レディースクリニック なみなみ

アフターピルの副作用とは?国内承認薬と海外製まで徹底解説

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クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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避妊せずに性行為をしてしまったり、コンドームが破れてしまったりすると、「妊娠してしまったかも…」という強い不安に駆られることがあります。そんな時に妊娠を防ぐ手段として利用されるのが、緊急避妊薬(いわゆるアフターピル)です。アフターピルは妊娠を防ぐ効果が期待できる一方で、「副作用は大丈夫かな?」と心配になる方も多いでしょう。特に初めて利用する方にとって、副作用の噂は不安要素になるかもしれません。そこで本コラムでは、国内で承認されているアフターピル(ノルレボⓇやエラⓇ)から、個人輸入やオンライン購入で入手可能な海外製アフターピルまで、副作用について網羅的に解説します。

目次
  1. 1 アフターピルの種類(国内承認薬と海外製品)
  2. 2 アフターピルの一般的な副作用
    1. 2.1 吐き気・嘔吐
    2. 2.2 不正出血・生理周期の乱れ
    3. 2.3 頭痛・めまい・倦怠感
    4. 2.4 下腹部痛・腹部不快感
    5. 2.5 乳房の張り・その他の症状
  3. 3 アフターピルの重篤な副作用とリスク
    1. 3.1 血栓症(血のかたまりが血管を塞ぐ症状)
    2. 3.2 肝機能障害(肝臓への影響)
    3. 3.3 アレルギー反応・ショック
    4. 3.4 その他の注意すべき点(妊娠の有無・将来への影響)
  4. 4 海外製アフターピルの副作用と注意点
  5. 5 副作用への対処法と受診の目安
    1. 5.1 自宅で様子を見てよいケース
    2. 5.2 医療機関に相談・受診すべきケース
    3. 5.3 服用後のフォローアップ
  6. 6 当院でのアフターピル処方とサポート体制
  7. 7 まとめ:正しい知識で不安を減らし、必要な時は迷わず相談を
  8. 8 アフターピルに関するよくある質問
    1. 8.1 アフターピルの副作用にはどのような症状がありますか?
    2. 8.2 アフターピルの副作用は服用後いつから現れますか?
    3. 8.3 アフターピルの副作用は通常いつまで続きますか?
    4. 8.4 アフターピルで吐き気を感じるのは普通ですか?
    5. 8.5 アフターピル服用後に生理が遅れることはありますか?
    6. 8.6 アフターピルを飲んでも副作用がない場合、効果はきちんとありますか?
    7. 8.7 アフターピルの副作用がつらいとき、どう対処すればいいですか?
    8. 8.8 アフターピルの副作用で注意すべき症状や危険な兆候はありますか?
    9. 8.9 アフターピルの副作用は将来の妊娠や不妊に影響しますか?
    10. 8.10 アフターピルの副作用の現れ方や強さは人によって違いますか?

アフターピルの種類(国内承認薬と海外製品)


まず、副作用の具体的なお話に入る前に、アフターピルの種類について簡単に整理しておきましょう。アフターピルには主に2種類の有効成分があります。日本国内で承認され広く使われているのはレボノルゲストレル(商品名ノルレボⓇなど)という黄体ホルモン成分のピルです。ノルレボは2011年に国内承認され、性行為後72時間以内の服用で妊娠を防ぐ効果があります。もう一つはウリプリスタル酢酸エステル(商品名エラⓇやエラワンⓇ)という成分で、性行為後120時間(5日)以内まで効果が期待できる新しいタイプのアフターピルです。ウリプリスタル成剤は欧米で広く使われていますが、日本ではまだ承認されていない薬剤です(医療機関が必要に応じて輸入し自費処方しています)。この他、現在ではほとんど行われませんが、中用量ピルを一定量服用する「ヤッペ法」という緊急避妊法もあります。ヤッペ法は安価に手に入る代わりに効果が劣り副作用も強めでした。​

