レディースクリニック なみなみ

妊婦のインフルエンザ|かかったときの薬と胎児への影響、予防接種はいつ打つか

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体温計を手に持つ女性の手元
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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妊娠中に熱が出ると、まず頭をよぎるのは「薬を飲んでいいのか」「おなかの赤ちゃんは大丈夫なのか」ということだと思います。インフルエンザが流行する季節になると、当院にも「かかってしまったかもしれない」「予防接種を受けたほうがいいのか迷っている」というご相談が増えます。

結論から言うと、妊婦さんはインフルエンザにかかると重症化しやすいことが知られており、早産のリスクが高まる可能性も報告されています。だからこそ「かかったときに早く動くこと」と「かかる前に予防接種を受けておくこと」の両方に意味があります。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、妊娠の全期間を通じて接種できます

この記事では、すでにかかってしまった方と、これから予防接種を考えている方のどちらにも役立つように、妊娠中のインフルエンザについて産婦人科の視点から整理します。

目次
  1. 1 この記事でわかること
  2. 2 妊娠中にインフルエンザかもしれない — まず何をするか
    1. 2.1 市販の解熱鎮痛薬を、自分の判断で飲まない
    2. 2.2 受診は「発症から48時間以内」を目安に
    3. 2.3 産婦人科と内科、どちらを受診するか
  3. 3 妊娠中に使えるインフルエンザの薬
    1. 3.1 インフルエンザの薬にはどんな種類があるか
    2. 3.2 妊娠中の安全性について、いまわかっていること
    3. 3.3 熱がつらいときの解熱薬
    4. 3.4 授乳中にかかった場合
  4. 4 インフルエンザは、おなかの赤ちゃんに影響しますか
    1. 4.1 妊婦さんは重症化しやすい
    2. 4.2 早産のリスクが高まる可能性
    3. 4.3 「かかってしまった=赤ちゃんに障害が残る」ではありません
  5. 5 予防接種は、妊娠中でも受けられます
    1. 5.1 妊娠のどの時期でも接種できる
    2. 5.2 生まれてくる赤ちゃんも守れる — 母子免疫のしくみ
    3. 5.3 妊婦さんが受けてはいけないタイプのワクチンもあります
    4. 5.4 副反応について
  6. 6 いつ打つのがよいか
    1. 6.1 12月中旬までに終えておく
    2. 6.2 妊婦健診と同じ日に受けられますか
    3. 6.3 他のワクチンとの兼ね合い
  7. 7 ご家族の予防も、赤ちゃんを守ることにつながります
  8. 8 当院でのインフルエンザワクチン接種について
  9. 9 よくあるご質問(FAQ)
    1. 9.1 妊娠初期ですが、インフルエンザの予防接種を受けても大丈夫ですか?
    2. 9.2 妊娠中にイナビルやタミフルなどの薬は使えますか?
    3. 9.3 インフルエンザにかかると、おなかの赤ちゃんに障害が出ますか?
    4. 9.4 授乳中ですが、予防接種を受けられますか?授乳は続けられますか?
    5. 9.5 鼻から噴霧するタイプのインフルエンザワクチンも受けられますか?
    6. 9.6 卵アレルギーがありますが、接種できますか?
    7. 9.7 予防接種を受けたのにかかりました。意味がなかったのでしょうか?
    8. 9.8 打ちそびれて流行期に入ってしまいました。今からでも打つ意味はありますか?
  10. 10 まとめ
  11. 11 関連する診療メニュー

この記事でわかること

  • 妊娠中にインフルエンザかもしれないとき、まず何をすればよいか
  • 妊娠中に使えるインフルエンザの薬について、いまわかっていること
  • 熱がつらいときの解熱薬の考え方
  • インフルエンザはおなかの赤ちゃんに影響するのか
  • 妊婦さんが重症化しやすい理由と、早産のリスク
  • 予防接種は妊娠のどの時期に受けられるのか
  • 生まれてくる赤ちゃんも守れる「母子免疫」のしくみ
  • 妊婦さんが受けてはいけないタイプのインフルエンザワクチン
  • いつまでに打っておくとよいか
  • 授乳中の接種・服薬について
  • 当院での接種の受け方

