なケースです。
  • 重度の便秘: 極端な便秘で腸にガスや便が溜まると、夜間にお腹が張って痛みで目覚めることがあります。慢性的な強い痛みではありませんが、眠れないほどの場合は浣腸など処置が必要でしょう。

⑤:嘔吐を伴う

妊娠初期の嘔吐は多くがつわりによるものですが、激しい腹痛を伴う嘔吐の場合は注意が必要です。

注意すべきポイント:

  • 嘔吐の頻度と量: 一日に何度も吐く、飲んだそばから吐いてしまうなど。つわりの範囲を超えているかどうか。
  • 水分さえ受け付けない: 水やお茶すら飲めない状態は脱水の危険があります。
  • 腹痛と嘔吐の関係: 痛みが強くなると吐いてしまう、という場合は痛みの刺激で吐いている可能性があります。

考えられる原因:

  • 重症妊娠悪阻(じゅうしょうにんしんおそ): つわりが重症化した状態で、吐き気だけでなく腹部の激痛や脱水、体重減少を伴います。入院治療が検討されます。
  • 消化器系の感染症: 胃腸炎や食あたりなどに妊娠中になると、腹痛と嘔吐のダブル症状に見舞われます。発熱や下痢を伴うことも。
  • 胆石症: 妊娠中は胆石発作が起きやすく、上腹部~右季肋部の激痛と嘔吐を伴います。これは妊娠初期より中期以降に多いですが注意しましょう。

妊娠初期の腹痛への対処法

妊娠初期の軽度な腹痛は、多くの場合自宅での工夫で和らげることができます。以下に、妊婦さんでも安心して実践できる4つの対処法を説明します。痛みを感じたときに試してみてください。

①:体勢を楽にする

横になるなど楽な体勢をとることで、お腹への負担を軽減し痛みを和らげられることがあります。

具体的な方法:

  • 左向きに横になる: 妊娠中は左側を下にして横向きに寝ると子宮への血流が改善されやすいと言われます。クッションや抱き枕を足に挟むとより楽です。
  • 膝を軽く曲げる: 仰向けや横向きで休むとき、膝を少し曲げると腹部の筋肉の緊張が緩みます。座るときも足を軽く曲げて丸くなる姿勢が楽でしょう。
  • クッションで支える: 腰やお腹の下にクッションや丸めた毛布を当てて、自分が一番リラックスできる姿勢を探してください。

注意点: 同じ姿勢を長時間続けると、かえって腰や他の部分に負担がかかることがあります。適度に体勢を変えるようにし、楽な姿勢を維持しつつもときどきゆっくり姿勢を変えて血行を良くしましょう。

②:体を温める

お腹や体全体を温めることで血行が良くなり、筋肉の強張りが和らいで痛みが軽減することがあります。

具体的な方法:

  • 腹部を温める: 電子レンジで軽く温めたタオルや、市販の温熱シート、湯たんぽ(ぬるめのお湯を入れる)などを下腹部に当てます。心地よいと感じる程度の温かさで使用しましょう。
  • ぬるめのお風呂に入る: 熱すぎないお湯で短時間リラックスする程度に入浴すると体が温まり痛みが和らぎます。長湯や高温のお湯は避け、10~15分程度の入浴に留めてください。
  • 靴下や腹巻きを着用: 手足やお腹が冷えていると感じるときは、靴下や腹巻き、カイロなどで体の芯から温めると良いでしょう。

注意点: 温めすぎ(高温)は禁物です。お湯の温度は約38℃前後のぬるま湯が目安です。また、長時間の温めすぎは低温やけどやのぼせにつながるので適度に行いましょう。

③:水分補給する

こまめな水分補給は、便秘予防や血行促進に効果的です。脱水を防ぐことで腹痛の悪化を防ぎます。

具体的な方法:

  • 常温の水や白湯を少量ずつ: 冷たい飲み物はお腹を刺激しやすいので避け、常温~人肌程度の水を一口ずつ頻繁に飲みます。白湯(沸かしたお湯を冷ましたもの)も体を冷やさずおすすめです。
  • ハーブティーを飲む: カモミールやルイボスティーなどカフェインレスのハーブティーはリラックス効果もあり、妊娠中でも安心して飲めます。温かいお茶でホッと一息つきましょう。
  • スープなどで水分補給: 食事のときにスープや味噌汁を取り入れると、固形物が食べづらいつわり時期でも無理なく水分と栄養が補給できます。

注意点: 冷たい飲み物や氷は胃腸を冷やし、かえって腹痛を誘発する可能性がありますので控えましょう。また、カフェインの多い飲料(コーヒーや紅茶、緑茶など)は利尿作用で脱水を招きやすいため控えめにしてください。

④:食物繊維を摂取する

食物繊維を積極的に摂ることで腸内環境を整え、便秘による腹痛を予防・改善する効果が期待できます。

具体的な方法:

