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多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、
どのような状態ですか

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵が起こりにくくなる原因の一つです。月経の異常や不妊症の原因として重要とされています。2024年に改められた学会の基準では、月経・卵巣・ホルモンの3項目がそろってはじめて診断し、AMHが高いだけでは診断されません。妊娠を望むときは排卵を起こす治療(排卵誘発)が中心で、飲み薬にするか注射薬にするかは排卵障害の程度で変わります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは
どのような状態ですか?

排卵が起こりにくくなる「排卵障害」の原因の一つです。

排卵障害の原因の一つとして、日本生殖医学会も「男性ホルモン分泌亢進を特徴とする多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」を挙げています。略してPCOSと呼ぶことの多い病名です。

卵巣で卵子が育って排卵が起こり、妊娠が成立しなければ、子宮内膜がはがれ落ちて月経になります。日本産科婦人科学会の説明では、月経が不順なときは、月経のような出血があっても排卵していないことがあります。排卵が起こらなければ妊娠は成立しません。

うまく排卵できない原因は、PCOSのほかにもあります。同学会が挙げているのは、肥満や極端なやせ、甲状腺の働きの異常、乳汁を分泌させるホルモン(プロラクチン)の異常、心身のストレスなどです。月経が不順だからといってPCOSとは限らないので、原因を一つずつ確かめていきます。

月経周期が25日〜38日で、基礎体温が二相性(低温の時期と高温の時期に分かれる)であれば、排卵が起こっていると考えられます(日本生殖医学会の目安)。周期がこの範囲から外れるときや、しばらく月経が来ないときは、一度ご相談ください。

どのような基準で
診断されますか?

日本産科婦人科学会の2024年の基準では、次の3項目をすべて満たすとPCOSと診断します。

この基準は、国際的な診断基準との整合性や調査の結果をふまえて、2007年の基準を改めたものです。

01 月経周期の異常

無月経、希発月経(月経の間隔が長くあく状態)、無排卵周期症(出血はあっても排卵が起きていない状態)のいずれかがあること。

02 多嚢胞卵巣、またはAMHの高値

超音波検査で両側の卵巣に小さな卵胞が多数みられ、少なくとも一方の卵巣で直径2〜9mmの卵胞が10個以上あること。この所見の代わりに、AMHの高値を使うこともできます。

03 男性ホルモンの過剰、またはLHの高値

血液中の男性ホルモン(アンドロゲン)が高い、または男性型の多毛がみられること。あるいは、LH(黄体化ホルモン)の基礎値と、LHとFSH(卵胞刺激ホルモン)の比が高いこと(体格によっては、比が高いことだけで判定することもあります)。

クッシング症候群や副腎の酵素の異常など、よく似た病気でないことも確かめます。初経から年数の浅い思春期の方には、別の判定のしかたが決まっています。

「卵胞が多い」「AMHが高い」と
言われたら、PCOSですか?

3項目がすべてそろってはじめて診断するので、それだけでは決まりません。

学会の基準には「AMH高値だけでPCOSを診断することはできない」と書かれています。AMHを測ること自体も、診断に必ず要るわけではないとされています。超音波で小さな卵胞がたくさん見えることも、3項目のうちの1つにあたるだけです。

AMHは、卵巣にどれくらい卵子が残っているかの目安として測ることの多い検査です。値の受け止め方はAMH検査でわかること・わからないことで取り上げています。

体型についても考え方は同じで、基準の3項目は月経・卵巣・ホルモンの所見です。やせている方も、体重が多い方も、体型だけでは決まりません。

どのような検査で
確かめますか?

