レディースクリニック なみなみ

つわりはいつまで続く?時期別の症状と乗り越え方

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つわりで不調な妊婦のイメージ
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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妊娠初期に多くの方が経験する「つわり」。「この気持ち悪さは、いったいいつまで続くのだろう」と先の見えない不安を抱えながら毎日を過ごしている方も少なくありません。つわりの始まる時期や続く期間、症状の重さには大きな個人差があり、一概に「○週で終わります」と言い切れるものではありません。それでも、一般的にどのような時期にどのような変化をたどることが多いのかを知っておくと、心の準備がしやすくなります。この記事では「つわりはいつまで続くのか」という時期の見通しを中心に、時期ごとの症状の移り変わりや日常での乗り越え方、そして医療機関を受診すべき目安までを、産婦人科の視点からわかりやすく整理してお伝えします。

この記事でわかること

  • つわりが始まる時期と軽くなりやすい時期の一般的な目安
  • 妊娠週数の経過にともなう症状の移り変わり
  • 吐きつわり・食べつわり・においつわりなど、つわりの種類と特徴
  • 食事・水分・休息など、つらい時期を乗り越えるための工夫
  • 「妊娠悪阻(にんしんおそ)」が疑われる、早めの受診が望ましいサイン
  • つわりの時期に関するよくある疑問への考え方

つわりはいつから始まり、いつまで続く?一般的な時期の目安

つわりは、妊娠5〜6週頃から始まることが多いとされています。ちょうど生理の予定日を過ぎて妊娠に気づき始める時期と重なるため、「最近なんとなく胃がムカムカする」という体調の変化がつわりの始まりだった、という方も多くいらっしゃいます。その後、妊娠8〜10週頃にピークを迎えることが多いといわれ、この時期がもっともつらかったと振り返る方が少なくありません。

そして、軽くなり始める時期としては妊娠12〜16週頃(妊娠4〜5か月頃)が一つの目安とされています。胎盤が安定してくる時期と重なり、これに前後して症状がやわらいでいくケースが多いと考えられています。とはいえ、これはあくまで「多くの方に当てはまりやすい傾向」であって、すべての方に当てはまるわけではありません。妊娠初期だけで自然に落ち着く方もいれば、もう少し長く続く方もいます。

大切なのは、つわりの期間には大きな個人差があるということです。「友人は○週で終わったのに、自分はまだ続いている」と比べて不安になる必要はありません。期間が長い・短いことそのものが、赤ちゃんの状態の良し悪しを示すわけではないと考えられています。あくまで一般的な見通しとして時期の目安を知りつつ、ご自身の体調を基準にしていただくのがよいでしょう。気になることがあれば、自己判断で抱え込まず、妊婦健診の機会などに相談してみてください。

時期別に見るつわりの症状の移り変わり

つわりは、妊娠週数の経過とともに症状の出方が少しずつ変化していくことがあります。ここでは一般的な流れを、おおまかな時期ごとに整理してみます。あくまで傾向であり、感じ方や順序には個人差があることを前提にお読みください。

  • 妊娠5〜7週頃(始まりの時期):胃のムカムカ、なんとなくの不快感、においに敏感になる、強い眠気やだるさなど、漠然とした不調として現れることが多い時期です。「風邪のひき始めのような感覚」と表現される方もいます。
  • 妊娠8〜10週頃(ピークになりやすい時期):吐き気や嘔吐、食欲の変化がはっきりしてくることが多く、もっともつらさを感じやすい時期とされます。特定の食べ物やにおいを受けつけなくなることもあります。
  • 妊娠11〜13週頃(変化が出始める時期):少しずつ症状の波が小さくなり、食べられるものが増えてきたと感じる方も出てきます。一方で、まだ波が残っていてつらい方もいる時期です。
  • 妊娠14〜16週頃以降(落ち着きやすい時期):胎盤が安定する時期と重なり、多くの方で症状がやわらいでいくとされます。ただし、人によってはもう少し続くこともあり、急に「ゼロ」になるとは限りません。

