レディースクリニック なみなみ

着床出血の量が多い? | 原因と対処法、体験談まで

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クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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  • 着床出血は生理(月経)よりも出血量が圧倒的に少なく、色も薄いピンク~茶色が一般的です。通常1~3日ほどで自然に止まり、強い痛みを伴うこともありません
  • 生理1日目以上の量の鮮血が出続ける場合、それは着床出血ではなく生理や別の原因による出血と考えられます。実際、「着床出血の量が多い」と感じたケースでは化学流産異所性妊娠など要注意な例もあります。
  • 着床出血の量が多い気がして不安だったが大丈夫だった」という体験談もあり、出血量だけで即異常と断定はできません。実際に妊娠継続中に一時的な出血がみられたケースも存在します。
  • もし着床出血か生理か区別がつかない場合は、市販の妊娠検査薬を生理予定日以降に試してみましょう。陽性反応が出れば早めに産婦人科を受診し、陰性なら生理(非妊娠)と判断できます。不安なときは遠慮せず医師に相談しましょう。

着床出血は、妊活中の女性にとってとても敏感なテーマです。
特に妊娠かもなと待っている方は、不安を感じているのではないでしょうか。
当クリニックでは、産科専門医が最新の医学知見とエビデンスに基づき、着床出血の正しい知識と対処法をわかりやすく解説します。ここでは、実際の体験談も交えながら、出血量が多い場合の原因や注意すべきポイントを詳しくご紹介します。

着床出血とは?

着床出血の一般的な特徴

着床出血(ちゃくしょうしゅっけつ)とは、受精卵が子宮内膜に着床するときに起こる少量の出血のことです。妊娠超初期のサインのひとつとも言われますが、すべての妊婦さんに起こるわけではありません。実際には妊娠した女性の約20%(5人に1人程度)にみられる現象です​。着床出血が起こる時期はちょうど生理予定日と重なることが多く、生理と勘違いしやすい点も特徴です​。

着床出血の出血量はごくわずかであるのが一般的です。具体的には、生理と比べるとはるかに少なく、薄いピンク色や茶色のおりものに少し血が混じる程度のスポット出血(点状出血)であることがほとんどです​。出血は1〜2日で止まることが多く、生理のように何日も続くことはありません​。

痛みも生理痛ほど強くなく「下腹部がチクチクする程度」の軽い痛みを感じる場合もありますが、まったく痛みを感じない人も多いようです。​​

着床出血と生理の違い

着床出血と生理はタイミングが近いため紛らわしいですが、出血の量や性状、持続期間には明確な違いがあります生理の場合は経血の量が多く(ナプキンが必要なほど)、3〜7日かけて出血が続きます。一方で着床出血の場合は数滴〜ごく少量の出血で、おりものシートがあれば十分対応できる程度です​。また、生理の経血では塊(血の塊)が出ることがありますが、着床出血では血の塊が出ることはありません​。着床出血はサラッとした少量の出血なので色も薄め(薄いピンク〜茶色)である傾向があり、生理の鮮血とは見た目にも異なることが多いです​。

着床出血と生理の違い

着床出血はかなり少ない量で短期間で治まるのに対し、生理は量が多く長く続きます。こうしたポイントを知っておくと、出血が着床出血か生理かを見分ける手助けになります。

「出血量が多い」とはどの程度?

それでは「着床出血の量が多い」と感じるのは具体的にどんな場合でしょうか? 明確な基準があるわけではありませんが、目安としては普段の生理1日目と同じくらい、またはそれ以上の出血量」であれば「多い」と言ってよいでしょう。一般的に着床出血は生理よりも出血量がかなり少ないものですから、ナプキンが必要になるほど出血が続くケースは通常考えにくいです​。もし生理用ナプキンが手放せないくらいの量の出血がある場合、それは着床出血ではなく生理か別の原因による出血と考える方が自然です​。

なお、着床出血があった人の中にも個人差はあり、「思ったより量が多くて不安になった」というケースもゼロではありません。とはいえ、着床出血があった妊婦さんの多くは「ごく少量だった」と回答しており、「生理と同じくらい」の量が出た人はごくわずかです。

基本的には着床出血で生理並みの大量出血が起こることはまれですので、「量が多いかも?」と不安なときは何か別の原因がないか注意する必要があります。その場合は産婦人科に相談していただいてよいかと思います。

着床出血の量が多い場合に考えられる原因

正常な着床出血は先述の通りごくわずかな出血で終わります。では、もし予想よりも出血量が多かった場合、どのような原因が考えられるでしょうか。大きく分けると、「実は妊娠ではなく生理だった」場合と、「妊娠に関連する他の要因で出血している」場合に分けられます。後者については医学的にいくつかの可能性があります。以下に主な原因を紹介します。心当たりがある症状がないかまずはチェックしてみてください。

実は生理だった場合(化学流産を含む)