以上のように、アフターピルには国内承認薬(ノルレボ)と海外発の薬(エラなど)が存在しますが、作用の仕組みは似ています。どちらも主に排卵を一時的に遅らせることで受精や着床を防ぐと考えられています(タイミングによって効果は異なります)。なお、アフターピルは避妊失敗時の緊急手段であり、日常的な避妊法(低用量ピルやコンドーム等)の代わりとするものではありません。効果は100%ではなく、服用のタイミングによって妊娠阻止率は変動します。特にレボノルゲストレル系のアフターピルは早ければ早いほど効果的で、できれば性行為後12時間以内、遅くとも72時間以内の服用が推奨されています​。エラ(ウリプリスタル)はもう少し遅れても効果を発揮できますが、いずれにせよ早めの対応が重要です。では、これらアフターピルを服用した際に見られる副作用にはどのようなものがあるのか、具体的に見ていきましょう。

アフターピルの一般的な副作用

アフターピルは短期間で高用量のホルモンを摂取するため、体調に一時的な変化が起こることがあります。しかしながら、基本的には副作用は一過性で軽度なことがほとんどです​。ここでは、特によくみられる代表的な副作用を解説します。

吐き気・嘔吐

アフターピルの副作用でまず心配されるのが吐き気(悪心)です。実際、レボノルゲストレル系アフターピルの国内臨床試験でも、悪心は約9.2%の頻度で報告されています​。ただし、多くの場合軽いムカムカ程度で、一時的なものにとどまります​。嘔吐を伴うケースはさらにまれで、国内データでは嘔吐の報告は数%程度とされています​。従来のヤッペ法では半数近くの女性に吐き気、15%程度に嘔吐が見られたのに比べ、現在主流のノルレボでは吐き気・嘔吐の頻度は大幅に減少しています​。これはノルレボなどのピルがエストロゲンを含まないため、副作用が少なく抑えられているためです。

吐き気への対処法

服用時に軽く食事をとったり、水をしっかり飲むことで胃のムカつきを和らげることがあります。また、どうしても不安な場合は医師に相談し、必要に応じて吐き気止めを処方してもらうこともできます。ただし、通常は予防的な制吐剤は必須ではありません​。もし服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、薬の成分が十分吸収されていない可能性があります。その際は必ず処方医に連絡し、追加の対応(再度ピルを服用する等)について指示を仰いでください​。逆に言えば、2時間以上経過してからの嘔吐であれば避妊効果への影響はほとんどないと考えられます​。吐き気や嘔吐はつらい症状ですが、一時的なものですので深呼吸をして安静にし、落ち着いて対処しましょう。

不正出血・生理周期の乱れ

ホルモンを大量に摂取する影響で、不正出血が起こることがあります。服用後数日〜1週間程度で、少量の出血が見られる場合がありますが、これは「消退出血」と呼ばれる現象で、副作用の一つです​。消退出血は一時的な子宮内膜からの出血であり、生理が早まったわけではありません。量は生理より少なめで、2〜3日程度で収まることが多いです。国内の承認時データでは、消退出血が約46%と報告されており​、半数近くの方にみられる比較的一般的な副作用です。びっくりするかもしれませんが、心配しすぎずナプキンを当てて様子を見てください。量が生理より明らかに多い(大量出血)場合や、1週間以上ダラダラと続く場合は念のため受診しましょう。

また、アフターピルは生理のタイミングにも影響を与えることがあります。服用後の次回生理が早まったり遅れたりすることがあるのです​。多くの場合、予定より数日程度のずれに留まりますが、人によっては1週間以上遅れるケースもあります​。特にウリプリスタル(エラ)を服用した場合、次の生理開始がやや遅れ気味になる傾向が報告されています(18.5%の女性で7日以上遅れたとのデータがあります​)。反対に、レボノルゲストレルでは次の生理がやや早まることもあります。

生理が遅れると「まさか妊娠…?」と不安になるものですが、通常は1週間程度の誤差であれば様子を見ても大丈夫です。服用後3〜4週間経っても生理が来ない場合や、心配であれば市販の妊娠検査薬を使ったり産婦人科を受診して確認しましょう。

頭痛・めまい・倦怠感

アフターピル服用後は、ホルモン変化に伴って頭痛が起こる場合があります。国内試験でも頭痛は12.3%程度報告されており​、比較的よくみられる副作用の一つです。痛みは軽度〜中程度で、市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)で対処できることがほとんどです。同様に、一時的なめまい倦怠感(だるさ)眠気を感じることもあります​。これらも体がホルモンに反応して起こる症状で、通常は長引きません​。服用当日は無理をせず、できればゆっくり休息をとるようにしましょう。車の運転など注意力を要する作業は、めまいや眠気が落ち着くまで控えるのが安心です。

