レディースクリニック なみなみ

生理が遅れる理由は?妊娠やストレスなどの遅れの年代別の原因と対処法を解説

更新日:

公開日:

当院のコラムは全て医師が監修しております。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓
総監修者について詳しく見る 

「生理が遅れている…もしかして妊娠?」「最近ストレスが多いからかな…」「何か病気だったらどうしよう…」生理が予定日より遅れると、不安な気持ちになりますよね。

生理の遅れは、妊娠以外にも、ストレスや生活習慣の乱れ、病気など、さまざまな原因が考えられ、年齢によっても要因は異なります。

この記事では医師監修のもと、生理が遅れる原因を年代別に詳しく解説し、それぞれの対処法や生理周期を整えるための生活習慣改善策、病院へ行く目安などをご紹介いたします。生理の遅れに不安を抱えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

生理はどれくらい遅れると異常?

生理が遅れると、「妊娠しているのでは?」と不安になる方も多いでしょう。しかし、妊娠以外にも様々な原因が考えられます。生理がどれくらい遅れると異常なのか、まずはその目安を理解しましょう。

生理周期は通常25日〜38日

一般的な生理周期は25日~38日と言われています。これは個人差が大きく、いつもと数日程度のずれはよくあることです。しかし、大幅に遅れたり、周期が安定しない場合は、何らかの原因が考えられます。可能性があります。 この日数を外れる場合には月経不順の定義に当てはまります。

生理周期詳細
25日~38日一般的な生理周期の範囲です。数日のずれは個人差の範囲内です。
24日以内生理周期が短いです。原因を特定するために婦人科を受診することをおすすめします。
39日以上生理周期が長いです。原因を特定するために婦人科を受診することをおすすめします。

予定日から1週間〜2週間経過すると注意が必要

生理予定日から1週間~2週間経過しても生理が来ない場合は、注意が必要です。妊娠の可能性が高いだけでなく、ストレスや生活習慣の乱れ、病気などが原因の可能性もあります。 妊娠が気になる方は、まず妊娠検査薬で検査を行いましょう。陰性であれば、生活習慣を見直したり、婦人科を受診することを検討しましょう。

3ヶ月以上来ない場合は婦人科受診が必要

生理が3ヶ月以上来ない状態を「続発性無月経」と言います。続発性無月経は、様々な婦人科疾患が潜んでいる可能性があり、放置すると骨粗鬆症や子宮体がんのリスクが高まるため、必ず婦人科を受診しましょう。 早めの受診が、健康を守る上で重要です。

婦人科受診をされた場合、一般的に無月経の場合、超音波検査を行い子宮や卵巣に異常がないかの確認と、血液検査でホルモンの値を調べます。超音波検査は、性行為の経験がある場合は腟から超音波の機器を入れますが、性行為の経験がない場合は、お腹の上から超音波を当てたり、より正確に評価するためにも、肛門から超音波の機器を入れる方法もあります。もし抵抗があり、この検査を希望されない場合や、お腹の上から超音波を行なっても評価が難しい場合は、MRI検査で評価を行うことも可能ですよ。

月経不順のメカニズムを簡単に理解しよう

月経はホルモンバランスによって調整されています

生理は、脳からの指令によって卵巣で分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)のバランスによって制御されています。このホルモンバランスが崩れると、生理周期が乱れたり、生理が遅れたりする「月経不順」が起こります。
具体的には、脳の視床下部から分泌されるGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が、下垂体へ作用し、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)の分泌を促します。FSHは卵巣の卵胞を成熟させ、LHは排卵を促します。排卵後、黄体からプロゲステロンが分泌され、子宮内膜を厚くして妊娠の準備を整えます。
妊娠しなかった場合、プロゲステロンの分泌が低下し、子宮内膜が剥がれ落ち、出血が起こり生理が始まります。