  • 野菜や果物を多く摂る: 毎日の食事でサラダや温野菜、果物を意識して取りましょう。食物繊維は腸を刺激し、蠕動運動を促します。
  • 全粒穀物を選ぶ: 白米を玄米や雑穀米に変えたり、パンやパスタを全粒粉のものにすると、より多くの繊維質を摂取できます。
  • ナッツ類や海藻類も適度に: アーモンドやごま、わかめや寒天なども食物繊維が豊富です。ただしカロリーが高い食品もあるので適量を心がけてください。

注意点: 一度に大量の食物繊維を摂ると、かえってお腹が張ったりガスが溜まって腹痛が悪化することがあります。徐々に摂取量を増やし、自分に合った量を見つけましょう。また、水分も一緒に取ることを忘れずに。繊維だけ増やすと便が硬くなってしまうため、水やスープなどとセットで摂取すると効果的です。

妊娠初期症状の腹痛の注意点

ここまで説明した通り、妊娠初期の腹痛は多くの場合それほど心配いりません。しかし、自己判断で安易に市販薬を服用したり、「大丈夫だろう」と我慢したりするのは危険です。妊娠中の腹痛に対して注意しておくべきポイントをまとめます。

①:市販薬を自己判断で服用しない

妊娠中の薬の使用には細心の注意が必要です。妊娠前は普通に使えていた薬でも、妊娠中には避けたほうがいいものがあります。

自己判断で薬を飲んではいけない理由:

  • 胎児への影響が不明な薬がある: 市販薬の中には妊婦への安全性が確立していないものもあります。胎児の発達に悪影響を及ぼす可能性が否定できません。
  • 妊娠週数による薬の安全性の違い: 妊娠初期と後期では薬の影響が異なる場合があります。「妊娠○週までは禁忌」など週数制限のある成分も存在します。
  • 個人差: 妊婦さん本人の体質や持病、妊娠経過によって薬の影響の出方が変わることもあります。専門家でないと適切な判断は難しいでしょう。

適切な対処法:

  • まず医師に相談: 痛みがつらいときは我慢せず、まず産婦人科の医師に相談しましょう。原因に応じた安全な対処法を指示してもらえます。
  • 処方された薬は指示通りに: 医師が妊婦でも大丈夫と判断して処方した薬は、用法用量を守って服用してください。自己判断で減らしたり中止したりせず、不安なことがあれば再度確認を。
  • 常用薬の確認: 持病などで妊娠前から常備薬・常用薬がある場合は、その薬が妊娠中も使用可能か必ず担当医に確認しましょう。必要に応じて代替薬への変更などが行われます。

②:痛みが強い・出血を伴う場合はすぐに医師に相談する

腹痛の程度や他の症状によっては、すぐに受診すべき緊急サインである可能性があります。次のような症状がある場合は、迷わず医療機関へ連絡・受診してください。

注意すべき症状:

  • 激しい腹痛: 立っていられない、冷や汗が出る、声が出ないほどなど、我慢できないレベルの強い腹痛は緊急です。
  • 持続的な腹痛: 30分以上続く、安静にしても治まらない長引く腹痛も異常の兆候です。
  • 出血: 色や量を問わず、腹痛とともに出血が見られる場合は要注意です。少量でも妊娠中の出血は医師に報告しましょう。
  • 腹痛+出血が同時に起こる: 下腹部痛に加えて出血もある場合、流産や子宮外妊娠などの可能性が高まります。早急な対応が必要です。

取るべき行動:

  • すぐに産婦人科に連絡: かかりつけの産婦人科に電話し、症状を伝えて指示を仰ぎましょう。状況によっては直接病院へ向かうよう言われます。
  • 夜間・休日は迷わず救急外来へ: 夜間や休日でかかりつけに連絡がつかない場合は、救急外来を受診してください。我慢して朝まで待つ必要はありません。
  • 症状の詳細を伝える: 医師には「いつから痛むか」「痛みの強さの変化」「出血の有無と量・色」「その他の症状(発熱や吐き気など)」をできるだけ正確に伝えましょう。診断の手がかりになります。

腹痛と同時の出血には要注意

妊娠初期を含め、妊娠中の腹痛が急に始まったり長時間続いたりする場合、また腹痛に出血が伴う場合には特に注意が必要です。繰り返しになりますが、急な強い腹痛で出血もあるときは緊急と考え、妊娠週数に関わらずできるだけ早く医師に相談してください。

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妊娠初期の出血に関するよくある質問

妊娠初期症状の腹痛と生理痛の違いは?

妊娠初期の腹痛は、生理痛とよく似ています。しかし、妊娠初期の腹痛は、生理痛と比べて、痛みが長く続く、出血を伴うなどの特徴があります。また、妊娠初期の腹痛は、ホルモンバランスの変化や子宮の成長など、生理痛とは異なる原因で起こることがあります。

もし、妊娠初期に腹痛を感じたら、生理痛と比べて、痛みの強さや持続時間、出血の有無などを注意深く観察しましょう。不安な場合は、必ず医師に相談してください。

妊娠初期症状の腹痛で医師に相談する基準は?

