東京都目黒区でミレーナの装着を検討されている方は、当院(レディースクリニックなみなみ)にご相談ください。
「ミレーナ」は、避妊と婦人科疾患の治療を両立できる新しい選択肢として注目されている子宮内避妊システム(IUS)です。ミレーナは5年間有効な高い避妊効果に加え、過多月経(生理の量が多い状態)や月経困難症(ひどい生理痛)の改善にも優れた効果を発揮します。
ミレーナとは何か?
ミレーナ(Mirena)は、レボノルゲストレルという黄体ホルモンを子宮内に持続的に放出する子宮内避妊システム(IUS)です。T字型の小さなプラスチック製デバイスを子宮内に挿入し、ゆっくりとホルモンを放出することで避妊効果を発揮します。
ミレーナは2007年に避妊目的で日本で承認され、当初は自由診療(自費)で使用されてきました。その後、2014年9月から過多月経や月経困難症の治療に対して保険適用となり、避妊だけでなく月経に関する症状改善の目的でも広く使われるようになりました。ミレーナは世界的にも実績のある治療法で、2014年時点で世界130カ国以上・累計2000万人以上の女性が使用しています。過多月経の治療薬として国内外のガイドラインでも推奨されており、その安全性と有効性は多くの研究で確認されています。日本産科婦人科学会などの専門機関も、月経困難症や過多月経の治療選択肢の一つとしてミレーナを挙げています。
ミレーナのメリット(効果・利点)
ミレーナを装着することで得られる主なメリットは次のとおりです。
ミレーナの主な効果3つ
- 高い避妊効果と持続性
- 月経量の大幅な減少
- 生理痛の軽減
①避妊効果
ミレーナの避妊効果は非常に高く、一般的な使用での避妊失敗率は年間約0.2%程度と報告されています。適切に装着すればほぼ100%に近い避妊率を5年間にわたり維持できます。また、5年を超えても効果が持続する例も報告されています(欧米では7年まで延長使用可能とする国もあります)。
②月経量の大幅な減少
ミレーナが放出するホルモンにより子宮内膜が薄く保たれるため、経血量が劇的に減少します。平均的には装着後3ヶ月で月経量が約80%減少し、6ヶ月で約90%減少するとの報告があります。実際、治療目的で装着した多くの方で1年以内に月経過多が大幅に改善し、貧血の改善効果も期待できます。ある研究では、ミレーナ使用群で月経血量が最大94%減少したとのデータもあります。

③生理痛の軽減
子宮内膜を薄く保つ作用は、月経時の子宮収縮を和らげる効果ももたらします。そのため、子宮内膜症や子宮腺筋症などに伴う月経困難症(生理痛)の症状緩和にも有効です。低用量ピルでも月経痛の軽減効果がありますが、ミレーナは服薬不要で継続使用できる点で優れています。
ミレーナのデメリット・副作用
ミレーナは高い避妊効果と月経痛軽減効果がある一方で、いくつかの副作用やデメリットがあります。導入をご検討の際には以下の点をご理解ください。
主な副作用・デメリット
- 装着初期の不正出血: 最初の3〜6ヶ月間は不規則な出血やスポッティングが続くことがあります。これはホルモンによる子宮内膜調整の正常な過程で、多くの場合時間とともに改善します。
- 装着時の痛み・違和感: 挿入時に下腹部痛や違和感を伴うことがあります。特に出産経験のない方は生理痛程度の痛みを感じることがありますが、通常は一過性です。必要に応じて局所麻酔も可能です。
- ホルモンによる症状: 全身への影響は少ないものの、頭痛、乳房の張り、肌荒れ、気分の変動などが現れることがあります。これらはピルと比較すると発生頻度は低い傾向にあります。
- デバイスの脱出: 約4%のケースで装着から3ヶ月以内に自然脱落することがあります。脱出すると避妊効果が失われるため、定期的な確認が重要です。
まれな合併症
- 子宮穿孔: 装着時に子宮壁を傷つける可能性があります(発生率0.1%未満)。
- 骨盤内感染: 装着に関連した骨盤炎症性疾患(PID)が起こるリスクがあります。
ミレーナが適している方・適さない方
適している方(有効なケース)
- 確実な長期避妊を希望する方: 出産経験の有無にかかわらず、数年以上の避妊を希望する方に適しています。将来的に妊娠を希望する場合でも、撤去すればすぐに受胎能力が回復する可逆的な方法です。
- 月経過多に悩んでいる方: 経血量が多く貧血傾向にある方や、レバー状の血塊が出るほどの月経過多に悩まされている方には有効な治療手段となります。
- 月経困難症(生理痛)がある方: 鎮痛剤が手放せないような強い生理痛がある方、特に子宮内膜症や子宮腺筋症による月経痛が疑われる方に効果的です。
- 子宮筋腫や子宮腺筋症がある方: 症状が軽度〜中等度であれば、生理量の減少や痛みの軽減が期待できます(ただし粘膜下筋腫は除く)。
- 子宮内膜増殖症と診断された方: 単純型子宮内膜増殖症の治療として有効で、内膜掻爬術後の再発予防にも役立ちます。
- 乳がん治療後のタモキシフェン内服中の方: 副作用で起こる子宮内膜肥厚や過多月経の対策として用いられることがあります。
- 更年期ホルモン補充療法(HRT)を受けている方: HRTによる子宮内膜増殖を抑え、子宮体癌を予防する目的で使用されることがあります。
適さない方(使用が難しいケース)
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方: 装着前に妊娠反応陰性の確認が必要です。