下腹部痛・腹部不快感

一部の方は、下腹部の痛みや腹部の不快感を感じることがあります。これは一時的にホルモンバランスが変化した影響で、軽い生理痛のような症状が出る場合があるためです。海外の調査では、下腹部痛は約10〜14%の頻度で報告されています。多くは軽度で自然に治まりますが、痛みが強い場合は無理せず鎮痛薬を使っても構いません。ただし、激しい腹痛が長時間続く場合は他の原因(胃腸の不調や、ごくまれに子宮外妊娠など)がないか念のため確認しましょう。

乳房の張り・その他の症状

高用量の黄体ホルモンを摂取すると、一時的に乳房の張り(乳房痛)を感じることがあります。海外の臨床試験データによれば、乳房の張りを感じたケースは全体の約8%程度報告されています。これも一時的なホルモン作用によるもので、特別な対処をしなくても数日で解消することがほとんどです。また、人によっては一時的な情緒不安定軽いほてりを感じることがあるかもしれませんが、これも副作用としてごくまれに見られる程度です。

いずれにせよ、アフターピルの一般的な副作用は「吐き気」「不正出血」「頭痛」「倦怠感」などが中心であり、それらはいずれも重症化せず自然に改善することが分かっています​。WHOでも「緊急避妊薬による副作用は軽度であり、特別な治療をしなくても自然に消失する」と報告されています。初めての体験だと不安かもしれませんが、あまり神経質になりすぎず、「こんな症状が出ることもあるんだな」くらいに構えておくと良いでしょう。

アフターピルの重篤な副作用とリスク

次に、頻度は高くないものの知っておきたい重篤な副作用やリスクについて説明します。結論から言えば、現在広く使われているレボノルゲストレル単独のアフターピルは、重大な健康被害を引き起こすリスクは極めて低いとされています()。緊急避妊薬は世界的にも安全性が確認されており、因果関係が明確な重篤な合併症や死亡例はほとんどないです​。とはいえ、ホルモン薬である以上、特定の持病をお持ちの方などでは注意が必要な点もありますので、主なリスクについて確認しておきましょう。

血栓症(血のかたまりが血管を塞ぐ症状)

ピルの副作用としてよく知られる血栓症(静脈血栓塞栓症など)は、血液が固まって血管を詰まらせてしまう重篤な症状です。低用量ピルなどエストロゲンを含む経口避妊薬では、長期連用によりごくまれに血栓症のリスクが高まることが知られています。しかし、アフターピル(緊急避妊薬)の場合、エストロゲンを含まず一度きりの服用であるため、一般的に血栓症のリスク増加はほとんど心配ないと考えられています。​

つまり、普段ピルの使用を制限されるような持病を持つ方(例えば高血圧や喫煙習慣のある方)であっても、緊急避妊のために一時的に用いることは許容される場合が多いのです。それでもなお不安な場合は、医師に自分のリスクについて相談してください。

肝機能障害(肝臓への影響)

アフターピルは肝臓で代謝される薬です。そのため、重い肝臓病をお持ちの方には原則使用できません​。添付文書上も「重篤な肝障害のある患者には禁忌」とされています​。健康な方が一度服用することで肝臓に重大な障害が起こる可能性は通常ありません。しかし、海外製のウリプリスタル(エラ)に関しては、少し特別な注意事項があります。ウリプリスタル酢酸エステルは、反復投与(長期使用)すると重篤な肝障害を引き起こす恐れがあることが判明し、欧州医薬品庁(EMA)が2020年に子宮筋腫治療用途での使用中止を勧告した経緯があります​。これは、子宮筋腫治療のために反復して服用する5mg製剤で問題になった副作用であり、緊急避妊の単回使用では肝障害は報告されていません。

したがって、エラを一度服用したことで肝臓が深刻なダメージを受ける可能性は極めて低いと考えられます。ただし、もともと肝炎など肝機能に問題がある方は、緊急避妊薬の使用自体を避けるか慎重に判断する必要があります​。

