レディースクリニック なみなみ

妊娠初期症状の頭痛は危険信号?産婦人科専門医が教える原因・対処法と受診の目安

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クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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  • 妊娠初期に起こる軽い頭痛は珍しくなく、多くの場合は心配ありません ホルモンバランスの変化などによる生理的な症状で、妊娠初期にはよくみられます。
  • 妊娠初期の頭痛は通常、妊娠5ヶ月頃(妊娠16~19週前後)までには次第に落ち着いてきます 個人差はありますが、つわりの症状が治まる時期に合わせて改善することが多いです。
  • 一方で、激しい頭痛や長引く頭痛、他の症状を伴う頭痛は注意が必要です。 妊娠高血圧症候群(妊娠中の高血圧)など重大なトラブルの兆候の可能性があります。
  • 特に視界の異常や吐き気・むくみなどを伴い、我慢できないほどの頭痛が続く場合は、夜間でも迷わず医療機関に相談しましょう。 早めの受診が母体と赤ちゃんの安全につながります。
  • 妊娠中は市販の頭痛薬の多くが使用できないため、自己判断での服用は避けましょう。 まずは安静や冷却・ツボ押しなど薬に頼らない対処法を試し、それでもつらい場合は産婦人科医に相談して妊娠中でも使用できる薬を処方してもらうことが大切です。

妊娠初期に頭痛を感じると、「赤ちゃんに影響はないかな?」「この頭痛は普通なの?」と不安になりますよね。結論から言えば、妊娠初期の軽い頭痛はよくある症状で、ほとんどの場合心配ありません。 実際、多くの妊婦さんが妊娠超初期~妊娠初期に頭痛や頭重感を経験しています。ただし、すべての頭痛が問題ないとは限りません。痛みが強かったり長引いたり、吐き気や視界異常など他の症状を伴う場合は注意が必要です。

そこで本記事では、妊娠初期に起こりうる頭痛の原因や症状について、比較的よくあるケースから注意が必要なケースまで順番に詳しく解説します。それぞれの頭痛の種類ごとに効果的な対処法や受診の目安も説明しますので、ご自身の症状と照らし合わせることで「この頭痛は大丈夫か」の判断に役立ててください。妊娠初期には、頭痛以外にも様々な不調や変化が現れます。

妊娠初期症状全般」について知りたい方は、以下の記事も合わせて参考にしてください👇️。

妊娠初期症状の頭痛はよく起こります

妊娠してから19週程度は頭痛が続くことがある

妊娠初期の頭痛は、多くの妊婦さんが経験するよくある症状です。ホルモンバランスの急激な変化や、それに伴う体の様々な変化が原因と考えられています。多くの場合、つわり(妊娠悪阻)の一種として捉えられ、妊娠5ヶ月頃(約妊娠19週)まで続くケースが多いとされています。もちろん個人差があり、もっと早く治まる人もいれば、妊娠後期まで頭痛が続く人もいます。いずれにせよ、妊娠初期の頭痛は必ずしも深刻な異常を示すものではありません。ただし放置すると日常生活に支障をきたす可能性もありますので、頭痛の原因を理解し適切な対処法を知ることが、快適な妊娠生活を送る上で非常に重要です。

以下に、妊娠初期の頭痛について、症状の程度別に概要をまとめました。

症状期間頻度関連する可能性のある要因
頭痛(軽度~中等度)妊娠初期~19週頃まで(個人差あり)毎日、または数日に一度ホルモンバランスの変化、血圧の変化、貧血、ストレス、睡眠不足など
激しい頭痛、全くやまずに、持続する頭痛妊娠初期~(個人差あり)頻度は様々妊娠高血圧症候群の可能性、脳腫瘍の可能性など(※要医師診察)

このように、軽度~中等度の頭痛は比較的よくある症状ですが、激しい頭痛や長く続く頭痛の場合はすぐに医師に相談することが大切です。妊娠中は自己判断で安易に市販薬を服用せず、専門家(医師)の適切な診断とアドバイスを受けるようにしましょう。

次のセクションでは、妊娠初期の頭痛の主な原因について詳しく見ていきます。

妊娠初期の頭痛の原因5つ

妊娠初期の頭痛は、多くの妊婦さんが経験するよくある症状ですが、その原因は一つとは限りません。様々な要因が複雑に絡み合って起こるため特定は簡単ではないものの、主な原因として以下の5つが挙げられます。