ホルモン役割生理不順との関連
GnRH (ゴナドトロピン放出ホルモン)下垂体にFSHとLHの分泌を促す分泌異常によりFSH、LHの分泌が乱れる
FSH (卵胞刺激ホルモン)卵胞の成熟を促進分泌異常により卵胞が正常に発育しない
LH (黄体化ホルモン)排卵を促す分泌異常により排卵障害が起こる
エストロゲン子宮内膜の増殖を促す分泌異常により子宮内膜が正常に増殖しない
プロゲステロン子宮内膜を妊娠の準備状態にする分泌異常により子宮内膜が正常に維持されない

生理が遅れる8つの理由

生理が予定日より遅れる原因は様々です。妊娠以外にも、ストレスや生活習慣、病気などが考えられます。ここでは、生理が遅れる可能性のある8つの理由を詳しく解説します。

①:妊娠

生理が遅れる最も一般的な原因は妊娠です。妊娠すると、黄体ホルモンの分泌が持続し、子宮内膜が厚くなるため、生理が起こらなくなります。妊娠の可能性がある場合は、妊娠検査薬で確認することをお勧めします。

②:ストレス

強いストレスは、脳の視床下部・下垂体・卵巣というホルモンの連鎖を担う器官に影響を与え、ホルモンバランスを乱す可能性があります。その結果、排卵が抑制されたり、生理周期が乱れたりする原因となります。

③:過度なダイエット

極端な食事制限や過度なダイエットは、体脂肪率の低下を引き起こし、ホルモンバランスを乱す可能性があります。特に、女性ホルモンの分泌に重要な役割を果たすエストロゲンは、体脂肪と密接な関係があるため、過度なダイエットは生理不順の原因となる場合があります。

④:激しいスポーツ

過剰な運動も、ホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があります。特に、長時間の激しい運動や、栄養不足を伴う過度なトレーニングは、生理不順につながることがあります。

⑤:無排卵

排卵が起こらない無排卵は、生理が遅れる、または来なくなる原因となります。無排卵は、ストレス、ホルモンバランスの乱れ、体重減少など様々な要因によって引き起こされます。無排卵が続くと、妊娠しにくくなる可能性もあります。

⑥:早発閉経

早発閉経は、40歳未満で閉経を迎える状態です。遺伝的な要因や自己免疫疾患などが原因として挙げられます。早発閉経になると、生理が遅れたり、無月経になったりするだけでなく、骨粗鬆症や心血管疾患のリスクも高まります。

⑦:甲状腺の疾患

甲状腺ホルモンは、生理周期の調節に重要な役割を果たしているため、甲状腺の機能異常は生理に影響を与えます。甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症などの甲状腺疾患も、ホルモンバランスを乱し、生理不順を引き起こすことがあります。

⑧:その他

上記以外にも、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの婦人科疾患、薬の副作用、急激な体重増加や減少なども生理が遅れる原因となります。

生理が遅れた場合、まずは落ち着いて原因を特定することが大切です。上記の項目を参考に、自分の状況を振り返ってみましょう。心配な場合は、婦人科医に相談することをお勧めします。

質問はいいいえ
強いストレスを感じている  
過度なダイエットをしている、または極端に食事制限をしている  
体重の増減が激しい  
激しい運動を毎日行っている  
睡眠不足が続いている  
最近、生活習慣が大きく変化した(引っ越し、転職など)  
不規則な生活を送っている(夜更かし、不規則な食事など)  
吐き気や嘔吐などの症状がある
強い生理痛がある
不正出血がある
体重増加や多毛症などの症状がある
40代以上で、閉経が近づいていると感じる
複数の「はい」に該当する場合、なんらかの月経不順の原因が隠れている可能性が高いです。しかし、自己診断は危険です。必ず婦人科を受診して、医師に診断を受けてください。

年代別!月経不順の原因とは?