妊娠初期の腹痛で医師に相談する基準は、以下のとおりです。

症状相談の目安
痛みが強い日常生活に支障をきたすほどの痛み、または安静にしていても痛みが改善しない場合は、すぐに医師に相談しましょう。
出血を伴う出血量は少量でも、すぐに医師に相談しましょう。
発熱や悪寒を伴う感染症の可能性がありますので、すぐに医師に相談しましょう。
持続時間が長い数時間以上痛みが続く場合は、医師に相談しましょう。
何かしらの異変を感じる少しでも不安を感じたら、医師に相談しましょう。

妊娠初期にお腹の左側だけが痛むのはどうしてですか?

左右どちらか片側の軽い腹痛は、多くの場合子宮の成長に伴う一時的な痛みですので神経質になる必要はありません。安静にして痛みが引くか様子を見てください。ただし、片側だけに激痛が走る痛みがどんどん酷くなるめまいや出血を伴うといった場合は緊急の可能性がありますので、すぐに医療機関を受診してください。

妊娠初期に腹痛があっても出血がなければ大丈夫ですか?

出血の有無は確かに一つの重要な判断材料ですが、出血がなくても注意が必要な場合はあります。

妊娠初期の腹痛で深刻なケースの多くは出血を伴いますが、例外も存在します。例えば子宮外妊娠では、腹腔内で出血していても外には出血が見えないことがあります。お腹の中で大出血しているのに外陰部からは出血がないまま、激しい片側腹痛だけがある—というケースもゼロではありません。また卵巣の捻転や嚢腫破裂などは妊娠時でも起こり得ますが、これらも出血を伴わずに激痛だけが起こります。

妊娠してから下痢をしやすくなりました。下痢をすると流産すると聞いたことがあって心配です。本当に関係がありますか?

妊娠初期の下痢そのものが直接流産につながる可能性は低いとされています。妊娠初期に下痢を起こしやすいのは前述したようにホルモンバランスの影響で腸の働きが変化するためで、多くの場合は一時的な生理現象です。ですから、「下痢=流産の前兆」と考えすぎなくても大丈夫です。

ただし、注意点もあります。激しい下痢が続くことで脱水状態になると、子宮を収縮させるホルモン(バソプレシンなど)が分泌されたり血流が低下したりして、間接的に良くない影響を及ぼす可能性はあります。脱水や体力低下が母体に起これば、結果的に胎児にも十分な栄養や酸素が届きにくくなります。これが長引けば流産リスクに繋がりかねません。ですので、妊娠中は下痢を放置せず早めに水分補給や必要な治療を行うことが大切です。

妊娠超初期にも腹痛はありますか?

はい、妊娠超初期(妊娠0~3週頃)でも腹痛を感じることがあります。代表的なのが先述した着床痛です。排卵後約1~2週間で受精卵が子宮内膜に根を下ろす際、「チクチク」「シクシク」といった軽い痛みを感じる女性もいます。ちょうど生理予定日付近に起こるため、生理が来そうな違和感と勘違いすることも多いです。

妊娠超初期の腹痛は、痛みとしてはごく軽度で短時間で治まるのが普通です。感じない人もたくさんいます。一方で妊娠超初期はホルモンの分泌が始まった直後なので、便秘や下痢など腸の調子が変化して腹痛を感じるケースもあります。

まとめ:腹痛などの妊娠初期症状の不安は医師に相談しましょう

妊娠初期の腹痛は、多くの場合それ自体は心配のいらない生理的な痛みです。子宮が大きくなっている証拠でもあり、赤ちゃんの成長に伴うママの体の変化と言えます。しかし、中には流産や子宮外妊娠など重大な異常のサインとなっているケースもわずかながら存在します。少しでも「おかしいな」「不安だな」と感じたら、遠慮せず早めに医師に相談することが大切です。

妊娠初期は、妊婦さんにとっても赤ちゃんにとっても大切な時期です。なるべく不安なく過ごせるよう、気になる症状は抱え込まず専門家の意見を仰ぎましょう。特に初めての妊娠ではわからないことだらけだと思いますが、医療機関と連携しながら一つ一つ不安を解消し、健やかなマタニティライフを送ってくださいね。

当院(レディースクリニックなみなみ)でも、妊娠初期の腹痛をはじめ妊娠に関する様々なお悩み相談を承っています。経験豊富な産婦人科専門医が丁寧に対応いたしますので、どうぞご安心ください。「この痛み、大丈夫かな?」と不安に思ったら、いつでもお気軽にご相談ください。

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妊娠初期全体の症状や流れを把握しておくことも不安解消に役立ちます。妊娠初期症状のまとめ記事で全体像に目を通しておきましょう👇️。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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