①ホルモンバランスの変化

妊娠初期には、プロゲステロンやエストロゲンなど様々なホルモンが急激に増加します。このホルモンバランスの急激な変化が血管を拡張させ、頭痛を引き起こす可能性があります。特にプロゲステロンの増加には血管を拡張させる作用があり、これが頭痛の一因となることが知られています。なお、ホルモン変化による頭痛は妊娠中期頃には落ち着いてくることが多いです。

②高血圧

妊娠中に最も注意しなければならない原因の一つが血圧(高血圧)です。妊娠高血圧症候群は妊娠中に高血圧になる病気で、高血圧になると激しい頭痛や吐き気、むくみなどの症状が現れることがあります。血圧が高いと脳の血管が圧迫され、頭痛を引き起こす可能性があります。妊娠高血圧症候群は母体と胎児の健康に影響しうるため、上記のような症状が出た場合は早めに医師に相談することが重要です。一般的に妊娠20週以降(特に妊娠後期の28週以降)にリスクが高まる疾患なので、妊娠初期に発症する可能性は低いものの、妊婦健診で血圧が高めと言われている方は日頃から自宅で血圧を測定するなど注意して過ごしましょう。

③貧血

妊娠中は血液量が増加する一方で、鉄分などの必要な栄養素も多く消費されます。その結果、血液の液体成分(血漿)が増えて相対的に赤血球中のヘモグロビン濃度が下がり、妊婦さんは貧血気味になります。

実際、妊娠初期~中期の妊婦さんではHb(ヘモグロビン)11.0 g/dL以上、妊娠後期では10.5 g/dL以上が正常値とされます。鉄分不足による貧血になると脳への酸素供給が不足し、頭痛が起こることがあります。めまいや立ちくらみを伴うこともあるため注意が必要です。

④ストレス

妊娠中は心身ともに大きな変化が起こるため、ストレスを感じやすい時期です。精神的なストレスは血管を収縮させたり、筋肉の緊張を高めたりして緊張型頭痛を引き起こす可能性があります。妊娠初期は特に、つわりや将来への不安などストレス要因が多い時期です。なるべくリラックスできる時間を作り、心身の緊張をほぐすよう心がけましょう。

⑤運動不足

妊娠初期は、つわりや体調の変化により運動不足になりがちです。身体をあまり動かさないでいると血行不良を招き、頭痛を悪化させる可能性があります。無理のない範囲で構いませんので、軽いストレッチや散歩などできる範囲の運動を継続することが大切です。運動を始める際は一度医師に相談し、問題なければ適度な運動を取り入れてみましょう。

なお、上記以外にも脱水症状や睡眠不足なども頭痛の誘因となる可能性があります。妊娠初期の頭痛の原因は一つとは限らず、複数の要因が重なって起こることも多い点に留意してください。また、もし激しい頭痛や長く続く頭痛、他の症状(吐き気や視野の異常など)を伴う頭痛がある場合は、重篤な原因の可能性も考えられるため必ず医師に相談しましょう。

妊娠初期症状の頭痛の種類

(妊娠初期の)頭痛は大きく分けて一次性頭痛二次性頭痛に分類されます。一次性頭痛とは、他に明らかな原因となる病気がなく起こる頭痛で、妊娠初期によく見られるタイプです。一方、二次性頭痛は他の病気や状態が原因で起こる頭痛を指します。ここでは、一次性頭痛の中でも特に妊娠初期に多い片頭痛緊張型頭痛、そして風邪など感染症に伴う頭痛について解説します。

片頭痛

片頭痛は、こめかみ付近から始まるズキズキとした拍動性の強い痛みが特徴です。吐き気や嘔吐を伴うことも多く、光や音に対して敏感になる場合もあります。片頭痛は脳の血管が拡張することで起こると考えられており、妊娠初期のホルモンバランスの変化によって発症したり悪化したりすることがあります。妊娠前から片頭痛持ちだった方は、妊娠初期に症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。

症状特徴
激しいズキズキとした痛みこめかみ付近から始まり、脈打つように痛む
吐き気・嘔吐多くの場合、吐き気や嘔吐を伴う
光・音への過敏性光や音に対して過敏になり、刺激で痛みが増す
片側性の痛み片側に痛みを感じる場合が多い