アレルギー反応・ショック

薬剤に対するアレルギーも重篤な副作用の一つです。アフターピルの有効成分や添加物にアレルギーがある場合、発疹や蕁麻疹、かゆみなどの症状が出たり、最悪アナフィラキシーショックを起こす可能性があります。ノルレボ錠では、成分に対する過敏症の既往がある女性には禁忌とされています​。こうした重度のアレルギー反応は非常に稀ですが、もし呼吸困難、顔や喉の腫れ、全身のじんましんなどが出た場合は、躊躇せず緊急治療(救急搬送など)を受けてください。

その他の注意すべき点(妊娠の有無・将来への影響)

アフターピルを服用する上で知っておいていただきたいのは、「すでに成立した妊娠には効果がない」という点です。つまり、服用時点で既に受精卵が着床して妊娠が成立している場合、アフターピルでは中断できません(※この場合は中絶手術等の検討が必要です)。したがって、「実は服用前に妊娠していた」という状況を避けるためにも、心当たりがある場合はなるべく早めに妊娠検査薬で確認することが望ましいです。もっとも、避妊失敗からすぐでは検査薬も反応しませんから、現実的にはアフターピルを先に服用し、その後3週間経過しても生理が来なければ検査薬で確認する、という流れになります​。

また、アフターピルが将来の妊娠や健康に悪影響を及ぼすのでは、と心配される方もいます。しかし、現在の研究では緊急避妊薬が不妊の原因になったり、将来の妊娠に悪影響を与えたりすることはないです。ホルモンは体内ですぐ分解・排泄され、長期的に体に留まることもありません。同じ理由で、「繰り返しアフターピルを使うと体に悪いのでは?」という疑問もよく聞かれますが、繰り返し使用によって健康に深刻な害が生じるという報告はありません​。ただし、頻回使用すると不正出血など一時的な副作用が増えることはありますし、何度も緊急避妊に頼る状況自体が望ましくないため、他の避妊法の検討が勧められます​。繰り返しになりますが、アフターピルはあくまで「緊急措置」であり、普段から低用量ピルの内服やコンドーム使用など計画的な避妊を心がけることが大切です。

最後に、もしアフターピルを正しく服用したにもかかわらず妊娠に至ってしまった場合について触れておきます。このようなケースで「薬の影響で赤ちゃんに奇形が起きるのでは?」と不安になる方もいるでしょう。しかし、海外の観察研究では、レボノルゲストレルを緊急避妊に使用したにもかかわらず妊娠が継続した場合でも、胎児の奇形や流産のリスクが増加しなかったとの報告があります​。緊急避妊薬自体に胚発育を障害する作用はなく、万一妊娠が成立してしまった場合でも胎児への明確な悪影響は認められていません​

海外製アフターピルの副作用と注意点

近年はwebの普及により、海外製のアフターピルを個人輸入や通販サイトで購入するといったことも一部で行われています。「病院に行く時間がない」「処方料が高いので安く済ませたい」などの理由から検討する方もいるかもしれません。海外には日本未承認のウリプリスタル(エラ)の他、レボノルゲストレル系のジェネリック薬(Plan Bワンステップ等)も流通しています。では、こうした海外製のアフターピルは国内のものと比べて副作用に違いがあるのでしょうか? 基本的に、有効成分が同じであれば生じ得る副作用の種類も同じです。例えば成分がレボノルゲストレル1.5mgであれば、吐き気や頭痛、不正出血といった症状が起こる可能性がありますし、ウリプリスタルであれば先述のように生理が遅れがちになる、といった傾向も同様でしょう。副作用そのものは国内外で大きな差はないと考えられます。

しかし、海外製アフターピルには別のリスクがあります。それは「医薬品の品質・安全性が保証されていない可能性がある」という点です。厚生労働省も、個人輸入された医薬品の使用には注意喚起を行っています。日本国内で正規に流通している医薬品は厳しい承認プロセスを経て品質・有効性・安全性が確認されていますが、海外から個人輸入される薬にはそうした保証がありません​。極端な話、通販サイトで手に入れた緊急避妊薬が偽物の薬である可能性も否定できないです。有効成分が正しく含まれていなかったり、成分量が不適切だったり、不純物が混入しているケースも報告されています。また、万が一重い副作用が出ても、国内で正式承認された薬ではないために公的な救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象外となり、国からの補償や救済措置を受けられない恐れもあります​。以上の点から、海外製アフターピルを自己判断で入手・使用することはリスクが高いと言えます​