10代に多い生理遅れの原因

10代の女性は、初潮を迎えて間もないため、生理周期がまだ安定していません。そのため、生理が遅れることは比較的よくあることですのでそこまで深刻にならなくてもよいです。

原因説明
初潮後すぐは生理周期が安定しない初潮を迎えてから数年は、脳の視床下部と下垂体、卵巣のホルモン分泌が未熟なため、生理周期は不安定です。
過度なダイエットによるホルモンバランスの乱れ急激なダイエットは、体脂肪率を低下させ、ホルモンバランスを乱す可能性があります。特に、女性ホルモンの分泌に影響を与え、生理不順の原因となります。

20代に多い生理遅れの原因

20代になると、生理周期が比較的安定してくるものの、ストレスや生活習慣の乱れによって生理不順が起こる可能性があります。

原因説明
ストレスによるホルモンバランスの乱れ仕事や人間関係、恋愛など、様々なストレスがホルモンバランスを乱し、生理不順につながります。
過労や睡眠不足慢性的な睡眠不足や過労は、自律神経の乱れを引き起こし、生理周期に影響を与えます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性PCOSは、卵巣に多くの小さな嚢胞ができる病気で、生理不順や不妊の原因となります。

30代に多い生理遅れの原因

30代になると、妊娠や出産、加齢によるホルモンバランスの変化が生理周期に影響を与える可能性が高まります。

原因説明
妊娠・出産によるホルモンバランスの変化妊娠や出産は、女性の体に大きな変化をもたらし、ホルモンバランスを大きく変動させます。
子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患は、生理不順を引き起こす可能性があります。

40代に多い生理遅れの原因

更年期によるホルモンバランスの乱れ更年期になると、卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌量が減少します。これにより、生理周期が乱れたり、生理が遅れたりするようになります。
プレ更年期による生理不順更年期に入る前の時期(プレ更年期)も、ホルモンバランスの変動が起こりやすく、生理不順が起こることがあります。

現代の女性をとりまく環境やライフスタイルは1950年代と比べて大きく変化していて、初婚年齢は29歳を超え、第一子を出産する年齢も上昇しています。日本人女性31万人、600万月経周期のビッグデータを解析した研究では、研究対象者の平均月経周期は10代から20代にかけ徐々に長くなり、23歳で平均30.7日と最も長くなりました。その後30代から40代前半にかけ徐々に短縮し、45歳で平均27.3日と最も短くなり、以降は再び長くなりました。

生理周期を整えるための対処法3選

①:ストレス緩和を心がける

ストレスは体内のホルモンバランスに大きな影響を与え、生理の遅れを引き起こす可能性があります。具体的には、ストレス下で分泌されるコルチゾールが、排卵に必要なFSHやLHといったホルモンの分泌を抑制することがあります。また、ストレスは自律神経のバランスも乱し、それによって子宮内膜の成長にも影響を及ぼす可能性があります。

特に慢性的なストレスや強いストレスは生理不順を引き起こしやすく、精神的なストレスだけでなく、肉体的な疲労や睡眠不足なども同様の影響を与えることがあります。このため、生理の正常なサイクルを維持するためには、日々のストレス管理が重要となります。

ストレスの種類生理への影響
精神的なストレス(人間関係、仕事、学業など)ホルモンバランスの乱れ、排卵障害、生理周期の乱れ
肉体的なストレス(過労、睡眠不足、激しい運動)ホルモンバランスの乱れ、免疫機能の低下、生理周期の乱れ
慢性的なストレス長期的な生理不順、無月経、月経困難症など

②:生活習慣を整える

改善策具体的な方法効果
規則正しい生活リズムを心がける毎日同じ時間に寝起きし、食事をする。週末も可能な限り同じリズムを保つ。体内時計を整え、ホルモンバランスの安定に繋がります。
栄養バランスの良い食事を摂る1日3食バランスの良い食事を摂る。野菜、果物、タンパク質、良質な脂質を意識して摂取する。ホルモンの材料となる栄養素を補給し、ホルモンバランスの乱れを防ぎます。
適度な運動を習慣づけるウォーキング、ジョギング、ヨガなど、自分に合った運動を週に3回以上行う。血行を促進し、ストレス軽減効果も期待できます。