妊娠中にインフルエンザかもしれない — まず何をするか

急な高熱、関節や筋肉の痛み、強いだるさ、咳やのどの痛み。こうした症状が急に出そろったときは、インフルエンザの可能性があります。妊娠中はふだんより体温が高めで、だるさもつわりや妊娠そのものの影響と紛れやすいのですが、「いつもの妊娠中のしんどさとは明らかに違う」と感じたときは、様子を見ずに動いてください

市販の解熱鎮痛薬を、自分の判断で飲まない

これがいちばん大事なことです。ご家庭の常備薬や、妊娠前に使っていた解熱鎮痛薬の中には、妊娠中、とくに妊娠後期には使えないものがあります。「熱を下げてから受診しよう」と手元の薬を飲んでしまうと、かえって遠回りになることがあります。

熱がつらい場合でも、まずは受診し、妊娠週数を伝えたうえで処方を受けてください。すでに飲んでしまった場合も、自分を責めずに、いつ・何を・どれだけ飲んだかをメモして受診時に伝えていただければ大丈夫です。

受診は「発症から48時間以内」を目安に

インフルエンザの治療薬は、発症から48時間以内に開始すると発熱期間が通常1〜2日短縮され、鼻やのどからのウイルスの排出量も減るとされています。逆に、症状が出てから48時間を過ぎて飲み始めた場合は、十分な効果は期待しにくくなります(厚生労働省)。

つまり、「明日まで様子を見よう」がそのまま治療の選択肢を狭めてしまうということです。妊娠中は重症化しやすいぶん、この48時間は健康な成人よりも重く受け止めてください。夜間や休日にかかった場合も、翌朝いちばんで連絡していただくのが安全です。

産婦人科と内科、どちらを受診するか

「妊婦だから産婦人科へ」と考えて連絡をためらう方がいますが、インフルエンザそのものの検査と治療は、内科や発熱外来でも受けられます。妊娠中であることを必ず伝えてください。処方の判断はそのうえで行われます。

一方で、おなかの張りが強い、出血がある、赤ちゃんの動きがいつもと違う、破水したかもしれない——こうした産科的な症状をともなうときは、かかりつけの産婦人科に必ず連絡してください。どちらに行くべきか判断がつかないときも、まずはかかりつけに電話でご相談いただければ整理できます。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

受診の連絡をためらう方がとても多いのですが、妊娠中は「早めに相談していただいて空振りだった」ほうがずっと良い結果になります。熱が出た時点で、まず電話をください。来院の仕方(他の妊婦さんと動線を分ける、車内でお待ちいただく等)も、そのときにご案内します。

妊娠中に使えるインフルエンザの薬

インフルエンザの薬にはどんな種類があるか

国内で使われている抗インフルエンザウイルス薬には、次のようなものがあります(厚生労働省)。

  • オセルタミビルリン酸塩(内服)
  • ザナミビル水和物(吸入)
  • ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(吸入)
  • ペラミビル水和物(点滴)
  • バロキサビル マルボキシル(内服)
  • アマンタジン塩酸塩(内服・A型のみ)

剤形も作用のしかたも違うため、どれを使うかは、妊娠週数・症状・持病・つわりの有無などをふまえて医師が判断します。「この薬が欲しい」と決めて受診する必要はありません。また、抗インフルエンザ薬はすべての患者さんに必須というわけではなく、この点も含めて医師が判断します。

妊娠中の安全性について、いまわかっていること

妊娠中の薬について国内で相談を受け付けている国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」は、抗インフルエンザ薬についてこれまでの調査を次のように整理しています。

  • 妊娠初期(第1三半期)にノイラミニダーゼ阻害薬にさらされた児と、さらされていない児を比較した調査で、先天奇形の発生リスクの増加はみられなかった
  • オセルタミビルについて、妊娠中の使用が胎児に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられる
  • 吸入薬についても、日本国内の使用例をふまえて同様に整理されている

また、欧米の専門機関はインフルエンザシーズン中の妊婦さんへのワクチン接種を妊娠週数にかかわらず推奨しており、国内の産婦人科診療ガイドライン(産科編)にも、妊婦・褥婦へのインフルエンザワクチンと抗インフルエンザウイルス薬の投与を扱った項目が置かれています。妊娠中のインフルエンザは「薬を我慢して耐えるもの」ではない、という考え方が土台にあります。