対処法: 片頭痛が起きた場合、痛む部位を冷やす(冷湿布や保冷剤の使用)と即効性があり痛みが和らぎやすいです。また、血流が良くなると痛み出すことが多いため、できるだけ安静にして過ごすのが無難です。ただし冷やすのは一時的な対処にすぎないため、日頃から睡眠不足や温度差、光・音の刺激など生活環境を見直すことで根本的な改善を図りましょう。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭全体を締め付けられるようなずーんと重い痛みが特徴です。片頭痛のような拍動する激しい痛みではないことが多いものの、長時間にわたってだらだらと続くことがあります。原因としては精神的ストレスや筋肉の緊張などが挙げられ、妊娠初期特有の不安やストレス、睡眠不足なども影響して発症することがあります。また、姿勢の悪さや長時間同じ姿勢でいることによっても引き起こされやすくなります。

症状特徴
締め付けられるような痛み頭全体が圧迫されているような重い痛み
持続的な痛み数時間から数日続くこともある
軽度〜中等度の痛み片頭痛ほど激しくないが、不快な痛みが継続することが多い
首や肩の凝り首や肩の筋肉のこり・ハリを伴うことが多い

対処法: 血行が悪く筋肉がこわばると痛みが増すため、入浴やストレッチで筋肉の緊張をほぐすことが有効です。日常的に日本頭痛学会推奨の「頭痛体操」を行うと、緊張型頭痛の症状が徐々に軽減されることが期待できます。また、長時間同じ姿勢を避けてこまめに体を動かし、適度に休憩を取るようにしましょう。

感冒(風邪)時・感冒後の頭痛

風邪やインフルエンザなどの感染症にかかった時や、その回復期にも頭痛が起こることがあります。これはウイルス感染による炎症や発熱が原因で起こる頭痛です。妊娠初期は免疫力が低下しているため風邪をひきやすく、それに伴う頭痛も起こりやすくなります。このタイプの頭痛は、風邪の症状が改善すると自然に治まることがほとんどですが、症状が強い場合は医師に相談しましょう。

頭痛の種類を理解することで、適切な対処法を選ぶことができます。それぞれの頭痛の特徴を把握し、症状に合わせて対処法を選択することが重要です。頭痛がひどい場合や他の症状を伴う場合は、必ず医師に相談するようにしましょう。

妊娠初期症状の頭痛への対処法

妊娠初期の頭痛に薬を使っても大丈夫?

妊娠初期の頭痛がつらいとき、「薬で何とかしたい」と考える方もいるでしょう。しかし、妊娠中の頭痛に対して安易に市販の頭痛薬を服用するのは危険です。多くの市販薬には、妊娠時に服用すると胎児に影響を与える可能性のある成分が含まれています。特にイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、妊娠初期の服用は避けるべきとされています(※妊娠後期には動脈管収縮などのリスクがあるため禁忌)。では、「妊娠初期の頭痛に使って良い薬はあるの?」という疑問が生じますが、結論として、妊娠中に頭痛薬を服用する際は市販薬であっても必ず医師または薬剤師に相談することが必須です。自己判断で服用すると思わぬリスクを招く可能性があります。

医師によっては、妊娠中でも比較的安全とされている成分の薬(後述のアセトアミノフェンなど)を処方してくれる場合もあります。ただし、薬の使用はあくまで最終手段と考え、まずは他の対処法(安静にする、頭を冷やす、ツボ押しを試す等)を試み、それでも改善しない場合に医師と相談の上で薬を使うようにしましょう。

以下に、代表的な頭痛薬の種類について、妊娠初期に使って良いかどうかの目安をまとめました。

薬の種類薬の名前安全性注意点(使用時期など)エビデンス
イブプロフェン系ロキソニン®(Loxoprofen)
イブ®(Ibuprofen)
妊娠初期に流産リスク増加の可能性あり。妊娠後期には動脈管収縮などのリスクで禁忌。初期~中期は慎重に使用可能。妊娠28週以降は禁忌。「NSAIDsは妊娠初期の流産リスクをわずかに増加させる可能性がある」(PMDA)
アセトアミノフェン系カロナール®(Acetaminophen)妊娠中で最も安全性が高い鎮痛薬。適量使用で胎児へのリスクはほぼなし。妊娠全期間で使用可能。ただし、必要最小限の用量と期間にとどめる。妊娠中のアセトアミノフェン使用と出生異常のリスクに関する研究(Rebordosa et al., 2009)
トリプタン系イミグラン®(Sumatriptan)催奇形性のリスクは低いとされるが、完全には否定できず慎重に使用する必要あり。医師の判断に基づき、片頭痛が重度の場合のみ使用を検討。スマトリプタン、ナラトリプタン、およびトレキシメットの妊娠登録に関する最終報告(Ephross et al., 2014)
その他市販薬様々基本的に医師の指示なしには不可成分が複数入っている場合が多いため注意が必要

