レディースクリニック なみなみ

骨盤臓器脱

当院の診療内容は全て医師が監修しております。

クリニックなみなみ 院長 叶谷愛弓

執筆者兼監修者プロフィール

レディースクリニックなみなみ
院長 叶谷愛弓
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子宮や膀胱、腸が下がっている感じがする方は、早めの相談を!

骨盤臓器脱とは

正常骨盤

女性の骨盤内臓器は、前から順番に膀胱・子宮・腸(直腸)の順に並んでおり、骨盤の一番下は骨盤底と呼ばれ、様々な筋肉や靭帯(骨盤底筋群)によって覆われています。子宮や膀胱は骨盤底筋群と結合識によって支えられていますが、これらは加齢や分娩などで弱まります。その結果、骨盤内の臓器を支えきれずに正常な位置から下方に移動・脱出します。このことを骨盤臓器脱(下垂)といいます。

子宮脱

子宮脱

膀胱瘤

膀胱瘤

直腸瘤

直腸瘤

骨盤臓器脱の原因

骨盤臓器脱の主な原因は以下のとおりです。

  • 妊娠・出産: 複数回の経腟分娩や長い分娩時間、巨大児の出産
  • 加齢
  • 肥満: 余分な体重が骨盤底に圧力をかけます
  • 重い物の持ち上げの繰り返し
  • 長期の便秘や慢性的な咳
  • 子宮全摘などの手術操作後

物理的な骨盤の筋肉・靭帯への損傷、エストロゲンの低下による組織のコラーゲン量の減少により骨盤支持力が低下します。

骨盤臓器脱の症状

症状は、骨盤臓器の下垂や脱出すること自体の症状と、それによる排尿や排便機能への影響の2つに分けられます。

  • 骨盤臓器の下垂や脱出による症状:外陰部の違和感、出血などを認めます。
  • 排尿排便障害:残尿、頻尿、排尿困難、腹圧性尿失禁(お腹に力が入ると尿が漏れてしまう)

骨盤臓器脱で行われる検査

基本的には内診台での診察を行います。内診で明らかに骨盤臓器が下がっていれば診断できます。

  • 問診
  • 診察(内診)
    どれくらい骨盤臓器が下がっているのかを確認し、POP-Qというスコアリングを行います。時には内診台でいきんでもらい、どれくらい臓器が下垂するかどうかを確認します。

POP-Q stage

POP-Q stage
  • 超音波検査
    会陰部から超音波機器を当てて、筋肉の状態や尿道の角度や位置などを確認します。

そのほか、骨盤臓器脱の方の半数以上は尿失禁をきたすため、尿失禁の検査(尿検査、尿流動態など)を行うことがあります。

骨盤臓器脱で行われる治療

骨盤臓器脱の治療方法は生活指導・骨盤底筋訓練・ペッサリー挿入・手術が挙げられます。最近では新しいデバイスとして、腟レーザー(インティマレーザー)や磁気治療器によって治療する選択肢も出てきました。

  • 生活習慣の改善
    体重管理や便秘改善をします。過度な持ち上げを避けます。
  • 骨盤底筋トレーニング
    冊子や動画などを参照しながら、骨盤を支える靭帯や筋肉を鍛える訓練を行います。
  • ペッサリー
    腟内に挿入し、脱出した臓器を支えるデバイスです。
ペッサリー

腟の中にリング状やドーナツ型のペッサリーを挿入し、下垂した臓器を押し戻し、下から支える方法です。
ペッサリーの管理方法としては、入れっぱなしにしてクリニックで3-4ヶ月ごとに交換する「連続法」と、自身で着脱を行う「自己着脱法」があります。連続法ですと、悪臭やおりものが増え腟内に炎症が起きることもあります。その点、自己着脱法は毎日夜寝る前に外すので、衛生的です。

  • レーザー治療
    インティマレーザーを腟内に挿入し当てることで腟を引き締め、腟壁の前側が下がる膀胱瘤や後側が下がる直腸瘤に効果があると言われています。ただし、子宮脱はその上部の子宮を支える靭帯が伸びていることによるため効果が少ないです。
  • 磁気治療器
    高強度テスラ磁気刺激で骨盤底筋群を強化する方法です。服を着たまま座るだけなので体への負担が少ない方法です。
  • 手術
    完全に臓器が外へ飛び出してしまっている方や、これまでの方法で改善しなかった方は手術を検討します。腹腔鏡や、メッシュを使って腟からアプローチして手術する方法などありますので、ご相談ください。

当院の骨盤臓器脱の特徴

産婦人科専門医による診察

泌尿器科診察の経験もある産婦人科医師が診察することで、骨盤臓器脱そのものの治療だけでなく、これに付随してよくみられる症状に対して適切な治療を行うことができます。

インティマレーザーでの治療が可能です

産婦人科クリニックとしては目黒区で初のインティマレーザーの導入になります。手術ではなく方法で治療できる、全く新しい治療方法を行うことができます。

よくあるご質問

ペッサリーは一生入れ続けないといけないのでしょうか?

入れていないときは臓器が下がってきますが自己着脱の場合は適宜外筋感があります。

子宮が少し下がっているようにも感じます。治療しないといけないのでしょうか。

特に症状がない場合は不要なこともあります。しかし、放置すると悪化するので早めの対策も重要ですよ。

分娩時間が長く赤ちゃんも大きかったので今後が心配です。

骨盤底筋訓練を行うのが最も効果的です。産後早めに始めると尚、効果的です。看護師から詳しい説明を聞くこともできますので、ぜひご相談ください。当院でも不定期ですが骨盤体操ワークショップを行っています。

医師

当院では医師の診察を受けてからどのような治療法が適しているのかを見極めます。
インティマレーザー及び骨盤底筋トレーニングは当院でも受けられる施術になりますので、ぜひご相談ください。