妊活中は少しの出血にも敏感になりますが、タイミング的に着床出血かな?と思っていたら実際は生理(月経)だったというケースもあります。妊娠検査薬で陽性反応が出ないまま通常の生理と同程度の出血が続くようであれば、残念ながら妊娠は成立しておらず生理が来た可能性が高いでしょう(ごく初期に受精はしたものの着床がうまくいかなかった化学流産の場合も、生理が少し遅れて出血量が多くなることがあります)。

絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)

絨毛膜下血腫とは、妊娠初期に胎嚢(赤ちゃんの入った袋)周辺に血液が溜まってしまう状態です​。着床時に剥がれた絨毛組織から出血し、それが子宮内に留まって血の塊となったものと考えられています。通常は時間とともに血腫は体内に吸収されますが、血腫が大きい場合や吸収されずに残った場合に、少し遅れて出血として外に出てくることがあります​。症状としては出血量の増加や下腹部痛がみられます​。絨毛膜下血腫があっても妊娠を継続できるケースは多いですが、大量出血する場合は安静が必要です。医師の判断で止血剤の投与や入院措置が取られることもあります。

異所性妊娠(子宮外妊娠)

異所性妊娠とは、受精卵が本来の子宮内膜ではない場所(卵管など)に着床してしまった状態です​。全妊娠の1~2%に起こり得るとされるまれな合併症ですが、起こってしまった場合は妊娠を継続することができません​。症状の特徴は出血と下腹部の痛みです​。特に片側の下腹部に鋭い痛みを感じたり、めまいや肩こり(腹腔内出血による関連痛)が起こる場合は注意が必要です。異所性妊娠は進行すると卵管破裂など命に関わる事態となる危険があるため、疑わしい症状があれば早急に産婦人科を受診しなければなりません​。

切迫流産

切迫流産とは、胎児が子宮内に留まっているものの、流産しかかっている状態(流産の一歩手前の状態)を指します。妊娠22週未満で出血や下腹部痛が生じた場合に診断されることが多いです。原因は胚(胎児)の染色体異常、子宮奇形や子宮筋腫、黄体ホルモン不足など様々ですが、症状として鮮紅色〜茶褐色の出血や下腹部痛がみられます​。少量の場合もあれば生理以上の大量出血となる場合もあります​。切迫流産と診断されても適切に対処すれば妊娠が継続できるケースはあります​。安静に過ごし、必要に応じて止血剤やホルモン補充療法が行われます。

流産(早期流産)

流産とは、妊娠22週未満で胎児が母体外で生育できずに終わってしまうことを言います。特に妊娠12週未満で起こる場合を早期流産と呼び、その多くは胎児側の染色体異常が原因とされています。症状として大量の出血や強い腹痛が起こりやすく、血の塊が出てくることもあります。残念ながら流産が進行してしまうと妊娠を継続することはできません。生理と間違うくらいの量の出血があった後に妊娠検査薬で陰性になった場合は、受精卵はいったん着床したものの育たなかった可能性があります(いわゆる化学的流産)。いずれにせよ、明らかに普段と違う大量出血が起きた場合はできるだけ早めに医療機関で診察を受けましょう。

その他の原因

子宮や腟の思いがけないトラブルによって妊娠とは関係なく出血する場合もあります。例えば子宮頚部のポリープやただれ(びらん)があると妊娠中に出血しやすくなることがあります。また、まれですが子宮頚がんなど深刻な病気でも不正出血が初期症状となることがあります。いずれの場合も「いつもと違う出血」が見られたら自己判断せず医師に相談することが大切です​。

着床出血だと思っていた出血量が多い場合、その背後には様々な原因が潜んでいる可能性があります。「出血量が多いけど大丈夫かな?」と不安に感じたら、まずは色や状態をよく観察してみましょう。鮮やかな赤色の出血やドロッとした血の塊が出ている場合は、生理や異常出血の可能性が高くなります​。加えて、下腹部痛やめまいなど他の症状がないか確認し、少しでもおかしいと感じたら我慢せず早めに産婦人科を受診してください​。

体験談:着床出血の量が多かったケース

体験談①:着床出血の量が多くても無事だったケース

妊活中のAさん(30代女性)。生理予定日約1週間前から薄い茶色の少量出血が始まり「これが着床出血かも!」と期待。しかし2日経っても止まらず鮮血の出血量が増加(生理2日目くらいの量)したため不安に。当院を受診したところ幸い妊娠は確認でき、子宮内に一時的な出血痕があったものの安静にして無事妊娠継続できました。

体験談②:着床出血の量が多く注意が必要だったケース

Bさん(20代女性)は薄い出血の後に生理並みの大量出血と下腹部痛に見舞われ、急いで受診したところ切迫流産による出血と判明。その後流産となり非常に落胆しましたが、早期発見により大事に至らず処置できました。

