執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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赤ちゃんの頭の形がいびつに見えるのは、めずらしいことではありません。日本の調査では、生後1か月の赤ちゃんの6割あまりに、頭の左右のゆがみがみられました(多くは軽いものです)。原因は、気づいた時期によって変わります。生まれてすぐの形は産道を通ったことによるもので、数日から数か月で落ち着くことがほとんどです。生後しばらくして目立ってくる形は、寝る姿勢や向き癖によるものが多くみられます。ごくまれに病気が隠れていることもあるため、見分ける目印と相談の目安を知っておくと安心です。
この記事でわかること
- 赤ちゃんの頭がいびつになりやすい理由
- 気づいた時期で見分ける、3つの原因
- 頭の形が悪いと、発達や健康に影響はあるのか
- 家でできることと、相談するならどこか
赤ちゃんの頭がいびつになりやすいのはなぜ?
赤ちゃんの頭の骨はやわらかく、骨と骨のつなぎ目もまだ閉じていません。このやわらかさは、狭い産道を通り抜けたり、生まれたあとに大きくなる脳を包んだりするためのしくみです。そのぶん、外から力がかかると形が変わりやすい時期でもあります。
頭の形の変化は、一部の赤ちゃんだけの話ではありません。日本で生後1か月の赤ちゃん153人の頭を3Dスキャナーで測った調査では、6割あまりに左右のゆがみ(斜頭)の目安を超える変化がみられました。重いものは約7%でした。ニュージーランドで生まれたときから200人を登録し、2歳まで追った調査もあります。頭の形の変化がある赤ちゃんの割合は、生後6週で16%、4か月で約20%と増えました。その後は8か月で約9%、1歳で約7%、2歳で約3%と減っています。2つの調査は判定の基準が違うため、数字をそのまま比べることはできません。
いつから気になった? 時期で見分ける3つの原因
頭の形の原因は、大きく3つに分けられます。いつ気づいたかと、時間がたつにつれてどう変わっていくかが、見分ける手がかりになります。
| 気づいた時期 | 主な原因 | 見た目の特徴 | その後の経過 |
|---|---|---|---|
| 生まれてすぐ〜数日 | お産のときの圧迫 | 頭が長く伸びたように見える/頭皮のむくみ/片側のやわらかいこぶ | 形とむくみは数日、こぶは数週間〜数か月で自然に消えることがほとんど |
| 生後数週〜数か月 | 寝る姿勢・向き癖・首の向きにくさ | 後頭部の片側、または後ろ全体が平ら | 生後4か月ごろにいちばん多く、その後は軽くなることが多い。左右差が強いと戻りにくいことがある |
| 時期を問わない(生まれつきのことも) | 頭の骨のつなぎ目が早く閉じる病気 | はっきり違う形/頭囲の増え方が小さい | 月齢とともに目立ってくることがある |
生まれてすぐの形は、お産のときの圧迫によるもの
お産のとき、赤ちゃんの頭は狭い産道を通るために、強い圧を受けて形を変えます。生まれた直後に頭が長く伸びたように見えるのはこのためで、けがや病気ではありません。数日のうちに少しずつ丸くなり、治療も必要ありません。
頭の一部が、むくんだようにふくらんで見えることもあります(産瘤)。お産のあいだに頭皮が押されてできるむくみで、多くは数日のうちに引いていきます。
頭の片側に、触るとやわらかいこぶができることもあります(頭血腫)。頭の骨の表面と、骨を包む膜のあいだに血がたまったものです。骨のつなぎ目を越えて広がらないのが特徴で、生まれたあとに大きくなることもあります。数週間から数か月かけて自然に消えていき、治療が必要になることはほとんどありません。ときに、こぶの一部が硬くなって残ることがあります。
こぶが赤くなる、液体が出てくるといったときは、小児科で診てもらってください。こぶの血液が吸収される過程で黄疸が強く出ることがあるため、肌や白目の黄色さが気になるときも小児科に相談してください。
生後数週〜数か月で目立つ形は、寝る姿勢や向き癖によるもの
生後しばらくしてから後頭部の平らさが目立ってきた場合は、寝る姿勢や向き癖による形の変化がほとんどです。病気ではなく、同じ場所に頭の重さがかかり続けることで起こります。
赤ちゃんは一日の多くを寝て過ごし、まだ自分で頭の向きを変えるのが上手ではありません。同じ向きが続くと、下になった側の後頭部が平らになっていきます。片側だけが平らになると斜頭、後ろ全体が平らになると短頭(いわゆる絶壁)と呼ばれます。