授乳中のトリプタン系薬剤の使用については、服用後一定時間授乳を控えることで使用可能とされています。具体的には、スマトリプタン(イミグラン)使用後は12時間、他のトリプタン製剤使用後は24時間の授乳中止が推奨されています。 (参考▶

薬を飲むときの注意点

万が一、医師から「妊娠中でも服用可能」として頭痛薬が処方された場合でも、以下の点に注意しましょう。

  • 処方された用法・用量を厳守する: 勝手に量を増やしたり服用回数を増やしたりしないこと。指示通りに服用します。
  • 他の薬やアレルギーについて事前に相談する: 頭痛薬以外に服用中の薬がある場合やアレルギー体質の方は、服用前に必ず医師・薬剤師に伝えましょう。
  • 服用後の体調変化に注意する: 薬を飲んだ後、いつもと違う症状や異変を感じたら、すぐに医師に連絡してください。

医師に相談すべきケース

次のような場合は、すぐに医師に相談しましょう。

  • 頭痛が非常に強く、我慢できないほどつらい場合
  • 頭痛と同時に発熱や吐き気、嘔吐などの症状がある場合
  • 頭痛が数日以上続いている場合
  • 市販薬を服用しても症状が改善しない場合
  • 頭痛以外にも気になる症状(めまい、視野の異常など)がある場合

妊娠初期の頭痛は、多くの場合一時的なもので、正しい対処をすれば徐々に改善が期待できます。しかし、何もせず放置すると悪化したり他の症状を引き起こしたりする可能性もあります。少しでも不安を感じる場合は、遠慮せず早めに医師に相談しましょう。

薬を使わずに妊娠初期の頭痛に対処する方法

妊娠初期の頭痛はつらいだけでなく、不安も伴うものです。適切な薬以外の対処法を知って症状を和らげれば、薬に頼らずに安心して妊娠生活を送ることができます。ここでは、頭痛緩和に役立ついくつかの方法をご紹介します。

鉄分の摂取

妊娠初期は血液量の増加に伴い鉄分不足になりやすい時期です。鉄分不足による貧血は頭痛の原因となることがあるため、意識して鉄分を補給しましょう。鉄分を多く含む食品(ほうれん草、レバー、ひじきなど)を積極的に摂取したり、必要に応じて医師に相談の上で鉄剤(サプリメント)を服用することも検討してください。

鉄分を多く含む食品摂取方法のポイント
ほうれん草生のままサラダにしたり、さっと茹でておひたしにするなど、調理法を工夫して摂取しましょう。
レバービタミンAも豊富ですが、摂りすぎると体に負担がかかるため、適量を心がけましょう。
ひじき煮物やご飯に混ぜて摂取できます。カルシウムも豊富なので、骨の健康にも役立ちます。

血行促進

血行不良も頭痛の原因となり得るため、血行を良くする工夫をしましょう。軽い運動(散歩やストレッチ)や心地よい温度の入浴、首・肩のマッサージなどが効果的です。ただし激しい運動は控え、無理のない範囲で行ってください。湯船につかる際も長湯になりすぎないよう注意しましょう(のぼせ防止)。

ツボ療法

東洋医学のアプローチになりますが、ツボ押し(指圧)も頭痛の緩和に役立つ場合があります。特に「太陽(たいよう)」「百会(ひゃくえ)」といったツボは頭痛に効果があると言われています。指の腹でゆっくり押して刺激してみましょう。ただし強く押しすぎないことが大切で、痛みを感じたらすぐに中止してください。ツボの正確な位置や押し方がわからない場合は専門書で確認するか、鍼灸の専門家に相談すると安心です。

