レディースクリニック なみなみ

デリケートゾーンのかゆみ|原因と受診の目安

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デリケートゾーンのかゆみの写真
クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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デリケートゾーンのかゆみは、その多くが「カンジダ症」「細菌性腟症」「接触皮膚炎」「萎縮性腟炎」などの原因で起こり、原因に合った治療で数日〜数週間で軽快することがほとんどです。ただし「かゆみ=カンジダ」とは限らず、市販薬で自己対処してよいのは“以前にカンジダ症と診断された方の再発”に限られます。初めての症状や原因がわからないときは、自己判断せず受診をおすすめします。

「恥ずかしくて受診しづらい」「ただのかぶれかもしれない」とためらっているうちに悪化したり、本当は治療が必要な感染症を見逃してしまうこともあります。この記事では、デリケートゾーンのかゆみについて次のことがわかります。

  • かゆみを起こす主な原因と、それぞれの特徴
  • おりもの(帯下)の見た目から原因を見分けるヒント
  • 原因別の治療と、家庭でできるセルフケア
  • 市販薬を使ってよい場合・受診すべき場合の目安
  • よくあるご質問(再発・閉経後・妊娠中・パートナーの検査など)

デリケートゾーンのかゆみとは

デリケートゾーンのかゆみ(医学的には外陰掻痒症/pruritus vulvae)は、外陰部・腟の入口・恥丘・会陰などのかゆみを主な訴えとする症状です。一つの病気ではなく、さまざまな原因によって生じる「症状の名前」であると考えられています。婦人科外来を受診される動機としても多いものの一つです。

「かゆみ=カンジダ」とは限りません

かゆみと聞くとカンジダ症を思い浮かべる方が多いですが、実際には細菌性腟症、トリコモナス腟症、性器ヘルペスなどの感染性のもの、閉経後のエストロゲン低下による萎縮性腟炎、生理用品や下着・洗浄剤による接触皮膚炎など、原因は多岐にわたります。ごくまれですが、3か月以上続く外陰部の病変は外陰がんの可能性も考えて検査を行う必要があるとされています。原因によって対処法が大きく異なるため、まずは原因を見極めることが大切です。

どのくらいの人に起こるの?

原因の一つであるカンジダは、性成熟期の女性の約15%、妊娠中では約30%ほどが保菌していると報告されています。カンジダ症は再発を繰り返す方も一定数いらっしゃいます。また、閉経後はエストロゲンの低下にともなって萎縮性腟炎によるかゆみが増える傾向があると考えられています。

デリケートゾーンのかゆみの主な原因

かゆみを起こす代表的な原因と、その特徴を整理しました。あくまで目安であり、自己診断のためのものではありません。

原因主な特徴
性器カンジダ症白色・酒かす状・ヨーグルト状のおりもの+強いかゆみ
細菌性腟症灰白色でクリーム状のおりもの+魚のような臭い(かゆみは軽いことが多い)
トリコモナス腟症黄色〜淡い灰色で泡立つおりもの+強いかゆみ
性器ヘルペス水疱や浅い潰瘍+痛みが主体
萎縮性腟炎閉経後に多い。黄色いおりもの・性交時の痛み・接触出血
接触皮膚炎生理用品・洗浄剤・下着・コンドームなどが刺激に。局所の赤み・腫れ
慢性湿疹繰り返す刺激や摩擦による慢性的なかゆみ、皮膚の硬化

おりもの(帯下)の見た目で見分けるヒント

おりものの色や性状は、原因を絞り込む手がかりになると考えられています。下の表は受診時の参考程度にとどめ、最終的な判断は検査で行います。

おりものの性状考えられる主な原因
白色・酒かす状・ヨーグルト状性器カンジダ症
灰白色・クリーム状・魚臭細菌性腟症
黄色〜淡灰色・泡沫状トリコモナス腟症
黄色い膿性子宮頸管炎(淋菌・クラミジアなど)
水様で透明・粘液性クラミジア感染症
黄色いおりもの・接触出血萎縮性腟炎

症状が似ていても原因が異なると治療が変わります。たとえば淋菌・クラミジアなどの性感染症が疑われる場合は、パートナーの検査・治療も重要になります。気になる症状があるときは、[内部リンク: クラミジア感染症|症状・検査・治療] や [内部リンク: カンジダ膣炎の症状・原因・治療法] もあわせてご確認ください。