先ほどのニュージーランドの調査では、生後6週の時点で、次のようなことが頭の形の変化と関係していました。生まれたときから首の回る範囲が狭い、いつも同じ方向を向いている、寝かせるときの頭の向きを変えていない、といったことです。首が向きにくい背景には、首の横の筋肉が硬くなる筋性斜頸が隠れていることもあります。くわしくは、キッズクリニックまるまるの先天性筋性斜頸の解説をご覧ください。
斜頭・短頭などのタイプの見分け方や、月齢ごとにできることは、赤ちゃんの頭の形の直し方|自然に治る?にまとめています。
時期を問わず気をつけたいのは、頭の骨のつなぎ目の病気
ごくまれに、頭の骨のつなぎ目が早く閉じてしまうことで、頭の形が変わる病気があります(頭蓋骨縫合早期癒合症)。新生児2,000〜2,500人に1人ほどの病気です。寝る姿勢による形の変化とは対応が違い、治療は手術が中心になります。
次のような様子があるときは、月齢にかかわらず早めに相談してください。
- 月齢が進むにつれて、形の違いが目立ってくる
- 頭の大きさ(頭囲)の増え方が小さいと、健診で言われた
- 頭のてっぺんのやわらかい部分(大泉門)が、早くから触れなくなった
- 生まれたときから頭の形がはっきり違い、日がたっても丸くならない、またはむしろ目立ってくる
手術が必要かどうかや、その時期は専門の医師が判断します。くわしくは、キッズクリニックまるまるの頭蓋骨縫合早期癒合症の解説をご覧ください。
頭の形が悪いとどうなる? 発達や健康への影響は
寝る姿勢や向き癖でできた頭のゆがみそのものが、脳を傷つけて発達を遅らせるという証拠はありません。見た目の変化も、多くは成長とともに目立たなくなっていきます。ただし、左右差が強い場合は自然には戻りにくいという報告があります。
発達との関係で分かっていること
斜頭症の赤ちゃんとゆがみのない赤ちゃん、あわせて40人ほどをMRIで調べた研究では、脳全体の大きさ(体積)に差はみられませんでした。脳の形には頭の形に沿った違いがありましたが、それが発達の差の原因なのか結果なのかは分かっていません。一方で、450人あまりを3歳まで追った研究では、頭の形にゆがみのあった子は、発達検査の点数がやや低くなっていました(差は数点)。
研究者は、頭の形が発達を遅らせたというより、別の見方のほうが自然だとしています。もともと発達がゆっくりめで、自分で頭の向きを変えにくい赤ちゃんほど、頭の形が変わりやすいという見方です。実際、ゆがみの強さと3歳時点の点数には関係がみられませんでした。頭の形は、体の動きや発達のようすに目を向けるきっかけになることがあります。首のすわりや体の動き、ことばや反応で気になることがあれば、頭の形とあわせて相談してください。
見た目は、多くが目立たなくなる。ただし強い左右差は残ることがある
ニュージーランドの調査では、生後4か月に頭の形の変化があった赤ちゃんの多くが、2歳までに目立たなくなっていました。ただし、変形が強い場合は別です。左右差の大きい赤ちゃんの経過をみた日本の報告では、約3分の2が2か月ほどたっても大きいままでした。
後頭部の片側が平らになる形が進むと、耳の位置や額、顔にも左右差が出てくることがあります。左右差が目立つときは、骨がやわらかいうちに一度状態を見てもらうと、その後の見通しが立てやすくなります。
頭の形が気になるとき、家でできることは?
寝る姿勢や向き癖による形の変化には、起きているあいだの過ごし方の工夫が基本です。特別な道具は必要ありません。
- 眠るときはあおむけで、寝床には何も置かない。あおむけ寝は乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを下げるためのもので、頭の形を理由にやめるものではありません
- 起きているあいだに、うつぶせで遊ぶ時間をつくる(タミータイム)。大人がそばで見ているときに行います
- 寝かせるときの頭の向きを、日ごとに左右で変える。あおむけのまま、顔を向ける側がかたよらないようにします
- 抱っこや授乳、話しかける向きを左右で変える。いつも同じ側を向いて過ごさないようにします
- 月に1回ほど、頭の真上から写真を撮っておく。変化を比べやすく、相談するときにも役立ちます
ドーナツ枕などの頭の形を整えるとうたう枕は、おすすめしません。理由は赤ちゃんのドーナツ枕は使ってよい?にまとめています。うつぶせ遊びや向きの工夫の具体的なやり方は、キッズクリニックまるまるのコラムタミータイムの始め方と向き癖への工夫をご覧ください。
相談するなら何科? いつごろ?