- 子宮の形態異常や大きな子宮筋腫がある方: 子宮奇形や子宮腔を変形させる大きな筋腫・ポリープがあると、正しく留置できない場合があります。特に粘膜下筋腫がある場合は適応外です。
- 骨盤内感染症がある方: クラミジア・淋菌などの骨盤内炎症がある場合、まず感染症の治療が優先されます。過去にPIDを繰り返している方も慎重な判断が必要です。
- 子宮頸がん・体がん検診で異常がある方: 高度異形成以上の所見や子宮内膜の異常が疑われる場合、まず精密検査や必要な治療を行う必要があります。
- 重篤な肝疾患・ホルモン関連疾患がある方: 重い肝機能障害がある方や、黄体ホルモン依存性の悪性腫瘍がある方には使用できません。
- 出産直後・流産直後の方: 産後4〜6週間は子宮感染リスクが高いため、装着を避けます。
ミレーナ挿入の流れ
初診・ご相談(装着日の決定)
まずは外来を受診していただき、医師が月経の状況や避妊希望の有無、症状について問診します。ミレーナの適応となりうるかを判断するため、必要に応じて内診・経腟超音波検査を行い、子宮の大きさや形、異常の有無を確認します。また、妊娠の可能性がないか確認し、子宮頸がん検診の結果や性感染症の有無もチェックします。
↓
ミレーナ挿入
ミレーナ挿入は通常月経中〜月経直後のタイミングで行うのが理想的です。子宮口がわずかに開大しているため挿入しやすく、妊娠していないことも明らかだからです。初診時に問題なければ、そのまま当日装着することも可能ですが、患者様の都合に合わせて後日予約いただくこともできます。
内診と同じ体位をとり、まず子宮頸部を消毒します。細い挿入器(チューブ状の器具)を子宮内に進めてミレーナ本体を留置します。処置自体は数分程度で完了し、X線等も不要です。挿入時に生理痛のような下腹部痛を感じることがありますが、ほとんどの場合は一過性です。痛みに弱い方は事前に鎮痛剤を服用していただくことも検討します。
↓
経過観察・フォローアップ
装着後1〜2ヶ月目に受診いただき、ミレーナが正しく留置されているか確認します。超音波検査で位置をチェックし、問題なければその後は半年〜1年ごとに定期健診を受けていただくことをおすすめします。日常的には、月に一度程度ご自身で糸に触れるか確認していただくと安心です。万一糸が触れない・紛失した場合や、激しい下腹部痛・発熱がある場合はすぐにご連絡ください。
↓
ミレーナの除去と交換
ミレーナは最大5年間有効ですが、計画的妊娠を希望される場合や他の理由で途中で外すことも可能です。除去は外来で行い、残してある糸を引っ張るだけで簡単に取り出せます。除去処置は短時間で痛みもほとんどありません。除去後はすぐに妊娠可能な状態に戻り、多くの方は1年以内に妊娠に至ります。引き続き避妊を希望する場合は、新しいミレーナを除去と同時に再装着することもできます。
以上が一連の流れです。当院では事前の説明をしっかり行い、不安なく処置を受けていただけるよう努めています。疑問や不安な点はいつでも医師・スタッフにお尋ねください。
費用について(保険適用と自費)
ミレーナの装着費用は、保険適用になるか自費診療になるかで大きく変わります。
保険適用の場合
過多月経や月経困難症の治療目的でミレーナを装着する場合は健康保険が適用されます。この場合、患者様の自己負担は原則3割です。費用の目安としては、前後の診察料や検査料も含め自己負担額が1〜2万円台で収まるケースが多いです。当院でも、過多月経などの確かな適応があると医師が判断した場合には保険での処置を行っています。保険適用には一定の検査などでの上記診断が必要ですが、その点も含めサポートいたします。
¥11,000円前後(挿入の際の保険適応での負担金額)
自費診療(保険適用外)の場合
明確な治療目的がなく避妊目的のみでミレーナを希望される場合は、自費(全額自己負担)となります。自費の場合、クリニックによって設定費用に差がありますが、トータルで約6〜10万円程度が一般的な相場です。この金額には、初診料・ミレーナ本体費用・装着手技料・術後の検査料などが含まれます。当院の具体的な費用は「料金について」ページにも掲載しておりますので、ご参照ください。自費であっても、5年間の避妊効果を考えれば長期的には経済的メリットが大きいことは先述の通りです。
レディースクリニックなみなみの金額:¥60,500
ミレーナ使用者からのレビュー

42歳(保険:過多月経)
更年期前なのか月経の症状で悩んでいた時、婦人科の先生にミレーナを勧められました。使い始めて1年、本当に良かったです。ドバッとくる生理がほぼなくなり、仕事にも集中できるようになって◎。40代女性の味方だと実感しています。

44歳(自費)
二人の子育てが一段落して、夫婦で第三子は望まないと決めました。でも、ピルの副作用が気になって。そんな時に出会ったのがミレーナです。使い始めて1年半になりますが、本当に快適です。挿入時は痛みがありましたが、数日で落ち着きました。生理量が減って楽になりましたし、何より避妊の心配がなくなって精神的に楽です。更年期前の体調の変化も気になる年齢ですが、ホルモンバランスが整うせいか肌の調子も良くなった気がします。5年間有効なので経済的にも助かります。同年代の方にもおすすめですよ。
ミレーナに関してよくあるご質問
ミレーナの挿入は痛いですか?