ただし、これは「どの薬でも自由に飲んでよい」という意味ではありません。実際にどの薬をどう使うかは、必ず診察のうえで決めます。

熱がつらいときの解熱薬

妊娠中の発熱に対して使われる解熱鎮痛薬は限られています。アセトアミノフェンは、国立成育医療研究センターの「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」にも挙げられている成分で、妊娠中・授乳中を通じて選ばれることの多い薬です。

一方、市販の総合感冒薬や鎮痛薬には、妊娠後期に避けるべき成分が含まれていることがあります。パッケージだけで判断せず、必ず医師・薬剤師に確認してください。水分をこまめにとる、部屋を暖めすぎない、体を締めつけない服装で休む、といった基本的なケアも、妊娠中はとくに大切です。

授乳中にかかった場合

産後、授乳中にインフルエンザにかかった場合、「薬を飲むから授乳をやめなければならない」と自己判断で断乳する必要はありません。国立成育医療研究センターの「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」には、抗ウイルス薬としてオセルタミビルが、解熱鎮痛薬としてアセトアミノフェンが挙げられています。

むしろ気をつけたいのは、飛沫や接触で赤ちゃんにうつしてしまうことです。マスクの着用、授乳前後の手洗い、赤ちゃんの顔に向かって咳やくしゃみをしないといった配慮のほうが、実際には重要になります。ご家族に協力を頼めるなら、授乳以外のお世話を代わってもらってください。判断に迷うときは、自己判断で授乳をやめる前に医師にご相談ください。

インフルエンザは、おなかの赤ちゃんに影響しますか

最も多くいただくご質問です。順を追って整理します。

妊婦さんは重症化しやすい

日本小児科学会の予防接種・感染症委員会は、インフルエンザについて「特に、乳児期早期や妊婦が罹患すると重症化しやすい」としています。妊娠中は子宮が大きくなることで横隔膜が押し上げられて肺が広がりにくくなり、心臓や肺への負担も増えています。免疫のはたらきも妊娠中は変化します。こうした条件が重なるため、同じウイルスでも肺炎などに進みやすいのです。

つまり、赤ちゃんへの影響を考えるうえで最初に守るべきなのはお母さん自身の体ということになります。

早産のリスクが高まる可能性

同じ資料では、妊婦さんがインフルエンザにかかると早産のリスクが高まる可能性があることも報告されているとしています。高熱や強い炎症が体に加わることが、子宮の収縮につながりうるためです。

これは「かかったら必ず早産になる」という意味ではありません。ただ、放置せず早く治療にたどり着くこと、そしてそもそもかからないようにしておくことに意味がある、という根拠になります。

「かかってしまった=赤ちゃんに障害が残る」ではありません

すでにかかってしまった方に、はっきりお伝えしたいことがあります。インフルエンザにかかったからといって、それだけで赤ちゃんに先天的な異常が起こると決まるわけではありません。不安から検索を続けて眠れなくなってしまう方がいらっしゃいますが、いま必要なのは、ご自身の熱と全身状態をきちんと治療することと、妊婦健診で経過を確認していくことです。

心配なことは、次の健診まで抱え込まずに受診時に全部お伝えください。いつ発熱したか、何度まで上がったか、どの薬を飲んだかがわかると、こちらも具体的にお答えできます。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

「かかってしまったこと」を責める必要はまったくありません。妊娠中は人にうつされる場面をゼロにはできません。私たちが一緒に考えるのは、これからどうするか、です。次の健診で気になることを全部聞いていただいて構いません。

予防接種は、妊娠中でも受けられます

妊娠のどの時期でも接種できる

インフルエンザHAワクチンは不活化ワクチンです。生きたウイルスを使っていないため、そのワクチンでインフルエンザを発症することはありません。日本小児科学会の資料でも、妊婦さんへの推奨接種時期は「妊娠全期間」と示されています(皮下注射・0.5mL)。

「妊娠初期は避けたほうがよいのでは」と考えて時期を待つ方がいらっしゃいますが、待っているあいだに流行期に入ってしまうほうが、実際にはリスクになります。妊娠初期の方も、接種の対象です。