妊娠初期の頭痛を和らげるための生活習慣

妊娠初期の頭痛は、生活習慣の見直しによって軽減できる可能性があります。ここでは、頭痛を和らげるために妊婦さんにおすすめの生活習慣について解説します。

規則正しい生活リズムを心がける

不規則な生活はホルモンバランスの乱れや自律神経の不調を招き、頭痛を悪化させる可能性があります。妊娠中は特に、睡眠不足や疲労が頭痛の大きな原因となることも多いです。そのため、できるだけ早寝早起きを心がけ、質の高い睡眠を十分にとるようにしましょう。単に睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質も意識することが大切です。例えば就寝前のカフェイン摂取を避けたり、リラックスできる環境を整えたりすることで、より深く安定した睡眠が得られます。

効果的な睡眠習慣具体的な方法
毎日の睡眠時間を確保する7~8時間程度の睡眠を目標に、毎日なるべく同じ時間に寝起きする
寝る前のカフェイン摂取を避けるコーヒー・紅茶・緑茶などカフェイン飲料は就寝3時間前までに済ませる
リラックスできる環境を作る寝室の温度・湿度を調整する、アロマを使用する、寝る前に温かいお風呂に入るなど

バランスの良い食事を摂る

偏った食事は栄養不足による貧血低血糖などを引き起こし、頭痛の誘因となる可能性があります。妊娠中は胎児の発育に必要な栄養素を十分に摂取することが重要です。鉄分、カルシウム、葉酸などを含むバランスの良い食事を心がけましょう。また、水分補給も忘れずに。脱水状態も頭痛の原因となり得るため、こまめに水分を摂取してください。

栄養素・要素心がけたいポイント
鉄分レバー、ほうれん草、ひじきなど鉄分豊富な食材を取り入れる
カルシウム牛乳、ヨーグルト、チーズなど乳製品を適量摂取する
葉酸ほうれん草、ブロッコリー、レバーなど緑黄色野菜を積極的に摂る
水分補給1日1.5リットル以上の水や麦茶などノンカフェイン飲料を飲む

適度な運動をする

適度な運動には血行促進効果があり、頭痛の予防や軽減につながります。妊娠中でも無理のない範囲でウォーキングや簡単な体操などを行うことがおすすめです(体調が良い日に少しずつで構いません)。ただし、激しい運動は控えましょう。運動を始める前に念のため医師に相談し、安全を確認してから行うと安心です。運動によって全身の血流が改善されることで、特に緊張型頭痛の症状を和らげる効果が期待できます。

妊娠初期におすすめの運動安全に行うためのポイント
ウォーキング無理のないペースで行い、休憩をこまめにとる
軽いストレッチ体操妊娠中でもできる体操を選び、痛みや張りを感じたら中止する
マタニティヨガ専門のインストラクターの指導の下で行う(教室に参加する等)

ストレスを溜め込まない

ストレスは頭痛を引き起こす大きな要因の一つです。妊娠中は心身ともに変化が大きく、どうしてもストレスを感じやすい時期でもあります。ストレスを溜め込まないために、自分なりのリラックス方法で適度に発散する時間を作るよう心がけましょう。例えば好きな音楽を聴くアロマテラピーを楽しむゆったり入浴する趣味の読書をするなど、リラックスできるひとときを意識的に持つことが大切です。また、一人で抱え込まず家族や友人、パートナーに気持ちを相談するのも良い方法です。必要であれば、専門家によるカウンセリングやマタニティヨガ教室など外部のサポートを利用することも検討しましょう。

ストレス軽減の方法具体的なリラックス手段・サポート策
リラックスできる時間を作る読書、音楽鑑賞、アロマ、入浴、お昼寝 など
周囲に気持ちを相談する日々の出来事や不安を家族・友人・パートナーと共有する
専門家のサポートを受けるカウンセリングを利用する
マタニティ向け教室に参加する

これらの生活習慣を意識することで、妊娠初期の頭痛を和らげ、より快適なマタニティライフを送ることができるでしょう。

頭痛以外の妊娠初期症状

妊娠初期には、頭痛以外にも様々な症状が現れます。これらの症状は人によって出るもの・出ないものがあり、程度にも個人差があります。また全く症状がない人もいるため、頭痛などの症状が無いからといって「妊娠していない」とは言い切れません。

ここでは、頭痛以外の代表的な妊娠初期症状をいくつか紹介します。これらの症状が複数当てはまる場合は妊娠の可能性を考慮し、妊娠検査薬で確認するか早めに医療機関を受診することをおすすめします。