原因別の治療

デリケートゾーンのかゆみは、原因に応じた治療を行うことで多くの場合は数日〜数週間で軽快するとされています。以下は代表的な治療の概要で、実際の薬剤や使い方は診察のうえで決まります。

カンジダ症

  • 抗真菌薬(イミダゾール系)の腟錠や外用薬を用います
  • 抗菌薬の使用や高血糖などの誘因があれば、その見直しも検討します
  • 再発を繰り返す場合は、内服薬(フルコナゾールなど)を用いることがあります
  • カンジダは常在菌のため、原則としてパートナーの治療は不要と考えられています

細菌性腟症

  • 腟錠(クロラムフェニコールなど)や、メトロニダゾールの内服・腟錠を用います

トリコモナス腟症

  • メトロニダゾールやチニダゾールの内服を行います
  • パートナーの同時治療が必要とされています(再感染を防ぐため)
  • 妊娠中は腟錠を用いるなど、状況に応じて薬を選びます

性器ヘルペス

  • 抗ウイルス薬(アシクロビル・バラシクロビルなど)を内服・外用・点滴で用います
  • 痛みが強い場合は鎮痛薬や局所麻酔薬の外用を併用することがあります

萎縮性腟炎

  • エストロゲン製剤(エストリオールなど)の局所投与を行うことがあります
  • 性交時の痛みには腟錠に加えて潤滑剤を用いることがあります

接触皮膚炎

  • 原因となっている生理用品・下着・洗浄剤などを取り除くことが基本です
  • 必要に応じて弱〜中等度のステロイド外用薬を用いることがあります

家庭でできるケアと注意点

受診の前後で気をつけたいセルフケアをまとめました。よかれと思って行うケアが、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。

  • 過剰な洗浄を避ける:ゴシゴシ洗いや専用石けんの使いすぎは、腟の自浄作用を損なうことがあります。基本はぬるま湯で十分です
  • 通気性のよい綿の下着を選び、締め付けの強い下着・ストッキングは避けます
  • 生理用品はこまめに交換します
  • かき壊して二次感染を起こさないよう、爪を整え、就寝時は手袋を使うのも一つの方法です
  • 入浴後はしっかり乾燥させます
  • 性感染症が疑われるときは、パートナーの症状も確認します
  • 妊娠中は使える薬が限られるため、自己判断せず必ず受診します

市販薬を使ってよいのはどんなとき?

市販の腟カンジダ用薬を自分で使ってよいのは、以前に医療機関でカンジダ症と診断され、同じ症状が再発したと判断できる場合に限られると考えられています。初めての症状、原因がはっきりしない場合、症状が改善しない場合は、別の原因が隠れていることもあるため受診をおすすめします。

こんなときは受診を

  • 初めてのかゆみ、または原因がはっきりしないとき
  • 市販薬を使っても改善しない、繰り返すとき
  • 水疱・潰瘍・強い痛みをともなうとき
  • 発熱や下腹部痛など、ほかの症状をともなうとき
  • 妊娠中・妊娠の可能性があるとき
  • 3か月以上続く外陰部の病変があるとき(念のため、がんを除外する検査を行います)

当院では、問診・視診・内診に加えて、おりものの顕微鏡検査や培養、必要に応じてクラミジア・淋菌・ヘルペスの検査を行い、原因に応じた治療を行っています。再発を繰り返すカンジダ症では、糖尿病・抗菌薬やステロイドの使用といった誘因の評価も大切にしています。難治の場合や3か月以上続く病変は、皮膚科や専門医療機関と連携します。

受診したらどんな検査をするの?

原因によって治療が変わるため、まずは原因を見極めるための検査を行います。「内診や検査が不安」という方も少なくありませんが、流れを知っておくと安心して受診しやすくなります。

問診

かゆみの程度や続いている期間、おりものの色・性状・臭い、性交歴やパートナーの症状、月経周期との関連、妊娠の可能性などをうかがいます。あわせて、抗菌薬・ステロイド・ピルなどの服薬歴、糖尿病などの持病、使っている洗浄剤・下着・生理用品についても確認します。これらは原因を絞り込む大切な手がかりになります。