緊急避妊薬はいざという時に素早く確実に効果を出すことが求められます。そのためにも、品質が確かな正規ルートで入手することが大切です。当院のような医療機関では、正規承認品のアフターピルを適切な手続きで処方しています。

副作用への対処法と受診の目安

ここまで、アフターピルの様々な副作用について説明してきました。最後に、実際にアフターピルを服用した後に副作用が出た場合の対処法や、どのような場合に医療機関を受診すべきかについてまとめました。

自宅で様子を見てよいケース

ほとんどの副作用は軽度で一時的なものなので、自宅で安静にしていれば自然に治まります​。例えば「少し気持ち悪い」「軽い頭痛がする」「だるい」といった症状であれば、まずはゆったり横になって休みましょう。水分をこまめに摂り、食欲があれば消化の良いものを少し食べてみてください。頭痛がつらければ市販の鎮痛剤を飲んでも構いません(ただし市販薬の添付文書をよく読み、妊娠の可能性が否定できない場合はアスピリンなどは避け、アセトアミノフェンが無難です)。出血があればナプキンを当てて安静にします。多くの場合、症状は数時間〜1日程度で楽になるでしょう​。

医療機関に相談・受診すべきケース

  • 嘔吐が止まらない場合
    何度も嘔吐を繰り返し水分もとれない場合は点滴等の処置が必要になることがあります。脱水症状に陥らないよう早めに受診しましょう。
  • 出血量が多い場合
    不正出血は通常少量ですが、生理2日目以降のような多い出血が続く場合や、レバー状の塊がいくつも出るような場合は放置せず受診してください。子宮内膜が厚く増殖していた場合など、ごくまれに大量出血する可能性もゼロではありません。貧血症状(ふらつき、動悸息切れ)が出るほどの出血は異常です。
  • 腹痛が強い場合
    我慢できないほどの腹痛や下腹部の激痛が起きた場合も受診のサインです。アフターピルとの直接関係は薄いですが、万一妊娠が継続していて子宮外妊娠(異所性妊娠)となっていると強い痛みを感じることがあります。また卵巣が腫れて捻転した場合なども激痛の原因になります。こうした緊急事態は非常に稀ですが、強い痛みは見逃さず医療機関へ。

服用後のフォローアップ

アフターピル服用後、基本的には次回生理が来るまで待つ形になります。先述のように多少のズレは想定内ですが、予定より1週間以上遅れた場合は妊娠検査薬で確認しましょう​。陰性であっても無月経が続く場合や、逆に生理と思った出血が実は不正出血だった可能性もありますので、3週間後を目安に産婦人科を受診することをおすすめします​。妊娠が否定できればひと安心ですし、この機会に今後の避妊計画について医師と相談してみるのも良いでしょう。低用量ピルの継続処方や、パートナーにも協力を促す方法など、産婦人科医は親身にアドバイスいたします。緊急避妊はあくまで最後の手段ですので、次回から同じ不安を繰り返さないためにも、しっかりと対策を練っておくことが大切です。

当院でのアフターピル処方とサポート体制

レディースクリニックなみなみでは、緊急避妊に対応するためのアフターピル処方を随時受付けております。当院では主にレボノルゲストレル(ノルレボⓇ)とエラを在庫しており、必要な方にはできるだけ早くご提供できるよう体制を整えています。女性医師を含むスタッフが患者様のプライバシーに十分配慮し、丁寧にお話を伺いますので、初めての方も安心してご相談ください。副作用についても、今回ご説明した内容を踏まえてしっかりとご説明し、不安を解消できるよう努めています。当院のアフターピル紹介ページでは、緊急避妊薬の効果や服用方法についても詳しく解説しておりますので、あわせて参考になさってください。

当院のアフターピル紹介ページへ

アフターピル処方後のアフターフォローも大切にしています。必要に応じて副作用を和らげるお薬の処方や、後日の診察予約のご案内、妊娠判定のタイミングについての説明など、継続的にサポートいたします。緊急避妊薬の使用は精神的にも負担がかかるものです。レディースクリニックなみなみは、そうした患者様の心のケアも含めて寄り添うクリニックでありたいと考えております。