生まれてくる赤ちゃんも守れる — 母子免疫のしくみ

妊婦さんへのインフルエンザワクチンには、もうひとつ大きな意味があります。お母さんの体でつくられた抗体が胎盤を通って赤ちゃんに移り、生まれたばかりの赤ちゃんを守るという点です。これを母子免疫といいます。

赤ちゃん自身はインフルエンザワクチンをすぐには接種できません。つまり生後しばらくのあいだ、赤ちゃんを守る手段はお母さんから受け取った抗体と、周りの大人がうつさないことだけになります。

日本小児科学会の資料では、妊婦さんにインフルエンザHAワクチンを接種することで、生後6か月までの乳児におけるインフルエンザの発症を63%減少させ、お母さんにおいては発熱をともなう呼吸器疾患の発症を36%減少させたとの報告が紹介されています。同資料はインフルエンザHAワクチンの接種目的を「母体重症化予防あわせて早期新生児発症予防」と整理しており、お母さんと赤ちゃんの両方に意味がある1回ということになります。

妊婦さんが受けてはいけないタイプのワクチンもあります

ここは間違えやすいところです。インフルエンザのワクチンには注射だけでなく、鼻に噴霧するタイプ(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)もあります。こちらは弱毒化した生きたウイルスを使うもので、日本小児科学会の資料では妊婦さんへの接種は安全性が確立されておらず推奨されていないとされています。

お子さんが鼻から受けるタイプを選ぶご家庭も増えていますので、ご自身が妊娠中の場合は「注射のタイプ」であることを必ず確認してください。当院で妊婦さんに接種しているのは注射(不活化)のインフルエンザHAワクチンです。

副反応について

接種後にみられることがあるのは、注射した部位の腫れ・赤み・痛み、軽い発熱、だるさなどで、多くは1〜2日で治まります。まれに発疹などのアレルギー反応が起こることがあります。以前の接種で強い副反応が出たことがある方は、接種前に必ずお知らせください

また、接種当日に発熱している場合や体調がすぐれない場合は、日を改めていただきます。

いつ打つのがよいか

12月中旬までに終えておく

厚生労働省は、日本ではインフルエンザが例年12月〜3月頃に流行し、1月末〜3月上旬に流行のピークを迎えることから、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとしています。

接種してから体の中で抗体ができるまでには時間がかかります。「流行し始めてから打つ」では間に合わないことがあると考えて、秋のうちに予定に入れておくのが確実です。妊婦健診の予定と重ねて計画しておくと忘れずに済みます。

また、流行の立ち上がりの早さは年によって違います。例年より早く患者数が増え始める年もあるため、「12月中旬まで」を締め切りと考えるより、接種できる案内が出たら早めに受けておくほうが確実です。とくに妊娠中は、体調をみながら来院日を選ぶ必要があるぶん、余裕をもって計画しておくことをおすすめします。

妊婦健診と同じ日に受けられますか

当院で妊婦健診を受けていらっしゃる方は、健診の日にあわせて接種のご相談をいただけます。妊娠経過に気になる点がある場合は、そのときの状況をふまえてご案内します。通院の回数を増やさずに済むよう、受付でお気軽にお声がけください。

他のワクチンとの兼ね合い

近年、妊娠中に検討するワクチンが増えています。RSウイルスワクチン(アブリスボ)は妊娠28〜36週が接種の推奨時期で、2026年4月から定期接種となりました。百日咳を含むワクチンも妊娠後期の接種が考慮されています。

これらは推奨される時期がそれぞれ違い、目的も異なります。同じ日に複数を受けられるかどうかも含めて、妊娠週数にあわせて順番を整理しますので、「何をいつ打つのか分からなくなった」という状態で来ていただいて大丈夫です。👉️RSウイルスワクチン(アブリスボ)についてはこちらのコラムで詳しく解説しています。

レディースクリニックなみなみ 叶谷愛弓院長(目黒・産婦人科/医学博士)

妊娠中に検討するワクチンは、ここ数年で本当に増えました。ご自身で全部を調べて組み立てる必要はありません。「いま何週で、これから何を受けられるか」は、健診のときにこちらから整理してご説明します。