視診・内診

外陰部の赤み・腫れ・水疱・潰瘍・皮膚の硬化(苔癬化)の有無、腟壁の状態や分泌物、子宮頸部の炎症の所見などを確認します。

おりもの・分泌物の検査

  • 顕微鏡検査:カンジダ(仮性菌糸)、トリコモナス(運動する原虫)、細菌性腟症の所見(clue cell)などを調べます
  • pH測定・においの検査:細菌性腟症やトリコモナス腟症の鑑別に役立ちます
  • 培養・PCR検査:カンジダや細菌、クラミジア・淋菌・ヘルペスなどを調べます
  • 皮膚生検:慢性の病変やがんが疑われる場合に行うことがあります

治療後の経過の見通し

デリケートゾーンのかゆみは、原因に合った治療を行えば、多くの場合は数日〜数週間で軽快するとされています。一方で、カンジダ症は再発を繰り返すことがあり、誘因を取り除くことが再発予防の鍵になると考えられています。萎縮性腟炎は局所のエストロゲン製剤で継続的に管理していくことが多く、性器ヘルペスは初めての感染のあと神経節に潜伏し、免疫力が下がったときに再び症状が出ることがあるとされています。症状が長引く・繰り返すときは、自己判断を続けず、改めてご相談ください。

よくある質問(FAQ)

かゆみがあります。市販薬で治せますか?

以前にカンジダ症と診断された方の再発であれば、市販の腟カンジダ用薬を使える場合があります。ただし初めての症状や原因がわからない場合は、別の原因のこともあるため受診をおすすめします。

カンジダが何度も再発します。どうしたらよいですか?

カンジダ症は再発しやすいことが知られています。誘因(抗菌薬の使用、高血糖、ステロイドの使用など)を見直すことが改善の鍵と考えられています。再発を繰り返す場合は内服薬を用いることもありますので、ご相談ください。

閉経後に陰部がかゆいです。年齢のせいでしょうか?

閉経後はエストロゲンの低下により萎縮性腟炎が起こりやすく、かゆみの原因になることがあります。エストロゲンの局所投与などで継続的に管理できることが多いため、我慢せずご相談ください。

パートナーにも検査が必要ですか?

原因によります。トリコモナス腟症や性感染症が疑われる場合は、再感染を防ぐためにパートナーの治療も必要とされています。一方、カンジダ症は常在菌が原因のため、原則としてパートナーの治療は不要と考えられています。

妊娠中ですが、薬を使えますか?

妊娠中でも使える薬はありますが、選択や使い方に注意が必要です。自己判断で市販薬を使わず、必ず受診して相談してください。

デリケートゾーン専用の石けんを使うべきですか?

過剰な洗浄はかえって自浄作用を損ない、刺激になることがあります。基本はぬるま湯でやさしく洗うので十分と考えられています。

「恥ずかしい」と受診をためらっている方へ

デリケートゾーンの悩みは、人に相談しづらく、受診をためらってしまう方が多い症状です。「ただのかぶれだろう」「そのうち治るはず」と様子を見ているうちに、症状が長引いたり、本当は治療が必要な感染症を見逃してしまうこともあります。婦人科では、こうした相談を日常的に数多く受けています。少しでも気になることがあれば、どうか一人で抱え込まず、早めにご相談ください。原因がはっきりすれば、多くは適切な治療で改善が期待できます。とくに、市販薬を試しても改善しない、繰り返す、痛みや発熱をともなう、妊娠中である、3か月以上続く病変がある、といった場合は、自己判断を続けずに受診することをおすすめします。早く原因がわかるほど、つらいかゆみから早く解放されることにつながります。

まとめ

デリケートゾーンのかゆみは、カンジダ症をはじめ複数の原因で起こり、原因に合った治療で多くは数日〜数週間で軽快するとされています。「かゆみ=カンジダ」と決めつけず、初めての症状や原因がわからないときは自己判断を避けることが大切です。受診をためらいがちな症状ですが、適切に診断・治療すれば改善が期待できます。とくに過剰な洗浄を避けるなど日常のセルフケアも再発予防に役立つと考えられています。気になる症状があるときは我慢せず、レディースクリニックなみなみへお気軽にご相談ください。専門のスタッフが、おひとりおひとりの状態に合わせてていねいに対応いたします。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓

東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。

資格

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
  • FMF認定超音波医
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参考文献

  1. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2023. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 (2023). https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00802/
  2. MSDマニュアル プロフェッショナル版「腟炎」. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-%E5%A9%A6%E4%BA%BA%E7%A7%91%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E7%94%A3%E7%A7%91/%E8%85%9F%E7%82%8E
  3. 病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第2版 (MEDIC MEDIA, 2018).
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