レディースクリニック なみなみ

体外受精の出産予定日|移植日からの計算方法

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お腹に手を添える妊婦(体外受精・出産予定日のイメージ)
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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体外受精で妊娠した場合、出産予定日は「採卵日」や「胚移植日」をもとに正確に計算できます。自然の妊娠では最終月経の開始日から予定日を推定しますが、体外受精では受精や移植が行われた日がはっきり分かるため、より確かな起点から予定日を求められるのが特徴です。基本となるのは「採卵日+266日」という考え方で、移植した胚の種類(初期胚か胚盤胞か)によって日数を調整します。

「移植日は分かるけれど、予定日はいつになるの?」「自然妊娠の人と数え方が違うの?」——体外受精で妊娠された方の多くが抱く疑問です。この記事では次のことがわかります。

  • 体外受精の出産予定日が、どの日を起点に決まるのか
  • 自然妊娠との数え方の違い
  • 移植日から予定日を計算する具体的な方法(早見表つき)
  • 初期胚移植・胚盤胞移植・凍結胚移植での考え方の違い
  • 予定日が「目安」である理由と、後から補正されること
  • よくあるご質問(妊娠週数の数え方・双子の予定日 など)

体外受精の出産予定日はどう決まる?

妊娠期間は、受精した日からおよそ266日(38週)とされています。一方、妊娠週数は「最終月経の開始日」を妊娠0週0日として数える決まりになっており、排卵・受精はそのおよそ2週間後(妊娠2週0日ごろ)に起こるとみなします。つまり、最終月経開始日から数えると妊娠期間は約280日(40週)になります。

体外受精では、受精にあたる「採卵日」や、胚を子宮に戻す「胚移植日」がはっきり分かります。そのため、これらの日を起点に出産予定日を計算できます。基本の考え方は次のとおりです。

  • 採卵日+266日=出産予定日(採卵日を妊娠2週0日とみなす)
  • 胚移植日から計算する場合は、移植日+266日−培養日数

自然妊娠との数え方の違い

自然妊娠は「最終月経」が起点

自然に妊娠した場合は、排卵や受精が正確に何日だったかを特定しにくいため、最終月経の開始日を起点に予定日を推定します(ネーゲレ概算法など)。ただし、月経周期が不規則な方では、この方法で求めた予定日と実際の妊娠の進み具合にずれが出ることがあります。

体外受精は「受精・移植の日」が分かる

体外受精では、卵子を採取した採卵日や、培養した胚を戻した移植日が記録として残ります。受精のタイミングが明確なため、月経周期の乱れに左右されず、より正確な起点から予定日を計算できるのが大きな違いです。

計算方法|移植日から予定日を出す早見表

胚は、受精後に体外で数日間培養してから子宮に戻します。培養した日数の分だけ、移植日は採卵日(受精日相当)より進んでいます。そこで、移植した胚の種類に応じて次のように計算します。

起点胚の種類計算式
採卵日共通採卵日+266日
胚移植日初期胚(培養2日目)移植日+264日
胚移植日初期胚(培養3日目)移植日+263日
胚移植日胚盤胞(培養5日目)移植日+261日

たとえば培養5日目の胚盤胞を移植した場合、その移植日は妊娠2週5日に相当します。出産予定日は「移植日+261日(266日−5日)」で求められます。初期胚(3日目)であれば「移植日+263日」です。実際の予定日は、クリニックで移植の記録に基づいて確認されますので、自己計算はあくまで目安として活用してください。

具体的にイメージしてみましょう。胚盤胞(5日目)を移植した日が「ある月の1日」だったとすると、その日を妊娠2週5日として、そこから約37週後(261日後)が出産予定日の目安になります。日数で計算するのが難しい場合は、移植日と胚の種類(初期胚か胚盤胞か、培養何日目か)をメモしておき、診察のときに主治医に確認すると確実です。スマートフォンの妊娠週数計算アプリでも、体外受精に対応したものなら移植日と胚の日数を入力して予定日の目安を知ることができます。

新鮮胚移植・凍結胚移植での考え方

胚移植には、採卵した周期にそのまま移植する「新鮮胚移植」と、いったん胚を凍結保存し、別の周期に融解して移植する「凍結胚移植(FET)」があります。多胎妊娠を減らすため、近年は1個の胚を移植する単一胚移植が広く行われています。