このように、つわりは「始まる→ピーク→落ち着く」というゆるやかな波をたどることが多いものの、そのカーブの高さも長さも人それぞれです。日によって体調が大きく変わることもよくありますので、「昨日は楽だったのに今日はつらい」と一喜一憂しすぎず、長い目で見ていただければと思います。

つわりにはいくつかの種類がある

「つわり」と一口に言っても、その現れ方はさまざまです。代表的なタイプをいくつかご紹介します。複数のタイプが重なって出る方もいれば、時期によって出方が変わる方もいます。

  • 吐きつわり:吐き気や嘔吐が中心となるタイプです。一般的に「つわり」と聞いてイメージされやすい症状で、空腹時・食後・特定のにおいなどをきっかけに気持ち悪さが強まることがあります。
  • 食べつわり:空腹になると気持ち悪さが強まり、何かを口にすると少し楽になるタイプです。常に何か食べていないと落ち着かず、体重や血糖のことが気になるという声も聞かれます。
  • においつわり:においに敏感になり、ごはんの炊けるにおい、生ものや油のにおい、洗剤や香水などで気分が悪くなるタイプです。これまで平気だったにおいが急につらく感じられることがあります。
  • 眠りつわり(眠気):日中でも強い眠気やだるさが続くタイプです。吐き気よりも「とにかく眠い・体が重い」という形で現れることがあります。
  • よだれつわり:唾液が増えたように感じ、それ自体が不快に感じられるタイプです。あまり広くは知られていませんが、つらさを訴える方もいます。

どのタイプも、自然な体の反応の一つと考えられています。「自分のつわりは周りと違うのでは」と感じても、必ずしも珍しいことではありません。つわりの種類によって少し楽になる工夫が変わることもあるので、ご自身がどのタイプに近いかを知っておくと、対処のヒントになりやすいでしょう。

つらい時期を乗り越えるための日常の工夫

つわりを完全になくす特効薬のようなものはありませんが、日常のちょっとした工夫でつらさがやわらぐと感じる方は多くいらっしゃいます。ここでは無理のない範囲で取り入れやすい工夫をご紹介します。合う・合わないには個人差がありますので、ご自身に心地よいものを選んでみてください。

  • 食事は「一度に少しずつ・回数を分けて」:一度にたくさん食べようとせず、少量を数回に分けるほうが楽に感じられることがあります。空腹で気持ち悪くなりやすい方は、枕元に軽くつまめるものを置いておくのも一つの方法です。
  • 食べられるものを優先する:栄養バランスが気になる時期ではありますが、つわりがつらい間は「食べられるものを食べられるときに」という考え方も大切です。冷たいもの・さっぱりしたもの・のどごしのよいものが食べやすいという声もよく聞かれます。
  • 水分をこまめにとる:嘔吐が続くと水分が失われやすくなります。一気に飲むのが難しいときは、少量ずつ・氷を口に含むなど、無理のない形での水分補給を心がけましょう。
  • においの刺激を減らす:においつわりがある場合は、調理を家族に頼む、換気をする、温かい料理を少し冷ましてからにするなど、においを抑える工夫が役立つことがあります。
  • 休息を優先し、無理をしない:強い眠気やだるさも体からのサインです。家事や仕事を抱え込みすぎず、休めるときに休むことを大切にしてください。周囲に体調を共有し、協力を得ることも乗り越える力になります。

こうした工夫を試してもつらさが強い場合や、日常生活に支障が出ている場合は、我慢を続けるのではなく医療機関に相談することも選択肢の一つです。つわりの程度によっては、医師の判断のもとで対応を検討できる場合もあります。「これくらいで相談していいのかな」とためらわず、つらいときは気軽にご相談ください。

早めの受診が望ましいサイン(妊娠悪阻の目安)

つわりの多くは、つらくても日常生活を何とか送れる範囲におさまり、時期がくると自然に軽くなっていきます。一方で、つわりが重症化した状態は「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼ばれ、医療機関での対応が必要になることがあります。次のようなサインがある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めにかかりつけの産婦人科へ相談することをおすすめします。