月経の様子をうかがったうえで、超音波検査とホルモンの血液検査を組み合わせます。

診断には、月経周期と、超音波で見る卵巣の様子(またはAMH)、血液中のホルモンの値を使います。これまでの月経の間隔が分かるメモや基礎体温の記録があれば、診察のときにお持ちください。

ホルモンの検査は、測る時期を選びます。学会の基準では、排卵誘発薬や女性ホルモン薬などホルモンに影響する薬を1か月以上使っていない時期に測ります。そのとき、直径1cm以上の卵胞がないことも確かめます。月経(または薬で起こした出血)から10日目までの時期はLHの高値が見つかりにくいので、必要なら測り直します。

1回の受診ですべてがそろうとは限りません。不妊の原因は一つとは限らないので、卵管や精液の検査もあわせて考えます。当院で受けられる検査は不妊検査のページにまとめています。

妊娠を望む場合、
どのような治療をしますか?

排卵を起こす治療(排卵誘発)が中心になります。

日本産科婦人科学会の説明では、うまく排卵できないときは、それぞれのホルモンバランスの乱れを治療しながら、排卵を起こす治療を行います。排卵誘発剤には「軽度の排卵障害に対する内服薬と、高度な排卵障害に対する注射薬」があり、どちらを使うかは排卵障害の程度で変わります。

日本生殖医学会によると、排卵誘発法は内服薬や注射薬で卵巣を刺激して排卵を起こさせる方法で、排卵のない方や起こりにくい方に行います。排卵の時期を見きわめて性交のタイミングを合わせるタイミング法と一緒に進めることもあります。

一般的な不妊治療は、タイミング法から人工授精、体外受精・顕微授精へと、数周期ごとに段階を進めていきます。排卵の状態のほか、年齢や卵巣の予備能、精液の検査結果も見て、どこから始めるかを決めます。

排卵誘発剤を使う治療では、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や、双子などの多胎妊娠が起こることがあります。PCOSは、OHSSが起こりやすい条件のひとつに挙げられています。気をつけたい症状は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)で気をつける症状に書いています。多胎については不妊治療と双子(多胎)をご覧ください。

お薬には、起こりうる症状があります。そのことも含めて、使うかどうかを一緒に決めます。

妊娠のほかに、
知っておきたいことはありますか?

子宮体がんや、糖の代謝の異常との関連も注目されています。

日本産科婦人科学会は、PCOSが月経異常や不妊症の原因として重要だとしています。あわせて、子宮体がんや耐糖能異常(血糖をうまく下げにくくなった状態)といった健康上のリスクとの関連も注目されていると説明しています。

いま妊娠を考えていない時期でも、月経不順が続くときは婦人科にご相談ください。当院では一般婦人科の診療もしていて、月経不順や無月経を診ています。

仕事を続けながら
通えますか?

排卵の時期に合わせて通っていただくので、通える時間帯が合うかどうかで変わってきます。

排卵誘発やタイミング法では、超音波で卵胞の育ち方を見ながら、次に来ていただく日をそのつど決めます。ご都合のよい日を自由に選べないこともあります。

診療時間と行き方、待合の様子は院内・アクセスに載せています。

よくある質問

AMHが高いと言われました。PCOSですか?

AMHが高いことだけではPCOSと診断できない、と学会の基準に書かれています。月経やホルモンの所見とあわせて見ていきます。

やせていてもPCOSと診断されることはありますか?

基準の3項目は、月経・卵巣・ホルモンの所見です。体型だけで当てはまるかどうかが決まるわけではありません。

月経が不規則です。排卵しているか自分で分かりますか?

基礎体温をつけると、排卵しているかどうかのおおよその見当がつくとされています。記録があれば診察にお持ちください。

排卵誘発剤は飲み薬ですか、注射ですか?

軽い排卵障害には飲み薬、重い排卵障害には注射薬を使います。どちらにするかは、検査の結果を見てご相談します。

他院でPCOSと言われました。検査は受け直しますか?

結果をお持ちいただければ、診察の参考にします。時間がたっている項目や、追加したほうがよい項目があれば、そのときにご相談します。

いまは妊娠を考えていません。受診してもよいですか?

受診いただけます。当院の一般婦人科で、月経不順や無月経を診ています。

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