③:ピルを活用する

生理不順が改善しない場合、低用量ピルなどのホルモン剤を使用することも検討できます。低用量ピルは、ホルモンバランスを整え、生理周期を安定させる効果があります。ただし、服用前に必ず医師に相談し、適切な使用方法を指導してもらいましょう。ピルはすべての女性に適しているわけではなく、副作用のリスクもありますがうまく使うことで生理周期を安定させることが容易に可能です。


月経の遅れに関するよくある質問

生理が遅れるのは病気のサイン?

生理が遅れる原因は様々で、必ずしも病気のサインとは限りません。ストレスや生活習慣の乱れ、ダイエットなどでも生理周期は乱れやすいため、まずはそれらの可能性を検討することが重要です。しかし、数ヶ月以上生理が来ない、激しい腹痛を伴う、不正出血があるなど、他の症状を伴う場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。子宮内膜症や子宮筋腫、甲状腺疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが考えられます。 生理が遅れた際は、ご自身の状況を把握し、心配な場合は婦人科医への受診をおすすめします。

市販薬で生理を早めることはできる?

生理を早める効果を謳う市販薬は存在しますが、自己判断での服用は危険です。市販薬には、生理不順の症状を緩和する効果があるものもありますが、根本的な原因を解決するものではありません。 生理が遅れる原因によっては、服用によって症状が悪化したり、副作用が出たりする可能性もあります。生理が遅れたからといって安易に市販薬に頼るのではなく、まずは原因を特定することが大切です。専門医の診察を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。

生理不順を改善するためにできることは?

生理不順を改善するためには、生活習慣の見直しから始めることが重要です。具体的には、規則正しい生活を送ること、バランスの良い食事を摂ること、適度な運動をすることなどが挙げられます。 また、ストレスをため込まないよう、リラックスできる時間を確保することも大切です。睡眠不足や過度なダイエットも生理不順の原因となるため、注意が必要です。 これらの生活習慣改善に加え、必要に応じて婦人科を受診し、専門医のアドバイスを受けることで、より効果的な改善策を見つけることができるでしょう。

基礎体温をつけるメリットは?

基礎体温を記録することで、自分の生理周期を把握し、排卵日を予測することができます。これにより、妊娠を希望する場合は妊娠しやすい時期を把握でき、避妊を希望する場合は避妊方法の選択に役立ちます。また、基礎体温を記録することで、生理周期の乱れやホルモンバランスの異常などを早期に発見できる可能性があります。 基礎体温は、生理不順の改善や妊娠に関する相談をする際に、医師に役立つ情報となります。毎日同じ時間に測り、正確に記録することが重要です。

まとめ:生理が遅れる理由はさまざまです。1〜2週間遅れたら婦人科に相談しましょう。

生理が遅れる主な原因には、妊娠の可能性のほか、ストレス、過度なダイエット、激しい運動、甲状腺の疾患など、様々な要因が考えられます。年代によっても原因は異なり、10代では初潮後の不安定さ、20代ではストレスや生活習慣の乱れ、30代では妊娠・出産関連、40代では更年期の影響などが特徴的です。

生理周期を整えるためには、規則正しい生活リズムの確保、バランスの良い食事、適度な運動を心がけることが大切です。また、ストレス管理も重要でなので、十分な休息を取り、リラックスできる時間を確保しましょう。

気になる症状がある場合や、生理が1〜2週間以上遅れている場合は、早めに婦人科を受診することが賢明です。特に、強い腹痛や不正出血などの症状を伴う場合は、できるだけすぐに医療機関を受診しましょう。

レディースクリニックなみなみのピルのページ LINEで外来を予約する

当院のコラムは全て医師が監修しております。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓
総監修者について詳しく見る 
コラム一覧をみる
関連する投稿はありません。