症状詳細
つわり吐き気や嘔吐、食欲不振などが主な症状です。妊娠3~4週頃から始まり、16週頃まで続くことが多いですが、個人差が大きいです。
乳房の張りや痛み妊娠ホルモンの影響で乳房が張ったり、痛んだりすることがあります。ブラジャーのサイズを上げる必要がある人もいます。
頻尿妊娠初期は子宮が大きくなるにつれて膀胱が圧迫され、頻尿になることがあります。
腰痛ホルモンバランスの変化や、子宮の成長による骨盤の負担増加が原因で腰痛が起こることがあります。
眠気妊娠初期は、ホルモンバランスの変化や身体の負担増加により、強い眠気に襲われることがあります。
倦怠感身体のだるさや疲労感が強く感じられます。
おりものの変化おりものの量や粘度が増したり、色が白っぽくなったりすることがあります。
基礎体温の上昇排卵後、高温期が継続する場合は妊娠の可能性があります。
下腹部痛生理痛のような痛みや、軽い引っ張られるような痛みを感じる場合があります。
便秘ホルモンバランスの変化によって腸の動きが緩慢になり、便秘になることがあります。

これらの症状は妊娠初期だけでなく他の病気でも起こり得るため、紛らわしい場合があります。特につわりや頭痛、倦怠感などは風邪の症状にも似ているため注意が必要です。複数の症状が同時に現れたり、症状が強く日常生活に支障を来す場合は、早めに医療機関を受診して相談しましょう。

妊娠初期は身体に様々な変化が起こるデリケートな時期です。少しでも不安なことがあれば、無理をせず医師に相談することをおすすめします。

妊娠初期の頭痛に関するQ&A

妊娠初期の頭痛はいつまで続く?

妊娠初期の頭痛は、多くの場合、妊娠19週頃まで続くことが多いとされています。しかし、個人差があり、数週間で治まる方もいれば、妊娠後期まで続く方もいます。頭痛の持続期間は、頭痛の種類や原因、個人の体質などによって大きく異なります。

つわりと関連している場合、つわりが落ち着くにつれて頭痛も軽減する傾向があります。しかし、つわりとは関係なく、妊娠期間中ずっと頭痛に悩まされる方もいるため、心配な場合は医師に相談することが大切です。

頭痛がひどい時はどうすればいい?

市販の鎮痛剤は、妊娠初期には服用を控えるべきです。必ず医師または薬剤師に相談し、安全な薬剤の服用方法を指示してもらいましょう。医師の指示がない限り、自己判断で薬を服用しないように注意してください。ひどい頭痛が続く場合や、吐き気や嘔吐を伴う場合は、すぐに医師に相談しましょう。
頭痛の種類によっては、特定の対処法が効果的です。片頭痛の場合は安静が重要ですが、緊張型頭痛の場合は血行促進が効果的です。ご自身の頭痛の種類を把握し、適切な対処法を選ぶことが重要です。 医師の診察を受けることで、適切な診断とアドバイスを受けることができます。

妊娠に気づかず、妊娠超初期に、市販の頭痛薬を飲んでしまったのですが大丈夫でしょうか?

数回であれば問題ないことが多いです。気づいたときから内服に気をつけるのは多くの妊婦さんがそうですのでキにしすぎなくても大丈夫です。心配な場合は妊婦健診の際に産婦人科医、助産師さんに詳しく聞いてみましょう。

まとめ: 妊娠初期の頭痛、正しい知識で安心・快適なマタニティライフを!

妊娠初期の頭痛は、多くの妊婦さんが経験するごく一般的な症状です。ホルモンバランスの変化や貧血、ストレスなど様々な原因が考えられます。本記事では、妊娠初期の頭痛の原因、種類、そして効果的な対処法について解説してきました。頭痛が続く場合や激しい頭痛に悩まされている場合は、自己判断で市販薬を服用せず必ず医師や助産師に相談することが大切です。適切な診断とアドバイスを受ければ、安心・安全に妊娠期間を過ごすことができます。この記事でご紹介した対処法を参考にしていただき、少しでも快適なマタニティライフを送る一助となれば幸いです。

妊娠や出産に関する不安やお悩みは、人それぞれ違います。困ったときや詳しく相談したいときは、お一人で抱え込まず専門の医療機関に相談してください。当院(レディースクリニックなみなみ)でも、妊娠中の症状や妊活に関するご相談を承っております。

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妊娠初期全体の症状や流れを把握しておくことも不安解消に役立ちます。妊娠初期症状のまとめ記事で全体像に目を通しておきましょう👇️。

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東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

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