まとめ:正しい知識で不安を減らし、必要な時は迷わず相談を

アフターピルの副作用について、一般的なものから稀なケースまで詳しく解説してきました。多くの方にとって、緊急避妊薬による副作用は軽く一時的なものです​。吐き気や頭痛、不正出血などが起こる可能性はありますが、それらは数日以内に治まり、将来的な健康に悪影響を残すものではありません。重篤な副作用(血栓症や肝障害など)は極めてまれであり、正しく使用すれば過度に心配する必要はありません。​

むしろ、望まない妊娠を防ぐことによる安心感の方がずっと大きなメリットと言えるでしょう。

とはいえ、副作用の出方は個人差がありますし、不安な気持ちになるのは自然なことです。「もし何かあったらどうしよう…」と一人で抱え込まず、疑問や不安があればぜひ医療者に相談してください。レディースクリニックなみなみでは、緊急避妊について経験豊富な医師が対応し、あなたの状況に合わせた適切なアドバイスとケアを提供します。ご予約・ご相談はお電話または当院公式LINEから24時間受け付けております。副作用への不安を少しでも減らし、安心してアフターピルをご利用いただけるよう、私たちがお手伝いいたします。いざという時には迷わずご連絡ください。あなたの健康と未来を守るために、全力でサポートいたします。

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アフターピルに関するよくある質問

アフターピルの副作用にはどのような症状がありますか?

主な副作用として、吐き気、頭痛、下腹部の痛み、めまい、倦怠感、胸の張り、そして少量の不正出血などがあります。これらは一時的な症状であり、多くの場合は自然に治まります。

アフターピルの副作用は服用後いつから現れますか?

一般的に、アフターピルの副作用は服用後数時間以内に現れ始めます。早い場合は服用後2~3時間ほどで吐き気や頭痛などを感じることがありますが、個人差があります。

アフターピルの副作用は通常いつまで続きますか?

副作用の持続期間は通常短く、ほとんどは服用から24時間以内に治まります。場合によっては数日間軽い症状が続くこともありますが、時間とともに自然に落ち着くのが一般的です。

アフターピルで吐き気を感じるのは普通ですか?

はい、吐き気はアフターピルの代表的な副作用で、多くの方にみられる症状です。通常は一時的で数時間から1日程度で治まるため、過度に心配する必要はありません。服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、薬が十分に吸収されていない可能性があるため、念のため医師に相談しましょう。

アフターピル服用後に生理が遅れることはありますか?

はい、アフターピル服用後はホルモンバランスが一時的に変化するため、生理が遅れたり早まったりすることがあります。次の生理が予定より数日程度ずれるのはよくあることですが、1週間以上遅れるようなら念のため妊娠検査薬を試すか医師に相談しましょう。

アフターピルを飲んでも副作用がない場合、効果はきちんとありますか?

はい、副作用が全く出ない場合でも、アフターピルの効果が弱まることはありません。副作用の出方には個人差があるため、正しく服用していれば副作用がなくても避妊効果はしっかり得られますので安心してください。

アフターピルの副作用がつらいとき、どう対処すればいいですか?

副作用がつらいときは無理をせず安静にして過ごしましょう。吐き気がひどい場合は水分を少しずつ摂り、必要であれば医師に相談して吐き気止めを処方してもらうこともできます。また、頭痛や腹痛には市販の鎮痛剤を使用して様子をみてもかまいません。それでも症状が重かったり長引いたりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

アフターピルの副作用で注意すべき症状や危険な兆候はありますか?

基本的には心配いりませんが、まれに注意が必要な症状もあります。例えば、服用後に耐え難い下腹部の激痛が続く場合は子宮外妊娠など別の問題の可能性があるため、すぐに医師の診察を受けてください。また、明らかに普段と異なるほど大量の出血がある場合も、念のため医療機関に相談しましょう。

アフターピルの副作用は将来の妊娠や不妊に影響しますか?

いいえ、アフターピルによる一時的なホルモン変化が将来の妊娠に悪影響を及ぼしたり、不妊の原因になったりすることはありません。アフターピルを繰り返し使用したとしても、生殖能力が損なわれる心配はありませんので安心してください。

アフターピルの副作用の現れ方や強さは人によって違いますか?

はい、副作用の現れ方や強さには個人差があります。全く症状が出ない人もいれば、強めに出る人もいます。同じ薬でも体質や体調によって反応が異なるため、副作用が軽いからといって効果が弱いわけではなく、強く出たからといって異常なわけでもありません。

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