  • 新鮮胚移植:採卵日が受精日相当のため、採卵日+266日で計算できます
  • 凍結胚移植:採卵日とは別の周期に移植しますが、考え方は同じで「移植日−培養日数=受精日相当」として、そこから266日で予定日を求めます

凍結胚移植では実際の移植日が起点になるため、計算には「凍結する前に何日培養した胚か(初期胚か胚盤胞か)」の情報が必要です。この点もクリニックの記録で確認できます。

体外受精から妊娠成立までの流れ

出産予定日の起点となる採卵日や移植日が、治療のどの段階にあたるのかを知っておくと、予定日の計算もイメージしやすくなります。体外受精は、おおまかに次のような流れで進みます。

  • 排卵誘発:卵巣を刺激して卵子を育てます(自然周期で行う方法もあります)
  • 採卵:超音波で見ながら、腟から細い針で卵子を取り出します。この日が予定日計算の基準になります
  • 受精:卵子と精子を体外で受精させます。精子を直接注入する顕微授精(ICSI)を行う場合もあります
  • 培養:受精卵を数日間育て、初期胚(2〜3日目)または胚盤胞(5日目)まで成長させます
  • 胚移植:育った胚を子宮の中に戻します。1個ずつ移植する単一胚移植が一般的です
  • 黄体補充:妊娠の継続を助けるため、ホルモンを補う治療を行います
  • 妊娠判定:移植から一定期間後に、血液や尿で妊娠の成立を確認します

このうち「採卵日」と「胚移植日」「胚の培養日数」が分かれば、出産予定日を計算できます。新鮮胚移植では採卵日がそのまま基準になり、凍結胚移植では移植日から培養日数を差し引いて受精日相当の日を求めます。

妊娠週数の数え方

妊娠週数は「最終月経開始日=妊娠0週0日」を基準に数えるのが世界共通のルールです。体外受精の場合は、採卵日を妊娠2週0日とみなすことで、自然妊娠と同じものさしに合わせています。

  • 採卵日(受精日相当)=妊娠2週0日
  • 初期胚(3日目)の移植日=妊娠2週3日ごろ
  • 胚盤胞(5日目)の移植日=妊娠2週5日ごろ
  • 出産予定日=妊娠40週0日

このように数えると、体外受精でも自然妊娠でも、同じ「妊娠◯週◯日」という表現で経過を見られるようになっています。

出産予定日はあくまで「目安」

採卵日や移植日から計算した予定日は、自然妊娠よりも正確な起点に基づいています。それでも、出産予定日は確定したゴールではなく、あくまで目安です。妊娠初期の超音波検査で胎児の大きさ(頭からおしりまでの長さ=CRL)を測り、必要に応じて予定日が補正されることがあります。

  • 予定日どおりに出産する方はむしろ少なく、前後に幅があるのが一般的です
  • 赤ちゃんの発育の様子をみながら、医師が経過を確認していきます
  • 予定日はスケジュールを立てる目安として活用し、数字にとらわれすぎないことも大切です

体外受精では採卵日という確かな起点があるため、自然妊娠よりも計算上の予定日の精度は高いといえます。それでも超音波での確認を重ねるのは、赤ちゃんの発育には個人差があり、実際の成長の様子を見ながら経過を判断していくことが、安全なお産につながるからです。計算で出した予定日と、超音波で確認した発育がほぼ一致していれば、それも一つの安心材料になります。

体外受精の妊娠で気をつけたいこと

体外受精による妊娠では、自然妊娠に比べて子宮外妊娠の頻度がやや高いと報告されています。そのため、妊娠が分かった後は早めに超音波検査を行い、子宮の中にきちんと胎嚢があるかを確認することが大切です。また、ART(生殖補助医療)による妊娠は周産期の合併症がやや起こりやすいとされ、慎重な経過観察が勧められます。

もし妊娠初期に出血や強い腹痛があった場合は、自己判断せず早めに受診してください。流産が心配なときは、稽留流産についての解説もあわせてご覧ください。また、不妊治療を始める前の検査では、クラミジア感染症などの性感染症スクリーニングも行われます。

移植後・妊娠初期の過ごし方

胚移植のあと、「安静にしていないと着床しないのでは」と心配される方は少なくありません。しかし、移植後に過度な安静をとる必要はなく、ふだんどおりの生活でよいと考えられています。神経質になりすぎず、リラックスして過ごすことも大切です。