  • 水分もほとんど摂れない:食べ物だけでなく、水やお茶などの水分も吐いてしまい、ほとんど口にできない状態が続いている。
  • 体重が大きく減っている:短期間で体重が目立って減っている(一般に妊娠前から5%程度以上の減少が一つの目安とされます)。
  • 尿が出ない・極端に少ない、色が濃い:トイレの回数が極端に減ったり、尿の色が濃くなったりしている(脱水のサインのことがあります)。
  • 強い立ちくらみ・ふらつき・ぐったり感:起き上がるのもつらい、意識がもうろうとするなど、明らかに普段と様子が違う。
  • 嘔吐が一日に何度も続き、まったくおさまらない:吐き気や嘔吐が止まらず、まったく食事や水分を受けつけない。

これらは脱水や栄養不足が進んでいるサインのことがあり、点滴などの処置が必要になる場合もあります。「つわりだから仕方ない」と無理を重ねてしまう方もいらっしゃいますが、水分も摂れない・体重が減る・尿が出ないといった状態は、つわりの範囲を超えているサインと考え、ためらわずに受診してください。とくに、ぐったりして動けない・意識がはっきりしないといった場合は、早急な対応が望ましい状況です。最終的な診断や対応は、診察のうえで医師が判断します。気になる症状があるときは、一人で抱え込まず、まずはご相談いただければと思います。

よくある質問(FAQ)

つわりは一般的にいつ頃から始まりますか?

つわりは妊娠5〜6週頃から始まることが多いとされています。ちょうど妊娠に気づき始める時期と重なり、胃のムカムカやにおいへの過敏さ、強い眠気などとして現れることがあります。ただし始まる時期や症状の出方には個人差が大きく、もう少し早い方・遅い方、ほとんど感じない方もいます。

つわりはいつまで続くのが一般的ですか?

妊娠8〜10週頃にピークを迎え、妊娠12〜16週頃にかけて軽くなっていくことが多いとされています。胎盤が安定する時期と重なります。とはいえこれは目安であり、もっと早く落ち着く方もいれば、長めに続く方もいます。期間の長短だけで心配しすぎる必要はありませんが、気になるときは健診などで相談してください。

つわりが急になくなったのですが大丈夫でしょうか?

つわりの程度は日によって変わりやすく、時期がくると軽くなることも自然な経過の一つです。症状が落ち着くこと自体は珍しくありません。一方で、ご不安が強い場合や、ほかに気になる症状(出血や強い腹痛など)がある場合は、自己判断で様子を見続けず、かかりつけの産婦人科にご相談いただくと安心です。

「食べつわり」で常に何か食べてしまいます。問題ないでしょうか?

空腹になると気持ち悪さが強まり、何かを口にすると楽になる「食べつわり」はよく見られるタイプです。少量を回数を分けてとる、のどごしのよいものを選ぶといった工夫が役立つことがあります。体重の増えすぎや血糖が気になる場合は、自己判断で極端な制限はせず、健診の際に相談してみてください。

つわりがまったくないのですが、心配したほうがよいですか?

つわりの感じ方には大きな個人差があり、ほとんど症状を感じないまま経過する方もいます。つわりが軽い・ないこと自体が、ただちに問題を意味するわけではないと考えられています。心配なことがあれば、定期的な妊婦健診で経過を確認していただくのがよいでしょう。

どのような状態になったら受診したほうがよいですか?

水分もほとんど摂れない、短期間で体重が大きく減っている、尿が出ない・極端に少ない、強い立ちくらみやぐったり感がある、嘔吐が一日に何度も続いておさまらない、といった場合は早めの受診が望ましいサインです。これらは重症化した「妊娠悪阻」が疑われる状態のことがあり、点滴などの対応が必要になる場合があります。我慢せずご相談ください。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

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院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

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  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
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参考文献

  1. 病気がみえる vol.10 産科 第2版(MEDIC MEDIA, 2018)
  2. 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 産科編2023」
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