体験談③:着床出血だと思ったら実は生理だったケース

Cさん(30代)は生理予定日の少し前に薄い出血があり期待しましたが、その後出血量が増えて通常の生理が始まってしまいました。妊娠検査薬も陰性だったため、今回は妊娠成立に至らず着床出血ではなく生理だったとわかりました。」

着床出血と思われる時期に予想外に多い出血があった場合、「たまたま量が多めの着床出血だっただけ」のケースもあれば、Aさんのように妊娠継続中に他の原因で出血しているケース、あるいは残念ながら妊娠がうまく継続しなかったケースなど様々です。出血量だけで素人判断することは難しく、われわれも経過を追わないと最終的な判断ができないことがあります。そのため、少しでも不安な症状があれば遠慮せず早めに医師の診察を受けることをおすすめします。「こんなことで受診していいのかな…」と迷う必要はありません。妊娠超初期の不正出血は非常にデリケートな問題ですから心配は無用です。

妊娠検査薬を使うタイミングは?

妊娠検査薬の活用も考えるべきです。着床出血は生理予定日前後に起こるため、生理と見分けがつかない場合があります。そのような時は、生理予定日以降になったら市販の妊娠検査薬を試してみましょう。出血があっても妊娠検査薬が陽性反応を示せば妊娠の可能性が高いため、すぐ産婦人科で診察を受けるべきです。一方、陰性でそのまま生理が来た場合は妊娠していなかった(もしくはごく早期に化学流産した)と判断できます。妊娠検査薬は99%以上の確率で結果が出ると言われていますから、タイミングを守って活用すれば不安解消の助けになるでしょう。

着床出血に関するよくある質問

着床出血と生理の違いは?

着床出血は生理予定日の1週間前〜数日前に起こることが多く、タイミングが近いです。着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際に内膜の血管を傷つけて起こる少量の出血です。そのため、生理のように大量の出血にはなりません。一般的に着床出血の血の色は薄いピンクや茶色っぽく、出血は1〜3日ほどで止まるのが特徴です(血の塊も通常は出ません)。一方、生理は3〜7日ほど続き、出血量が多く、鮮やかな赤色の経血や血の塊が見られます。また、生理痛など下腹部の痛みを伴うこともよくあります。こうした点が着床出血と生理の主な違いです。

着床出血の量が多いと問題?

着床出血は一般的にごく少量のため、通常はおりものシートで足りる程度ですが、生理用ナプキンが必要と感じるほど出血が多い場合は注意が必要です。それは着床出血ではなく、生理が来た可能性がありますし、もし妊娠中であれば切迫流産(流産しかかっている状態)など胎児に関わるトラブルの兆候かもしれません。多少の個人差はありますが、「多い」と感じる明らかな出血が続く場合は、いずれにせよ一度医療機関を受診して確認すると安心です。特に鮮血が大量に出たり強い痛みを伴ったりする場合は、できるだけ早めに受診しましょう。

着床出血は痛みを伴う?

いわゆる「着床痛」は感じる人もいれば、全く感じない人もいます。一般的に、着床出血に伴う痛みがあってもごく軽く、一時的なものです。軽い生理痛のような下腹部の鈍い痛みや、お腹の奥がチクチクする感覚を訴える方もいますが、痛みは通常数分〜数時間程度で自然に治まり、ほとんどの場合強い痛みに発展することはありませんのでご安心ください。逆に痛みを全く感じない妊婦さんも多いです。

着床出血があったら妊娠確定?

出血だけで妊娠が確定するわけではありません。確かに着床出血は妊娠超初期のサインの一つですが、妊娠した人の約20〜30%にしか起こらない現象です。つまり、着床出血が全くない妊娠も珍しくありませんし、少量の出血があってもそれが妊娠によるとは限らないのです。ほかの不正出血やホルモンバランスの乱れで生理周期がずれて出血する場合もあります。最終的な妊娠の確認には、生理予定日を過ぎてから妊娠検査薬で陽性反応を確認するか、医療機関で診断を受ける必要があります。着床出血があった場合も慌てず、予定日まで様子を見て検査してみてください。

まとめ:着床出血の量や期間に異常を感じたら産婦人科に相談を

着床出血そのものは珍しいことではなく、多くの場合は少量で心配のいらない出血です。焦らず正しく理解することで、過度に不安になることを防げるでしょう。一方で、「期間がすごい長い気がする」「出血量が多くて不安」と感じたら早めに医師に相談することが何より大切です。自己判断で様子を見るよりも、プロの判断を仰いだ方が安心できますし、万が一深刻な原因が隠れていた場合でも早期対応が可能になります。

レディースクリニックなみなみでも、妊活中や妊娠初期の不安に対するご相談を随時受け付けています。着床出血かどうか判断がつかず心配なとき、出血が多くて不安なときは、どうぞお早めにご来院ください。専門の医師があなたの状況に合わせて適切にアドバイスいたします。正しい情報とサポートを得ることで、きっと安心して妊活を続けられるはずです。どんな小さな不安でも、一人で悩まずに私たちにご相談くださいね。

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東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

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