ご家族の予防も、赤ちゃんを守ることにつながります

妊婦さんがどれだけ気をつけていても、感染はたいてい身近な人から持ち込まれます。パートナー、上のお子さん、同居のご家族が接種を受けておくことは、妊婦さんご本人と、生まれてくる赤ちゃんを守ることに直結します。

あわせて、流行してきたら人混みや繁華街への外出を控える、やむを得ず人混みに入るときは不織布製マスクを着用する、こまめに換気をする、十分な休養とバランスのとれた栄養をとる、といった基本的な対策も有効です(厚生労働省)。

また、上のお子さんの分については小児科でご相談ください。当院では中学生以上の方を対象にインフルエンザワクチンの接種を行っており、小学生以下のお子さんの接種は小児科をおすすめしています。

当院でのインフルエンザワクチン接種について

レディースクリニックなみなみでは、秋から翌年2月末頃までインフルエンザワクチンの接種を行っています。2026年シーズンはすでに接種を開始しています。開始時期はその年のワクチンの供給状況によって前後しますので、最新の実施状況は予防接種のページまたはお電話でご確認ください。対象は中学生以上の方です。

  • 妊娠中の方:妊娠全期間で接種いただけます。当院で妊婦健診を受けている方は、健診の日にあわせてご相談ください
  • 授乳中の方:接種いただけます。授乳を中断する必要はありません
  • 妊活中の方:接種いただけます。妊娠を待つ必要はありません
  • 他院で妊婦健診を受けている方:接種のみでもご相談いただけます。妊娠週数と経過をお伝えください

費用は料金ページをご確認ください。65歳以上の方は公費助成の対象となる場合があります。👉️当院で取り扱っているその他のワクチンについては予防接種のページでご案内しています。

なお、発熱している方の受診は、通常の予約枠とは別にご案内します。妊婦さんが多く来院されるクリニックですので、症状がある場合は来院前に必ずお電話でご連絡ください。

よくあるご質問(FAQ)

妊娠初期ですが、インフルエンザの予防接種を受けても大丈夫ですか?

インフルエンザHAワクチンは不活化ワクチンで、日本小児科学会の資料でも妊婦さんへの推奨接種時期は「妊娠全期間」と示されています。妊娠初期も対象です。「安定期に入ってから」と待つ方がいらっしゃいますが、待っているあいだに流行期に入ってしまうことのほうが実際には問題になります。つわりが強く来院自体がつらい時期であれば、体調のよい日を選んでいただければ大丈夫です。心配な点があれば、接種前に医師にご相談ください。

妊娠中にイナビルやタミフルなどの薬は使えますか?

国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」は、妊娠初期にノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビルなど)にさらされた児で先天奇形の発生リスクの増加はみられなかったこと、オセルタミビルの妊娠中の使用が胎児に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられることを示しています。吸入薬についても国内の使用例をふまえて整理されています。ただし、実際にどの薬を使うかは、妊娠週数・症状・つわりの有無(吸入や内服ができる状態か)などをふまえて医師が判断します。ご自身で薬を指定する必要はありませんので、まず受診してください。

インフルエンザにかかると、おなかの赤ちゃんに障害が出ますか?

インフルエンザにかかったというだけで、赤ちゃんに先天的な異常が起こると決まるわけではありません。妊娠中に注意が必要なのは、お母さん自身が重症化しやすいことと、早産のリスクが高まる可能性が報告されていることです。つまり、対応としては「お母さんの熱と全身状態をきちんと治療すること」が最優先になります。そのうえで、妊婦健診で経過を確認していきます。不安な点は次の健診まで抱え込まず、いつ発熱したか・何度まで上がったか・どの薬を飲んだかをメモしてお持ちください。

授乳中ですが、予防接種を受けられますか?授乳は続けられますか?

授乳中も接種いただけます。接種のために授乳を中断する必要はありません。また、授乳中にインフルエンザにかかった場合も、薬を使うからといって自己判断で断乳する必要はありません。国立成育医療研究センターの「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」には、抗ウイルス薬としてオセルタミビル、解熱鎮痛薬としてアセトアミノフェンが挙げられています。実際にはお薬よりも、飛沫や接触で赤ちゃんにうつさないための工夫(マスク、授乳前後の手洗いなど)のほうが重要になります。迷われたときは、授乳をやめる前にご相談ください。

鼻から噴霧するタイプのインフルエンザワクチンも受けられますか?