まずは、かかりつけの小児科か乳児健診で相談できます。頭の形が気になったら、生後2〜4か月ごろを目安に相談してみてください。頭が大きくなるスピードがいちばん速いのは生後数か月のあいだで、早いほうが選べる方法が多くなります。4か月を過ぎていても相談できます。
- 頭の形全般:小児科や乳児健診。くわしく測りたいときは、頭の形を専門に扱う外来(小児科や脳神経外科、形成外科などが行っています)
- 首の傾き・首のしこり:小児科、または整形外科(小児整形外科)
- 骨のつなぎ目の病気が疑われるとき:小児の脳神経外科や形成外科がある専門の医療機関(小児科から紹介を受けることが多い)
- 頭血腫のこぶが赤い・液体が出る:小児科
健診で何も言われなかったけれど気になる、というときも、相談して構いません。健診で頭のどこを見ているかは、乳児健診で頭の形を指摘されたらにまとめています。2026年11月中旬に開院予定のキッズクリニックまるまる(自由が丘)では、頭の形外来で、計測をもとに頭の形を評価する予定です。
よくあるご質問
赤ちゃんの頭の形が悪いのは、自然に治りますか。
多くは成長とともに目立たなくなります。ニュージーランドの調査では、生後4か月に頭の形の変化があった赤ちゃんの多くが、2歳までに目立たなくなっていました。ただし、左右差が強い場合は自然には戻りにくいという報告があります。骨がやわらかいうちに向きを整えるほうが、変化を小さくとどめやすくなります。
吸引分娩で頭の形が変わりました。いつ戻りますか。
お産のときにできた頭の形の変化やむくみは、多くは数日のうちに落ち着きます。こぶ(頭血腫)がある場合は、数週間から数か月かけて目立たなくなっていくのが一般的です。生後しばらくして後頭部の平らさが目立ってきたときは、寝る姿勢による形の変化が加わっていることがあります。気になるときは、健診や小児科で相談してください。
新生児の頭がでこぼこしているのはなぜですか。
赤ちゃんの頭の骨はいくつかの骨に分かれていて、つなぎ目や、頭のてっぺんのやわらかい部分(大泉門)があります。生まれてすぐは、お産のときの圧で形が変わったり、むくみやこぶができたりして、でこぼこに見えることがあります。多くは数日から数か月で落ち着きます。日がたっても丸くならない、月齢とともに形の違いがはっきりしてくるといったときは、早めに相談してください。
頭の形がいびつだと、発達障害になりますか。
寝る姿勢や向き癖による頭のゆがみそのものが、発達障害の原因になるという証拠はありません。研究で調べられているのは主に発達検査の点数で、斜頭症の赤ちゃんの研究では、脳全体の大きさは変わりませんでした。ただ、ゆがみのある子で発達検査の点数がやや低かった研究もあり、頭の形は体の動きや発達のようすに目を向けるきっかけと考えられています。体の動きやことば、反応で気になることがあれば、あわせて相談してください。
何科を受診すればよいですか。
まずは、かかりつけの小児科か乳児健診で相談できます。くわしく測りたいときは、頭の形を専門に扱う外来があります。小児科や脳神経外科、形成外科などが行っています。骨のつなぎ目の病気が疑われるときは、小児の脳神経外科や形成外科がある専門の医療機関で診てもらいます。
健診で何も言われなければ、様子を見てよいですか。
乳児健診では、頭囲の増え方、首の傾き、生まれつきの特徴がないかを確認しています。一方で、向き癖などでできた形の変化の程度を測る項目は、健診の標準にはありません。健診で何も言われなかったけれど気になるときは、相談して構いません。くわしくは乳児健診で頭の形を指摘されたらをご覧ください。
まとめ
赤ちゃんの頭の形がいびつに見えるのは、よくあることです。生まれてすぐの形やむくみ、こぶは、数日から数か月で落ち着くことがほとんどです。生後しばらくして目立ってきた形は、寝る姿勢や向き癖によるものが多く、起きているあいだの過ごし方の工夫が基本になります。
左右差が強い、首の傾きが気になる、月齢とともに形が目立ってくるといったときは、生後2〜4か月ごろを目安に相談してみてください。4か月を過ぎていても相談できます。
執筆者兼監修者プロフィール
東大産婦人科に入局後、長野県立こども病院、虎の門病院、関東労災病院、東京警察病院、東京都立豊島病院、東大病院など複数の病院勤務を経てレディースクリニックなみなみ院長に就任。
資格
- 医学博士
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
- FMF認定超音波医
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参考文献
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