その方の年齢やお産の経験の有無、子宮の角度や位置、子宮の出口の広さによって全く痛くない方から痛みを感じる方まで幅広くおられます。医師が声をかけながら行いますので、不安な方は事前にご相談ください。
ミレーナを挿入した後、すぐに避妊効果は得られますか?
ミレーナを挿入した後、すぐに避妊効果を発揮します。ただし、挿入後1週間は、念のため、他の避妊方法を併用することをおすすめします。
ミレーナは体に悪影響はありますか?
ミレーナは、子宮内膜に直接作用するホルモン剤ですが、副作用のリスクは低く、安全性が高いとされています。ただし、個人差があり、不正出血、頭痛、気分の変動などの副作用が出る場合もあります。副作用が気になる方は、医師に相談してください。
ミレーナはPMSに効果ありますか?
ミレーナはあくまで局所に黄体ホルモンを投与しているに過ぎないので全身性の効果はありません。そのためPMS・PMDDには効果がないですし、そのようなエビデンスもありません。
ミレーナは子宮筋腫に効果ありますか?
ミレーナは黄体ホルモンの局所投与の作用です。子宮筋腫は卵胞ホルモンに応じて縮小、拡大するものなのでミレーナでは変わりありません。
ミレーナはいつまで使用できますか?
ミレーナは、5年間効果が持続します。5年後も使用を続けたい場合は、医師に相談し、新しいミレーナに交換する必要があります。
ミレーナを挿入した後、妊娠できますか?
ミレーナは、避妊効果の高いデバイスですが、妊娠を望む場合は、ミレーナを取り外す必要があります。ミレーナを取り外した後、すぐに妊娠できる場合もあれば、数か月かかる場合もあります。妊娠を希望される方は、医師に相談してください。
ミレーナを挿入すると性交渉の時に違和感はありますか?
ミレーナは先端に紐がついており、稀に性交渉時に男性が紐が当たってちくちくするといった症状を訴える方がいらっしゃいます。このような場合は紐の長さを調整しますので、医師にご相談ください。
ミレーナ挿入中の運動や旅行は?
入浴も含めて日常生活には支障がないので全く普通通りの生活をしていただいて構いません。
ミレーナ以外のIUD/IUSはありますか?
日本国内では承認されていないですが、ございます。ホルモン放出型IUS (子宮内システム):Kyleena (キレーナ): ミレーナより小型で低用量。5年間有効。Liletta (リレッタ): ミレーナと同様の成分・用量。8年間有効。Skyla (スカイラ): 最も小型で低用量。3年間有効。銅付加IUD (子宮内避妊具):ParaGard (パラガード): 銅を使用した非ホルモン性IUD。10年間有効。これらのIUD/IUSは、それぞれ特徴が異なります:有効期間 (3年〜10年)サイズ (小型のものもある)ホルモン量 (無しから高用量まで)適応 (避妊のみ、または月経困難症や過多月経の治療も)これらは海外では使用されていますが、日本国内では未承認医薬品として使用するほかありません。
現在レディースクリニックなみなみでは取り扱いはございません。
32歳(自費)
2歳の子育てと仕事の両立で毎日バタバタしていました。半年前にミレーナを入れました。挿入時は痛かったけど、すぐ慣れました。ピルを飲み忘れる心配がなくなって、夫婦生活も自然に。生理痛も軽くなって助かります。たまに不規則な出血があるのが困りますが、忙しい毎日には最適。数年後の2人目出産まで、安心して使えそうです。育児中のママにおすすめです。