受けられません。鼻に噴霧するタイプは経鼻弱毒生インフルエンザワクチンといい、弱毒化した生きたウイルスを使うものです。日本小児科学会の資料では、妊婦さんへの接種は安全性が確立されておらず推奨されていないとされています。妊娠中に受けていただくのは注射(不活化)のインフルエンザHAワクチンです。お子さんが鼻からのタイプを選ぶご家庭も増えていますので、ご自身が妊娠中の場合は「注射のタイプかどうか」を必ずご確認ください。

卵アレルギーがありますが、接種できますか?

インフルエンザワクチンは発育鶏卵を用いて製造されるため、卵アレルギーのある方はご心配になると思います。程度によって判断が変わりますので、これまでにどのような症状が出たか(発疹だけか、呼吸が苦しくなったことがあるかなど)を接種前に必ずお知らせください。過去にワクチン接種でアナフィラキシーなど重いアレルギー反応を起こしたことがある方も同様です。診察のうえで、接種の可否と当日の体制をご相談します。

予防接種を受けたのにかかりました。意味がなかったのでしょうか?

インフルエンザワクチンは、体内へのウイルスの侵入や増殖そのものを完全に抑えるものではありません。厚生労働省は、ワクチンには「発病」を抑える効果が一定程度認められており、加えて発病後の「重症化」や死亡を予防する効果も期待されている、と説明しています。麻しんや風しんのワクチンのような高い発病予防効果を期待できるものではない、という点も明記されています。とくに妊娠中は重症化しやすいため、「かかっても軽く済む可能性を上げておく」ことに意味があります。接種後にかかった場合も、48時間以内の受診は同じように大切です。

打ちそびれて流行期に入ってしまいました。今からでも打つ意味はありますか?

流行は例年12月〜3月頃まで続き、ピークは1月末〜3月上旬とされています。12月中旬までに終えておくのが望ましいのは確かですが、シーズンが終わっていない時期であれば、接種を検討する意味はあります。妊娠週数や出産予定日との関係もありますので、「もう遅いだろうか」と自己判断せず、一度ご相談ください。あわせて、まだ接種していないご家族の分も検討していただくと、ご自宅への持ち込みを減らすことにつながります。

まとめ

妊婦さんはインフルエンザにかかると重症化しやすく、早産のリスクが高まる可能性も報告されています。だからこそ、かかったときは様子を見ずに受診すること、そしてかかる前に予防接種を受けておくことの両方に意味があります。

  • 症状が出たら、市販の解熱鎮痛薬を自己判断で飲まず、発症から48時間以内を目安に受診する
  • 妊娠中に使える薬はあります。どれを使うかは診察のうえで医師が判断します
  • インフルエンザにかかったというだけで、赤ちゃんに異常が起こると決まるわけではありません
  • インフルエンザHAワクチンは不活化ワクチンで、妊娠全期間で接種できます
  • 接種は赤ちゃんを守ることにもつながります(母子免疫)
  • 鼻に噴霧する生ワクチンは妊婦さんには推奨されていません
  • 12月中旬までに接種を終えておくのが望ましいとされています
  • ご家族の接種も、妊婦さんと赤ちゃんを守ることに直結します

レディースクリニックなみなみでは、妊婦健診とあわせてインフルエンザワクチンの接種についてご相談を承っています。接種の時期、他のワクチンとの順番、すでにかかってしまった場合の対応など、気になることはどうぞお気軽にお尋ねください。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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参考文献

  1. 妊婦への接種が推奨または考慮されるワクチン. 日本小児科学会 予防接種・感染症委員会 (2025). https://www.jpeds.or.jp/society-activities/other-initiatives/cooperation/20654.html
  2. 令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A. 厚生労働省 (2025). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2025.html
  3. インフルエンザについて(医療関係者向け). 国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター. https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/h1n1.html
  4. 授乳中に安全に使用できると考えられる薬(薬効順). 国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター. https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_yakkou.html
  5. 産婦人科診療ガイドライン 産科編2023. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 (2023). https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00801/
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