  • 移植後は、極端な安静よりも、これまでどおりの落ち着いた生活を心がけましょう
  • 採卵後に強い下腹部の張り・吐き気・息切れ・急な体重増加がある場合は、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の可能性があるため早めに受診してください
  • 喫煙を避け、お酒は控えめにし、バランスのよい食事と十分な睡眠を意識しましょう
  • 長い治療の中で心の負担を感じたときは、一人で抱え込まず、パートナーや医療者に相談してください

妊娠が成立するまでの時期は、期待と不安が入り混じりやすいものです。気になる症状や心配ごとがあれば、遠慮なく治療を受けている施設に相談しましょう。

予定日が分かったら|妊婦健診への移行

妊娠判定で陽性が確認されても、その時点ではまだ妊娠のごく初期です。ここから、超音波検査で段階的に妊娠の様子を確認しながら、出産予定日が確定し、妊婦健診へと移っていきます。

  • 胎嚢(赤ちゃんの袋)の確認:子宮の中に胎嚢が見えることで、子宮外妊娠でないことを確認します
  • 心拍の確認:胎児の心拍が確認できると、妊娠の経過がひとつ進んだ目安になります
  • 予定日の確定:胎児の大きさ(CRL)を測り、必要に応じて計算上の予定日を補正します
  • 妊婦健診への移行:経過が安定したら、分娩を行う施設での健診に移っていきます

体外受精による妊娠は、自然妊娠に比べて子宮外妊娠の頻度がやや高いとされるため、初期の超音波確認がとくに大切です。胎嚢や心拍が確認できるまでは不安な時期が続きますが、一つひとつの節目を医師と一緒に確認していくことが、安心につながります。

よくある質問(FAQ)

体外受精の出産予定日はどう計算しますか?

基本は「採卵日+266日」です。移植日から計算する場合は「移植日+266日−培養日数」で求めます。たとえば培養5日目の胚盤胞移植なら「移植日+261日」、3日目の初期胚なら「移植日+263日」が目安です。

自然妊娠と数え方が違うのですか?

数え方のルール自体は同じで、最終月経開始日を妊娠0週0日とします。違うのは起点で、自然妊娠は最終月経から推定するのに対し、体外受精は採卵日(妊娠2週0日相当)を起点にできるため、より正確に計算できます。

凍結胚移植でも同じ計算でよいですか?

はい。凍結胚移植でも「移植日−培養日数=受精日相当」と考え、そこから266日で予定日を求めます。凍結前の胚が初期胚か胚盤胞かによって培養日数が変わるため、その情報をもとに計算します。

予定日はあとから変わることがありますか?

あります。妊娠初期の超音波で胎児の大きさ(CRL)を測り、発育に合わせて予定日が補正されることがあります。予定日は確定したものではなく、あくまで目安としてとらえてください。

双子の場合、予定日の計算は同じですか?

予定日の計算の起点(採卵日・移植日)は単胎と同じ考え方です。ただし多胎妊娠では早産になりやすいなど経過が異なるため、実際の出産時期や管理方針は主治医とよく相談することが大切です。

自分で計算した予定日と病院の予定日が違うのですが?

超音波での補正や、培養日数の数え方の違いで差が出ることがあります。正式な予定日はクリニックでの記録と診察に基づいて決まりますので、気になる場合は主治医にご確認ください。

まとめ

体外受精の出産予定日は、採卵日や胚移植日というはっきりした起点から計算できるのが特徴です。基本は「採卵日+266日」、移植日からは「移植日+266日−培養日数」で、胚盤胞(5日目)なら「移植日+261日」が目安になります。自然妊娠より正確に求められる一方で、予定日はあくまで目安であり、妊娠初期の超音波で補正されることもあります。

長い治療を経て授かった妊娠だからこそ、予定日や経過に不安を感じることもあるかと思います。「自分で計算した予定日と病院の予定日が違う」「いつから妊婦健診に移れるのか」といった疑問も、その都度確認していくことで安心につながります。レディースクリニックなみなみでは、体外受精後の妊娠についても、早期の超音波検査や丁寧な経過観察でサポートし、必要に応じて分娩を行う施設へのご案内も行っています。予定日の数え方や妊娠の経過について気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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参考文献

  1. 病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第2版(MEDIC MEDIA, 2018)
  2. 日本生殖医学会「生殖医療ガイドライン2021」
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